中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしている。だからインフルエンザが生まれる

「家きん全滅」「若者急死」 中国で何が!?

家きん(鶏・アヒル・ガチョウ)全滅の報告

  • 2025年6月現在、中国本土のSNSや現地報道では、各地で鳥インフルエンザが急速に拡大し、家きんの大量死が相次いでいるとの情報が拡散しています。
  • 養鶏・養鴨業者によると、感染拡大のスピードが非常に速く、発症後3日以内に約8割の家きんが死亡するケースもあり、畜産業に深刻な被害が出ています。
  • 2025年初頭から10数軒の養殖場で1万羽以上のアヒルが死ぬなど、被害額は数百万円から数千万円規模と見られています。
  • 養殖業者からは「ひなの大半が死亡」「隣の養殖場から感染した」など、現場の危機感が伝えられています。

ヒトへの感染例・若者の急死

  • 鳥インフルエンザのヒト感染については、公式発表はごくわずかで、2024年12月に広西チワン族自治区で23歳女性の重症例(H10N3型)が確認されたのみです。これは世界的にも4例目とされています。
  • SNS上では「実際の感染者は公表より多いのではないか」「当局が情報を隠しているのでは」との疑念が広がっています。
  • 一部地域では仮設隔離病棟の増設情報も流れていますが、政府からの公式コメントは出ていません。
  • 医療現場では、30~50代の突然死や、若者に「無気力」「記憶力低下」「目が虚ろになる」といった症状が広がっているとの指摘もあり、新型コロナの後遺症や再感染、ワクチン副反応の可能性も示唆されています。

感染症の多重流行と社会的影響

  • 鳥インフルエンザに加え、デング熱や新型コロナウイルス、季節性インフルエンザ、ノロウイルスなど複数の感染症が同時流行しており、多くの医療機関が混雑しています。
  • 2025年5月の新型コロナ新規感染者は44万人超、インフルエンザ様症状患者のうち新型コロナ陽性率は22.8%に達しました。
  • 地方政府は感染拡大防止策として、健康観察や家きん・野生動物との接触回避を呼びかけ、重大動物感染症を想定した緊急演習も各地で実施しています。

専門家・当局の対応

  • 現時点で中国政府は鳥インフルエンザのヒト感染について詳細な情報開示をしておらず、実態把握が難しい状況です。
  • 鳥インフルエンザは高病原性の場合、発症した農場の家きんは全て殺処分されるのが一般的であり、ウイルスは野鳥から家きんに広がることが多いです。
  • ワクチンの接種や家きんの衛生管理が重要とされていますが、今回の流行ではワクチンによる防御が追いついていない可能性も指摘されています。

まとめ

  • 中国では鳥インフルエンザによる家きんの大量死がSNSや現地報道で相次いでいますが、ヒトへの感染例は公式にはごくわずかしか発表されていません。
  • SNSや現場医師からは、急死例や若者の体調不良など、情報統制下で実態がつかみにくいとの声も出ています。
  • 鳥インフルエンザを含む複数の感染症が同時流行しており、今後さらなる感染拡大や医療逼迫が懸念されています。

インフルエンザの香港型とソ連型の違い

**インフルエンザA型ウイルス**は、抗原性の違いによっていくつかの「型(サブタイプ)」に分けられます。中でも「香港型」と「ソ連型」は、過去に大きな流行を引き起こした代表的なA型インフルエンザです。

香港型(A/H3N2型)

  • 初出・流行・・・1968年に香港で発見され、世界的なパンデミック(香港インフルエンザ)を引き起こしました。
  • 特徴・・・ウイルスの亜型は「A/H3N2」と呼ばれます。症状は他のインフルエンザA型と同様ですが、特に高齢者で重症化しやすい傾向があります。
  • 現在の状況・・・現在も季節性インフルエンザとして流行を繰り返しています。

ソ連型(A/H1N1型)

