殺虫剤の影響で魚類の餌となる動物プランクトンや水生昆虫が減少したことが原因
ネオニコチノイド系殺虫剤の使用開始と全国的な魚の減少には関連性が指摘されているものの、主に直接的な毒性による魚の減少ではなく、水中の生態系の食物連鎖破壊を通じて間接的に影響した可能性が高いとされています。
特に島根県の宍道湖では1993年からネオニコチノイド系殺虫剤の使用が始まった頃からウナギやワカサギの漁獲量が激減しており、これら魚類の餌となる動物プランクトンや水生昆虫が殺虫剤の影響で減少したことが排他的な原因と考えられています。魚そのものに対する直接の毒性は報告されていませんが、餌資源の激減によって二次的に魚の量が大幅に減少しているという研究結果が出ています。また、農薬は水に流れ込み環境中に移行するため、水生生物全体の生態系に影響を及ぼすとされます。
これらの調査結果は主に宍道湖を中心とした地域でのデータですが、日本全国の水田地帯等でネオニコチノイド系殺虫剤が広く使用されていることを考慮すると、同様のメカニズムで魚の減少が起きている可能性は否定できません。しかし、全国的に魚類減少と直接結びつけるにはまだ慎重な検証・調査が必要とされています。
まとめると、
- ネオニコチノイド系殺虫剤は魚自体を直接殺す毒性は低いが
- 魚の餌となる動物プランクトンや水生昆虫を減少させることで食物連鎖が崩れ
- 結果的に魚類の大量減少を引き起こす可能性が高い
- 宍道湖のケースが典型的な例であり、全国的な現象の可能性はあるが明確な因果関係は追加調査が必要
以上のことが科学的研究や報告から示されています。
日本でネオニコチノイド系殺虫剤は売られている?
日本では2025年現在、ネオニコチノイド系殺虫剤は7種類(アセタミプリド、チアクロプリド、イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ニテンピラム、ジノテフラン)が登録され、農作物(米、果樹、野菜など)やシロアリ駆除、家庭用殺虫剤に広く使用されています。日本の規制は欧米と比べて緩く、使用量が多いことが特徴です。むしろ規制緩和も行われており、一部は海外で禁止されている成分が日本ではまだ使われています。2021年以降、再評価が進められているものの、現時点でも市場に流通し販売されています。また、国内のほぼ全ての河川でネオニコチノイド系農薬が検出されていることも報告されています。つまり、日本でのネオニコチノイド系殺虫剤の販売・使用は依然として盛んです。
山室真澄氏の学術的評価は高い
山室真澄氏は東京大学の教授で、水環境や湖沼生態系についての研究に優れた実績を持つ研究者です。特に宍道湖の水質浄化に関するシジミ研究で世界的な先駆者として評価されています。科学者として誠実に事実を伝えることをモットーとしており、環境問題に関しては科学的根拠に基づいた見解を示すスタンスが特徴です。女性研究者として男性中心の研究環境の中で独自の領域を切り開いてきた点も評価されています。一方で、一部では科学者としての発言に対して異論や批判的な意見も見られますが、総じて専門性と誠実さから信頼されている人物とされています。
また、SNS上では琵琶湖の魚類ホンモロコの復活活動など、環境保全に関わる発言も行っており、専門分野以外でも情報発信を行っています.
以上から、山室真澄氏は学術的評価は高く、科学的根拠と誠実さを重視する専門家としての評判が確立していますが、一部対立する見解を持つ人々からの批判も存在すると言えます。
