経済的負担の回避やレジャー志向を優先する若者が多い
フィリピンは、離婚が法律で認められていない世界でほぼ唯一の国の一つであり、その背景にはカトリック教の強い影響があります。国民の約8割以上がカトリック教徒であるため、結婚は「神聖な契約」とされ、生涯一度きりが前提とされています。
一方で、近年は社会意識や家族観が急速に変化しています。かつて「恥ずべきこと」とされた婚前交渉は形骸化し、若い世代では結婚よりも「同棲」「事実婚」を選ぶカップルが増加。同棲カップルの割合は1993年から2022年で4倍に増え、婚外子(結婚していないカップルの子ども)の数が、正式婚の子ども数を上回っています(婚外子約80万人、正式婚の子ども約60万人)。
また、経済的負担の回避やレジャー志向を優先する若者が多く、「子どもよりペット」「まずは旅行」といった価値観が主流となりつつあり、ペットをベビーカーに乗せて歩くカップルも珍しくありません。
従来の「大家族」が幸せの象徴だったフィリピンも、将来的には少子高齢化・個人主義社会へと移行しつつあるとの見方が出ています。離婚が認められない環境が、逆に結婚回避や生涯未婚率上昇を招いているという現象は、生涯独身が増えている日本とも共通点が見られます。
まとめると、フィリピンはカトリック保守国で離婚を禁じていますが、現代の若者世代では結婚へのこだわりが薄れており、事実婚・同棲の拡大、家族観やライフスタイルの多様化が進んでいます。
スタンフォード大学の心理学教授である著者が20年以上にわたる調査・研究をもとに、人間の成果や成長を左右する要因として「マインドセット(心の持ちよう)」の重要性を説いた書籍です。
この本では主に以下の2種類のマインドセットが紹介されています。
- 硬直マインドセット(fixed mindset)
「人間の資質や能力は生まれつき決まっていて変わらない」と考える心のあり方。失敗を恐れ、困難を避け、自分の才能を証明しようとする傾向が強い。 - しなやかマインドセット(growth mindset)
「人間は努力や経験によって成長できる」と信じる心のあり方。失敗を学習や成長の糧として受け入れるため、困難にも積極的に取り組み、自分をより高めようとする。
本書でドゥエック博士は、「なぜ同じ能力でも結果に差が出るのか?」という疑問から出発し、あらゆる分野で成果を出せるかどうかは“しなやかマインドセット”を持っているかどうかに大きく左右されると結論づけています。
主な内容とポイント
- 能力や才能は生まれつきではなく、努力や学習で伸ばすことができると述べ、固定的思考がパフォーマンスを制限するメカニズムを具体例とともに解説。
- 教育、ビジネス、スポーツ、対人関係など、幅広い分野での研究結果や事例を交えながら、「しなやかマインドセット」を持つ人がどう困難を乗り越え成果を出してきたかを示す。
- 「才能神話」や「努力の意義」、子どもへの褒め方や失敗への向き合い方など、日常生活や教育現場にも直結する考察を多数収録。
この本の影響と評価
- 非認知的特性(レジリエンスや粘り強さ)の重要性を広く社会に認知させるきっかけとなった一冊とされています。
- 自己や他人のマインドセットに気づき、それをしなやかに変えていく方法にも言及しています。
この本は「自己成長」「失敗を恐れず挑戦する姿勢」を後押しする、教育・子育て・ビジネスに携わる人だけでなく、すべての読者の人生観に影響を与えうる内容です。
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