2025年10月22日 露地でバナナ栽培 温暖化に対応、紀南の農家が挑戦、和歌山
和歌山県紀南地方では、地球温暖化の影響を背景に、梅やミカンに続く新たな農作物として露地でのバナナ栽培に挑戦する農家が出始めている。
田辺市や串本町などで、2023年春からJAわかやま紀南地域本部が主体となり、耐寒性品種「アイスクリームバナナ」の試作を進めている。現在、栽培農家は20人以上、植栽本数は約100本に達し、2024年から実が成り始めた。
田辺市上秋津の笠松秀之さん(62)は、元梅畑約1アールで3年前に2本を植えたところ、今では30本ほどに増加。高さ6メートルになる株もある。冬は保温シートで防寒、夏は毎日水やりを行い、無農薬でも害虫被害はほとんどないという。収穫は8〜11月頃で、地元産直店「紀菜柑」では「バナナ園探検ツアー」なども実施され、地域の新たな特産として注目を集めている。
笠松さんは2025年には**「サンジャク(3尺)バナナ」**の栽培も開始し、「直売できるほどの収量が見込めそう」と語る。栽培の広がりが進めば、紀南地域で新たな熱帯果樹産地が形成される可能性がある。
地球温暖化を憂いていているのではなく、環境に合わせた農業を考えるべき
地球温暖化そのものを「憂う」だけではなく、変化した気候条件を前提に地域に適した農業形態へと柔軟に移行する発想が求められています。
たとえば、近年の日本では以下のような動きが進んでいます。
- 温暖化に適応した作物選定:
 紀南地方の露地バナナや、北海道でのブドウ・トマト栽培など、地域気候の変化を活かす作物転換。
- 持続可能な農法への転換:
 水資源の節約、省エネ型温室、土壌の炭素固定を取り入れた「カーボン・ファーミング」など。
- 地域循環型の農業:
 廃棄物や間伐材を利用したバイオ資源の活用、地産地消による輸送エネルギーの削減。
つまり、環境の変化を脅威としてだけ見るのではなく、「順応しながら、地域の強みを伸ばす」方向へ発想を転換することが、今後の農業には不可欠です。
2020/7/15
教育が社会の新たな階級化を促進し、その結果として民主主義の機能不全と社会の分断をもたらしている現状を鋭く分析した書籍です。
トッドは、従来は平等の象徴であった教育が、今や高等教育の階層化によって社会をエリートと大衆に二分し、格差を拡大させていると指摘しています。特に高等教育は、学問的な成熟よりもむしろ権力と富を持つ階級が自らの地位を世襲・維持するための装置になっており、それが社会的な選別や分断を深刻化させています。教育格差の拡大は、学費の高騰と結びついており、経済力のある者だけが良質な教育機会を得られる現状を生んでいます。これにより、民主主義の柱である能力主義や平等の理念が揺らぎ、ポピュリズムの台頭も招かれていると論じられています。
また、家族構造や地政学的な要素も織り交ぜながら、世界各地で起きている教育を軸とした社会分断の本質を解明しており、日本社会における教育格差の課題も具体的に取り上げています。トッドの予測力も評価され、彼の過去のソ連崩壊やトランプ大統領誕生などの的中を踏まえ、本書の指摘は今後の社会の行方を考えるうえで必読とされています。
要点は次の通りです。
- 教育は社会的階級の再生産と格差拡大の主要因となっている
- 高等教育はエリート支配階級の権力世襲の機能を持つ
- 教育格差は学費の高騰や経済的背景に根ざす
- その結果、民主主義の質が低下し、分断・対立が深まっている
- 家族構造や地政学的視点からも分断の本質を分析
- 日本を含む先進国の教育と社会の課題を示す
このように、トッドは教育を通じて形成される現代の階級社会とそれに伴う社会的断絶を鋭く批判し、未来の民主主義の危機に警鐘を鳴らしています。

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