中国に借金漬けにされたスリランカ

スリランカが「破産」宣言 燃料不足、危機長期化

経済危機に直面しているスリランカのウィクラマシンハ首相は5日、議会で演説し、国の「破産」を宣言した。危機的状況は来年も続く見通しで、混乱の長期化は必至。ガソリンなどの燃料が極度に不足しており、AFP通信によると、給油所で自動車に乗って数日間列に並んでいた60歳の男性が車内で死亡しているのが5日見つかった。 首相は議会で、金融支援獲得に向けた国際通貨基金(IMF)との交渉について説明。地元紙デーリー・ミラー(電子版)によると、「過去には発展途上国として(IMFと)協議してきたが、今は破産国家として協議しているため、交渉はより困難で複雑になる」と述べた。年末にインフレ率が60%に達するとの見通しを示し、「2023年も困難に直面するはずだ。これは真実であり現実だ」と強調した。

中国に借金漬けにされたスリランカ

宮路秀作 代々木ゼミナール地理講師&コラムニスト

インドの民間シンクタンクであうr「インド政策研究センター」のブラフマ・チェラニー教授による造語に「債務の罠」があります。いわゆる、借金漬け外交です。スリランカは中国の「一帯一路」に共鳴していました。中国から高い金利をの融資を受け、2010年にはハンバントタ港を建設しましたが、高い金利が響いて返済不能に陥りました。2018年にはハンバントタ港の経営権を中国国有企業に99年間貸与する契約を結ぶ羽目となっています。

対中債務に加えて、コロナ禍の経済情勢の悪化が背景といえます。2009年の内戦終結後、治安が良くなり順調に外国人観光客が増えていた矢先のコロナ禍。観光業が大打撃を受け、経済状況が悪化しました。

過激な有機農法化を政府が行った結果

中村智彦 神戸国際大学経済学部教授

スリランカにおいて、低所得者層を直撃したのは、国内の農業生産が急低下したからです。スリランカは、元々は米を輸出できるだけの豊かな生産を誇っていました。しかし、コロナ禍の最中に化学肥料や農薬の全面禁輸を打ち出すなど、過激な有機農法化を政府が行った結果、生産量が急減、主要輸出品の紅茶は品質が低下するなど多大な影響が出ました。その他にも政府の失政が続き、通貨は下落。肥料などの輸入再開を決めた段階で、今度は輸入品価格の高騰の直撃を受けました。その結果、特に低所得者層は食料品不足や価格高騰の直撃を受け、政府に対する不満が高まったのです。主要産業である観光産業、在外スリランカ人からの送金などがコロナ禍で悪化したところに、失政による国内農業の生産力急低下による輸出の減少が止めを刺したと言えます。

コロナ禍で外国人観光客の来訪が止まったことで経済危機が深刻化

石川智久 日本総合研究所 上席主任研究員

スリランカはもともと、長年続く赤字体質の国家財政、貿易収支赤字などの問題を抱えていました。そこに新型コロナ禍で外国人観光客の来訪が止まったことで経済危機が深刻化しました。経済危機後、インフレなどに対する不満が高まり、国内では暴動が続いています。こうした政治不安を投資家も懸念して今回の国家破産に繋がったと見られます。いま、世界のエコノミストの間ではインフレによって世界中で暴動やデモが多発することが懸念されています。過去の傾向をみても食糧インフレは各国の政治を動かしました。当面世界経済は経済の悪化と政治リスクの高まりがスパイラル化する恐れが高まっています。

スリランカは日本よりも中国を選んだ

韓国が財政破綻した時はIMFがテコ入れしたとなっていますが、実質IMFを通して莫大な金額を出したのが日本。韓国の大学で近代経済学を学んでいた学生と話したことあるが、当時の韓国の経済と復活のあらゆる点を網羅すると日本には足を向けて寝られないと言っていた。しかし、それを韓国で発言しては生きていけないとも。岸田政権はスリランカに支援をするつもりならきちんと声を大にして支援をアピールしてやって欲しい。しかし、支援するべきではない。スリランカは日本の投資よりも中国の投資を選び、本気で中国と結びつくことで豊かになると思ったが、中国が梯子を外した結果。80年代から莫大な金額を日本が支援していたのに目先の中国に乗り換えた結果。

スリランカが日本へ行った冷遇策の数々

国民の方々は気の毒に思いますが日本に対しスリランカ政府からの様々な支援策への打診に対して私は日本政府には距離を保って欲しいと率直に思います。中国との蜜月が始まった当初、スリランカ政府による日本へ行った冷遇策の数々、これらは相応の覚悟を持っての選択であったはずです。未だ世界的にコロナの感染が猛威をふるっていた最中、日本政府が台湾政府にワクチンの無償供与を行った際にスリランカ政府から日本政府に対しワクチンの無償供与の要求がありましたが、その際も日本政府はスリランカ政府からの打診を見送っておりますが日本政府がその様な対応をするのには相応の理由がある事をスリランカ政府の方々は理解するべきでしょう。

無責任な物言いかもしれませんが救済はインド政府に打診される事が一番、合理的なのではないでしょうか?地政学的にスリランカが中国に取り込まれる事をインド政府は歓迎するはずはないでしょうからインド政府の最善とするスリランカの在り方を受け入れればインド政府は手を差し伸べてくれるはずです。