2025年10月08日 水晶山は「無法地帯」 小松・金平「私有地」取り締まり限界 全国から盗掘横行
石川県小松市金平町の山林で発生した土砂崩れにより、愛知県の男性が死亡した事故をきっかけに、同地域が実質的な「無法地帯」と化している実態が報じられた。
この山はかつて銅鉱山「尾小屋鉱山」の採掘地の一部で、捨てられた土砂の中に水晶が多く含まれていることから「水晶山」と呼ばれている。インターネットで「水晶が採れる場所」として知られるようになり、全国各地から趣味の採取者が無断で入山するケースが絶えない。
しかし山林の多くは地元住民を含む個人の私有地であり、所有者の高齢化によって管理が行き届かない。市や警察も私有地での立ち入りを規制する法的権限が限られているため、盗掘や不法侵入を実質的に止められない状況にある。
現場周辺は人の出入りが少なく、草刈りや林道管理のために年1回程度地元組織が立ち入る程度である。以前には大規模な土砂崩れも発生しており、熊の出没も懸念される地域だが、そうした危険情報はSNS利用者には知られていない。
今回の事故を受けて、町内会では「水晶山」への立ち入り禁止や安全対策の実施を市へ要請する動きがあり、市当局は「私有地のため強制的な規制は難しいが、相談があれば対応を検討する」としている。一方、警察も現時点では通常のパトロール業務で対応する方針を示している。
昔は情報拡散手段が乏しく、地域外に知られにくかった
過去にも鉱物や希少資源の採取を目的とした無断入山や事故は各地で発生しているが、当時はインターネットやSNSによる情報拡散手段が限られており、地域外にはほとんど知られないまま終わる例が多かった。こうした出来事は主に地元新聞や口コミでしか共有されず、全国的な関心や行政対応につながりにくい環境だったと言える。
欧米では「立ち入り禁止を無視するなら自己責任」
欧米でも基本的には「自己責任」の考え方が日本より強く、私有地に無断で立ち入ったり危険な行為をして事故に遭った場合、原則として本人の責任とされる。ただし一部の国では、土地の管理者が危険を予見できる状態にあったのに放置していた場合には「過失」として訴えられる可能性もある。
具体的には次のような違いがある。
- アメリカやカナダ：私有地に不法侵入した者の事故は自己責任。ただし、危険箇所に警告表示を設置しなかった場合などは土地所有者に一部責任が認められることがある。
- イギリスやヨーロッパ諸国：公的な登山道や自然保護区などでは安全表示が義務化されていることが多く、行政による監督も比較的厳しい。だが、規制区域外での個人行動はやはり自己責任の原則が基本。
つまり欧米では「立ち入り禁止を無視するなら自己責任」「警告を怠った側にも一定の責任がある」という線引きで処理されることが多い。
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