斎藤元彦や泉房穂が支持されるのは、兵庫県が腐っているから?
斎藤元彦氏や泉房穂氏が支持される理由について、「兵庫県が腐っているから」という単純な説明は正確ではありません。ただし、兵庫県政や県庁の組織に対する不信感や改革への期待が、両氏への支持の背景にあることは確かです。
斎藤元彦氏は、パワハラ疑惑や不信任決議など多くの逆風がありながらも、再選を果たしました。その理由には、SNSなどで彼の実績や「腐敗した県政の刷新」を訴える声が広がり、県民の間で「現状維持ではダメだ」という思いが強まったことが挙げられます。例えば、わずか70万円のプール修理費も出せなかった一方で、1000億円超の県庁舎建て替えを進めようとする旧体制への批判が支持の原動力となりました。
泉房穂氏も、兵庫県庁の組織体質や官僚主導の県政の問題点を繰り返し指摘してきました。泉氏自身、「兵庫県は1962年から62年間、官僚が行政を仕切っており、チェック機能が働かず、相当腐り切っている組織」と述べています。前例主義やお上主義、横並び主義が根強く、時代に即した方針転換ができないことが、県政全体の課題として浮き彫りになったとしています。
つまり、斎藤氏や泉氏が支持される背景には、「兵庫県政の閉塞感」や「組織の硬直化」への不満、そして変革への期待が大きく影響しています。ただし、これは「兵庫県が腐っているから」というよりも、県政や組織の課題に対する県民の危機感や改革志向が反映された結果といえるでしょう。
兵庫の維新議員、離党相次ぐ 斎藤知事や泉房穂氏支持の会派へ
日本維新の会に所属する地方議員の間で、脱党や除名が相次いでいます。2024年11月の兵庫県知事選をめぐり、3月には兵庫県議3人が現職の斎藤元彦知事を支持する地域政党を設立し、神戸市議2人も合流しました。明石市議会でも前市長を支持する会に参加した議員がいます。尼崎市議会では2022年から脱党が続き、6月8日告示の市議選では候補者数が前回より減少しました。
兵庫維新では、斎藤知事の再選を目指す動きや、党の方針転換への不満から議員の離脱が相次いでいます。神戸市議会では維新の議員が15人から12人に減り、公明党と同数となりました。明石市議会でも、党のガバナンス不足や国政選挙への対応力の弱さを理由に離党・除名が発生しています。
尼崎市議会では過去の不祥事や党内対立もあり、今回の市議選の維新候補者は7人と、これまでで最も少なくなりました。維新の地方組織は分裂や縮小傾向が続いています。
斎藤元彦・兵庫県知事の長所と短所
長所
- 行政のプロとしての経験と実行力・・・斎藤知事は総務省出身で大阪府への出向経験もあり、行政のプロと評される。公約に掲げた公用車の見直し(センチュリー解約)を即実行するなど、スピード感のある対応や現場主義が評価されている。
- 若い世代らしい発想と柔軟性・・・ペーパーレス化による保健所業務の効率化など、若手らしいアイデアを積極的に取り入れ、実行に移している。
- 大阪府との連携強化・・・兵庫・大阪連携会議を開催し、関西圏の発展に向けた協力体制を築くなど、広域連携にも積極的に取り組んでいる。
- 「鋼のメンタル」とされる精神的な強さ・・・パワハラ疑惑や不信任決議など逆風の中でも、県政を進めたいという信念を貫き、再選を果たすなど、強い精神力があると評されている。
- SNSを活用した情報発信力・・・逆風下でもSNSで支持を集め、ネット上の声を味方につけて選挙を勝ち抜いた。
短所
- 公約や政策の稚拙さ・実現力への疑問・・・重症病床の倍増やワクチン接種体制など、選挙時に掲げた公約が短期間で頓挫した例もあり、実現性や練り込みの甘さが指摘されている。
- 「聞く力」や対話姿勢への疑問・・・批判的な県民をSNSでブロックしたり、県内市町長とのコミュニケーションが希薄とされ、県民や首長を「敵・味方」に分ける姿勢が問題視されている。
