トランプが「ロシアへの圧力を強めるため」ゼレンスキーに働きかけた

トランプ2.0の対露『エスカレーション』戦略は形を成し始めているのか?

  • Is Trump 2.0’s ‘Escalation’ Strategy Against Russia Starting To Take Shape?

トランプ政権がウクライナをめぐる対ロシア政策において、従来の早期和平路線から一転して「エスカレーションを通じてデエスカレーション(和平)を導く(E2DE)」戦略へシフトしつつあるという見立てを提示しています。

具体的には、G7サミットでの共同声明への署名、石油制裁の再導入、ウクライナへの軍事・復興支援法案、ロシア凍結資産の武器購入への転用、ウクライナ国内での米国企業による兵器製造ライセンスの供与などをその証拠として列挙しています。これらを組み合わせることで、ロシアに消耗戦を強いて経済やエネルギーインフラに打撃を与え、最終的に支配権の掌握や政権の揺さぶりを狙っているという専門家(アンドレイ・コリブコ氏)の分析です。

コラムが主張するトランプ政権の対露新戦略(E2DE)

オルタナティブメディアなどで活動する分析家アンドレイ・コリブコ氏によるもので、トランプ政権のウクライナ紛争に対するアプローチが「 radical (急進的)な激化」の方向へ動き出していると主張しています。主な論点は以下の通りです。

  • エスカレーションによる和平(E2DE)
    トランプ政権は、ウクライナに消耗戦を継続させることでロシアに圧力をかけ、有利な条件での和平(デエスカレーション)を引き出そうとしているという見方です。
  • 経済・インフラへの二重の圧力
    G7でのロシア産石油・ガスへの制裁強化や再導入の動き、およびウクライナによるロシアのエネルギーインフラへの攻撃を容認・支援することで、ロシア経済の屋台骨を揺さぶる狙いが指摘されています。コラムでは、ロシアの天然資源会社の支配権を奪うことが最終目標であるという過激な予測も立てられています。
  • 法案と軍事支援の具体化
    米下院を通過した10億ドル以上の支援と800億ドルの融資枠、国防権限法(NDAA)に盛り込まれたインテリジェンス(情報)支援の継続、ロシア中央銀行の没収資産をウクライナの武器購入に充てる法案などが、戦略の裏付けとして挙げられています。
  • ウクライナ国内での兵器製造計画
    ゼレンスキー大統領が期待感を示しているように、米国企業がウクライナ国内で防空ミサイルなどをライセンス生産する計画が進めば、ロシアがその施設を攻撃する際のリスク(米国の直接介入への懸念など)が飛躍的に高まるとされています。

専門家としての補足と客観的背景

このコラムが書かれた背景には、実際の国際政治の動きが存在します。

エヴィアンで開催されたG7サミットにおいて、トランプ大統領がウクライナへの防空能力や長距離打撃能力の供給拡大、ロシアの不透明なエネルギー輸出(いわゆる影の船団など)に対する制裁強化を盛り込んだ共同声明に署名したのは事実です。

これは、それまで「即時和平」「支援打ち切り」を示唆していたトランプ氏の姿勢から見ると、欧州側に一定の歩み寄りを見せた形と言えます。背景には、中東のホルムズ海峡の通航再開やイランとの覚書(MOU)に関して欧州の協力を取り付ける見返りとして、ウクライナ問題で共同歩調を合わせたという外交的ディール(取引)の側面が外交筋から指摘されています。

一方で、コリブコ氏が主張する「ロシアの天然資源会社を乗っ取る」「ロシア国内で United Russia (統一ロシア)を連立政権に追い込むような暴動を起こす」といった見立ては、多分に地政学的予測や独自の悲観論(あるいはロシア側から見た脅威論)が含まれており、米政府の公式な政策目標として確認されているわけではありません。

トランプ政権の本質は柔軟なディール主義であり、今回示された「エスカレーションの構え」も、ロシアを交渉の席に着かせ、より有利な条件で手打ち(和平合意)を行うための「レバレッジ(交渉の札)」の強化と見るのが一般的な外交分析です。

 

 

トランプ「ロシアに対してより大胆に行動」するようゼレンスキーに非公式に伝える:ウクライナメディア報道

  • トランプ、ロシアに対して「より大胆に」行動するようゼレンスキーに非公式に伝える:ウクライナメディア報道

米国のトランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対し、ロシアへの圧力を強めるため「より大胆に行動する(Act more boldly)」よう非公式に促していたことが、ウクライナのメディア(Kyiv Independentなど)の報道で明らかになりました。背景には、米国主導の対露和平交渉を進めるため、力による外交を重視するトランプ政権の方針があるとされています。

トランプ氏の非公式な働きかけと背景

報道によると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領との最近の会談で「プーチン大統領は圧力をかけられなければ対話に応じない」という認識を示し、ロシア本土へのより攻撃的なアプローチを容認または推奨したとされています。

米国政府関係者も、トランプ氏が「力による平和(Peace through strength)」の原則を重視していると言及しています。

直近で開催されたアラスカでの米露首脳会談(トランプ・プーチン会談)がウクライナ情勢の打開に繋がらなかったことから、ワシントン側はウクライナ自身にロシアへのレバレッジを持たせる方向にシフトした模様です。

ウクライナ側の動向

ウクライナ政府は、モスクワやクリミアへの活発なドローン攻撃、ロシアへの圧力を強化する作戦に対して、ホワイトハウスから実質的な「青信号」を得たと受け止めています。

ゼレンスキー大統領は、交渉の場としてモスクワに赴くことは拒否し、トルコやスイス、中東などを候補地に挙げています。

ウクライナは戦況を自国に有利な形で進めることで、実質的な和平交渉の席にロシアを引き出す戦略をとっています。

欧州各国の反応と今後の懸念

英国、フランス、ドイツ、バルト三国などは、ロシアへのコスト負担を強化する米国の姿勢を歓迎しています。先日のG7サミットでも、ウクライナへの武器製造ライセンス供与を含む強力な支援体制が再確認されました。

一方で、ロシアへの攻勢を強めることは核保有国である「ロシアの熊」を過度に刺激することになり、ウクライナの国境を越えたNATO(北大西洋条約機構)との直接的な軍事衝突に発展する危険性も内包しています。

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