2025年10月15日 トランプ氏 米国産大豆輸入減の中国に報復示唆 中国は貿易摩擦見据え輸入先を多角化
このニュースは、米中間の貿易関係に再び緊張が高まっていることを示す内容です。以下に要点をまとめます。
アメリカのトランプ大統領は、中国が意図的に米国産の大豆輸入を停止しているとして「経済的に敵対的な行為」と非難し、報復措置の可能性を示唆しました。具体的には、中国からの食用油などの輸入停止を検討していると述べています。
一方、中国国営テレビは、5月以降アメリカからの大豆購入を停止していると報じ、米国の農家が苦境に立たされている現状を伝えました。同テレビのSNSでは、アメリカからの船便が減少し、7月以降はゼロになった港もあると指摘。その代替としてブラジルやアルゼンチンなど南米からの輸入が急増し、主に食用油や飼料用として利用される大豆の供給源を多角化する動きを強調しています。
中国側の目的は、米中貿易摩擦の長期化を見据え、特定国依存を減らして安定供給体制を確保することにあります。これに対し米国では、農業地域の支持層への打撃が懸念され、トランプ大統領の強硬姿勢が再び表面化した形です。
中国の食料自給率 2020年には約75%まで急落
中国の食料自給率は、主要な食用穀物である小麦やコメについてはほぼ100%の自給を目指しており、基本的に完全自給を掲げています。しかし、全体の食料自給率は近年低下傾向にあります。具体的には、カロリーベースで見ると2010年には約89%であった自給率が、2020年には約75%まで急落しています。これは過去数年にわたり輸入が増加したことが影響しています。特に大豆の自給率は大きく低下し、1996年以降、輸入国に転じています。中国政府は将来的に食料自給率を約88%に引き上げる目標を掲げ、耕地面積の拡大や生産効率の向上を目指した対策を進めています。
つまり、小麦やコメは自給体制を重視しつつも、全体的には輸入に依存する傾向が続いており、食料安全保障のために国内生産の維持と輸入のバランスを取る戦略をとっています。
アメリカの食料自給率は130%
アメリカの食料自給率はカロリーベースで約130%とされており、これは先進国の中でも高い水準です。たとえば、日本の食料自給率は約37~39%と比較するとかなり高く、アメリカは食料供給において国内生産が消費を上回っている状態です。ただし、品目によっては違いがあり、たとえば油脂類の自給率は低く、約21%とされています。
アメリカはなぜ輸出するほど大量の大豆を生産するのか
アメリカが大量の大豆を生産し輸出できる理由は以下の通りです。
- 広大な農地と効率的な土地利用により、低コストで大量生産が可能であること。特に中西部の穀倉地帯を中心に約30州で生産されている。
- トウモロコシと大豆の輪作による土壌改良効果と持続可能な農業が進んでおり、環境負荷を抑えつつ効率的に生産している。
- 遺伝子組換え技術などの品種改良が進み、病害虫に強く除草剤耐性を持つ大豆を作ることで生産量の増加と安定化が図られている。
- 充実した輸送インフラにより品質劣化リスクを抑えながら世界中に輸出できること。
- 大豆は高タンパク・高脂肪で畜産飼料や油脂原料としての需要が国内外にあり、特に中国への輸出が増加している。
これらの要因が組み合わさり、アメリカは大量の大豆を効率よく生産し、輸出に結びつけているのです。
中国からの輸入、通商関係改善なければ「大部分」停止も トランプ氏が警告
トランプ米大統領は、近く予定されている中国の習近平国家主席との会談で大豆問題を話し合う意向を表明するとともに、両国の通商関係が改善されなければ、中国からの輸入の大部分を停止する可能性があると警告しました。中国は世界最大の大豆輸入国ですが、近年米国産大豆の購入が大幅に減少し、代わりにブラジルやアルゼンチン産大豆へのシフトが起きています。このため、貿易関係の改善が見られなければアメリカ側からの輸入制限措置が強化される可能性が指摘されています。
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