体育会系の営業は「実態の乏しい取引」「人間関係依存の循環構造によって見かけの成果や関係を維持しようとする」

  • 組織内の不正や不適切な金銭受領といったトラブルは、近年に始まったものではなく過去から潜在的に存在していた
  • 以前は内輪での隠蔽や和解による処理が優先され、外に表面化しにくかった
  • コンプライアンスの厳格化やガバナンスの強化に伴い、隠し通すことが困難になり公表される事例が増加した

プルデンシャル生命、自粛以降に不適切金銭受領-担当営業社員は死亡

  • 多摩支社の40代男性営業社員が架空の高金利預金などを語り不適切に金銭を受領していた疑いが判明
  • 新規契約の販売自粛を開始した2月9日以降にも発生していた可能性がある
  • 当該社員はすでに死亡しているため同社が情報提供を呼びかけている

プルデンシャル生命保険は、多摩支社に所属していた40代の男性営業社員が、複数の顧客に対して架空の高金利預金といった虚偽の説明を行い、不適切に金銭を受領していた疑いがあると公表しました。

同社は過去の金銭不祥事を受けて2月9日より新規契約の販売自粛を行っていますが、今回の事案は自粛期間に入った後にも発生していた可能性があるとされています。該当する営業社員がすでに死亡していることから事実確認に制約が生じるため、同社は事案を公表して全容解明に向けた情報提供を広く呼びかけています。

 

 

プルデンシャル生命保険の営業姿勢の傾向

  • フルコミッション(完全歩合制)を基本とする成果主義と個人の強い自由裁量権が特徴
  • 縁故や紹介をたどる密着型の営業手法により、顧客との深い信頼関係を築くスタイルをとる
  • 業績による高い見返りと背中合わせの強いプレッシャー構造が、時に不祥事のリスク要因となる

プルデンシャル生命保険の営業姿勢および手法には、以下のような際立った傾向が存在します。

完全歩合制(フルコミッション)重視の報酬体系

入社初期の一定期間を除き、固定給に頼らない成果連動型の給与体系を採用しています。高い成果を上げれば報酬は青天井となる一方、契約が取れなければ収入が極端に低下する実力主義の仕組みです。

紹介営業(リファーラル)主体の手法

飛び込みや会社から割り振られた名簿への電話連絡ではなく、知人・友人の縁故や既契約者からの紹介をたどって見込み客を開拓します。オーダーメイド型の提案を行うことで、個人のライフプランに深く踏み込むスタイルが特徴です。

高い自由裁量と直行直帰型のスタイル

営業社員(ライフプランナー)には一任された行動管理のもとで広範な自由度が与えられています。オフィスでの管理よりも個人の自律的な活動が優先される環境です。

高業績者の評価・称賛文化と高圧力

社内では優れた業績を上げた社員を大きく称賛する表彰制度や文化が存在します。一方で、継続して成果を出し続けなければならないという心理的・経済的プレッシャーが常に働く構造になっています。

密接な顧客関係が生む構造的リスク

営業担当者と顧客の間で極めて強い個人的信頼関係が構築されるため、顧客側が提案を疑問なく受け入れやすい環境が生じます。この密接さと会社側の牽制機能の隙間が、不適切な金銭管理や虚偽説明といった不正のリスクにつながる側面も指摘されています。

 

 

いわゆる「体育会系」的な資質の人が少なくない

  • 実際にスポーツ経験者や「体育会系」的な資質を持つ社員の割合は高い
  • 徹底した目標達成志向、過酷な状況への耐性、先輩後輩の縦のつながりが重視される風土が背景にある
  • 一方で、根性論だけでなく理詰めのロジカルな営業手法や自己管理能力も強く求められる

プルデンシャル生命の営業組織(ライフプランナー)において、いわゆる「体育会系」的な資質やバックグラウンドを持つ人材が多く集まる傾向は明確に存在します。

スポーツ経験者の積極採用

学生時代や前職で競技スポーツに打ち込んできた人材(野球、ラグビー、サッカー、陸上など)を積極的にスカウト・採用する風土があります。

目標達成に向けた強い執着心と耐性

フルコミッション(完全歩合制)の厳しい環境下では、断られることが前提の営業活動を繰り返す必要があるため、ストレス耐性や挫折からの回復力、泥臭い行動力が不可欠となります。

縦のつながりと師弟関係のような指導風土

営業所長(マネージャー)と採用されたライフプランナーの間には、強い指導・育成関係(時にはメンターシップや徒弟関係に近いもの)が築かれます。組織の一体感や気合・情熱を重視する文化が醸成されやすい土壌があります。

行動量と論理性を併せ持つスタイル

単なる「気合と根性」だけではなく、行動量を数値管理し、合理的にPDCAを回すロジカルさも重視されます。結果として「体力やメンタルの強さをベースに、論理的かつストイックに行動できる人」が残りやすい仕組みになっています。

 

 

「先輩後輩の縦のつながりが重視される風土」は言い換えれば人脈を利用したしがらみの営業

  • 縁故・紹介営業が人間関係の利害や断りにくさに依存する構造になるリスクはある
  • 成果主義やノルマ維持の焦りが、無理な契約推進や実態のない契約(架空取引・自爆営業など)を誘発する側面が存在する
  • 一方で、法的な「循環取引」とは異なり、個人間のしがらみや不適切経理・架空契約のリスクとして捉えるのが実態に即している

指摘されている懸念は、完全歩合制と縁故・紹介(リファーラル)営業を組み合わせたビジネスモデルが抱える構造的な問題点を的確に捉えています。

人間関係の利害化と断りにくさ

先輩・後輩や友人・知人という個人間の信頼や上下関係を営業の起点にするため、顧客側が「付き合いを断りづらい」「関係を壊したくない」という心理的負担を感じる場面が生じやすくなります。

歪んだ契約推進のリスク

営業社員が成果や維持目標(ノルマ)に追われた場合、相手のニーズに合わない保険を人間関係の「しがらみ」を盾に推し進める事態が起こり得ます。

実態のない契約や架空取引の誘発

成績維持のために自費で契約を維持する(自爆営業)行為や、身内・知人間で契約を回すような不自然な契約形態、あるいは今回の事案に見られるような架空の高金利取引といった不適切な資金集めへ傾斜するリスクを孕んでいます。

概念上の整理(「循環取引」との違い)

企業間で売上を架空に膨らませる法的な「循環取引」とは形式が異なりますが、「実態の乏しい取引や人間関係依存の循環構造によって見かけの成果や関係を維持しようとする点」において、質的に類似した歪みが生じるという見方は非常に合理的です。

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