中国側の主張は、過去の東シナ海や南シナ海での中国の行動パターンと同様

中国軍機の異常接近問題 中共外務省の「日本の責任」主張の根拠は

中共軍の戦闘機にに異常接近された海上自衛隊の哨戒機P-3C(海上自衛隊)

中国軍機による海上自衛隊哨戒機への異常接近問題について、中国共産党(中共)外務省は以下のような主張を展開しています。

主張の内容

  • 中国外務省は「中国側の活動は国際法と国際慣例に完全に合致している」とし、今回の中国軍機の行動は正当であると強調しています。
  • その上で、「日本の哨戒機が中国の通常の軍事活動に対して接近偵察を行うことが、海空の安全リスクの根本原因だ」と反論し、日本側の行動こそが問題の発端であるとしています。

主張の根拠

  • 中国側は「関連する海空域での行動は国際法および国際的慣習に完全に従っている」と繰り返し主張しています。
  • 日本の哨戒機による「接近偵察」が中国軍の通常活動を妨害し、偶発的な衝突リスクを高めていると指摘。したがって「危険な行為をやめるよう」日本側に求める立場です。

具体的な事案

  • 2025年6月7日と8日、太平洋上の公海上空で、海上自衛隊のP-3C哨戒機が中国海軍空母「山東」の艦載機J-15に追尾され、約45メートルまで異常接近されるなどの事態が発生。
  • 日本防衛省は「偶発的な衝突を引き起こす恐れがある」として中国側に厳重に抗議し、再発防止を申し入れています。

背景

  • 中国側は自国の軍事活動を「通常の活動」と位置づけ、これに対する日本の監視・偵察行動を「安全リスクの根本原因」として責任転嫁する形を取っています。
  • こうした主張は、過去の東シナ海や南シナ海での中国の行動パターンと同様であり、国際法や国際慣例を盾に自国の正当性を強調する外交的立場です。

要約

  • 中国外務省が「日本の責任」と主張する根拠は、「中国軍の活動は国際法と国際慣例に従っている」とした上で、「日本の哨戒機による接近偵察こそが安全リスクの根本原因」と位置付け、日本側の行動に非があると反論している点にあります。

「日本の接近偵察が根本原因」 中国外務省、海自哨戒機への異常接近で責任転嫁

事案の概要

  • 2025年6月7日と8日、太平洋上の公海で警戒監視活動を行っていた海上自衛隊のP-3C哨戒機に対し、中国海軍の空母「山東」から発進したJ-15戦闘機が追尾・異常接近しました。最も近い距離は約45メートルで、8日にはP-3C哨戒機の約900メートル前方を同高度で横切る飛行も確認されています。日本政府はこの行為が「偶発的な衝突を誘発する可能性がある」として中国側に深刻な懸念を表明し、再発防止を申し入れました。

中国外務省の主張

  • 中国外務省の林剣報道官は6月12日の記者会見で、今回の異常接近について「日本の艦艇や軍用機が中国の正常な軍事活動に対して接近して偵察していることが、海空の安全に関するリスクを引き起こしている根本原因だ」と反論しました。また、「中国側の活動は国際法と国際慣例に完全に合致している」と従来の主張を繰り返し、日本側に「危険な行為」をやめるよう強く求めると述べています。

日本側の対応

  • 日本の防衛省は、中国軍機の異常接近が偶発的な衝突を引き起こす危険性を強調し、深刻な懸念を表明、再発防止を厳重に申し入れています。自衛隊機や隊員への被害はなかったものの、過去にも2014年に類似の事案が発生しており、今回も極めて危険な行動と位置付けています。

両国の主張の対立

日 本 側 の 主 張 中 国 側 の 主 張
中国軍機の異常接近は偶発的衝突の危険があり、深刻な懸念を表明。再発防止を申し入れた 日本の自衛隊機が中国の通常の軍事活動に接近偵察したことがリスクの根本原因だと反論
公海上空での警戒監視活動は国際法上正当な行為と認識している 中国軍機の活動は国際法と国際慣例に合致していると主張

背景と今後の見通し

  • 今回の事案は、太平洋上で中国軍の活動範囲が拡大し、日中双方が安全保障上の警戒感を強めている現状を反映しています。両国は既存のルートを通じて意思疎通を維持しているものの、同様の事案が今後も発生する可能性があり、偶発的な衝突リスクの高まりが懸念されています。
  • 外交関係への直接的な大きな影響は現時点では見込まれていませんが、日中間の安全保障を巡る緊張が継続することは確実です。