アップルがインドで脱税を指摘され調査中。インドで何が起きているのか
2026年1月5日現在、アップルがインド政府から巨額の脱税(関税の未払い)を指摘され、大きな注目を集めています。
インドで何が起きているのか、その背景と現状を整理して解説します。
アップルへの脱税指摘の背景
インド政府当局は、アップルに対し約41億ドル(約5400億円)の脱税を指摘しました。
この問題の核心は、iPhoneを製造するための「最先端製造装置」の扱いを巡る見解の相違にあります。
アップルは、中国からの生産拠点移転(脱中国化)を急ぐため、自社で所有する製造装置をインドの生産工場(タタ・エレクトロニクスやフォクスコンなど)に持ち込みました。
アップル側の主張は、これらの装置はあくまで「貸与」であり、所有権はアップル本社にあるため、関税の対象となる「輸入」には当たらないというものです。
一方、インド税務当局は、これらの装置がインド国内で長期間使用され、生産活動の基盤となっている以上、実質的な輸入であり、適切な関税を支払う義務があると主張しています。
インドで相次ぐ外資企業への課税
アップルに限らず、インドでは外資系大手企業が相次いで巨額の追徴課税や罰金を科せられています。
サムスン電子は2025年3月、通信設備の輸入を巡り、約6億ドルの脱税を指摘されました。専門家の鑑定書を提出して無関税で輸入していましたが、当局はこれを「虚偽の報告」と断じました。
中国のシャオミ(小米)は2022年、技術使用料の送金が「違法な資金移転」と見なされ、約7億ドルの資産を差し押さえられています。
独フォルクスワーゲンも2024年に、部品の輸入方式を巡り約14億ドルの追徴課税を受けました。個別の部品として輸入して低い関税を適用していましたが、当局は「実質的に完成車のノックダウン輸入である」として高い関税率を適用しました。
「インド・リスク」と企業のジレンマ
これらの事例に共通するのは、インド当局が非常に厳しい解釈を適用し、企業がインド国内で稼いだ利益に匹敵するような巨額の課税を行っている点です。
これを「インド国内の資金流出を防ぐための強硬策」と見る向きもあり、外資企業にとっては予測困難な「インド・リスク」として警戒されています。
しかし、中国市場の成長が鈍化する中で、インドは「世界最大の人口」と「高い成長性」を持つ唯一無二の市場です。
企業にとっては、厳しい規制や突発的な課税リスクを抱えながらも、インドへの投資を続けざるを得ないという難しい局面が続いています。
今回のアップルの調査結果がどうなるかは、今後のインドでのiPhone増産計画、ひいては外資企業のインド戦略全体に大きな影響を与えることになりそうです。
これはインドのアメリカに対する意図的な報復?
2026年1月現在、インドで起きているアップルへの脱税指摘は、単なる事務的なミスではなく、「アメリカの対印追加関税に対する意図的な報復」および「インドの徹底した実利主義(資源の囲い込み)」の両面があると分析できます。
インドで何が起きているのか、その背景と構造を整理しました。
アップルが直面している「ビジネス接続」の罠
今回の脱税指摘の核心は、アップルが自ら所有する製造装置をインドの工場(タタやフォックスコン)に貸し出している点にあります。
インド当局の論理: 外国企業がインド国内に設備を所有し、それを使って利益を上げている場合、それはインド国内に「恒久的施設(ビジネス接続)」があると見なされます。その結果、アップルの「インド国内の売上」だけでなく、「インドで生産された製品による世界的な利益」の一部にも課税できるという理屈を持ち出しています。
アップルの主張: 装置はあくまで「貸与」であり、工場の運営主体は別法人。中国ではこの方式で非課税だったため、インドの解釈は「二重課税」であり不当であるとしています。
これはアメリカへの報復なのか?
