水需要減少や治水対策手段の変化などを踏まえると微妙
八ッ場ダムは作って正解だった？
八ッ場ダムの建設は、豪雨時の洪水抑制や首都圏への安定した水供給など複数の目的で進められましたが、賛否両論が続いています。
ダム建設の主な目的
- 利根川流域の洪水調節機能を持ち、群馬県やその下流域の大規模な洪水被害軽減を図る設計です。
- 首都圏の生活用水や工業用水を安定的に確保する役割も持ちます。
評価される治水効果
- 台風や豪雨時には利根川の水位上昇を抑え、下流の氾濫リスクを減少させたと評価されています。
- 2019年の台風19号時には、八ッ場ダムが短期間で大量の水を貯留し、氾濫防止に寄与したという公式見解があります。
問題点や批判的見解
- 首都圏の水需要自体が減少傾向にあり、ダムの利水効果は将来的に縮小するとの意見も見られます。
- 治水の効果についても、堤防の強化や河道の整備の方が有効だという批判があり、八ッ場ダム単体での洪水防止効果は限定的と指摘されています。
- 事業費が約5320億円と極めて高額であったことや、地元住民の反対・移転などの社会的負担も議論の対象です。
総合的判断
- 八ッ場ダムは豪雨災害対策や水資源安定供給という点において、一定の役割を果たしてきたとされていますが、水需要減少や治水対策手段の変化などを踏まえると、「完全に正解だった」とは言い切りにくい面もあります。評価は目的によって異なり、メリットと課題の両方が存在します。
どの政治家が進めた？
八ッ場ダム建設を推進した主な政治家は以下の通りです。
- 自民党の佐田玄一郎元行政改革担当相が「八ッ場ダム推進議連」の会長を務め、国会で建設推進の先頭に立ちました。小渕優子衆院議員も同議連発足の呼びかけ人の一人です。
- 2009年の政権交代後は、民主党の前原誠司国土交通大臣が当初建設中止を表明しましたが、地元の強い反発を受けて後任の馬淵澄夫国交相が中止方針を事実上撤回し、最終的に前田武志国交相が2011年に建設再開を決断しました。
- 自民党内部では1970年代に国土庁長官の金丸信が推進を強めた一方で、中曽根康弘幹事長が反対するなど意見が分かれていました。
つまり、長期にわたり自民党が推進の中心で、民主党政権下でも建設継続に傾く動きがあったことが特徴です。
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