イギリス料理は卓上の調味料をかけて完成なのに、観光客は完成品が提供されてると思い込んで何もかけずに食べてマズイ評価をしていると高校時代の恩師に教えてもらった
イギリス料理は卓上の調味料をかけて完成
イギリス料理に対する「まずい」という評価の背景には、提供された状態を完成品と捉えるか、卓上での味付けを前提とした素材と捉えるかの認識の相違があります。
伝統的なイギリス料理の多くは、食べる側が自分の好みに合わせて塩、胡椒、酢、ソースなどで最終的な味を調整することを前提に調理されています。
卓上調味料によるカスタマイズの文化
イギリスの食文化において、パブや家庭で提供される料理は、厨房での味付けを最小限に留める傾向があります。
これは、素材の味を尊重するという側面もありますが、それ以上に「自分の皿の味は自分で決める」という個人の好みを重視する習慣が根付いているためです。
例えば、フィッシュ・アンド・チップスには大量のモルトビネガーと塩をかけるのが一般的ですし、ローストビーフにはイングリッシュ・マスタードやホースラディッシュが欠かせません。
観光客の誤解と期待値のズレ
一方で、フランス料理や日本料理のように、シェフが完璧に味を整えた状態で提供される食文化に慣れている観光客にとって、そのままの状態で味が薄いと感じるのは自然な反応です。
「提供されたものが完成品である」という前提で一口目を食べ、そこでインパクトが欠けていると、その後の調味料による調整というステップに思い至らずに評価を確定させてしまうケースが散見されます。
特に、歴史的に質の低い食材を使わざるを得なかった時代の名残として、過度に加熱された野菜などがそのまま出されることも、不評に拍車をかけてきました。
現代のイギリス料理の変遷
ただし、近年では「ガストロパブ」の台頭や、多国籍なスパイスの使用により、最初からしっかりとした味付けで提供されるレストランも増えています。
伝統的な「セルフ調味スタイル」を理解している層と、現代的な調理法を求める層の間で、イギリス料理に対する認識は二極化していると言えます。
結果として、卓上のソルト&ペッパーや各種ソースを活用する文化を知っているかどうかで、イギリスでの食事体験の満足度は大きく変わります。
東南アジアでも卓上の調味料をかけて味を仕上げるケースが多い
東南アジア料理も卓上の調味料をかけて完成
東南アジアの食文化において、卓上調味料による味の調整は「自分好みの最適解」を作るための不可欠な工程です。タイの「クルンプルン」に代表されるように、甘味、辛味、酸味、塩味のバランスを個人の体調や好みに合わせて完成させることが前提となっています。
タイのクルンプルンと四味の均衡
タイの食堂では、砂糖、ナンプラー(魚醤)、唐辛子入りの酢、粉唐辛子の4種類がセットになった「クルンプルン」と呼ばれる調味料セットが必ず置かれています。
調理場ではベースとなる旨味や塩味を整えますが、最終的な刺激や甘みの強度は食べる側に委ねられています。これは、同じ料理でも朝と夜、あるいはその日の気温や体調によって求める味が異なるという考えに基づいています。麺料理などは、これらを加えることで初めて料理として成立すると考えられています。
ベトナムの鮮度と酸味の追加
ベトナムでは、フォーなどの麺料理に生のハーブ、ライム、唐辛子が大量に別皿で添えられます。
これらを食べる直前に投入することで、スープに鮮烈な香りと酸味を加え、脂っぽさを中和させます。また、ヌクマム(魚醤)やチリソースを小皿に取り、具材をディップして食べるスタイルも一般的です。スープ全体の味を壊さずに、個別の具材にアクセントをつける工夫が見られます。
インドネシアのサンバルによる多様性
インドネシアでは「サンバル」と呼ばれるチリペーストが食卓の主役です。
店ごとに独自のレシピがあり、辛さだけでなくトマトの酸味やエビの塩辛い旨味が凝縮されています。ナシゴレンやアヤムゴレン(鶏の揚げ物)など、料理そのものは比較的シンプルに調理されることが多いため、サンバルをどの程度加えるかによって、料理の性格が劇的に変化します。
イギリス文化との比較と共通点
イギリスの調味料使用が、主に塩や胡椒、酢といった「不足している味を補完する」という側面が強いのに対し、東南アジアでは「多層的な味のレイヤーを重ねて複雑化させる」という創造的な側面が目立ちます。
どちらの文化圏においても、料理人が100パーセントの完成品を押し付けるのではなく、食べる側の自律性を尊重している点が共通しています。これを知らずに、提供されたままの状態で味を判断してしまうと、その料理の本来のポテンシャルを見誤ることになります。
かば焼きにする理由はウナギの油に臭みがあるからって聞いたことあるけど、下処理方法か調味料変わったのかなあ?でも昔の味を再現って言っているしなあ
かば焼きにする理由はウナギの脂のくさみ
ウナギをかば焼きにする主な理由は、強力な加熱によって独特の脂の臭みを抑え、特有の風味を引き出すためです。
川魚であるウナギは、その生息環境や餌に由来する泥臭さや、酸化しやすい脂の匂いを持っています。
濃い醤油ベースのタレを付けて焼くことで、メイラード反応による香ばしさが加わり、臭みをマスキングしながら旨味を最大限に引き出すことができます。
脂の性質と臭みの関係
ウナギの脂質含有量は魚類の中でも非常に高く、身の約20パーセント前後を脂が占めることもあります。
この脂には不飽和脂肪酸が多く含まれており、鮮度が落ちると酸化しやすく、それが特有の生臭さの原因となります。
また、ウナギは泥底に生息するため、皮膚や脂肪層に泥の粒子やプランクトン由来の成分が取り込まれやすく、これが「泥臭さ」として感じられます。
焼く工程による脱臭効果
かば焼きの工程における「焼き」の作業は、単に火を通すだけでなく、余分な脂を落とす役割も果たしています。
炭火などの強い遠赤外線でじっくり焼くことで、皮の下にある厚い脂肪層から脂を適度に溶かし出し、臭みの元となる成分を排出させます。
溶け出した脂が炭に落ちて立ち上がる煙が、さらにウナギを燻製のようにコーティングし、複雑で豊かな香りを付与します。
タレによるマスキングと化学反応
かば焼きに使われるタレは、醤油、みりん、砂糖などが主成分です。
加熱中にタレに含まれるアミノ酸と糖が反応するメイラード反応により、非常に強い芳香成分が生成されます。
この香ばしさが、ウナギに残ったわずかな泥臭さを完全に覆い隠し(マスキング効果)、日本人の好む風味へと変化させます。
蒸しの工程と臭みの除去(関東風)
特に関東風のかば焼きでは、焼く前に「蒸し」の工程が入ります。
この蒸しの作業によって、身を柔らかくするのと同時に、さらに余分な脂を落とすことができます。
脂が適度に抜けることで、よりさっぱりとした仕上がりになり、臭みに対してさらに敏感な場合でも食べやすくなります。
付け合わせの役割
かば焼きに山椒をかける習慣も、この臭み対策と深く関わっています。
山椒に含まれるサンショオールという成分は、爽やかな香りで脂のしつこさを中和し、舌の感覚を適度に刺激して脂の重さを感じにくくさせる効果があります。
古くから続くかば焼きの技法は、ウナギという素材の欠点を克服し、長所を活かすための合理的な調理システムと言えます。
