日本は年金生活や仕送りで暮らしている大学生など無収入世帯が3割。それが平均年収が少なくなる理由
日本は年金生活で暮らしている無収入世帯が3割
日本の平均年収が低く算出される背景には、無収入世帯の存在と、統計上の算出方法が大きく関係しています。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」などで公表される世帯の平均所得金額は、働く現役世代だけでなく、年金受給者や学生などの「無収入・低収入世帯」も含めて全体の総額を世帯数で割って算出します。
高齢化の進展に伴い、主な収入が公的年金のみである高齢者世帯が全世帯の約3割を占めるようになっています。また、仕送りやアルバイトのみで暮らす単身の大学生などの世帯もこの統計に含まれます。
このように、労働による賃金を得ていない世帯が全体の3割近くに達しているため、現役ではたらく世代の平均年収が仮に一定であっても、国全体の平均値を大きく押し下げる構造になっています。
年金生活や仕送りで暮らしてる大学生など無収入世帯の割合ランキング
結論から言うと、先進国(OECD諸国など)において「年金生活者や仕送り学生を含めた、無収入・低収入世帯の割合」を直接比較した国際ランキングの統計データは存在しません。
理由は各国の統計制度の違いにあります。日本の「国民生活基礎調査」のように、単身の学生や高齢者単身世帯をすべて「独立した1世帯」として厳密にカウントする国は珍しく、欧米では「学生は親の世帯の一部」「高齢者も同居家族と合算」として処理されることが多いためです。
しかし、「高齢化率(年金生活世帯の予備軍)」と「若者の独り立ちの遅さ(仕送りや無収入世帯の発生頻度)」の2つの指標を掛け合わせることで、日本が世界的に見ても「無収入・低収入の単身世帯」が発生しやすい突出した構造にあることが分かります。
高齢化率の高さ(年金生活世帯の割合)
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、総人口に占める65歳以上人口の割合は日本が先進国でトップです。
1位:日本(29.3%)
2位:イタリア(24.6%)
3位:ポルトガル(24.5%)
4位:ギリシャ(23.9%)
5位:フィンランド(23.6%)
6位:ドイツ(約23%)
7位:フランス(約22%)
8位:スペイン(約21%)
9位:スウェーデン(約21%)
10位:オーストリア(約20%)
11位:オランダ(約20%)
12位:ベルギー(約20%)
13位:デンマーク(約20%)
14位:チェコ(約20%)
15位:イギリス(約19%)
16位:韓国(18.3%)
17位:カナダ(約19%)
18位:アメリカ(約18%)
19位:オーストラリア(約17%)
20位:ニュージーランド(約16%)
日本は人口の3割が高齢者であり、さらに「高齢者の単身世帯(一人暮らし)」の割合も高いため、統計上「収入が年金のみの世帯」が分母を大きく押し上げる国になっています。
大学生の「世帯」としての扱い
欧米では、仕送りをもらっている学生は「親の世帯の扶養家族」として一括で統計処理されることが一般的です。一方、日本は住民票の有無にかかわらず、一人暮らしをしていれば「独立した無収入(または低収入)世帯」として統計に反映されやすい特徴があります。
また、南欧(イタリアやギリシャなど)では若者の失業率が高く無収入に近い状態が多いですが、彼らは「親と同居」している割合が7割を超えているため、統計上で「無収入世帯」として独立することはありません。
このように、日本は「世界一の高齢化による年金世帯の多さ」と「単身者を独立世帯としてカウントする統計の仕組み」が重なっているため、結果として「無収入・低収入世帯が3割」という特異な数字が生まれ、平均年収を押し下げる要因になっています。
「世帯所得250万円未満」が51.3%を占める…みんな平等に貧しくなったニッポンの”言ってはいけない真実”
この記事は、日本の所得格差が拡大しているという一般的な認識に対し、公的なデータをもとに「日本はみんなが平等に貧しくなったことで、結果的に格差が拡大していない」という実態を解説しています。
世帯所得の減少と高齢化の影響
厚生労働省の2023年版「所得再分配調査報告書」によると、年金などの社会保障を除いた世帯所得において、年間50万円未満の世帯が全体の約3割、250万円以下の世帯が半数以上を占めています。また、平均的な世帯所得は2年間で9パーセント以上減少しています。この減少は、企業の賃下げによるものではなく、退職して現役時代の収入がなくなり年金のみに依存する高齢者世帯が増えたことが主な要因です。今後も高齢化が進むため、社会全体の世帯所得は減少し続けると予測されています。
社会保障による富の再分配
日本の社会保障制度は、高所得層から低所得層へ富を移転させる再分配機能が働いています。平均的な世帯で見ると、税金や社会保険料として支払う額よりも、年金や医療・介護などの給付として受け取る額の方が多くなっています。この仕組みにより、再分配前の格差を示す数値は、再分配後には大幅に縮小します。
格差の国際比較と実態
諸外国と比較した場合、日本の所得格差はアメリカやイギリス、韓国などよりも小さく、経済格差は中程度に位置します。過去12年間のデータをみても、再分配後の格差はほとんど拡大していません。また、過去30年間で会社員の給与の中央値は約9パーセント下がっていますが、共働き世帯が増えたことで世帯全体の崩壊を防いできました。さらに、上位1パーセントの富裕層が占める所得シェアは他国に比べて極めて低く、突出した金持ちが少ない国となっています。
結論として、日本は理想的な格差の小さな国である反面、個人の才能で大きな富を得ることが難しい、みんなが平等に貧しくなった社会であると言えます。
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