「安全な国」というイメージを国際社会に発信、国内では反発の芽を事前に摘み取る戦略
2025年09月12日 中国、刑事事件が前年比で約25%減少 「世界が認める最も安全な国の1つ」背景に“原点回帰”
中国政府が発表した刑事事件25%減という数字の背景には、従来型の警察力強化ではなく「社会全体を使った監視・抑制」という「楓橋経験」の再利用があります。数字の改善を誇示する一方、それは市民相互の密告奨励、テクノロジーと人間を組み合わせた監視の拡大、失業者など「不満を抱きやすい層」への先制的な管理につながっています。
発表内容
- 2024年の刑事事件件数が前年比25.7%減少と発表。
- 「中国は世界で最も安全な国の一つ」と強調。
背景となる政策
- 楓橋経験の現代版:毛沢東時代に住民同士の相互監視で治安を維持した手法を復活。
- 密告奨励制度:国家安全に関わる事案の通報者に報奨金。
- 重点監視対象:投資失敗や失職した人々を見つけ、日常的に管理する仕組み。
- 市民ボランティア治安協力:パトロールや警備への自発参加が増加。
監視テクノロジー
- 国内に設置された監視カメラは4億台以上と言われる。
- AI・ビッグデータと連動した高度な監視システムが普及。
背景にある社会状況
- 経済停滞や失業率上昇で市民の不満が高まっており、政府は治安維持を名目に社会統制を強化。
- 無差別殺傷事件が広東省や北京などで近年相次ぎ、そのたびに「予防管理」が拡張されている。
まとめ
- 表向きは「犯罪減少=安全」とアピールする数値ですが、実態は市民社会の自由が狭められ、相互監視と徹底した管理によって治安が維持されている構図です。経済の不安定さが続く中、政府は「安全な国」というイメージを国際社会に発信しつつ、国内では反発の芽を事前に摘み取る戦略を取っていると考えられます。
「楓橋経験」とは?
楓橋経験の歴史的背景
- 起源(1960年代・毛沢東時代)
- 浙江省諸曁県楓橋鎮で始まった住民の自主管理・相互監視の仕組み。
- 小さなトラブルや軽犯罪を警察や司法に持ち込まず、住民相互の「思想教育」や「矯正」で解決する方式とされた。
- 毛沢東はこれを「社会主義秩序維持の模範」と称賛し、全国的に宣伝・拡大。
目的と機能
- 国家権力の負担を軽減し、住民自らが治安維持と思想統制を担う。
- 社会的な「問題人物」を早期発見し、居住エリア単位で“再教育”する。
- 実際には密告の奨励・相互監視による統制強化の側面が大きかった。
現代への復活(習近平政権下)
- 2010年代後半から治安政策として再び重視。
- 2021年には「新時代の楓橋経験」として制度化し、通報者への報奨金制度やボランティア巡回を全国展開。
- “トラブルの芽は地域で摘み取る”を掲げ、政治的不満や社会不安の抑圧にも利用されている。
国際的評価と批判
中国政府の主張
- 「社会の安定と犯罪抑止に成功したモデル」として積極的にアピール。
治安指標や犯罪減少を成果とし、世界に「安全な国」のイメージを発信。
国際的懸念
- 人権団体や欧米政府は「住民同士の相互監視は社会的自由の侵害」と批判。
- プライバシー権の侵害、通報制度が冤罪や差別的取り締まりを助長する危険性を指摘。
- 「社会信用システム」や監視カメラ網と組み合わされることで、国全体が常時監視社会化していると警戒される。
- 国連人権理事会でも、中国の治安モデルは「秩序維持の名を借りた市民統制」との議論が繰り返されている。
総括
- 「楓橋経験」は毛沢東時代から続く「社会に治安維持を担わせる仕組み」であり、現在はデジタル監視や報奨制度と結びついて高度化しています。中国政府は「安全保障の最適解」と喧伝する一方、国際的には「監視社会モデル」として強い警戒の対象です。
2025年09月12日 米テクノロジー企業が中共の監視網に技術提供 国民監視に加担
- 米メディアAP通信の調査によると、マイクロソフトやインテルを含む米大手テクノロジー企業が、20年以上にわたり中国の巨大監視システム構築に技術提供を行い、中共の国民監視に間接的に加担していたことが明らかになった。提供された技術は「グレート・ファイアウォール」や顔認証、DNAデータベース、ビッグデータ解析などに利用され、市民弾圧や少数民族・民主活動家の監視に活用されてきた。
監視システムの特徴
- 世界最大規模の監視網で「パノプティコン(全展望監視システム)」と例えられる
- 携帯基地局、監視カメラ、顔認識、車両ナンバー、ID利用履歴などを統合
- アプリ取引、ウェブ閲覧、微信・アリペイの決済情報まで当局がアクセス可能
米企業の関与
- 具体的に名指しされた企業:マイクロソフト、インテル、デル、HP、シスコ、オラクル、エヌビディア、サーモフィッシャー、IBM
- IBMは中国企業「華迪」と協力し、ファイアウォール設計に関与
- 当企業側は「直接関与を否定」しているが、製品や技術が監視網に組み込まれた
人権侵害への利用
- 法輪功学習者、ウイグル人、民主活動家などへの弾圧に使用
- 陳情や言論活動を行った市民が、監視下で拘束・暴力を受ける事例が多数報告
- 習近平政権下では国内利用だけでなく国外への「専制の輸出」も進む
国際的反応と懸念
- 米国からの技術供給は減少傾向にあるが、既存の技術が監視網の中核に
- 中国が自前で技術を発展させ、米企業を凌ぐ分野も出現
- 国際社会では、技術輸出の倫理性や企業責任を問う声が拡大
この調査は、米IT企業のグローバル戦略と倫理的責任、そして中国の監視国家化の加速をどう抑止するかという国際的課題を改めて浮き彫りにしている。
本当の気持ちはどこに消えた? 量子力学式 感情を解放する方法
- 著者の前作『宇宙一わかりやすい「量子力学」大全』で好評を博した理論を応用し、量子力学の考え方で自分の感情を解放する方法を解説しています。
主な内容は次のようなテーマで構成されています。
- 大切なものは目に見えない
- 現実は固まっていない
- 自分にどれだけ価値があるかを知る
- 自分をどれだけいじめているかを知る
- 他人の目を気にしない
この本を通じて、量子力学的な視点で心の在り方や感情の扱い方を理解し、自己解放につなげることが目指されているとのことです。
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