アピールと実態の剥離
中国の電源構成
中国の電源構成(設備容量)は、非化石電源が6割を超えており、再生可能エネルギーを中心に構造転換が進んでいます。ただし、実際の年間発電量ベースでは依然として石炭を中心とする火力発電が約6割を占め、ベースロード電源としての役割を果たしています。
中国の電源構成は、「設備容量(発電できる能力)」と「実際の発電量(実際に生み出された電力)」の2つの指標で見ると状況を整理しやすくなります。
発電設備容量の割合
発電能力を示す設備容量では、太陽光や風力の大量導入により、非化石電源が火力発電を上回って過半数を占めています。
非化石電源(合計 60%超)
- 太陽光・風力
急速に拡大し、設備能力としては最大の伸びを示しています。 - 水力
豊富な水資源を活用した大規模水力発電が定着しています。 - 原子力
沿岸部を中心に新設が進んでおり、世界有数の規模となっています。
化石燃料(火力発電)
約30%台後半~40%未満まで低下(かつては6~7割)。
年間発電量の割合
天候に左右される太陽光や風力の利用率の違いから、実際の供給電力(発電量)では依然として火力発電が主流です。
- 火力発電(約55〜60%)
主に石炭火力で、電力需給の安定化やベースロード電源として利用されています。 - 再生可能エネルギー(約30〜35%)
水力、風力、太陽光が中心です。 - 原子力発電(約4〜5%)
堅調に増加傾向にあります。
まとめ
中国政府は2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ、2060年までに実質ゼロを目指す「ダブルカーボン」目標を掲げており、今後も再エネおよび原子力の比率がさらに高まる見通しです。
発電に関して、アピールがうまいが、実態は異なる
中国は国際社会に対し「再エネ導入世界一」を強く主張していますが、裏側では依然として石炭火力発電所の新設・増設を並行して進めています。気候変動対策のアピールと、国内の電力不足防止・経済成長という実利を両立させようとする「二重の構造」が存在します。
中国の「アピール」と「実態」の間にあるギャップは、主に以下の3点に集約されます。
「設備容量」のアピールと「安定電源(石炭)」の増大
外向けには「太陽光や風力の設備能力が世界最大」であることを前面に出しています。しかし、その一方で国内では最新の石炭火力発電所の新規建設や承認を継続しています。天候に左右される再エネの欠点を補う調整弁という名目ですが、実態としては石炭依存から完全に脱却していません。
「発電能力(能力値)」と「実際の発電量(稼働率)」の差
パネルや風車を大量に設置しても、送電線の整備不足や出力変動により、すべてを発電に活かせているわけではありません。設備能力(容量)ベースでは再エネが過半数を数えても、実際の電力供給量ベースでは石炭火力が主力を担い続けています。
送電網のボトルネック(棄風・棄光問題)
内陸部(砂漠地帯など)で大量に発電したクリーンな電力を、需要の多い沿岸部の都市圏へ運ぶ超高圧送電網の整備が追いついていません。その結果、せっかく発電した再エネ電力を捨てる「棄風(風力捨て)」「棄光(太陽光捨て)」が発生しており、数字通りのクリーン化が達成されていない地域があります。
まとめ
国際的な脱炭素の主導権を握るための環境アピールを行いつつ、国内のエネルギー安全保障と経済優先のために石炭を手放さないという構造が、アピールと実態の剥離を生んでいます。
電気自動車・ソーラーパネル・ヒューマノイドロボットなど、一時が万事
中国のEV、ソーラーパネル、ヒューマノイドロボットといった先端技術産業は、政府の手厚い補助金によって世界市場へ一気に波及する勢いを見せる一方、国内での「深刻な過剰生産と価格破壊」「海外での貿易摩擦」「実用化の剥離」という共通の構造問題を抱えています。
一時が万事、これらの産業で見られる共通のパターンと実態は以下の3点に集約されます。
国家主導の集中投資と「内輪揉め(内巻)」
政府の重点支援策が発表されると、国内企業や自治体が集中的に参入します。その結果、急激な供給過剰(オーバーキャパシティ)が発生し、国内での熾烈な価格破壊合戦(中国で「内巻」と呼ばれる泥沼の競争)を引き起こします。ソーラーパネル業界では、世界シェアの8割を握りながらも過剰供給による価格暴落で大手メーカーが軒並み巨額の赤字に転落する現象が発生しています。
国内で売れ残った過剰在庫の海外流出
国内市場で消費しきれなくなった製品は、低価格を武器に大量に輸出されます。これに対し、欧米諸国は自国産業を守るために反補助金関税や輸入規制などの貿易防衛策を相次いで打ち出しており、摩擦が激化しています。EV分野でも、EUが中国製BEVに追加関税を課すなど対立が表面化しました。
デモ映像のアピールと量産・実用の壁
ヒューマノイドロボットなどの最先端分野では、洗練されたプロモーション動画で技術力をアピールする一方、工場や家庭での本格的な実用化や採算性の確保にはまだ距離があります。先端的な試作品の発表速度は非常に早いものの、安全性や耐久性、コストに見合った実用性が伴っていないケースが見受けられます。
まとめ
ハイテク分野での圧倒的な生産量とスピード感という強みを持つ反面、計画的な需給コントロールができず、過剰生産から価格崩壊と貿易摩擦へ至るというサイクルを繰り返しているのが実態です。

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