2022年の大統領選で協力関係にあった「マルコス家」と「ドゥテルテ家」の二大政治一族による、深刻な権力闘争

ドゥテルテとマルコスに関する「テキサス親父チャンネル」の主張

テキサス親父(Tony Marano)のチャンネルでは、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領とフェルディナンド・マルコス現大統領について、主に以下の傾向で主張しています。

ドゥテルテに関する主張

  • ドゥテルテのICC(国際刑事裁判所)逮捕を「誘拐(kidnapped)」と強く非難。
  • マルコス政権が協力して行われた逮捕を「不当拘束」「政治的迫害」と位置づけ。
  • 80歳の高齢であることを強調し、人道的観点から即時釈放を求める内容を発信。
  • 関連して、協力者の藤木俊一氏が国連人権理事会で同様の主張をした動画も扱う。

マルコスに関する主張

  • マルコス現政権を、ドゥテルテを裏切った存在として批判。
  • 国民の支持が高いドゥテルテを排除するための政治的動きと見なす。
  • 全体としてマルコス側を否定的に描き、ドゥテルテ支持の立場を明確にしている。

このテーマは最近の出来事(2026年頃の逮捕関連)で扱われており、テキサス親父の「反プロパガンダ」スタイルに沿って、主流メディアや国際機関の対応を疑問視する形で語られています。

 

 

マルコス現政権とドゥテルテ前政権の評価

マルコス現政権(2022年~現在)

支持率は2026年に入り大きく変動しています。SWS調査では2026年3月にネット満足度が過去最低の-15まで低下。経済成長の鈍化、汚職スキャンダル、政治的不安定が主な要因です。一方でOCTA調査などでは2026年3-4月に回復傾向が見られ、支持率55%前後を記録する時期もあります。

肯定的評価としては、米国・日本との関係強化による外交安定化、インフラ整備の継続、経済近代化の取り組みが挙げられます。否定的評価は、汚職問題への対応の遅れ、国民の不満の高まり、王朝政治のイメージが残ることです。2026年は支持率回復と汚職対策が大きな課題となっています。

ドゥテルテ前政権(2016-2022年)

麻薬戦争による超法規的殺害(数千~数万人規模)が国際的に強く批判され、人権侵害の象徴として残っています。ICCでの訴追・逮捕が2025-2026年に続き、負の遺産として強調されます。

肯定的な点は、治安改善、インフラ「Build Build Build」計画の推進、庶民層からの高い支持です。退任後も一定の人気を維持しています。全体として、強権政治とポピュリズムの典型例と見なされ、民主主義後退の責任を問われる評価が主流です。

比較

マルコス現政権は外交・経済重視で technocratic(技術官僚的)な印象が強く、ドゥテルテ前政権は治安・強権重視のポピュリズム色が濃いです。両政権とも汚職や人権問題を抱え、2026年現在は両家の対立がフィリピン政治の不安定要因となっています。

国際的には人権・民主主義の観点から批判が多く、国内評価は地域や階層で分かれます。

 

 

マルコス現政権とドゥテルテ前政権のアメリカ・中国との関係

マルコス現政権(2022年~現在)

アメリカとの関係

  • 強く強化されています。
  • 米比相互防衛条約を重視し、EDCA(強化防衛協力協定)で米軍アクセス拠点を9か所に拡大。
  • 共同軍事演習の拡大、日本・オーストラリアなどとの多国間協力(Squadなど)を推進。
  • 南シナ海での中国行動を共同で非難し、抑止力を高める方針です。2026年現在もこの路線を維持しています。

中国との関係

  • 緊張が続いていますが、完全対立ではなくバランスを取る動きも見られます。
  • 南シナ海での領有権問題で積極的に主張し、中国の行動を批判。
  • 一方で、2026年に「関係の大幅再構築」を表明し、エネルギー共同開発の可能性を探るなど、外交的対話を続ける姿勢です。
  • 全体として、アメリカ・同盟国寄りで中国を牽制しつつ、実利的な関係改善を模索しています。

ドゥテルテ前政権(2016-2022年)

