米国内では賛否両論、都市部やリベラル派からは強い批判
2025年のトランプ第2次政権は、民間刑務所の活用を含めた厳罰化や不法移民対策を強力に推進する傾向が強いです。具体的には、南部フロリダ州の湿地帯にワニの生息域を利用した新たな移民収容施設を設けるなど、脱走が極めて困難な環境での拘留を目指しています。また、アルカトラズ刑務所の再開を司法省に指示し、象徴的に厳罰主義を打ち出しています。
さらに、不法移民の拘束や強制送還を強化し、一部の収容者をキューバのグアンタナモ米軍基地に移送する方針も具体化しています。これには不法移民者拘禁法案の成立も含まれ、軍用機による強制送還支援も検討されていますが、国防総省には一定の慎重姿勢も見られます。
エルサルバドルに米国内の犯罪者を有償で送るといういわゆる「刑務所のアウトソーシング」案も2025年に検討され、トランプ政権は法的権限があれば迅速に実行する意向を示しています。これも民間刑務所運用のコスト削減や厳罰化の文脈と連動しています。
これらの施策は不法移民や犯罪者に対する厳しい姿勢を示したものとして、米国内では賛否両論があり、都市部やリベラル派からは強い批判も出ていますが、トランプ政権は強硬路線を継続している状況です。
まとめると、2025年のトランプ政権は民間刑務所の活用検討も含め、厳罰化と不法移民対策の強化を目指す政策傾向が顕著です。
アメリカの刑務所民営化の問題
主に以下の点で指摘されています。
- 過剰収容と財政難を背景に1980年代に開始されたが、民営刑務所は運営の質が確保できず、安全面や受刑者の処遇に問題があるため、連邦政府は段階的に民営刑務所を廃止する方針を発表している。
- 民営刑務所は利益追求のために運営コストを削減し、人件費やサービスの質を低下させる傾向にある。例えば、職員の給与を公営施設より低く抑え、受刑者1人あたりのコストも減らしているが、その分処遇の質が下がっているとの指摘がある。
- 収容率保証契約が多く、一定数の受刑者がいなければ州が民営刑務所に補償金を支払う仕組みとなっており、これが「受刑者を増やすインセンティブ」につながる懸念がある。
- 民営刑務所の経営企業は株主に利益を還元する必要があるため、利益優先の運営が犯罪者の過剰収容や処遇の不備を助長しているとの批判が強い。
- 州によっては刑務所の民営化を禁止していたり、民営化を縮小・停止する動きもある。イリノイ州では1990年から民営刑務所を禁止し、最近は非営利団体への委託に限定する動きがある。
- バイデン政権も民営刑務所の段階的廃止を進めており、社会復帰支援や安全管理などの質の問題に対応している。
このように、民営刑務所はコスト削減や効率化を掲げつつも、利益優先の経営が受刑者の人権侵害や再犯防止機能の低下、さらには刑務所利用を増やす構造的な問題を生んでいるため、問題視されていることがわかります。
ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫)
- 「人間の文化は遊びにおいて、遊びとして、成立し、発展した」とする著作です。この中でホイジンガは、遊びを単なる余暇や暇つぶしの行為とは捉えず、文化の根源にある本質的な活動として位置づけています。
ホイジンガによる遊びの定義の特徴は以下の通りです。
- 遊びは自由な行為であること。つまり、日常の義務や必要性から離れた、自発的で自由な活動であること。
- 遊びは非日常的な活動領域を形成し、持続時間や場所によって区別される。つまり、遊びは日常生活の外に限られた時間と空間で完結するものであること。
- 遊びは利害関係や功利的目的から離れているため、純粋に遊びそのもののために行われる。
- 遊びは表現的で時に闘争的な性質を持つこともある。遊びは争いであったり、何かを象徴的に表現する「ルールに従う」行為でもある。
- 文化の中のもの(法・戦争・芸術・科学など)も、遊びの形式や秩序に基づく根源的な性質を持つと分析される。
ホイジンガは「ホモ・ファーベル(作る人)」よりも「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」としての側面が人間の本質に近いとし、人類の文化や社会構造は遊びの活動を基盤としていると看破しました。また、近代社会において功利的な行動が遊びを圧迫し、その結果、文化の危うさも指摘しています。
この考えは、歴史学、人類学、言語学などの多分野を統合する形で論じられ、遊びを文化の発展や文明の核心に据えた重要な理論として知られています。
遊びを人間文化の根源的要素と捉え、その自由性・非日常性・象徴的なルール性に着目して遊びの構造を定義づけた著作であり、文化の成立と発展に不可欠なものとして考察されたものです。
以上が、ホイジンガによる「文化のもつ遊びの要素についての定義づけ」の核心的内容です。