1970年代の米国株は名目横ばい、実質価値は3分の1に減少

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2025年08月30日 グレアム氏: インフレヘッジで株式を買うのは間違い

グレアム氏の主張(『賢明なる投資家』1973年序文より)

  • 1970年代のインフレが始まった頃、ウォール街では「インフレには株式が有効なヘッジだ」と広く信じられていた。
  • しかしグレアムはこの考えを真っ向から否定した。

理由は以下の通り。

  • インフレと株価が同時に上がった歴史的事例は存在しない。
  • 実際、1965年以降の物価上昇期には、株価も企業利益も下落していた。
  • 高インフレ期には債券や預金の高金利収入の方が購買力低下を補う効果がある。

投資家の誤解への皮肉

  • デフレの時期には株式が嫌われたが、その時こそ株価は長期的に上昇していた。
  • 一方、インフレで金利が高くなるときには「株式が良い」と人々は言うが、歴史的にそんな局面は株価が伸び悩んでいる。
  • 投資家の典型的な失敗は「昨日やるべきことを今日やる」ことだ、と強調している。

1970年代の現実

  • グレアムの予想どおり、1970年代の米国株は低迷した。
  • 一方で、債券や預金者は高金利収入によりインフレの影響をある程度相殺できた。

グレアムの結論

  • インフレ期に株式を安易に「インフレヘッジ」として買うのは誤り。
  • バリュー投資とは「常に株を買う」ことではなく、その時代の経済・市場環境を踏まえて割安な投資先を選ぶことにある。
  • 投資で利益を得る唯一の方法は「市場と経済の先行きを見極めること」である。

まとめると、グレアムは「インフレだから株を買え」という単純な発想を切り捨て、「むしろ債券や預金の方が合理的」と述べ、歴史的事実を根拠にインフレ対策と株式投資の相性の悪さを指摘しています。

 

 

グレアム氏: 株価がインフレで長期的に低迷する理由

『賢明なる投資家』から分かる、ベンジャミン・グレアム氏が「インフレ下では株価が長期的に低迷する」と考えた理由を整理します。

1. インフレそのものよりも「高金利」が問題

  • インフレが進むと、中央銀行は金利を引き上げる。
  • 結果として 安全な国債の利回りが株式配当を大きく上回る状況 が生じる。
  • 投資家から見ればリスクの高い株式より、確実に利息が得られる債券や預金が有利になるため、株式に資金が流れにくくなる。

例:

  • 1949年(初版時)
    国債利回り 2.66% < 株式配当利回り 6.82% →株の方が魅力的
  • 1972年(インフレ期)
    国債利回り 7.19% > 株式配当利回り 2.76% →債券の方が魅力的

2. 株価は「実質リターン」で見れば目減りする

  • 名目株価が横ばいでも、インフレで物価が3倍になれば、実質的に株の価値は3分の1になる。
  • 1970年代の米国株は15年間ほぼ横ばいで推移。
  • しかしその間、現金預金や短期債は高金利が得られたため、株よりはるかに良いリターンをもたらした。

3. 債券や預金が株より圧倒的に有利になる

  • 高金利環境では、長期債は金利上昇に伴う価格下落リスクを持つ。
  • だが短期債や預金なら、リスク少なく高い利息収入を得続けられる。
  • そのため株式は「成長資産」でありながら、長期的には不利になる状況が生まれる。

4. グレアムの結論

  • 保守的投資家には「株と債券を半々」という従来アドバイスを修正。
  • 「今のように債券の利回りが株を圧倒している状況では、株式なしのポートフォリオも検討すべき」と異例の警告。
  • これは「株式投資の本なのに株を推奨しない」という逆説的な結論だったが、後に歴史が正しいと証明。

まとめ

  • グレアム氏が株価の長期低迷を予見したポイントは次の通りです。
  • インフレは金利上昇を招く
  • 国債利回りが株の配当を上回ると、株の投資魅力が失われる
  • インフレで実質株価が目減りする
  • 高金利下では短期債や預金の方が有利になる

その結果、1970年代の米国株は名目横ばい、実質価値は3分の1に減少し、グレアムの警告は現実となりました。

 

 

気づけない毒親
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一見まじめで一生懸命な親でも、子どもにとっては「毒」になってしまう場合があることをテーマにしています。親子間の理解を深めるために、個人だけでなく社会的な視点からも問題を考察し、新しい親子関係の築き方を提案しています。著者はカウンセラー経験も豊富で、具体例を交えながら、「毒親チェックシート」も掲載し、親子関係の修復法を紹介しています。

内容は、高齢な毒親が増え、子どもが大人になり親子関係がこじれてしまったケースや、「仲良し親子」「友だち親子」と呼ばれる関係が実は呪縛になることもあるという指摘があります。また、子育て世代の娘が母親との関係に疑問を持ち、介護問題にまで影響を与える例も挙げられています。

著者の高橋リエは、自身の経験も踏まえつつ心理療法を学び、カウンセラーとして多くの女性の問題に取り組んでいます。書籍は子育てや親子関係に悩む人に向け、今からでも遅くない関係の改善法を示しています。