中国のプロパガンダは内向きの支持固めを狙ったものだが、中国国民の「情報疲れ」と「現実認知」によって逆効果

2025年11月21日 中国で喧伝される「日本苦境論」、中国ネットは懐疑的「日本人は実際は喜んでいるのでは?」

  • 中国メディア(央視網など)が「高市早苗首相の台湾有事発言を受けて、中国政府が日本への旅行・留学を制限し始め、日本経済に影響が出ている」と喧伝した。しかし、中国のSNS(微博など)上ではその報道に冷ややかな反応が多く、一般ユーザーがむしろ「本当に日本が困っているのか?」と疑問視している。

中国のネット上の主な反応は次の通り。

  • 「日本人は観光客減少をむしろ歓迎しているのでは?」
  • 「『オーバーツーリズム』という言葉が日本では流行しているだろう」
  • 「影響なんて全くない」
  • 「われわれ(中国側)は勝利を演出して、自国民を安心させているだけでは?」
  • 「まずは自国経済を立て直すことを考えろ」

つまり、「対日報復措置で日本が困っている」という中国国内の報道は、現実感を欠いた“自己満足的な政治演出”として見透かされつつある。

ポイントは、中国政府のプロパガンダの効力がオンライン世論では劣化していることだ。かつては日本叩き報道に呼応して愛国的コメントが溢れたが、今は「日本の実力・社会の安定・観光地の人気度」を現実的に知る層が増えており、「虚勢の報道」を冷笑する傾向が強まっている。特に中間層や海外経験のある若年層ほど、その距離感が顕著だ。

この現象は、中国国内の統制報道とネット民意の乖離を示す一例で、「ナショナリズム疲れ」とも言える兆候になりつつある。プロパガンダは内向きの支持固めを狙ったものだが、受け手の“情報疲れ”と“現実認知”によって逆効果が出ている。

この件を政治的に解析すると、中国指導部が「日本を経済的に揺さぶる」という構図を演出しようとしている一方で、実際には日本側が冷静に対応し、むしろ訪日規制が「観光の過熱緩和」や「治安・マナー問題の軽減」につながるという皮肉な結果になっている。

中国側はそれを真正面から報じられないから、「効果がある」と強調する必要がある。しかし、中国のネットユーザーはそこまで盲目的ではなく、かなり冷静に「これは国内用の政治パフォーマンスだ」と見抜いている。

結論として、この記事が示すのは「プロパガンダと現実認識の乖離」という構造的問題だ。
中国では“日本叩き”報道が継続しても、それが内部向けの演出にしかならなくなっている。実際の民意はすでにもっと現実的で、冷めている。

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