オーバーツーリズムの原因 以前より多くの途上国の人々が旅行できるようになったから

世界

 

IT産業が途上国で拡大し、労働者の雇用機会が増えた結果

オーバーツーリズムの原因の一つに、IT産業の発展による途上国での労働者雇用の増加と所得向上が挙げられます。IT産業が途上国で拡大し、労働者の雇用機会が増えた結果、所得が増加し、以前より多くの途上国の人々が旅行できるようになりました。これにより、途上国からの旅行者が増え、観光地に過度な訪問者集中が生じることがあります。​

オーバーツーリズムはこれに加え、交通手段の多様化や航空運賃の低下、SNSの普及や観光市場自体の拡大が複合的に絡み合っています。特に世界の中間層人口の増加や経済成長(特に東南アジアやインドなどの途上国の成長)によって、旅行がより身近になり、訪日や他国観光地への旅行者が増えていることも大きな要因です。​

まとめると、IT産業の発展で途上国の雇用と所得が増えたことが旅行者増加の一因となり、それに加えて交通の利便性向上や情報伝播の迅速化が観光客増加を促進し、これらがオーバーツーリズムの背景にあります。

 

 

2025年10月17日 【観光立国と大きく叫ぶ政府】外国人インバウンドはGDPのわずか1%前後と判明 「治安悪化する弊害の方が圧倒的に多い」と話題に[観光庁資料]

観光庁の資料によると、外国人インバウンド(訪日外国人観光客)が日本のGDPに与える直接的な経済効果は約1%前後にとどまっています。一方で、訪日客増加に伴う治安悪化や生活環境の悪化、オーバーツーリズムによる地元住民の生活圏の侵食、インフラや公共サービスの圧迫が深刻化し、地域社会への負担が大きくなっています。政府は観光を成長戦略の柱と位置づけていますが、経済効果に比べて治安や文化、環境への負荷が無視できないレベルにあり、単に訪問者数を増やすだけでなく、持続可能な社会の維持や地域との共生を重視した見直しが求められているという指摘が強まっています。地域住民からは観光による負の影響や税収の還元不足への不満も大きく、インバウンド観光の「数の拡大」ではなく質や地域との調和への転換が必要とされています。​

つまり、観光立国として外国人観光客を増やす政策は、GDPの面での効果は限定的であり、治安や生活環境の悪化などの社会的コストの方がむしろ大きいとの批判・議論が現在の日本社会で活発に行われています。これからは観光政策を経済効果だけでなく、地域の持続可能性や住民の生活の質を守る視点から見直すことが重要とされている状況です。

 

 

2025年、カリフォルニアのワイン産業は危機に瀕している

2024年06月28日 世界で最も「観光で稼いでいる国」は?日本が「稼ぐ観光」を実現するために、海外事例から学べること

世界で最も観光収入を得ている国(2023年)

  • 国際観光収入1位はアメリカ(1760億ドル)。
  • 2位はスペイン、3位イギリス、4位フランス、5位イタリア。
  • フランス(686億ドル)の約3倍の観光収入をアメリカが得ている。
  • 一方で、外国人旅行者数1位はフランス。

アメリカが観光収入で成功している理由

  1. ナパ・バレー(カリフォルニア州)
    ・ワイン産地であり、「ナパ・バレー」全体を地域ブランド化。
    ・富裕層をターゲットにした高付加価値型観光を展開。
    ・平日昼間など混雑を避けた贅沢な体験時間を販売し成功。
  2. ハワイ州
    ・1990年代のハリケーン被害と日本のバブル崩壊で観光客減。
    ・州観光局(HTA)が設立され、明確な目標設定とマーケティング戦略で回復。
    ・現在は「オーバーツーリズム」対策と住民満足度の両立へシフト。
    ・予約制導入や鉄道スカイライン運用を通じて持続可能な観光を推進。

日本への示唆:「稼ぐ観光」実現に向けて

  • 観光を経済成長の柱とする「観光立国推進基本計画」を2023年に閣議決定。
  • 日本は三大都市圏への集中が課題で、地方誘客と高付加価値化が鍵。

課題と方針:

  • 地域資源(自然・文化・食)を活かした質の高い体験作り。
  • 地域間連携による広域周遊の促進。
  • 長期滞在を促す滞在体験の充実。
  • 人材・交通インフラなど受け入れ環境の拡充。
  • 付加価値化により地域経済へ還元する循環の構築。

学ぶべき点

  1. ナパ・バレー型:
    「高価格帯・富裕層」向け戦略。
  2. ハワイ型:
    「地域生活と観光の共生」・持続可能性重視。

 

 

フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来
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情報通信技術やグローバル経済の進展によって、世界中の人々や企業が同等の条件で競争できる時代が到来したというテーマの書籍です。

21世紀初頭、インターネットの発達や中国・インドをはじめとする新興国の経済成長によって、地理的な障壁が低くなり、ビジネスや知識の流通における「水平化(フラット化)」が進行していると論じています。この「フラット化」は、個人や企業が同じ土俵で競争できることを意味し、世界的な経済構造の変化を強調しています。

フラット化をもたらした要因。著者は「10の圧力(フラット化の原因)」を挙げています。

  1. ベルリンの壁の崩壊(1989年)
    東西の分断が解除され、世界が単一市場に近づいたことに加え、電子メールなどの通信手段の発展を促進した。
  2. ネットスケープのIPOと光ファイバーへの過剰投資
    ブラウザの登場でインターネット利用が爆発的に広がり、光ファイバーケーブルへの大量投資により高速通信環境が整った。
  3. 共同作業を可能にした新しいソフトウェアの登場
    Web連携技術が標準化され、異なるソフト同士の自動連携が可能となり、イノベーション促進につながった。
  4. ワイヤレスとモバイルの普及
    携帯電話、Wi-Fi技術の普及により、場所を問わない通信が可能になった。
  5. アウトソーシングとオフショアリングの拡大
    仕事やサービスが国境を越えて分散され、低コスト地域に移転が進んだ。
  6. サプライチェーンの新しい管理と流通システム
    世界的に効率的な物流や在庫管理の仕組みが整い、企業間の協業が容易になった。
  7. オープンソースソフトウェアや標準化の進展
    無償で使えるソフトウェアや共通規格が広まり、技術普及の壁を下げた。
  8. スタンダード化したプラットフォームの確立
    WindowsやLinuxなどの共通プラットフォームが企業や個人の情報処理を統一した。
  9. 企業や人材のグローバルな活用
    世界中の人材や企業が協業・競争できる環境が整備された。
  10. 情報のステロイド化
    「デジタル」「ワイヤレス」「モバイル」「バーチャル」「パーソナル」技術が掛け算され、情報伝達・共有が爆発的に加速した。

評価と課題

  • 本書はグローバル化を推進する立場から書かれており、フラット化された世界では個人や企業が自由にネットワークを活用し、新たな価値や仕事を生み出す機会が拡大しています。一方で、知的財産保護や国境・法制度の在り方、社会的な摩擦・格差といった課題も指摘されています。

 

 

 

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