幸せなのはアメリカ人?日本人?

アメリカの若者、マイホーム購入は人生の後半(あるいは全く買わない)と予想

  • Young Americans Expect To Buy A Home Later In Life (Or Not At All)

アメリカの若者の間で、高騰する住宅価格や高金利、実質賃金の伸び悩みにより、マイホーム購入のハードルが急激に上がっています。ギャラップの調査によると、18歳から34歳の非所有者のうち、今後5年以内に住宅を購入する予定があると答えた割合は、2013年から2015年の57%から、2025年から2026年には29%へとほぼ半減しました。

さらに、近い将来に住宅を購入する予定が「まったくない」と答えた非所有者の割合は、13%から30%へと倍以上に増加しています。多くの中流階級にとってアメリカン・ドリームの象徴であった持ち家志向は、経済的な要因によって大きく後退しており、購入時期を遅らせるか、あるいは購入自体を諦める若者が増えている状況です。

 

 

日本の若者とマイホーム購入は?

日本においては、アメリカとは対照的に、20代などの若い世代のマイホーム志向や実際の持ち家率が近年上昇傾向にあります。総務省の「家計調査」によると、29歳以下の二人以上の世帯における持ち家率は、2003年の18.4%から2023年には34.7%へと2倍近くに増加し、3人に1人が家を所有している状態です。

背景には、人手不足による初任給の引き上げや共働き世帯の増加により、若い世代の世帯年収や貯蓄額が過去20年で向上していることがあります。不動産価格は高騰しているものの、「住宅ローンを組むなら若いうちが良い」という合理的な判断や、円安・インフレ局面において現金よりも不動産という資産を持つ意識、さらにSNSの普及により「自分好みの空間(特に新築の一軒家)を作りたい」という所有欲が強まっていることが特徴です。

 

 

一般的な見方として「アメリカは高所得、日本は低所得」ではないのか?

ご指摘の通り、国全体の「平均所得」や「名目上の経済規模」という一般的な比較においては、「アメリカは高所得、日本は低所得」という見方が定着しています。しかし、その内実を細かく分析すると、若い世代の資産形成力やマイホーム購入のしやすさにおいては、日米で全く異なる逆転現象が起きています。

日本の若者の持ち家率が上昇している背景には、両国の不動産価格の性質、金利、そして生活維持コストの構造的な違いが存在します。

平均値の落とし穴と格差の構造

アメリカが高所得とされる背景には、一部の超高額所得者が平均値を大きく押し上げている側面があります。アメリカの若者(18〜34歳)の多くは、高額な大学授業料による「学生ローン」の返済を抱えた状態で社会に出ます。

さらに、インフレによる家賃の高騰や医療費・保険料の負担が非常に重く、可処分所得(自由に使えるお金)が残りにくい構造があります。名目上の給与が高くても、日々の生活コストに追われ、住宅購入のための頭金を貯めることが極めて困難な層が肉厚に存在しています。

不動産市場とローン金利の圧倒的な差

アメリカでは住宅価格の上昇が激しく、さらに住宅ローン金利も高水準(6〜7%台)で推移しています。これにより、毎月の返済額が日本の数倍になるケースが珍しくありません。

一方、日本は都市部を中心に物件価格が上昇しているものの、依然として「超低金利(変動金利で0.3〜0.4%台など)」で融資を受けられる環境が続いています。さらに日本では、住宅ローン減税などの優遇措置も手厚く用意されています。

購買力の向上と現実的な選択

日本全体の賃金は長期的に停滞していると言われますが、近年の深刻な人手不足により、初任給の大幅な引き上げや若年層の待遇改善が急速に進んでいます。また、共働き(パワーカップルなど)が定着したことで、世帯単位での購買力や住宅ローンの借入能力は、過去の同世代よりも高くなっています。

アメリカの若者が「価格が高すぎて手が届かない」と諦めているのに対し、日本の若者は「家賃を払い続けるよりも、超低金利のローンを組んで資産(持ち家)に変えた方が合理的である」という現実的な計算が成り立つ環境にあります。これが、所得のイメージとは裏腹に、日本の若者の持ち家率が上昇している理由です。

 

 

日本で特に顕著なのが「都市部を除くと不動産は値下がりする物」であるという点

ご指摘の通り、日本の不動産市場における「都市部を除くと不動産は値下がりする(価値が維持できない)」という性質は、アメリカの市場と対比した際に極めて重要なポイントです。

アメリカでは地方であってもインフレやリフォーム文化によって住宅価値が維持・上昇しやすいのに対し、日本では「建物は経年劣化で価値がゼロになる」という前提が根強く、これが地方でのマイホーム購入における独特の動機やリスクとなっています。

資産ではなく「消費財」としてのマイホーム

日本の税制や不動産慣行では、木造住宅の法定耐用年数が22年と定められていることもあり、一般的に築20年から25年が経過すると建物の価値はほぼゼロと査定されます。都市部であれば土地の価値が残る、あるいは上昇するため資産性を維持できますが、地方や郊外では土地自体の価格も下落傾向にあるため、購入したマイホームは「購入した瞬間から値下がりが始まる消費財」としての側面が強くなります。

