2025年11月02日 米国で「ブルーカラービリオネア」現象 AI発展で潤う肉体労働者
この記事は、米国でAI技術の発展により「ブルーカラービリオネア」と呼ばれる現象が起きていると伝えています。これは、従来の高学歴ホワイトカラー職の収入が圧迫される一方で、配管工や空調整備士などの技能を要する肉体労働者がAI導入による効率化や新ビジネスチャンスにより高収入かつ資産を築くケースが増えている現象です。
具体例として、配管工の収入が医者より高くなったり、音響装置修理技師が高級車に乗るなど、ブルーカラー労働者の社会的地位や所得水準が向上しています。これは高額な学費を払った大学卒業者が職を見つけるのに苦戦する中、技術職は人手不足で引っ張りだこになっている背景があるためです。
政策面でも、職業訓練校への入学者増加、減税や奨学金拡充などの支援措置が広がっていて、このブルーカラービリオネア現象は単なる一過性ではなく、米国の労働市場や社会構造において知識労働中心の常識が変わりつつある兆しとされています。
まとめると、AIの普及は米国でホワイトカラーを圧迫しつつ、スキルのある肉体労働者を潤わせる新たな経済トレンドを生んでおり、「ブルーカラービリオネア」として注目されています。
2025年10月31日 需要急増中のブルーカラーの仕事、高収入の職種10選 米国
米国で需要が急増している高収入のブルーカラー職のトップ10は、大学の学位を必ずしも必要とせず、高校卒業程度かそれに相当する学歴で従事できる仕事で、年収の中央値が米国平均を上回っています。これらの職種は建設業、エネルギー産業、製造業、運輸業などが多く、特に2024〜2034年に需要の増加が予測されています。
主な特徴は、ブルーカラー職の給与がホワイトカラー職と同等か、場合によりそれを上回ることが多く、トップ10%の給与は10万ドル(約1500万円)以上の高収入になることも珍しくありません。職種にはエレベーター・エスカレーター技術者、専門的な製造技術者、電気・配管工、重機オペレーターなどが含まれ、これらの仕事は技術や実地訓練でスキルを習得し、見習い期間を経て専門性を高める必要があります。
この傾向は米労働統計局の予測によるもので、2020〜2030年の新規雇用の約60%が大学学位を必要としない職種になる見込みで、ブルーカラーの職種は特に需要が強く、2032年までに約170万人分の雇用創出が期待されています。これにより、従来の「高学歴=高収入」という常識が変わりつつあり、専門スキルのある肉体労働者が「ニューカラーワーカー」として注目されています。
収入の多いブルーカラー職のトップ10
- エレベーターの技術者・・・上位10%の給料は14万9250ドル(約2300万円)、年収の中央値は10万6580ドル(約1640万円)、時給の中央値は51.24ドル(約7900円)。求人数2万4200、推定求人増加率5%。高卒以上または同等の資格を要する。
- エスカレーターの技術者・・・上位10%の給料は12万6610ドル(約1950万円)、年収の中央値は9万2560ドル(約1420万円)、時給の中央値は44.50ドル(約6800円)。求人数12万7400、推定求人成長率7%。高卒以上または同等の資格を要する。
- 航空機電子機器の整備士・技術者・・・上位10%の給料は12万80ドル(約1850万円)、年収の中央値は7万9140ドル(約1220万円)、時給の中央値は38.05ドル(約5800円)。求人数16万800、推定求人増加率5%。高校卒業後の専門コース(米連邦航空局のプログラム)の修了証が必要。
- 鉄道員・・・上位10%の給料は10万130ドル(約1540万円)、年収の中央値は7万5680ドル(約1160万円)、時給の中央値は36.38ドル(約5600円)。求人数7万7900、推定求人成長率1%。高卒以上または同等の資格を要する。
- 定置機関技師・ボイラーオペレーター・・・上位10%の給料は12万1200ドル(約1860万円)、年収の中央値は7万5190ドル(約1150万円)、時給の中央値は36.15ドル(約5570円)。求人数3万3300、推定求人増加率2%。高卒以上または同等の資格を要する。
- 産業機械整備士・・・上位10%の給料は8万5970ドル(約1320万円)、年収の中央値は6万3510ドル(約970万円)、時給の中央値は30.53ドル(約4700円)。求人数53万8300、推定求人増加率13%。高卒以上で見習い期間が必要。
- 配管工、パイプ作業員、蒸気管作業員・・・上位10%の給料は10万5150ドル(約1620万円)、年収の中央値は6万2970ドル(約970万円)、時給の中央値は30.27ドル(約4660円)。求人数50万4500、推定求人増加率4%。高卒以上または同等の資格を要する。
