FOMCの利下げは12月と来年3月に、ゴールドマンが予想時期を後ろ倒し
Goldman Sees Fed Cuts Delayed to December, March on Inflation
ゴールドマン・サックス(GS)は、インフレの長期化を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)による次回の利下げ時期の予想を従来の計画から3ヶ月(1四半期)後ろ倒ししました。
最新の予測では、1回目の利下げが2026年12月、2回目が2027年3月になるとされています。
予測修正の詳細
GSの経済調査チームは、2026年5月8日付のリポートで予測を修正しました。
1.利下げのタイミング
1回目:2026年12月(従来予想から後ろ倒し)
2回目:2027年3月(従来予想から後ろ倒し)
2.インフレの見通し
エネルギーコストの上昇が家計に波及しており、2026年を通じてPCE(個人消費支出)コア価格指数は、FRBの目標である2%を上回り、3%に近い水準で推移する可能性が高いと分析しています。
利下げ開始の条件
GSのエコノミストは、年内の利下げ実施には以下の2つの条件が同時に満たされる必要があると指摘しています。
- 石油ショックによる影響が和らぎ、月次のインフレ率が明確に低下すること。
- 労働市場が現在よりもさらに軟化(弱含み)すること。
これらが高いハードルとなっており、金融緩和の条件が整うまでにはまだ時間がかかるとの見方です。
政策金利の着地点と景気予測
利下げの開始時期は遅れるものの、最終的な政策金利(ターミナルレート)の予想は3%から3.25%で据え置かれています。これは、当局者の多くが長期的には一定の利下げが必要であると考えているためです。
また、今後1年間にアメリカがリセッション(景気後退)に陥る確率については、前回の30%から25%に引き下げられました。中東情勢などの不透明感は残るものの、経済の底堅さを評価した形となっています。
これがダウとラッセル2000が弱くなり、ナスダックが弱気から強気になった要因。利下げが始まればまた逆転するだろう
利下げでダウ銘柄中小型株がナスダックをアウトパフォームする
米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始の先送り観測は、金利動向に敏感な各指数に対して対照的な影響を与えています。
中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇とインフレの再燃により、金利が高い状態で維持される期間(ハイアー・フォー・ロンガー)が長引くとの見方が強まったことが、現在の指数の明暗を分ける要因となっています。
ラッセル2000とダウの弱含み
中小型株で構成されるラッセル2000や、伝統的な企業が多いダウ平均が軟調なのは、高金利の長期化が企業の財務を圧迫するためです。
1.資金調達コストの負担
中小型株(ラッセル2000)の多くは、大型株に比べて借入金への依存度が高く、変動金利での債務も多いため、利下げの先送りは直接的な利益圧迫要因となります。
2.景気への警戒感
ダウに代表されるバリュー株や景気敏感株は、高金利による景気減速の影響を受けやすく、利下げによる経済の活性化を待ち望んでいる状態です。
ナスダックが強気に転じた背景
一方でナスダックが底堅く、弱気から強気へとシフトしたのは、投資家が「金利」よりも「成長の確実性」を優先し始めたためと考えられます。
1.AI関連の収益期待
マグニフィセント・セブンなどの巨大IT企業は豊富な手元資金を持っており、高金利下でもAI(人工知能)関連の強力な成長ストーリーによって資金を引きつけています。
2.避難先(セーフヘブン)としての機能
インフレや地政学リスクで先行きが不透明な中、圧倒的な市場支配力とキャッシュフローを持つナスダックの主力銘柄が、消去法的に選ばれる傾向があります。
今後の展望:利下げ開始後の逆転
ご指摘の通り、実際に利下げサイクルが開始されれば、市場の主役が入れ替わる「リバース・ローテーション」が起きる可能性が高いと見られています。
1.割安感のある銘柄への資金流入
利下げによって借入コストが低下すれば、これまで売られてきたラッセル2000などの銘柄に割安感が生じ、資金が戻り始めます。