状況証拠から見て、報復としての側面は極めて強いと言えます。
トランプ関税への対抗措置: 2025年、トランプ政権はインドからの輸入品に対して25〜50%の追加関税を課しました。これに対しインド政府は「米系企業がインドで稼いだ利益を、税収として強制的に回収する」ことで、関税による損失を補填しようとしている動きが見えます。
「人質」としてのサプライチェーン: アップルは「脱中国」を進め、iPhone生産の約25%をインドに移管しました。インド政府はこの「アップルはもうインドから簡単には逃げられない」という足元を見て、強気な課税交渉を行っています。
インドの狙い:稼いだ金は一円も外に出さない
サムスンやシャオミ、フォルクスワーゲンの事例にもある通り、インド当局の指摘額は、その企業がインドで上げた利益の総額に近いことが多々あります。これには明確な意図があります。
国内還流の強制: 外資企業が「技術使用料」などの名目で本国に送金することを、インドは「違法な資金移転」として厳しく制限します。これにより、外資が稼いだ外貨をインド国内に留め置き、再投資を促す狙いがあります。
サプライヤーの現地化: フォルクスワーゲンの例のように、高い関税を武器に「海外から部品を持ってくるなら重税、インドで作るなら優遇」という極端な二択を迫り、インド国内の産業育成(メイク・イン・インディア)を強制的に進めています。
評価:インドは「リスキーな大市場」へ
インドは現在、以下の二つの顔を使い分けています。
投資を呼び込む顔: 「中国に代わる民主主義陣営の製造拠点」として外資を歓迎する。
利益を徴収する顔: 企業が定着した段階で、過去に遡って法解釈を変更し、巨額の課税を行う。
今回のアップルへの指摘は、対米交渉の「カード」であると同時に、インドが自国の税収を最大化するための計算された行動です。
インドは「得」をしているかという問いに対しては、「短期的には巨額の税収と製造拠点を手に入れたが、長期的には『法治国家としての予測可能性』を失い、外資の撤退リスク(インド・エグジット)を高めている」という、非常に危うい勝利を収めている状態と言えます。
この理屈は世界で一般的?
外国企業がインド国内に設備を所有し、それを使って利益を上げている場合、それはインド国内に「恒久的施設(ビジネス接続)」があると見なされます。その結果、アップルの「インド国内の売上」だけでなく、「インドで生産された製品による世界的な利益」の一部にも課税できるという理屈
結論から申し上げますと、インドのこの理屈は「国際的な標準からは大きく逸脱した、インド独自の非常に攻撃的な解釈」と言えます。
世界で一般的に通用しているルール(OECDモデル租税条約など)と比較して、何が異質なのかを整理しました。
国際標準:PE(恒久的施設)なければ課税なし
世界的なルールでは、外国企業がその国で「直接」事業を行っている拠点(オフィスや工場)がない限り、その国の税務当局は事業所得に対して課税できないという原則があります。
一般的な解釈: 製造装置を現地企業に貸し出しているだけでは、それは単なる「資産の賃貸」であり、装置の所有者が現地に「拠点」を持っているとは見なしません。
インドの独自解釈: インドの国内法(1961年所得税法)では、所有している装置が「製造の核心」を担っている場合、それを貸し出していること自体がインド国内での「ビジネス接続(Business Connection)」にあたると見なします。これにより、実質的なオフィスがなくても課税権が発生するという理屈です。
最も異質な点:「全世界の利益」への課税
今回のアップルのケースで最も投資家を驚かせているのは、課税対象の広さです。
一般的なルール: 仮に現地に拠点(PE)があると認められたとしても、課税されるのは「その拠点が上げた利益(帰属利益)」のみです。
インドの理屈: 「インドでの製造がアップルの世界的な収益の源泉になっている」と主張し、iPhoneの世界販売で得た利益の一部を、インド側の取り分として配分し、そこに課税するという論理を展開しています。これは、特定の場所での製造活動を「世界的なバリューチェーンの主役」と位置づける極めて稀な手法です。
