中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしている。だからインフルエンザが生まれる

Swine Flu

豚インフル

中国農村部で新型ウイルスが生まれる理由は豚

鳥インフルエンザは豚に感染します。一方、人間のインフルエンザウイルスも豚に感染します。そして豚のインフルエンザも人間に感染することがあります。そうすると結果的に豚の体内で鳥のインフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスが一緒になりまったく新しいタイプのウイルスが次々に生まれるわけです。これをウイルスの交雑といいます。ウイルスは生き物の細胞の中に入り込んで、自分のコピーを大量につくります。大量のため、ひっきりなしにコピーミスが起きる。つまり突然変異を繰り返すわけです。多くはそのまま生きていくことができませんから消えてなくなりますがたまに生き延びることができるタイプのウイルスもある。交雑によってできたウイルスがまさにそれにあたります。鳥のインフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスさらに豚のインフルエンザウイルスが豚の中で一緒になりそのウイルス同士がゴチャゴチャになることによって新しいインフルエンザウイルスが次々に生まれる。その多くはそのまま生き延びることができませんが稀に生き延びたものが人間に感染する。あるいは鳥に感染するということになるのです。

中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしている

ここでようやく先ほどの問題への答えが出せます。なぜ、中国の南部農村地帯で新しいインフルエンザウイルスが次から次へと生まれるのか。それは中国の農村地帯では、人間と豚が同じ屋根の下で暮らしているからです。まず人間と豚が一緒に暮らしていますから人間のインフルエンザウイルスが豚の中に人りやすい。豚は放し飼いになっているので、近くに小川や池があると、そこに水を飲みに行く。その小川や池には渡り鳥もやってきて、フンをする。そこで渡り鳥の持っているウイルスも豚の体内に入る。こうして豚の体内で合体します。このよっな環境では新型インフルエンザのウイルスが生まれやすいのです。新型ウイルスによって、スペイン風邪のような惨事が起きるかもしれない。こんな警告が今さかんに発せられているわけです。

日本人の健康保険制度は充実している

当時、この豚インフルエンザの思者数が世界中で一番多かった国はどこだと思いますか?WHO(世界保健機関〕は世界中からデータを集めて、国別の患者数を出しました。それによると日本の患者数が一番多かった。なぜでしょうか。メキシコやアメリカではちょっと高熱が出たぐらいでは、病院に行かないわけです。日本人はどうでしょう。熱が出たらすぐお医者さんに行ってタミフルを投与してもらいます。日本の健康保険制度はいろいろ問題はあるものの世界的に見ればとても整備されています。原則として医療費は三割負担高齢者は一割負担です。熱が出たらすぐお医者さんにかかることができる。お医者さんにかかると患者として認定されますから結果的に新型インフルエンザの患者数は、日本が世界で一番になりました。でもこれは、日本人がインフルエンザにかかりやすいということではなくてそれだけ健康保険制度が充実していることを示しているのです。

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