2.指数の逆転
利下げは景気を下支えするため、景気敏感なダウ銘柄や、金利低下が追い風となる中小型株がナスダックをアウトパフォーム(上回る)する展開が予想されます。
株高は一部銘柄に偏在、買い抑制要因緩和で上昇拡大余地-JPモルガン
JPモルガンの株式戦略チーム(ミスラフ・マテイカ氏率いる)は、2026年5月のリポートにて、イラン情勢に端を発した市場の不確実性は「買いの好機」であるとの見解を示しました。
現在の市場上昇は極めて少数の銘柄に集中しており「脆さ」があるものの、地政学リスクの緩和や堅調な企業業績を背景に、今後はより幅広い銘柄へ上昇が波及する余地があるとしています。
記事の主なポイント
- 市場の現状:極端な偏り
2026年初めからの上昇は、驚くほど少数の銘柄によって生み出されています。 - 米国市場:
S&P500種株価指数の上昇分の約84%が、わずか7銘柄(マグニフィセント・セブン)によるものです。 - 欧州市場:
ストックス欧州600指数の上昇分の90%超が6社に集中しており、特にエネルギー関連3社がリターンの40%を占めています。 - 出遅れ銘柄:
消費関連銘柄の多くが安値圏で低迷しており、市場の表面的な強さの裏で格差が広がっています。
地政学リスクと市場の反応
イラン情勢を巡る懸念から原油価格が高騰し、一時は世界株が調整しましたが、JPモルガンはこれを「一時的なもの」と見ています。
歴史的に見ても、株式市場は地政学的なイベントから素早く立ち直る傾向があります。
投資家のポジションは現在「軽め(慎重)」であり、不安要素が一つでも解消されれば、それが買い戻しのエネルギー(燃料)となります。
今後の展望:主役の交代
マテイカ氏は、2026年後半に向けて市場の「広がり」を予想しています。
- 米国株から国際株へ:
米国株はバリュエーション(割高・割安の尺度)が21倍と割高感がある一方、国際市場やエマージング市場には割安感があるとしています。 - 大型ハイテクからバリュー・小型株へ:
これまで相場をけん引してきた大手ハイテク企業から、割安株や中小型株へと主導権が移る可能性を指摘しています。
投資家へのアドバイス
JPモルガンは、今後数日〜数週間の短期的には変動(ボラティリティ)が続くと予想しつつも、3ヶ月〜12ヶ月の視点を持つ投資家は、株価が下落した局面(押し目)を積極的に利用して株式の保有量を増やすべきだ、と結んでいます。
米国株と金、今年は異例の4年連続2桁上昇の見通し-BofA
BofA’s Hartnett Says US Stock Gains Have Rarely Been This Strong
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のマイケル・ハートネット氏は、米国株が歴史的な水準で上昇を続けていると指摘しています。これまで一部の巨大テック企業が市場を牽引してきましたが、市場の広がり(モメンタム)は他のセクターにも波及し始めており、経済の底堅さを背景に新たな上昇サイクルへ移行する可能性が高いという見解です。
市場の歴史的強さ
ハートネット氏のチームによると、現在の米国株の上昇は、第二次世界大戦直後や1990年代後半のITバブル期といった、過去の数少ない歴史的な局面と同等の力強さを示しています。これまで、S&P500の時価総額の多くを占めるメガキャップ株がこの上昇を先導してきました。
上昇の裾野の広がり
これまでの上昇はごく一部の銘柄に集中していましたが、現在はその状況に変化の兆しが見られます。
小型株、新興国市場、コモディティーなどが強気の長期トレンドに転換しつつあります。
米国経済は名目で5.5%の成長が見込まれ、堅調な企業業績が市場全体を支える構造になっています。
素材セクターへの注目
BofAは、次の上昇局面において「素材株」が鍵を握ると分析しています。
素材セクターのS&P500における構成比率は、歴史的な低水準である2%にとどまっています。
AI設備投資、防衛費の増大、資源の地政学リスク、住宅建設需要といった複数の要因が、素材セクターに対する需要を今後大きく押し上げると予測されています。

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