コロナ禍、2020年夏は涼しかった?
2020年の夏は「涼しかった」とは言えません。実際には、7月は梅雨前線の影響で雨が多く、気温は低めで涼しい傾向がありましたが、8月は全国的に猛暑となり、特に東日本や沖縄・奄美ではかなり高温を記録しました。
具体的には、
- 7月は全国的に降水量が多く、日照時間が少なく、気温も低めで「冷夏」傾向でした。例えば、館林では7月の月平均気温が24.0℃と低く、降水量も多かったため、涼しい月でした。
- 一方、8月は太平洋高気圧に覆われて晴天続きとなり、猛暑日が多発。館林では8月の月平均気温が29.3℃で史上2位の高温、最高気温は39.9℃を記録し、非常に暑い月となりました。
- 気象庁の発表でも、2020年夏(6~8月)は全国的に気温が高く、特に8月は厳しい暑さが続いたと報告されています。
つまり、2020年の夏は7月が涼しく雨が多い一方で、8月は記録的な猛暑となり、冷夏と酷暑が同じ夏に起こった異例の年でした。したがって、「2020年夏は涼しかった」という表現は7月に限定されるもので、夏全体としては暑い夏だったと言えます。
2020年夏の大気はきれいになった?
2020年夏の大気の「きれいさ」については、直接的な大気汚染の改善や光化学オキシダント(光化学スモッグ)に関する具体的なデータは検索結果に見当たりませんでした。しかし、気象庁や環境省の資料から以下の点が推測できます。
- 2020年はラニーニャ現象の影響で全国的に暑い夏となり、特に8月は猛暑日が多発しました。猛暑は大気の対流を活発にし、汚染物質の拡散に影響を与えることがありますが、一方で高温は光化学オキシダントの生成を促進するため、大気の「きれいさ」には一長一短です。
- 日本の大気中の二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスは増加傾向が続いており、大気の温暖化傾向は顕著です。これらは大気の質の指標とは異なりますが、温暖化は気象条件に影響を与えます。
- 環境省の光化学大気汚染に関する資料(2021年)では、光化学オキシダントの緊急発令状況が報告されていますが、2020年の具体的な改善や悪化の傾向は示されていません。
- 2020年の夏は梅雨明け後は晴天が多く、強い日差しと高温が続いたため、光化学スモッグの発生リスクは高かった可能性があります。
総合すると、2020年夏の大気が特に「きれいになった」という明確な証拠はなく、むしろ猛暑や強い日差しの影響で光化学オキシダントの発生リスクは高まった可能性があります。大気質の改善には都市部の排出削減などが必要ですが、2020年夏の気象条件自体は大気の浄化に特段有利だったとは言い難い状況です。
2020年夏のはコロナ禍。世界的に経済活動が控えられていた。大気はきれいになった?
2020年夏は新型コロナウイルスの影響で世界的に経済活動が大きく制限され、その結果、大気は世界的にきれいになりました。
- 世界ではロックダウンや移動・工場活動の制限により、窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質の排出量が全体で少なくとも15%、欧州や北米では18〜25%減少しました。これにより、対流圏オゾンも2%減少し、大気汚染の改善が定量的に確認されています。
- 中国やインドなどの都市部では、NO2(主に車や工場由来)の濃度が通常より10〜30%減少し、衛星画像でも大気汚染の改善がはっきり観測されました。
- 日本でも、2020年春から夏にかけての緊急事態宣言期間中は、PM2.5やNOxの濃度が過去平均より大きく減少しました。例えば、PM2.5は4月・5月に37%減少、NOxは33〜35%減少と、明確な改善が見られました。
このように、2020年夏はコロナ禍による経済活動の抑制を背景に、世界的に大気がきれいになったことが科学的データで裏付けられています。
国土・環境破壊の危機―開発のトレードオフとして何が起こるのか、古今東西の真実―
概要
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主な内容は以下の通りです。
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