日本にいる最古のユダヤ人は1850年代前後から

日本にいる最古のユダヤ人

日本に実際に記録が残る最古のユダヤ人は、19世紀半ばに来日した人々とされています。1850年代前後からユダヤ人が日本に居住し始めたとされており、1861年には横浜に日本最古のユダヤ人シェルターが設立されています。また、日本最古のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)は1889年に長崎に建てられました。

一方、古代日本とユダヤ人のつながりを主張する「日ユ同祖論」などの説もありますが、これらはあくまで仮説や伝説の域を出ていません。考古学的・歴史的な裏付けがある「日本にいた最古のユダヤ人」は、19世紀に来日したユダヤ人たちです。

日本にいるユダヤ人は目立たず静か

日本にいるユダヤ人は人口が非常に少なく、社会的に目立たず静かに暮らしている傾向があります。歴史的に見ても、1930年代の日本にいたユダヤ人はせいぜい1000人ほどで、大多数の日本人はユダヤ人と他の外国人の区別もつかないほど、存在感は希薄でした。戦後も、神戸や長崎などにあった比較的大きなユダヤ教徒コミュニティは縮小し、現在日本に住むユダヤ人の多くはアメリカやイスラエルなどからの一時滞在者が中心です。

日本社会の中でユダヤ人が目立たない理由としては、以下の点が挙げられます。

  • **人口規模が非常に小さい**ため、ユダヤ人コミュニティ自体が目立ちにくい。
  • 日本人の多くはユダヤ人に対して特別なイメージや関心を持っておらず、他の外国人と一括りに「ガイジン」として扱う傾向が強い。
  • 日本にはユダヤ人の宗教的・文化的生活を特別に保護する法制度が存在しないため、ユダヤ人としてのアイデンティティを表に出す機会や必要性が少ない。

また、日本では欧米のような伝統的な反ユダヤ主義は根付いておらず、ユダヤ人に対する強い偏見や差別も一般的ではありません。そのため、ユダヤ人は日本社会の中で特に目立つことなく、静かに生活しているのが実情です。

このような背景から、日本にいるユダヤ人が「目立たず静か」であるという印象は、歴史的・社会的な事実に基づいていると言えます。

日本に住んでいるユダヤ人の数は1000人くらい

日本に住んでいるユダヤ人の数は、推定で約1,000人とされていますが、宗教別の公式な統計は存在せず、あくまで推定値です。この数字には、イスラエル人やアメリカ系ユダヤ人など、さまざまな国籍のユダヤ人が含まれています。

また、過去の資料では「4,000人~2万人」とする幅広い推計も見られますが、現在の在住者の多くは短期滞在のビジネス関係者や外交官などで、長期的に日本に定住しているユダヤ人はごく少数です。例えば、東京の日本ユダヤ教団には約160家族・約450人が所属しているとの報告もありますが、これは主に短期滞在者が中心です。

参考までに、2020年6月時点で日本に在住しているイスラエル国籍者は608人、2023年12月時点では720人とされていますが、すべてがユダヤ人とは限りません。

要点をまとめると、日本に住むユダヤ人は約1,000人程度と推定され、主に短期滞在の外国人が中心です。

ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
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概要

  • ユダヤ人の約3000年にわたる歴史を一冊で俯瞰できる入門書です。古代の王国建設から民族の離散(ディアスポラ)、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下での繁栄、東欧での迫害、ナチス・ドイツによるホロコースト、ソ連・アメリカでの適応、イスラエル建国と中東戦争まで、ユダヤ人の興亡と変容の全体像を大きなスケールで描いています。

本書の特徴は、ユダヤ人の歴史を単なる被害や迫害の物語としてではなく、「組み合わせ」という視点で、各時代・地域ごとにユダヤ人がどのように生き抜き、社会と関係を築いてきたかを解説している点です。序章では「組み合わせから見る歴史」という独自の視点を提示し、各章で古代から現代までの主要なトピックを扱います。内容は以下のように構成されています。

  1. 組み合わせから見る歴史
  2. 古代(王国とディアスポラ、ユダヤ教の成立、ギリシア・ローマ時代)
  3. 古代末期・中世(ラビ・ユダヤ教の成立、イスラーム世界・キリスト教世界での興亡)
  4. 近世(スファラディームとアシュケナジームの形成、神秘主義の誕生)
  5. 近代(啓蒙主義、ロシア帝国下の政治運動、ホロコースト)
  6. 現代(ソ連・アメリカ・イスラエルでのユダヤ人の変容と課題)

**専門知識がなくても読み通せるよう平易な記述を心がけており、日本語で通時的にユダヤ人の歴史を学べる貴重な一冊**として高く評価されています。また、現代の国際問題や中東情勢を理解するうえでも有用な基礎知識が得られます。