アメリカ国勢調査で「不法移民除外」移民の多い民主党支持地域では議席や資金が減る可能性が高い

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共和党は中国を敵視、民主党はロシアを敵視

  • 「共和党は中国を敵視、民主党はロシアを敵視」というイメージは米国政党の外交姿勢の傾向を表す表現として一定の根拠がありますが、現実には必ずしも単純な二項対立ではありません。

共和党の中国への姿勢

  • 共和党は「アメリカファースト」と安全保障重視の立場から、中国への経済的・技術的規制や貿易制限、対中デカップリング政策を強調しています。
  • 2024年のトランプ再登板後も、最恵国待遇撤回・中国製自動車輸入阻止・サプライチェーン国内回帰・同盟強化(インド太平洋戦略)など、中国封じ込めが主軸です。
  • 米国民の世論調査で「中国を最大の敵」という回答は共和党支持者で突出して高い割合となっています。

民主党のロシアへの姿勢

  • 民主党支持者の間では、最大の敵国は「ロシア」と答える比率が最も高いです。ウクライナ侵攻以降の対ロシア制裁やNATO強化政策など、民主党政権下でロシアへの警戒が強まっています。
  • バイデン政権も中国への警戒は継続していますが、「経済安全保障」や「人権外交」色が強く、共和党ほど対決色は強くありません。

世論・党派ごとの差異

支持層 中国を敵視 ロシアを敵
共和党 67% 11%
民主党 18% 48
無党派 40% 26%
  • 調査データを見ると、米国全体でも中国とロシアが「二強敵国」と認識されていますが、党派によって意識の違いが鮮明です。

補足

  • 実際には米国の外交安全保障政策は政権や状況により柔軟に変化し、中国・ロシア両国とも脅威対象と見なされています。
  • 民主・共和両党とも選挙キャンペーンや政局によって“敵視”の度合いや対象が揺れることも特徴です。

「共和党は中国、民主党はロシアを敵視する」という傾向は、世論調査データと政策綱領に表れる現実的な党派間の違いです。

 

 

一方で、共和党に有利になる

トランプ大統領、米国勢調査で「不法移民除外」を指示

トランプ大統領は2025年08月7日、米国の国勢調査から不法移民を除外するよう商務省に指示したとSNSで発表しました。不法移民をカウントしないことで、連邦下院の議席配分が変わり、共和党に有利になる狙いがあるとされています。この指示は国勢調査局を管轄する商務省に対して新たな調査の実施を指示するものです。

この措置は不法滞在者の人数を国勢調査の人口に含めないというもので、連邦下院の選挙区割りや連邦予算配分に影響を与える可能性があります。ただし、法的・実務的なハードルも指摘されており、実現には課題があると報じられています。

 

 

どんな影響が?

トランプ大統領が米国勢調査で不法移民を除外するよう指示したことは、過去と未来のデータの扱いに大きな影響を及ぼします。

過去の国勢調査では、不法移民も計上されていたため、人口データは現実の居住者数を反映し、連邦下院の議席配分や予算配分にもその人数が含まれていました。しかし、不法移民をカウントから除外すると、人口が減少したと見なされる州が発生し、特に移民の多い民主党支持地域では議席や資金が減る可能性が高い一方で、共和党に有利になると見られています。

これにより将来的には、連邦下院の議席配分や選挙人の割り当て、連邦予算の配分が変更され、移民が多く住む地域の政治的及び財政的な影響が大きくなるリスクがあります。一方で、この措置の実現には法的ハードルが高く、過去にも同様の試みは訴訟などで止められてきた経緯があります。

また、不法移民を除外することで、労働力人口の把握や経済政策にも影響が及び、労働市場に関する政策決定の基礎データが変わることも考えられています。

 

 

国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
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「国家が発展するか衰退するかは、制度、特に政治制度と経済制度の質が決定的である」と主張した書籍です。

従来の、地理的要因・文化・為政者の無知といった説明を否定し、「包括的(インクルーシブ)」制度と「収奪的(エクストラクティブ)」制度という対立概念に基づいて、国家の盛衰を解き明かします。

主なポイント

  • 包括的な制度は、多くの人々が経済活動へ自由に参加でき、イノベーションや経済成長、社会の安定につながる。
  • 収奪的な制度は、一部のエリートが権力と富を独占し、多数の人々を抑圧するため、経済成長が妨げられ、持続的な発展は難しくなる。
  • 歴史的事例として、イングランド(名誉革命後)、アメリカ、ボツワナ、日本の明治維新などは包括的制度による発展の例、逆に専制が続く北朝鮮や19世紀の中国などは収奪的制度による停滞や失敗の例として取り上げられています。

また、制度は必ずしも自発的に変わるものではなく、既得権益層と、多元的社会をめざす勢力とのせめぎ合い、歴史上の決定的な転機(革命や外圧など)によって転換するケースが多いとされます。

産業革命はイングランドの名誉革命(1688年)を経て、市民が政治参加や財産権を保障され、イノベーションや社会の活性化が促進されたために起きたと解説しています。気候・資源・宗教や民族性などより「制度」が国の成否を決定づけるとの主張が本書の核となっています。

本書は現代の発展途上国・新興国・中国などをめぐる国際的な発展論争にも一石を投じており、「持続可能な発展のためには、包摂的な制度づくりが不可欠」と問題提起しています。

 

 

 

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