アメリカとの関係

  • 距離を置く政策を取っていました。
  • 米軍のフィリピン駐留に批判的で、VFA(訪問軍隊協定)の破棄を一度表明(後に延長)。
  • 共同演習の縮小や、麻薬戦争での米国の人権批判に反発しました。

中国との関係

  • 積極的に接近しました。
  • 「アメリカとの分離」を宣言し、中国との経済協力(インフラ投資など)を優先。
  • 南シナ海問題を棚上げし、対話を重視。中国との友好を前面に出した政権でした。
    結果として、中国からの投資は期待ほど進まなかった点が指摘されています。

比較のポイント

  • ドゥテルテ政権は中国寄り・アメリカ離れの傾向が強かった。
  • マルコス政権はアメリカ寄り・中国牽制ですが、2026年現在はエネルギー問題などで中国との実務的対話も模索しています。
  • 両政権の違いは、南シナ海問題への対応と大国間のバランス感覚に表れています。国内の政治対立(マルコス家 vs ドゥテルテ家)も、この外交方針の違いに影響を与えています。

 

 

フィリピンのドゥテルテ家を巡る汚職や捜査の状況

フィリピンのドゥテルテ家を巡る汚職や捜査の状況は、現マルコス政権との対立激化に伴い、一族の政治生命や拘束に発展する重大な局面を迎えています。

主に、サラ副大統領に対する国内での「公金(機密費)不正使用疑惑」に伴う弾劾訴追と、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領に対する国際刑事裁判所(ICC)による「人道に対する罪」での逮捕・捜査の二つの軸で動いています。

サラ・ドゥテルテ副大統領への弾劾訴追

フィリピン議会下院は、2026年5月11日にサラ・ドゥテルテ副大統領に対する弾劾訴追案を賛成多数で再び可決しました。

サラ氏には副大統領府などの機密費(監査の厳しい公金)を不正に使用した疑惑が持たれており、これが弾劾の主な理由となっています。

2025年にも一度下院で弾劾訴追が可決されましたが、手続き上の問題(憲法の1年ルール違反)を理由に最高裁が無効と判断していました。今回はその制限期間が切れたため、市民団体などの申し立てにより改めて下院で可決された形です。

今後は上院(元老院)に弾劾裁判所が設置され、罷免の可否が判断されます。上院議員の3分の2以上が賛成すれば罷免となり公職追放されますが、上院にはドゥテルテ派や弾劾に慎重な議員も多く、実際の罷免に至るかは不透明な情勢です。サラ氏は2028年の次期大統領選挙への出馬を表明しており、この裁判の結果が出馬の可否に直結します。

ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の逮捕とICC捜査

前大統領のロドリゴ・ドゥテルテ氏に対しては、在任中に主導した「麻薬撲滅戦争」における超法規的殺害が「人道に対する罪」にあたるとして、国際刑事裁判所(ICC)による本格的な捜査が進められてきました。

マルコス政権は当初、ICCの介入に否定的な姿勢を示していましたが、ドゥテルテ家との決裂が決定的となったことで方針を転換し、ICCへの協力を容認しました。

2025年3月、フィリピン政府はICCの発行した逮捕状に基づき、ドゥテルテ前大統領の身柄を拘束しました。その後、身柄はオランダ・ハーグのICCに移送され、オンラインでの初出廷が行われるなど、国際法廷での本格的な審理が始まっています。

背景にあるマルコス家との政治的決裂

これらの捜査や弾劾の背景には、2022年の大統領選で協力関係にあった「マルコス家」と「ドゥテルテ家」の二大政治一族による、深刻な権力闘争があります。

マルコス政権側は、2028年の次期大統領選において最有力候補と目されていたサラ氏の失脚を狙い、下院を通じた公金疑惑の追及や、前大統領のICC引き渡しを進めてきました。

これに対しドゥテルテ家側は、一連の動きを「現政権による政治的迫害および国家による裏切り」と強く批判しており、フィリピンの政界は2028年の大統領選に向けて完全に分断された状態が続いています。

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