  • 初出・流行・・・1977年にソ連(現ロシア)で再登場し、世界的に流行しました(ソ連インフルエンザ)。
  • 特徴・・・ウイルスの亜型は「A/H1N1」と呼ばれます。1918年のスペインインフルエンザの子孫ウイルスが復活したものと考えられています。
  • 現在の状況・・・2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1pdm2009)の流行以降、従来の「Aソ連型(H1N1)」は世界的にほぼ検出されなくなりました。

ワクチンとの関係

  • 季節性インフルエンザワクチンには、A型(香港型・ソ連型)およびB型の抗原が含まれてきました。
  • 現在はA型(H3N2:香港型)とA型(H1N1pdm2009)、B型(ビクトリア系統)の抗原が主に使われています。

まとめ

  • **香港型(A/H3N2)**は1968年に発生し、現在も流行しているA型インフルエンザ。
  • **ソ連型(A/H1N1)**は1977年に復活した型で、2009年の新型インフルエンザ登場後はほぼ消失。
  • どちらもかつては大流行を引き起こし、ワクチンの主要な成分として扱われてきました。

中国農村部で新型ウイルスが生まれる理由は豚

鳥インフルエンザは豚に感染します。一方、人間のインフルエンザウイルスも豚に感染します。そして豚のインフルエンザも人間に感染することがあります。そうすると結果的に豚の体内で鳥のインフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスが一緒になりまったく新しいタイプのウイルスが次々に生まれるわけです。これをウイルスの交雑といいます。ウイルスは生き物の細胞の中に入り込んで、自分のコピーを大量につくります。大量のため、ひっきりなしにコピーミスが起きる。つまり突然変異を繰り返すわけです。多くはそのまま生きていくことができませんから消えてなくなりますがたまに生き延びることができるタイプのウイルスもある。交雑によってできたウイルスがまさにそれにあたります。鳥のインフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスさらに豚のインフルエンザウイルスが豚の中で一緒になりそのウイルス同士がゴチャゴチャになることによって新しいインフルエンザウイルスが次々に生まれる。その多くはそのまま生き延びることができませんが稀に生き延びたものが人間に感染する。あるいは鳥に感染するということになるのです。

中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしている

ここでようやく先ほどの問題への答えが出せます。なぜ、中国の南部農村地帯で新しいインフルエンザウイルスが次から次へと生まれるのか。それは中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしているからです。まず人間と豚が一緒に暮らしていますから人間のインフルエンザウイルスが豚の中に人りやすい。豚は放し飼いになっているので、近くに小川や池があると、そこに水を飲みに行く。その小川や池には渡り鳥もやってきて、フンをする。そこで渡り鳥の持っているウイルスも豚の体内に入る。こうして豚の体内で合体します。このよっな環境では新型インフルエンザのウイルスが生まれやすいのです。新型ウイルスによって、スペイン風邪のような惨事が起きるかもしれない。こんな警告が今さかんに発せられているわけです。

日本人の健康保険制度は充実している

当時、この豚インフルエンザの思者数が世界中で一番多かった国はどこだと思いますか?WHO(世界保健機関〕は世界中からデータを集めて、国別の患者数を出しました。それによると日本の患者数が一番多かった。なぜでしょうか。メキシコやアメリカではちょっと高熱が出たぐらいでは、病院に行かないわけです。日本人はどうでしょう。熱が出たらすぐお医者さんに行ってタミフルを投与してもらいます。日本の健康保険制度はいろいろ問題はあるものの世界的に見ればとても整備されています。原則として医療費は三割負担高齢者は一割負担です。熱が出たらすぐお医者さんにかかることができる。お医者さんにかかると患者として認定されますから結果的に新型インフルエンザの患者数は、日本が世界で一番になりました。でもこれは、日本人がインフルエンザにかかりやすいということではなくてそれだけ健康保険制度が充実していることを示しているのです。

おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?
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