習近平の意向を過度に読み取り、官僚が非合理的な対応を繰り返す中国

2025年12月03日 「中国の対応はロジカル 抵抗する国力は日本にない」内田樹

以下は、内田樹氏による2025年12月3日付「AERA」巻頭エッセイ「中国の対応はロジカル 抵抗する国力は日本にない」の要約です。

内田氏は、高市早苗首相の「存立危機事態」発言をめぐる中国の反応について、段階的で一貫した「ロジカルな」対応だと指摘している。中国は最初に言葉で批判し、次に観光や留学、輸入、文化交流などの制裁カードを順に切っており、これは感情的報復ではなく合理的な制裁プロセスだと見る。

一方で日本国内では「中国に屈するな」といった声が上がっているが、内田氏は、日本がその「兵糧攻め」に耐えうる国力をすでに失っていると批判する。特に、日本産業がレアアースなど重要鉱物を中国に依存している現状では、制裁が強化されれば自動車・電子機器産業にも深刻な影響が出ると警告している。

また、内田氏は日本を「米国に軍事的に従属し、中国に経済的に依存する弱国」と位置づけ、高市首相が不用意な発言によってその「存立危機」を自ら招いたと厳しく非難。発言の撤回と謝罪、さらには首相辞任を求めている。

要約すると、内田氏は「中国の対応は筋が通っており、日本は現実的な国力の低下を直視すべきだ」と論じ、政府の勇ましい姿勢よりも冷静な判断と責任の所在を問うている内容となっている。

 

 

中国の官僚たちは、習近平から更迭されないよう「内向きの論理」で日本を批判している

中国官僚が習近平国家主席の更迭を避けるため「内向きの論理」で日本を批判しているという見方は、中国の政治システムの特徴を反映した指摘として一部で議論されている。​

中国では「主席にならえ」という忠誠心が官僚の最優先事項であり、習近平の「闘争指示」に忖度して対日批判をエスカレートさせる傾向が強い。高市首相の台湾有事関連発言に対し、官僚らは保身や出世を優先し、感情論ではなく戦略的に報復措置を段階的に展開していると分析される。​

このような内向き行動は、習政権下で官僚が上層部の意向を過度に読み取り、非合理的な対応を繰り返す事例として指摘されており、日中関係悪化の長期化を招く要因となっている。