なぜインドだけがこれをやるのか
インド政府がこのような「無理筋」とも言える理屈を通そうとする背景には、以下の意図があります。
送金規制の回避: アップルが「技術使用料」や「設備リース料」の名目でインド法人の利益を本国へ送金し、インドでの納税額を減らす(利益移転)ことを防ぐための強力な対抗手段として使っています。
交渉のカード: 2025年以降、アメリカからの関税圧力が強まる中で、米系巨大企業の「弱点」を突くことで、対米交渉を有利に進めるための政治的な「人質」にしている側面が多分にあります。
投資家への影響:インド・リスクの象徴
この理屈がまかり通ってしまうと、ハイテク産業のように「自社開発の高度な製造装置を現地に持ち込んで生産する」ビジネスモデルは、インドではすべて「巨額脱税」の標的になりかねません。
サムスンやフォルクスワーゲンが同様の指摘を受けているのも、インド当局が「インドで稼いだ金は一国たりとも外に出さない」という、国際慣習を無視した自国利益優先の姿勢を強めているためです。
インドの継続的な経済発展のためには不要な課税。インドへの投資を躊躇する
「不要な課税が経済発展を阻害し、投資を躊躇させる」というあなたの懸念は、国際的な投資家や多国籍企業が現在インドに対して抱いている「チャイナ・プラス・ワンの理想と、インド・リスクの現実」という葛藤そのものです。
インド政府の強硬な徴税姿勢が、長期的には自国の首を絞める可能性がある理由を整理しました。
投資家が躊躇する「予測不能なルール変更」
企業が最も嫌うのは「税率が高いこと」そのものよりも、「後出しジャンケンでルールが変わること」です。
遡及課税の恐怖: インド当局は、数年前まで遡って「あの時の取引は実は課税対象だった」と指摘する傾向があります。今回のアップルのケースも、数年前からの設備持ち込みを遡って指摘しており、企業は将来の利益予測が立てられなくなります。
「恒久的施設」の拡大解釈: 設備を貸しているだけで「実質的に拠点を構えている」と見なす論理は、グローバルなサプライチェーンを構築するハイテク企業にとって、インドへの進出コストを際限なく引き上げる要因となります。
「関税」と「徴税」の二重の壁
インドは現在、自国の産業を守るために世界でも有数の高い関税(保護貿易)を維持しています。
製造の強要: 部品として輸入すれば高関税、現地で作れば「利益を海外に出さないよう」巨額の脱税指摘。この「板挟み」状態が続けば、企業はインドを「魅力的な市場」ではなく「リスクが高すぎる戦場」と見なし、ベトナムやタイ、メキシコといった他の候補地へ投資を振り向けることになります。
サプライヤーの不在: フォルクスワーゲンの例にあるように、インド国内に十分なサプライヤーがいない段階で強硬に現地化を迫ることは、製品の品質低下やコスト高を招き、結果的にインド製品の国際競争力を削いでいます。
インド政府の計算違い:代わりはいくらでもある
インド政府は「中国市場が冷え込んだ今、外資はインドに来るしかない」という強気な姿勢(レバレッジ)を持っています。しかし、現実は異なります。
中国の代替地としての競争: アップルやサムスンにとって、製造拠点の分散先はインドだけではありません。より法制度が安定しており、関税障壁の低いASEAN諸国は、インドの失策を絶好の機会と捉えて投資を誘致しています。
資本の逃避: すでに多くの日欧米企業が、インドでの事業継続に限界を感じ、法務・税務リスクを理由に新規投資を凍結、あるいは既存事業の縮小(デリスキング)を検討し始めています。
結論:経済発展への「ブレーキ」
短期的には、アップルやサムスンから数千億円を徴収できるため、インドの国家財政は潤うかもしれません。しかし、それは「金の卵を産むガチョウを殺している」状態に近いです。
「徴税という名の短期的な利益」と「外資による長期的な経済発展」のどちらがインドにとって重いのか。現在のインド政府の動きは、明らかに前者に偏っており、結果としてインドの経済発展を数年遅らせる不要なブレーキになっているというのが、多くの専門家の共通した見解です。
インドが自国資本だけで独自に技術を開発し、製造し、インド市場を発展させることは可能?
