マンションは持続可能な住宅なの?
区分所有という権利構造と合意形成の難しさから、超長期(耐用年数を大きく超えた段階)におけるマンションの持続可能性には構造的な限界があります。戸建て住宅のような所有者の裁量による建て替えや解体が難しいためです。
日本のマンションにおける持続可能性の実態と主な課題は以下の通りです。
合意形成の壁
建て替えには区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要です(区分所有法)。高齢化や空き家化、投資目的の所有者の増加により、全員の意思疎通すら困難になるケースが増えています。
費用負担の問題
解体および建て替えには莫大な費用がかかります。容積率に余裕があり、余剰床を売却して建築費を充当できる一部の立地を除き、住民の自己負担額が高額(数千万円単位)になるため合意に至りません。
解体・敷地売却の難易度
建て替えを諦めて敷地売却(解体)を選択する場合でも、5分の4以上の賛成が必要です。売却後の退去先を確保できない高齢住民の反対や、資産価値が低い物件での買主の不在が課題となります。
建物の物理的寿命と修繕の限界
RC(鉄筋コンクリート)構造自体は適切な修繕を行えば100年近く維持可能とされています。しかし、配管類の老朽化や耐震不足といった機能的劣化の修繕には多額の積立金が必要となり、修繕積立金の不足や滞納が持続可能性を阻害します。
まとめ
制度上の見直しや円滑化法などの対策は進められているものの、立地条件や住民構成に依存する部分が大きく、すべてのマンションを持続可能とみなすのは困難な状況です。
行き着く先はどのような結末?
耐用年数を大きく超え、自主的な建て替えも修繕も困難になったマンションが辿る主な結末は、大きく分けて以下の4つに収束します。
限界マンション(放置・スラム化)
最も多く発生すると懸念されているパターンです。
修繕積立金の不足や住民の高齢化・不在化により、必要な修繕が行われなくなります。外壁の落下、配管の破損、水漏れなどが放置され、衛生環境や安全性が著しく低下します。空室が増えることでさらに管理費が集まらなくなり、最終的には管理組合が機能不全に陥ります。
区分所有建物解消制度・敷地売却(売却・解体)
建て替えが費用面で不可能な場合に行われる選択肢です。
区分所有法や被災マンション法などの枠組み(5分の4以上の賛成など)を利用し、マンションを解体して敷地全体を不動産事業者などに売却します。住民は売却益を分配して退去します。ただし、立地が良く敷地自体に一定の価値が残っている物件に限られます。
行政介入・一括収用(行政代執行)
周辺地域への危険性が著しく高まった場合、行政が介入します。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」や「空家等対策の推進に関する特別措置法」等に基づき、特定空家や危険建築物に指定され、最終的には行政代執行による解体が行われるケースです。解体費用は所有者(区分所有者)に請求されますが、所有者不明や資力不足により回収不能となることも多く、社会問題化します。
自主的な危険建物指定と退去(住まいの喪失)
住居としての安全基準を満たさなくなり、自治体等から居住禁止や避難勧告が出される状況です。
建て替え費用も捻出できず、売却もつかない場合、住民は資産価値が実質ゼロ(または負債)となった部屋を残したまま退去せざるを得なくなります。
まとめ
築年数の経過に伴い、立地や住民の財務状況によって「資産として売却・清算できる物件」と「修繕も解体もできず放置される物件」への二極化が明確になっていきます。

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