中東の勢力図(2026年1月時点)

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中東の勢力図(2026年1月時点)

中東の勢力図は、2023-2025年に起きた一連の大規模紛争により大きく変化しています。

特に2025年のイスラエル・イラン間の12日間戦争とアメリカのイラン核施設攻撃により、イランとその代理勢力(ヒズボラ、フーシ派、ハマスなど)の影響力が大幅に弱体化しました。

これにより、イスラエルが地域内で軍事的に優位な立場を確立しています。

主要国の位置づけ

  1. イスラエル
    イスラエルは現在、中東で最も強い軍事力を持ち、ガザ・レバノン・シリア方面への作戦で成果を上げています。
    ネタニヤフ政権下で西岸入植拡大を進め、シリアへの影響力も強めています。
  2. イラン
    イランは核プログラムに深刻な打撃を受け、革命防衛隊高官の多くを失いました。
    代理勢力ネットワークも崩壊寸前で、地域影響力は過去最低レベルです。
    ただし、体制内部の不安定化が進み、後継者問題が表面化しています。
  3. サウジアラビア
    サウジアラビアはイラン弱体化を好機と捉え、経済大国としての地位を強化しています。
    シリア新政権との関係改善を進め、UAEとの競争をしながらも地域安定を優先しています。
  4. トルコ
    トルコはシリア北部での影響力を維持・拡大し、新シリア政権とも良好な関係を築いています。
    東地中海や紅海方面での存在感を高めています。
  5. エジプト
    エジプトはスーダンやリビアでの影響力を維持しつつ、ガザ問題で仲介役を担っています。
    湾岸諸国との連携を強めています。

主要な対立軸と同盟関係

従来の「イラン対サウジ・イスラエル」の構図は崩れ、イラン包囲網が不要になりました。
現在はイスラエルとアラブ諸国(特にサウジ・UAE)の間で、イスラエルの覇権拡大に対する警戒感が高まっています。

アブラハム合意の勢いは失速し、サウジはイスラエルとの国交正常化を棚上げしています。
一方、サウジとUAEの間でイエメン・スーダンでの代理競争が激化しており、GCC内部の亀裂が目立っています。

今後の見通し

2026年は「イスラエル一強」状態が続く可能性が高いですが、ガザでの停戦が崩れれば再び大規模戦闘が起きるリスクがあります。

イラン体制の内部不安定化が進めば、さらに地域の不安定要因となります。

トルコ・サウジがシリアやイエメンで主導権を争う構図が強まり、アメリカの関与はトランプ政権下で取引型(deal-making)中心になると予想されます。

全体として、過去の予測可能な対立構造から、より流動的で予測困難な「取引の時代」へと移行しています。

 

 

アメリカにとっても好都合

アメリカにとっての好都合な点(2026年1月時点)

イランとその代理勢力の大幅な弱体化は、アメリカにとって中東での戦略的負担を大幅に軽減しています。

トランプ政権2期目(2025年1月発足)は「アメリカ・ファースト」を掲げ、中東への軍事関与を最小限に抑える方針を貫いていますが、イラン包囲網の崩壊により、実際にその負担が現実的に減っています。

具体的な好都合

  1. 軍事負担の軽減
    従来はイラン・ヒズボラ・フーシ派への対応で、米海軍第5艦隊(バーレーン拠点)が常時高警戒態勢を強いられていました。
    2025年のイラン核施設攻撃とイスラエルによるヒズボラ壊滅で、この負担がほぼ解消されています。
    紅海・アデン湾でのフーシ派攻撃も2025年後半から減少傾向にあり、米軍の護衛任務が大幅に縮小しました。
  2. 石油価格の安定
    イランがホルムズ海峡封鎖を脅かす能力を失ったことで、原油価格の急騰リスクが低下しています。
    2025年のイラン攻撃後、ブレント原油は一時100ドルを超えましたが、現在は70~80ドル台で安定しています。
    アメリカはシェールオイル生産国として高価格を歓迎する面もありますが、インフレ抑制のため安定価格の方が全体として有利です。
  3. イスラエルへの依存度低下
    イスラエルが単独でイラン・代理勢力を抑え込んでいるため、アメリカはイスラエルへの軍事援助を「成果が出ている」として正当化しやすくなっています。
    同時に、イスラエルへの過度な肩入れによるアラブ諸国との関係悪化リスクも低下しています。
  4. 中国・ロシアへの牽制効果
    イランが弱体化したことで、中東における中国・ロシアの影響力拡大が抑制されています。
    特に中国の「一帯一路」構想でイランが重要なハブだったため、このルートが機能不全に陥っています。
    ロシアもシリアでの影響力を維持していますが、イラン支援が難しくなった分、負担が増えています。