- パワハラ疑惑・職員との軋轢・・・幹部職員からの内部告発でパワハラ疑惑が浮上し、県職員アンケートでも約4割がパワハラを見聞きしたと回答。議会で不信任決議が全会一致で可決されるなど、組織内の信頼関係に大きな課題を抱えている。
- 自己愛の強さや独善性・・・「鋼のメンタル」とも評される一方で、自己愛が強く、決断過程での葛藤や独善的な側面が指摘されている。
- 疑惑への対応や説明責任・・・パワハラや金銭授受など複数の疑惑に対して「事実無根」と一貫して否定する姿勢が、説明責任や透明性の観点から批判されている。
斎藤元彦知事は、行政手腕や実行力、精神的な強さといった長所がある一方、パワハラ疑惑や対話不足、独善的な姿勢など、組織運営や説明責任の面で大きな課題を抱えていると言える。
社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ(明石市長・泉房穂)
- 泉氏は兵庫県明石市長として、子育て支援や社会福祉政策の充実を推進し、全国的にも注目を集めた実績を持っています。
本書の主な内容
- 日本の政治に対して「どうせ変わらない」と諦めている人々に向けて、実際に地方自治体レベルで社会を変えてきた具体的な取り組みや、その過程で直面した課題、突破口となった考え方を紹介しています。
- 泉氏は「現場主義」と「徹底した住民目線」を重視し、行政の仕組みや予算の使い方を根本から見直すことで、子ども医療費の無料化や給食費の無償化など、明石市独自の政策を実現しました。
- 本書では、こうした改革が「誰にでもできる」ことを強調し、政治や社会を変えるために必要な視点や行動のヒントを具体的に提示しています。
読者へのメッセージ
- 泉氏は「政治をあきらめないこと」「一人ひとりの声と行動が社会を動かす力になる」ことを繰り返し訴えています。特に、中央集権的な日本の行政構造の中でも、地方自治体のリーダーシップと住民の連帯によって現実を変えられるという実例を通じて、読者に希望と具体的なアクションを促しています。
- あなたが日本の政治や財務省、兵庫県知事に関心を持っていることからも、泉房穂氏の実践的な改革やその哲学は非常に参考になる内容です。
泉房穂の長所と短所
泉房穂の長所
- 強い信念と実行力・・・明石市長時代、「子どもを応援しない日本に未来はない」という信念のもと、子育て支援や福祉政策を中心に「日本初」の施策を次々と実現し、「明石モデル」として全国的に注目された。市民のために「やさしいまちづくり」を現実のものとし、人口増や税収増といった成果も具体的に示すことで、政策の正当性を証明した。
- 市民目線の政治姿勢・・・「庶民的な立場からの本音トーク」で政界に直言し、行政の「上から目線」を批判。市民一人ひとりの暮らしやすさを最優先に考える姿勢を貫いた。
- 困難に立ち向かう精神力・・・貧困や障害を持つ弟への差別など、個人的な逆境を乗り越えた経験が原動力となり、社会の理不尽さに対して強い問題意識と行動力を持つ。
- 改革志向と挑戦心・・・前例主義や横並び主義を打破し、思い切った改革を実行する「挑戦者」としての側面が強い。
泉房穂の短所
- 強硬なリーダーシップと対立・・・改革を推し進める過程で「全員が敵」の状態になることも多く、反対勢力との軋轢が絶えなかった。2019年には職員への暴言で一度辞職するなど、強い言動が時にトラブルを招くこともあった。
- 柔軟性の限界・・・自身でも「0から1を創る」「1を壊す」ことは得意だが、「1を1で続ける」こと、つまり安定的な運営や継続的なマネジメントは苦手と認めている。原体験や信念にこだわるあまり、客観的な距離感や柔軟な対応が難しくなることがある。
- 評価されにくい初動・・・財政黒字化や人口増などの成果が出ても、目に見える形で市民に実感されるまでに時間がかかり、当初は評価されにくかった。
泉房穂は、強い信念と実行力、そして市民目線の政治を貫く一方で、強硬な姿勢や柔軟性の不足が短所として指摘されています。