この点が、住宅を「住み替えながら資産価値を増やしていくもの」と捉えるアメリカの一般的な不動産観との決定的な違いです。

値下がりする地方でなぜ若者が家を買うのか

「値下がりする」というリスクが明白であるにもかかわらず、地方の若者の間で持ち家率が高い、あるいは家を建てようとするのには、以下のような現実的な理由があります。

  • 賃貸物件の選択肢の少なさと質の低さ
    地方都市や郊外では、ファミリー向けの良質な賃貸物件(広さ、断熱性、遮音性などが優れた物件)の供給自体が非常に少ないという現実があります。結果として、快適な子育て環境を求めると、新築を一軒建てるか建売住宅を購入するしか選択肢がないケースが多くなります。
  • 住居費の「掛け捨て」を避ける計算
    資産価値が下がると分かっていても、毎月7万〜8万円の家賃を20年、30年と払い続けることは、地方の若者にとって「完全に消えてなくなるお金(掛け捨て)」と感じられます。それならば、超低金利の住宅ローンを組んで同程度の月々の支払いに抑え、最終的に価値が下がったとしても「老後に家賃負担なく住み続けられる場所」を確保する方が、生涯の住居コストを抑えられるという判断が働きます。
  • 土地の安さがハードルを下げる
    都市部とは異なり、地方では土地代が格安であるため、建物代を中心とした比較的低い総予算で注文住宅や新築一戸建てが手に入ります。世帯年収に対して無理のない借入額で収まるため、値下がりリスクを承知の上で、生活の質(QOL)を買うという割り切りが成り立ちやすくなっています。

将来的なリスクとしての「負動産」化

一方で、この「地方の不動産は値下がりする」という性質は、将来的に若者世代に重いリスクを突きつけます。

親から相続した地方の実家が売ることも貸すこともできず、固定資産税や管理の手間だけが残る「負動産(あるいは空き家問題)」は日本全国で深刻化しています。現在の若い世代が地方でマイホームを購入する際も、30年後にその住宅が自身の資産になるどころか、次世代にとっての負担になる可能性があるという点は、アメリカの若者が直面している「高すぎて買えない」という問題とはまた異なる、日本特有の構造的な課題と言えます。

 

 

客観的に見て、幸せなのはアメリカ人?日本人?

「客観的に見てどちらが幸せか」という問いに対しては、幸福を「どのような指標で測定するか」によって結論が完全に分かれます。経済的な豊かさや自己決定権の強さを幸福と定義すればアメリカに軍配が上がりますが、心身の健康や治安の良さ、生活の安定性を幸福と定義すれば日本に軍配が上がります。

国連の世界幸福度報告(World Happiness Report)などの国際比較データをもとに、客観的な指標から両国の幸福の構造を比較します。

経済力と自己決定権のアメリカ

アメリカは、客観的な「主観的幸福度(本人が幸せだと感じている度合い)」の調査において、常に日本よりも上位に位置しています。

  • 高い購買力と選択肢の多さ
    平均所得の高さや経済的なダイナミズムは、個人の選択肢を広げます。やりたいことに挑戦できる環境や、実力次第で大きな富を得られる可能性が、ポジティブな感情(自己効力感)に繋がっています。
  • 自己決定感の強さ
    他人の目を気にせず、自分の人生を自分でコントロールしているという感覚(個人の自由)が非常に強く、これが心理学的に高い幸福感をもたらす要因とされています。

健康と安全の日本

一方で、客観的な「生活の質や生存リスクの低さ」という実態指標においては、日本は世界最高水準にあります。

  • 圧倒的な安全と健康寿命
    世界トップクラスの平均寿命(健康寿命)や、夜間に一人で歩いても犯罪に巻き込まれる確率が極めて低い治安の良さは、生存に対する根本的な不安を解消しています。
  • 強固な社会セーフティネット
    国民皆保険制度により、誰もが安価で高度な医療を受けられる点や、極端な貧困層が生まれにくい社会構造は、生活の安定性(安心感)という形での幸福を支えています。アメリカでは、医療費破産や銃犯罪への恐怖が日常的なストレス要因となっています。

幸福の「質の相違」

客観的データを総合すると、両国はそれぞれ異なるリスクとトレードオフの関係にあります。

  • アメリカ型の不幸
    競争が激しく、自己責任論が強いため、格差の底辺に落ちた時や病気を患った時のリスクが致命的。常にサバイバルを強いられる緊張感があります。
  • 日本型の不幸
    社会の安定性は高いものの、同調圧力や「他者への迷惑」を過剰に気にする文化があり、主観的な満足感や自己肯定感が低くなりやすい傾向があります。

結論として、「高いリスクを取ってでも、自由と大きな成功の可能性を求める人」にとってはアメリカの方が幸せであり、「リスクを最小限に抑え、穏やかで安全な日常の継続を求める人」にとっては日本の方が幸せであると言えます。

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