AI主導の個別学習が普及 学校の役割は変わる可能性がある

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AIの普及によって教育の形態は大きく変わる可能性

AIの普及によって学校が完全に不要になるとは言い切れませんが、教育の形態は大きく変わる可能性があります。AIは個々の生徒の学習状況に合わせた最適な指導やリアルタイムのアドバイス、試験監督・採点などの単純作業の自動化が可能で、これにより教師の負担が軽減し、より個別対応や創造的な教育に集中できる環境が整います。一方で、自ら考える力の育成や生徒同士・教師とのコミュニケーションはAIだけで代替できないため、学校が果たす役割は残ります。

また、AI主導の個別学習が普及すれば、従来の「学校」という形態に対する考え方が変わる可能性は高いとみられています。例えば、学習拠点としての学校の役割は変わり、よりフレキシブルな学習環境が登場することも考えられます。

まとめると、AIの進展により学校の形は変容し、伝統的な授業や画一的教育は減少するものの、学習の支援やコミュニケーション、考える力の育成など、人間的側面を担う学校の必要性は引き続き存在すると考えられています。

 

 

AIが「知識の価値」を下げていて大学は教える内容を見直すべきだとの指摘

生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)の発達により、知識へのアクセスが容易になったことで、大学が長年提供してきた「希少な知識」への価値が下がり、大学の教育内容の見直しが必要とされています。

オークランド大学のパトリック・ドッド氏によれば、従来大学は専門知識へのアクセス提供とその習得の証明という役割を担ってきましたが、AIの登場で知識取得のハードルが大幅に下がり、このモデルは機能しにくくなりました。LLMは事実の検索だけでなく説明、翻訳、要約も行うため、知識の供給増加により「知識の価格」は下落し、労働市場でも大卒資格の価値が減少しています。

ただし、全ての知識が同じ速度で価値を失っているわけではなく、AIで代替できない暗黙の知識や判断力、倫理観、創造性、協調性といったスキルが、今後の希少価値となると指摘しています。

ドッド氏は大学に対し以下の改革を提案しています。

  1. 講義内容の見直しと評価基準を単なる知識習得から判断力や統合力へシフト
  2. 指導者付きプロジェクトや現実世界のシミュレーション、倫理的判断を学ぶ機会の拡充
  3. 協働、自主性、倫理的判断力などのスキルを証明するマイクロ・クレデンシャル制度の導入
  4. 産業界と協力し、教育の専門性と実務の現実的活用を融合させる協働体制の確立

そして、大学はAIと競合するのではなく補完し共に働くスキルを育成する場として進化しなければ、学生や企業は大学を離れていくとの警鐘を鳴らしています。

 

 

無名兵士の戦場スケッチブック ――砲弾と飢餓と鎮魂
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1917年広島県生まれの砂本三郎氏による戦場体験を描いた水彩スケッチ集です。著者は陸軍の一兵卒として中国戦線の宜昌作戦や太平洋戦争のウエーキ島での激戦を経験し、戦後30年以上経ってから大病をきっかけに絵筆を取り、130枚のスケッチを残しました。これらの作品は砂本氏が亡くなってから四半世紀近く世に知られず眠っていましたが、2025年に筑摩書房より初めて出版され、詳細な解説が加えられています。

本書で描かれたスケッチは、戦争のリアルな現場を庶民兵士の視点から生々しく伝えています。絵は遠近法に拘らず、デッサンの安定もないものの、切迫感と戦争の恐怖、飢餓、死の影が強く感じられ、見る者に問いかける力があると評価されています。

内容は主に二つの戦場、激戦の中国大陸と餓死者が多発した南方のウエーキ島での過酷な体験を描写。戦争の「名も無い兵士」の視点から、戦争の非情さや庶民の苦闘を伝える作品群であり、戦後社会における貴重な記憶遺産とも位置づけられています。

出版後には著名な歴史家や芸術家からも推薦され、戦争の真実を後世に伝える重要な資料として注目を集めています。

 

 

 

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