中国の工業ロボット 最先端分野やコア部品の自給力・技術開発力は外資系に依存

中国

 

中国の工業ロボット分野の問題と弱点

技術力・コア部品の限界

  • 6軸以上の多関節ロボットや高精度用途の技術では、外資系ブランドに依存している部分が大きいです。
  • 減速機・サーボシステム・コントローラーなどの重要部品分野では、依然として日本や欧米メーカーからの輸入に頼る傾向が根強いです。
  • 金属・機械分野以外では国産比率が低く、特に自動車や電子分野では外資メーカーの技術優位が続いています。

サプライチェーンと原材料

  • 組み立てや大量生産面では強みがある一方、基幹技術や高度部品の自給体制はいまだ不十分です。

産業構造の制約

  • コモディティ化した大量生産品ではコスト優位性があるものの、先端技術への投資やイノベーション分野では競合に遅れが見られる傾向があります。

国内人材・イノベーション

  • 技術系人材は豊富ですが、革新的な基盤技術(AI統合やヒューマノイド型など)では日欧米に追いつくべく開発競争が続いています。

今後の課題

  • 中国政府は国産化・高性能化を政策的に推進していますが、特定分野での技術格差解消とイノベーション力向上が重要課題となっています。

主な弱点は、最先端分野やコア部品の自給・技術開発力で外資系に遅れを取っている点です。今後の政策や投資によって、このギャップをどこまで埋められるかが焦点となっています。

 

 

2025年10月01日 スピード感が桁違い。世界の工業ロボの半分は中国が導入している

  • 記事によると、国際ロボット連盟(IFR)のデータで世界の工業ロボット台数は466万4000台あり、そのうち約200万台以上が中国に導入されています。2024年だけで30万台を追加導入し、世界全体の導入の54%を占める圧倒的な規模です。

中国の導入状況

  • 世界シェアの約半分を占める(200万台超)
  • 2024年に30万台導入(前年比+7%)
  • 導入ペースは2028年まで年平均約10%成長と予測
  • 成長分野:食品業、ゴム・プラスチック、繊維業界
  • 世界生産シェアは約3分の1で、米独日韓英を合わせても及ばない

他国との比較

  • アメリカ:3万4000台(中国の約1/10)
  • 導入成長率は米9%、独5%、韓3%、日4%いずれも減少基調

背景と人材

  • 中国は「世界の工場」として最大の生産拠点を持つ
  • 優秀なプログラマーや電子技師など豊富な技術人材がロボ産業を支えている
  • ヒューマノイドロボットの開発はやや遅れ気味で、部品調達やサプライチェーンの制約あり

中国は工業ロボットの導入で「桁違い」のスピードを見せており、今後も世界工業生産をリードする基盤を固めつつあります。

 

 

デリダ 脱構築と正義
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  • 現代思想を代表するデリダの「脱構築」概念と「正義」の思想について詳細に解説した書籍です。本書の中心は、「脱構築」=単なる否定や破壊ではなく、「他者の肯定」と「応答責任」を哲学・倫理・政治・宗教の文脈で読み解く点にあります。

脱構築と「正義」概念

  • デリダが批判するのは、西洋哲学を特徴づけてきた二項対立(例:自己/他者、真/偽、善/悪など)やロゴス中心主義です。こうした枠組みが想定外の「他者」を排除する欲望を孕む点に、「脱構築」の発動条件があります。脱構築とは隠された他者や抑圧された声をすくい上げ、彼らの呼びかけに応答する「肯定」の思想です。
  • デリダによれば、法(droit)は常に創設の原暴力を含み、一般的・形式的で抽象的です。これに対して、「正義」は決して現前しないまま、特殊で固有な「他者」との応答・関係に基づく、とされます。正義は脱構築できない絶対的なものとして設定され、ゆえに「脱構築不可能なものの肯定=正義の肯定」と言えます。

レヴィナスとの違い

  • レヴィナスの「正義」もまた他者への応答から出発していますが、デリダは法と正義をより明確に断絶し、正義を「他者そのもの」との関係として徹底します。また、人間だけでなくあらゆる「他なるもの」(人間以外の生物等)への責任・応答可能性も問題にします。

書籍の特徴と読後感

  • 本書では、プラトンのテクスト読解や聖書におけるイサク奉献なども取り上げつつ、デリダが生み出した散種、差延といった重要概念も分かりやすく説明されています。自己完結的な法制度や倫理観の限界を示しつつ、「決定不可能なもの」に向き合う姿勢の重要性が強調されています。

デリダの文章や思想はやや難解ですが、他者の痕跡や責任倫理をどう考えるか、現代的な課題意識に繋がる部分も多いです。

法の正当化や道徳判断の根本的な揺らぎを問い直したい人には、専門的な入門書としておすすめできます。