残る課題と限界

好都合な面が大きい一方で、完全な勝利とは言えません。

イスラエルの行動が過激化しすぎると、アラブ世論の反発を招き、アメリカの同盟国(サウジ・UAE・エジプトなど)との関係にひびが入る可能性があります。

ガザ問題が解決しない限り、パレスチナ問題は中東全体の不安定要因として残り続けます。

トランプ政権は「中東和平」を外交成果としてアピールしたい意向が強く、イスラエルに一定の自制を求め始めています。

まとめ

現時点でアメリカは、中東での軍事・経済的負担が過去20年で最も軽い状態にあります。

イラン弱体化を「トランプ外交の成果」として国内向けに宣伝しつつ、実質的な関与を減らせるという、理想的なシナリオが実現しています。

ただし、この状況が永続するかはイスラエルの行動とイラン内部の動向次第です。

 

 

2026年01月12日 ニュースワード「イエメン」

イエメンの現状(2026年1月時点)

イエメンは現在も深刻な内戦状態が続いており、2025年末から2026年初頭にかけて大きな政治・軍事的な転換は起きていません。

フーシ派(正式名称:アンサール・アッラー)は依然として首都サヌアを含む北部・西部の広範囲を支配し、実効支配地域の人口は全国の約3分の2を占めています。

国際的に承認されている政府(大統領指導評議会)はアデンを拠点としていますが、実質的な統治能力は非常に限定的です。

南部暫定評議会(STC)はアデンおよび南部地域で強い影響力を持ち、事実上の並行政権のような状態が続いています。

最近の主要な動き

フーシ派は2023年10月のイスラエル・ハマス戦争勃発以降、ガザ支援を名目として紅海・アデン湾を通る商船に対する攻撃を継続しています。

2025年を通じて米英を中心とした空爆が断続的に行われたものの、フーシ派のミサイル・ドローン攻撃能力は大きく削がれていない状況です。

2025年後半からは攻撃の頻度がやや低下した時期もありましたが、2026年に入っても散発的な船舶攻撃が報告されています。

これにより、スエズ運河経由の海上輸送量は依然として大幅に減少し、世界の海上貿易に影響を与え続けています。

人道状況

国連の最新推計(2025年末時点)では、国民の約80%(約3,300万人)が人道支援を必要としています。

世界最悪レベルの飢餓危機が続いており、5歳未満の子どもの約半数が慢性的な栄養不良状態です。

医療体制の崩壊、コレラの繰り返し流行、医薬品・食料の深刻な不足が常態化しています。

2025年の国際支援額は必要額の約40%程度しか集まっておらず、2026年も同様の資金不足が予想されています。

今後の見通し

現在のところ、包括的な和平交渉再開の目途は立っていません。

国連特使の活動は継続していますが、フーシ派とサウジアラビアの直接交渉が部分的に進んだ2023~2024年に比べ、2025年以降は停滞しています。

サウジアラビアはフーシ派との関係正常化を模索し続けていますが、フーシ派の紅海攻撃が続く限り、抜本的な関係改善は難しい状況です。

一方、イランはフーシ派への支援を維持しており、代理勢力としての役割は変わっていません。

結論として、イエメン情勢は「凍結された紛争」状態に近く、劇的な改善も悪化もせず、長期低強度紛争が続いていると言えます。

 

 

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本の核となるアイデア

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欠乏がもたらす心理効果

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その結果、「その場しのぎの選択」(高金利の借金、過密スケジュール、先送りなど)を繰り返し、ますます時間もお金も足りなくなる負の循環が生まれると論じる。

貧困や失敗をどう捉え直すか

著者たちは「貧困は能力の欠如の結果ではなく、欠乏が能力を削ってしまう結果として現れる」とし、個人の性格よりも環境要因の影響の大きさを強調する。

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「余裕(スラック)」をつくる実践アイデア

給料が入った瞬間に自動的に一定額を貯蓄や投資に回すなど、意思決定の余地を減らす仕組みで「お金の余裕」を確保する方法が紹介される。

時間についても、「予定を詰め込みすぎない」「アラームやルーチンで決め事を自動化する」「頭をよく使う仕事は朝に、単純作業は夜に回す」といった工夫を勧める。

この本が伝えたいメッセージ

著者たちは、「欠乏に陥るのは意志が弱いからではなく、欠乏そのものが人を追い詰める構造的な問題だ」とし、自分や他人を責める前に構造を理解する重要性を説く。

そのうえで、個人レベルでは「常に少しの余裕(スラック)を確保する設計」を行い、社会レベルでは欠乏の罠から抜け出しやすい制度・政策設計が必要だと主張している。

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