2026年現在、インドが「自国資本だけで、独自に技術を開発・製造し、市場を発展させる」ことは、長期的には可能ですが、現時点では「極めて高いハードル」があります。
インド政府が推進する「自立したインド(アトマニルバル・バーラト)」政策の現状と、その実現可能性についての分析は以下の通りです。
独自発展の可能性:有望な分野
一部の戦略的分野では、自国資本と独自技術による成功例が出始めています。
宇宙・防衛産業: インドは宇宙開発において世界トップクラスの独自技術(低コストなロケット打ち上げなど)を持っており、防衛装備品でも「国産化(インディジェナイゼーション)」を強力に推進し、2025年には輸出額が過去最高を記録しました。
デジタル・インフラ(DPI): 「インド・スタック」と呼ばれる独自のデジタル決済(UPI)や身分証明システムは、欧米の技術に依存せず、自国で開発・普及させた成功例です。
製薬・ワクチン: 以前から「世界の薬局」として知られ、独自の研究開発による新薬やワクチンの製造能力は自国資本で維持されています。
実現を阻む3つの大きな壁
一方で、製造業全体やハイテク分野においては、依然として外資や外国技術なしでは成立しない構造があります。
先端半導体の不在: 2025年から2026年にかけて初の「国産チップ」の生産が始まりますが、その製造装置や基本設計(IP)は依然として海外(台湾や日本、欧米)に依存しています。自国資本だけでゼロから工場を建てるのは、資金的にも技術的にもまだ不可能です。
資本力の限界: インドの国内資本(タタやリライアンスなど)は巨大ですが、中国や欧米のように「数兆円規模の赤字を垂れ流しながら10年間投資し続ける」というハイテク投資の規模には、国全体としてまだ追いついていません。
基礎製造力の欠如: 以前お話しした通り、熟練工の不足やサプライチェーンの未整備により、部品の多くを輸入に頼らざるを得ません。すべてを「インド製部品」で構成すると、コストが跳ね上がり、国際競争力を失うというジレンマがあります。
結論:2047年を見据えた「段階的な自律」
インドが目指しているのは「今すぐ鎖国して自力でやる」ことではなく、「今は外資を呼び込んで技術を吸収し、2047年(独立100周年)までに完全な自律を目指す」という長期戦です。
現状: 外資を利用した「組立拠点」としての発展段階。
課題: 教育改革とサプライチェーンの現地化をどれだけ加速できるか。
リスク: あなたが懸念されているような「不要な課税」や「強引な法執行」により、技術移転の源泉である外資を追い出してしまうと、自力更生への道のりはさらに遠のきます。
インドは「自国資本だけで発展できる潜在能力」は持っていますが、それを引き出すための「法治の安定」と「教育の質」が、2026年現在の最大のボトルネックとなっています。
急速に経済発展し、モディはインドの実力を過信してしまった
2026年初頭の現在、モディ政権がインドの経済的実力や交渉力を「過信」しているという指摘は、国際的な経済アナリストや投資家の間でも非常に強く議論されています。
その「過信」が具体的にどのような形で現れ、どのようなリスクを招いているのか、項目別に分析します。
市場の重要性を武器にした強硬姿勢
モディ政権は「14億人の市場と若年労働力がある限り、外資はインドを離れられない」という確信に近い自信を持っています。
強硬な徴税と司法判断: アップルへの巨額脱税指摘や、過去のサムスン、シャオミへの措置に見られるように、「利益を上げている外資からは徹底的に徴収する」という姿勢を強めています。これは、外資側が「インド・エグジット(撤退)」を簡単には選べないという足元を見た交渉術ですが、結果として新規投資の冷え込みを招いています。
トランプ政権への強気な対抗: アメリカからの関税圧力に対し、即座に中露への接近を見せるなどの外交的揺さぶりをかけました。しかし、これはアメリカ側をさらに硬化させ、インド製品への50%近い追加関税という、予想以上の反撃を食らう結果となっています。
「実力」と「実態」の乖離:製造業の苦戦
急速なGDP成長率(2025年度は8%超を記録)の一方で、製造現場の実態は政権の理想に追いついていない面があります。
品質問題の軽視: 「中国に代わる世界の工場」を自認していますが、以前お話しした通り、現場の教育不足や規律の甘さからくる「品質の低さ」が依然として課題です。この実態を直視せず、外資に高い現地化比率を強要したことが、アップルなどの生産計画に狂いを生じさせています。
