イギリス大手書店で2024年の「今年の一冊」に選ばれた柚木麻子の小説「BUTTER」

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女性嫌悪や社会の性差別、体形への偏見といった社会問題

木嶋佳苗はただの殺人犯なのに。

 

 

イギリスで流行している柚木麻子の「BUTTER」

イギリスで最近流行している日本の小説には、柚木麻子さんの『BUTTER』があります。この作品は、2007年から2009年にかけて起きた首都圏連続不審死事件の犯人である木嶋佳苗死刑囚をモデルにしたフィクションです。英訳版が2024年に刊行されて以降、イギリスで40万部以上の売り上げを記録し、英大手書店で2024年の「今年の一冊」に選ばれるなど大きな話題となっています。

『BUTTER』は単なるサスペンス小説ではなく、女性嫌悪や社会の性差別、体形への偏見といった社会問題を織り込みながら、主人公の女性記者が被告人と接することで影響を受け成長していく物語です。特に食を通じた描写が細かく評価されており、フェミニズム的な視点で高く評価される一方で、木嶋死刑囚本人からはフィクションとしての差異を指摘する声も出ています。

この作品の海外での人気は、日本の女性作家による社会問題を描いた作品群の一環として注目されており、イギリスでは女性作家の小説がトレンドとなっています。『BUTTER』は文学賞も受賞しており、日本の社会問題を深く掘り下げた独特の作品として、世界的な共感を得ています。

 

 

婚活殺人犯(The Konkatsu Killer)

日本の詐欺師および連続殺人犯です。1974年生まれで、2007年から2009年にかけて、婚活サイトなどを利用し結婚相手を装って男性複数人を騙し、3人の男性に対しては毒を使った殺害で有罪判決を受けています。彼女は被害男性から数千万円単位の金銭を騙し取っており、殺人はしばしば自殺に見せかけて巧妙に隠蔽されていました。

事件発覚は2009年8月、41歳の男性がレンタカーの車内で炭素中毒死(レンタン使用)で発見されたことから始まりました。その不審な死因や状況を警察が調査し、木嶋が逮捕されるに至りました。捜査の過程で、被害者の男性たちの多くの資産が彼女の口座に移され、彼女が複数の男性と交際しながら彼らを経済的に騙し、殺害していたことが明らかになりました。

彼女の主な被害者は70歳の深山定男、53歳の寺田隆夫、80歳の安藤謙三、41歳の及出良之などであり、共通して炭素中毒による殺害が疑われました。安藤の自宅火災は殺人を隠すために放火されたとされ、寺田のケースは最初自殺とされていましたが詳しい調査と銀行取引記録の解析により殺人が認定されました。

裁判は2012年にさいたま地裁で始まり、100日間の裁判の末、無罪を主張する木嶋に対し死刑判決が下されました。彼女は日本で初めて裁判員制度の下で死刑が確定した女性被告です。上告審でも死刑判決が維持され、2017年に最高裁で判決が確定しました。現在は東京拘置所で死刑囚として収監されています。

木嶋佳苗の事件は婚活サイト利用の裏側にある社会問題や欺瞞、そして女性犯罪者として異例の重い刑に処された事例として日本国内外で大きな注目を集めています。

 

 

BUTTER
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複数の男性を殺害した容疑で拘留されている梶井真奈子(通称カジマナ)と、彼女に取材を重ねる週刊誌記者の町田里佳を中心に展開する物語です。里佳は、社会の「女性はこうあるべき」という固定観念に息苦しさを感じる30代女性で、カジマナの底知れぬ自己肯定感に強く惹かれ、独占インタビューを狙います。

物語は実際の連続婚活殺人事件をモチーフにしており、単なる犯罪ミステリーにとどまらず、「女性は美しい」「若い」「痩せている」「家庭的」といった社会的な偏見や固定観念を鋭く問いかけます。食をテーマにした描写も豊富で、物語の中に登場する料理の描写が五感に訴えかける魅力の一つです。

また、里佳がカジマナの言葉に従い「BUTTER」を味わうことで内面や外見が変わっていき、彼女の真実や運命を追う過程も描かれています。作品は日本のみならず海外でも高い評価を受けており、多くの国で翻訳出版されています。

 

 

 

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