- 風力タービン技術者・・・上位10%の給料は8万8090ドル(約1350万円)、年収の中央値は6万2580ドル(約960万円)、時給の中央値は30.09ドル(約4630円)。求人数1万3600、推定求人成長率50%。高卒以上。
- 電気技師・・・上位10%の給料は10万6030ドル(約1630万円)、年収の中央値は6万2350ドル(約960万円)、時給の中央値は29.98ドル(約4600円)。求人数81万8700、推定求人増加率9%。高卒以上または同等の資格を要する。
- 太陽光発電(PV)設置者・・・上位10%の給料は8万150ドル(約1230万円)、年収の中央値は5万1860ドル(約790万円)、時給の中央値は24.93ドル(約3840円)。求人数2万8600、推定求人成長率42%。高卒以上または同等の資格を要する。
2023年08月08日 メモ – 高卒が大卒の所得を上回る——文系大卒のレッドオーシャン化
高卒が大卒を上回る現象の考察
- 近年、日本で「高卒のほうが雇用市場で人気」「文系大卒の所得が伸びない」といった現象が取り上げられている。これは日本特有ではなく、アメリカでも同様の傾向がすでに見られている。根底には大学教育の費用対効果(ROI)の低下と、産業構造の変化がある。
A. アメリカにおける高卒の地位上昇
- アメリカでは2010年代後半から、WSJなどが「高卒で稼げる職業」の増加を報じている。特に建設業や一部のテクノロジー系職種で、ホワイトカラーより高収入を得る事例が出てきている。
- 大学卒の方が平均的には有利であるものの、学士号に対する社会的評価は低下。
- 背景には
- 大学学費の急騰(30年間でインフレ調整後でも約5倍)
- 学位の投資収益率(ROI)低下
- 「入るだけ損な大学」の存在
- などが指摘されており、学歴よりスキルや職能を重視する志向が強まっている。
B. 「稼げる高卒」は職種が限定的
- 「高卒で稼げる」職は、主に建設業やSTEM関連の現場職など、いわゆる「男の職場」に集中している。大学進学率が高い女性は文系(特に人文・教育・福祉など)に偏り、これらが求人過多となってレッドオーシャン化。
- 一方、女性が進出しない建設・技術業界では労働供給が少なく、需要超過によって賃金が上昇している。
- また、建設や港湾などの業種は高度な機械運用や理系知識を要する「肉体+理系頭脳労働」化が進行。単純労働ではなく、技能と知的応用力の両方が評価される職種へ変化している。
- こうした傾向の結果、文系大卒より理系的素養を持つ高卒者の所得が高いという逆転現象が一部で発生している。
C. 日本における大学ROI研究
- 日本でも「大学の投資収益率(ROI)」を評価する研究が進んでいる。時系列データによると、
- 男子は2000年代に大学ROIが改善傾向
- 女子は2010年代にROIが低下傾向
- 特に女性の場合、大学進学が「結婚市場での交際・結婚機会向上」と関連する「花嫁修行的要素」を含む研究結果もある。伝統的には短大卒が資格職中心で収益性が高かった。
- 古い研究では「有名大学ほどROIが高い」「社会科学系が最も収益性が高く、理系は分散が小さいが中程度」とされていたが、近年は理系・技術系の相対的地位上昇が顕著であり、状況は変化している。
要するに、
- 「高卒が大卒の所得を上回る」現象は、
- 学費高騰とROI低下で文系大卒の価値が下がっていること、
- 性別による職業選択の偏り、
- 技能・理系的知識を要する高卒職の地位上昇、
といった複合要因による構造的変化だといえる。
2025年10月25日 AI席巻の米国、ブルーカラーを選ぶ若者たち 電気料金2倍が現実に
アメリカでは人工知能(AI)が知的労働を担うことで、大卒の就職難が深刻化しています。そのためホワイトカラー職を避け、自動化されにくいブルーカラー職を選ぶ若者が増えている状況です。また、AI関連のデータセンターが大量の電力を消費しており、特にデータセンターが多い地域で電気料金が急速に上昇し、家庭の電気料金は約2倍、月に1万円の増加が現実になっています。
AIの導入は経済全体に高成長をもたらしていますが、雇用機会の偏りや電力コストの増大といった社会的課題をもたらしていることが見えてきました。これが若年層の職業選択に影響を与え、ブルーカラー職へのシフトを加速させています。
まとめると、アメリカのAI社会では
- 大卒の知的労働の職が減り、就職難が悪化
- 自動化されにくいブルーカラー職に若者の関心が向かう
- AI活用に伴うデータセンターの電力消費増大で電気料金が倍増
という現実が進んでいます。

コメント