2050年までにブラジルの耕作地の半分近くがコーヒー栽培に不適格となる可能性

世界

 

2025年09月03日 コーヒー高騰に思うこと ブラジルから

ブラジルは世界最大のコーヒー生産国で、世界の生産量の約35〜40%を占め、特にアラビカ種の生産で有名である。コーヒーは日常生活に深く根付いており、レストランやオフィス、さらには自動車ディーラーやクリニックでもエスプレッソが提供されるなど、国民生活に欠かせない存在となっている。

土産としては産地ごとの味わいが楽しめるコーヒー粉が人気で、日本では入手しにくい特別感があると筆者は紹介している。

しかし、近年は干ばつや投機の影響でコーヒーの価格が高騰。特に昨年から今年にかけての値上がりは顕著であった。さらに気候変動によって生産環境は今後ますます厳しくなると予測されている。研究によれば、2050年までにブラジルの耕作地の半分近くがコーヒー栽培に不適格となる可能性があるという。

このままでは、映画で描かれる「コーヒーが高級品となる世界」が現実化する日も近いかもしれないと筆者は警鐘を鳴らしている。

 

 

ブラジル産コーヒー豆にもトランプ関税50%、輸出先は中国などへ大シフトへ

ブラジル産コーヒー豆に対して、トランプ米政権は2025年07月30日に50%の関税を8月6日から課すと発表しました。ブラジルは世界最大のコーヒー生産国で、米国には年間約800万袋のコーヒーが輸出されています。米国は世界最大のコーヒー消費国であり、その3分の1はブラジル産です。

この関税措置により、ブラジルのコーヒー貿易ルートは大きく再編される見込みで、米国のコーヒーブローカーは輸出業者が買い手探しに奔走すると指摘しています。特に、中国が輸出先として急速に台頭する可能性があります。中国では若年層を中心にコーヒー消費が急増しており、ブラジルからの輸出量も2025年上半期に53万8000袋に達しています。

欧州連合(EU)向けの輸出も関税がかからないため増加する見込みで、輸出業者はメキシコやパナマなど第三国経由で米国向けに再輸出することも検討しています。これにより、物流コストは上がるものの関税負担は最大10〜15%に抑えられる可能性があります。

トランプ大統領はブラジル最高裁判所とルラ大統領に対する対立の一環として、この関税措置を交渉材料にしていると見られています。

米国東海岸の大手コーヒー加工会社は関税発動前に大量購入を急いでおり、今後は中米やアフリカ産の豆への代替も検討中ですが、全体的に需給にタイト感が強まり、価格上昇の懸念がある状況です。

 

 

米政権、ブラジルへの関税発動 コーヒー豆など最高50%

2025年08月6日、アメリカのトランプ大統領はブラジルからの輸入品に対して新たな関税を発動し、一部品目の関税率を最大50%に引き上げました。この関税強化は7月30日にトランプ大統領が署名した大統領令に基づき、8月1日から実施されています。

関税引き上げの背景には、ブラジルのジャイル・ボルソナロ前大統領に対する裁判を「政治的迫害」であるとして米国が問題視していることがあり、トランプ政権はこれを理由に「不当な刑事訴追」を非難し、またブラジル政府の対応が米国の国家安全保障や経済に脅威をもたらすとして関税措置を講じています。

対象となる輸入品の多くに関税が引き上げられ、コーヒー豆の関税も50%に設定されました。一方、オレンジジュースや民間航空機など、一部品目は物価高の悪影響を避けるため除外されています。これらの措置により、ブラジルの対米輸出の約36%が影響を受けると見られています。

ブラジル側はルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領が司法の独立を主張し、米国の内政干渉を拒否、対話と交渉を継続する意向を示しています。

米トランプ政権はブラジルの前大統領に対する法的措置を理由に2025年08月1日からブラジル製品の一部に最大50%の関税を課し、その中にはコーヒー豆も含まれているが、オレンジジュースなど一部品目は除外されているということです。これは両国間の政治的・経済的摩擦の一環として実施されています。

 

 

フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来
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情報通信技術やグローバル経済の進展によって、世界中の人々や企業が同等の条件で競争できる時代が到来したというテーマの書籍です。

21世紀初頭、インターネットの発達や中国・インドをはじめとする新興国の経済成長によって、地理的な障壁が低くなり、ビジネスや知識の流通における「水平化(フラット化)」が進行していると論じています。この「フラット化」は、個人や企業が同じ土俵で競争できることを意味し、世界的な経済構造の変化を強調しています。

フラット化をもたらした要因。著者は「10の圧力(フラット化の原因)」を挙げています。

  1. ベルリンの壁の崩壊(1989年)
    東西の分断が解除され、世界が単一市場に近づいたことに加え、電子メールなどの通信手段の発展を促進した。
  2. ネットスケープのIPOと光ファイバーへの過剰投資
    ブラウザの登場でインターネット利用が爆発的に広がり、光ファイバーケーブルへの大量投資により高速通信環境が整った。
  3. 共同作業を可能にした新しいソフトウェアの登場
    Web連携技術が標準化され、異なるソフト同士の自動連携が可能となり、イノベーション促進につながった。
  4. ワイヤレスとモバイルの普及
    携帯電話、Wi-Fi技術の普及により、場所を問わない通信が可能になった。
  5. アウトソーシングとオフショアリングの拡大
    仕事やサービスが国境を越えて分散され、低コスト地域に移転が進んだ。
  6. サプライチェーンの新しい管理と流通システム
    世界的に効率的な物流や在庫管理の仕組みが整い、企業間の協業が容易になった。
  7. オープンソースソフトウェアや標準化の進展
    無償で使えるソフトウェアや共通規格が広まり、技術普及の壁を下げた。
  8. スタンダード化したプラットフォームの確立
    WindowsやLinuxなどの共通プラットフォームが企業や個人の情報処理を統一した。
  9. 企業や人材のグローバルな活用
    世界中の人材や企業が協業・競争できる環境が整備された。
  10. 情報のステロイド化
    「デジタル」「ワイヤレス」「モバイル」「バーチャル」「パーソナル」技術が掛け算され、情報伝達・共有が爆発的に加速した。

評価と課題

  • 本書はグローバル化を推進する立場から書かれており、フラット化された世界では個人や企業が自由にネットワークを活用し、新たな価値や仕事を生み出す機会が拡大しています。一方で、知的財産保護や国境・法制度の在り方、社会的な摩擦・格差といった課題も指摘されています。

 

 

 

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