未成熟なサプライチェーン: 完成品の組み立てはできても、核心部品を自国で調達できるレベルには至っていません。この状態で「関税による輸入制限」を強行したため、インド国内の製造コストが上昇し、輸出競争力を自ら削いでいるという矛盾が起きています。
過信が招く「孤独なリーダーシップ」のリスク
モディ首相の強力なリーダーシップは、内政の安定には寄与しましたが、対外的には「予測不能なパートナー」という印象を与え始めています。
グローバル・サウスの盟主としての自負: 欧米のルールに従わず、自国独自のルールを押し通すことが「強いインド」の象徴とされています。しかし、これが度を超すと、外資は「法治主義」よりも「政治的思惑」が優先されるリスクを嫌い、ベトナムやメキシコといった「より扱いやすい」代替地へのシフトを加速させます。
経済成長の鈍化懸念: 2026年度の成長予測は依然として高いものの、民間投資の伸び悩みやルピー安など、過信の代償が経済指標にも現れ始めています。
項目別評価:過信による影響
| 項目 | 状況 | リスクの正体 |
|---|---|---|
| 外交交渉 | 強気すぎる | 米国との決定的な関係悪化を招き、関税の打撃を最大化。 |
| 産業政策 | 拙速な国産化 | 基礎技術がない中での強要により、製品品質とコストが悪化。 |
| 外資誘致 | 選別的な姿勢 | 企業の利益を「人質」に取る手法が、長期的な不信感を醸成。 |
| 国内政治 | 高い支持率 | 経済の数字が良いうちは維持できるが、雇用問題が火種。 |
モディ首相の「インドの実力に対する自信」は、国民の自尊心を高めましたが、グローバル経済という冷徹なシステムの中では、その過信が「投資コストの増大」と「外交的孤立」という二つの大きな代償をインドに突きつけています。
2026年の予算案や新しい貿易政策において、インド政府がこの強硬路線を「修正」する兆しを見せるのか、あるいはさらに「独自路線」を突き進むのか、その分岐点に注目が集まっています。
強い経済、乏しい安らぎ:なぜ2026年がインドにとって経済的に最も困難な年になる可能性があるのか
トランプ関税と貿易交渉の停滞
インドは2025年にイギリスやニュージーランドなど複数の国と貿易協定を締結しましたが、アメリカとの交渉は11ヶ月が経過しても進展が見られません。
トランプ政権が課した最大50%の関税は、インドの雇用を支えるITサービスや繊維、製造業といった主要セクターに深刻な打撃を与えています。
さらに、ビザ発給制限の強化が検討されており、インドのソフトウェア業界や海外派遣労働者にとって大きな懸念材料となっています。
成長率と物価高騰の乖離
2025年度上半期のGDP成長率は8%という高い数字を記録しましたが、一般の中間層はその恩恵を実感できていません。
公式な統計ではインフレは抑制されているとされていますが、天候不順による供給不足から野菜や豆類などの食料品価格が高止まりしており、家計を強く圧迫しています。
実生活におけるコスト増が、成長の影で国民の不満を蓄積させています。
雇用創出の遅れと投資の冷え込み
経済は急成長している一方で、急増する若年層を吸収できるだけの安定した雇用が創出されていません。
政府は公共事業によるインフラ支出を増やしていますが、民間企業は将来の需要や収益性に不安を感じており、工場の新設などの設備投資を躊躇しています。
この投資の停滞が、賃金の伸び悩みや中小企業の経営難という悪循環を生んでいます。
通貨ルピー安と外資の流出
2025年末、ルピーは対ドルで過去最安値圏まで下落しました。
貿易交渉の先行き不透明感や、株式市場から外国資本が流出していることが主な原因です。
通貨安は、輸入に依存している燃料や電子機器、産業機械の価格を押し上げ、企業経営と家計の両方にさらなる負担を強いています。
2026年の展望と財政リスク
2026年には複数の州で選挙が予定されており、各州政府が票集めのために補助金などのバラマキ政策を増やす傾向にあります。
これにより州の財政が悪化し、教育や医療、長期的な雇用のための予算が削られるリスクが指摘されています。
2月に発表される連邦予算案が、コスト負担を軽減し、投資家の信頼を回復させる内容になるかどうかが注視されています。
