妻が願った最期の「七日間」 パート 宮本 英司(神奈川県 71)

妻が願った最期の「七日間」

パート 宮本 英司(神奈川県 71)

1月中旬、妻容子が他界しました。入院ベッドの枕元のノートに「七日間」と題した詩を残して。

《神様お願いこの病室から抜け出して十日間の元気な時間をください一日目には台所に立って料理をいっぱい作りたいあなたが好きな餃子や肉味噌カレーもシチューも冷凍しておくわ》

妻は昨年1月、突然の入院となりました。すぐ帰るつもりで、身の回りのことを何も片付けずに。そのまま不帰の人となりました。

詩の中で妻は二日目、織りかけのマフラーなど趣味の手芸を存分に楽しむ。三日目に身の回りを片付け、四日目は愛犬を連れて私とドライブに行く。《箱根がいいかな思い出の公園手つなぎ歩く》

五日目、ケーキとプレゼントを1個用意して子と孫の誕生会を開く。六日目は友達と女子会でカラオケに行くのだ。そして七日目。

《あなたと二人きり静かに部屋で過ごしましょ大塚博堂のCDかけてふたりの長いお話しましょう》

妻の願いは届きませんでした。詩の最後の場面を除いて。私はあなたに手を執られながら静かに静かに時の来るのを待つわ》容子。2人の8年、ありがとう。