ガソリン税の暫定税率で美味しい思いが出来た議員はいた?

ガソリン税の暫定税率で美味しい思いが出来た議員はいた?

ガソリン税の暫定税率(現在は「当分の間税率」)は、長年にわたり政治的な利権や「族議員」の存在と深く結びついて語られてきました。議員たちがどのように「美味しい思い」をしてきたとされるのか、その構造を整理して解説します。

道路族議員と建設業界の強固な結びつき

かつてガソリン税は「道路特定財源」として、使い道が道路建設に限られていました。 この仕組みが、特定の議員に大きな力を与えることになりました。

  • 予算配分への影響力:道路族と呼ばれる議員たちは、ガソリン税で集まった膨大な予算をどこに配分するかを決定する強い権限を持っていました。

  • 地元への利益誘導:自分の選挙区に道路や橋を作ることで、「仕事をしてくれる先生」として票を固めることができました。

  • 献金と選挙支援:道路予算が流れ込む建設業界から、政治献金や選挙時の組織票という形でリターンを得る構造がありました。

暫定税率の「維持」そのものが目的化

1974年に「3年間の期限付き」で始まった暫定税率が、50年以上も維持されてきた背景には、この予算規模を小さくしたくない政治的意図がありました。

  • 一般財源化後の利権:2009年に道路特定財源制度は廃止され、ガソリン税は「何にでも使えるお金(一般財源)」になりました。しかし、税率を下げると政府の財布が軽くなるため、時の政権や財務省に近い議員にとっては、財政赤字の穴埋めや他の政策予算を確保するための「便利な打ち出の小槌」として維持され続けました。

  • 天下り先の確保:道路特定財源があった時代は、道路公団などの関連法人に多くの役人が天下りしていました。これらを差配するのも族議員の役割であり、官僚に対する影響力を強める源泉となっていました。

最近の動き:補助金という新しい「利権」の懸念

近年、暫定税率を維持したままガソリン価格を抑えるために「補助金」が投入されています。これについても、新たな問題が指摘されています。

  • 不透明な流れ:税金を下げる(暫定税率廃止)のではなく、石油元売り会社に補助金を出す方式は、結局のところ大手企業に多額の公金が流れる仕組みです。これが特定の業界団体と政治家の癒着を生んでいるのではないかという批判が常に付きまといます。

まとめ

議員個人が直接ガソリン税をポケットに入れたわけではありませんが、その税収を背景にした「予算の差配権」や「業界との癒着」を通じて、権力維持や集票という形で多大な恩恵を受けてきたことは歴史的な事実と言えます。

2026年現在、暫定税率の廃止が議論の遡上に載っていますが、これは長年続いた「取れるところから取る」という政治構造への大きな転換点となっています。

具体的な名前

ガソリン税の暫定税率や道路特定財源を巡り、強大な権限を持っていた政治家は「道路族」と呼ばれ、その中心人物たちは「道路族のドン」などと称されました。具体的に名前が挙がることが多い歴史的な有力議員を数名挙げます。

田中角栄(元首相)

道路特定財源制度そのものの生みの親と言える人物です。

1953年に「ガソリン税を道路建設の財源にする」という仕組みを議員立法で成立させました。「日本列島改造論」を掲げ、全国に道路網を整備することで地方に予算を配分し、圧倒的な支持基盤を築きました。

金丸信(元自民党副総裁)

1980年代から90年代にかけて、「道路族のドン」として君臨しました。

建設大臣を歴任し、道路予算の配分に絶大な影響力を持っていました。建設業界とのパイプが極めて太く、公共事業を通じて地元や派閥に利益を還元する「利権政治」の象徴的な存在として語られます。

古賀誠(元自民党幹事長)

「道路族」の系譜を継ぐ有力者として長く影響力を持ちました。

自民党の道路調査会長などの要職を歴任し、道路特定財源の一般財源化(2009年)に最後まで強く抵抗した議員の一人です。道路予算を死守することが、地方経済と政治基盤を維持するために不可欠であるという立場を鮮明にしていました。

二階俊博(元自民党幹事長)

運輸族・建設族としての側面を持ち、国土強靱化などを旗印に公共事業予算の確保に尽力してきました。

ガソリン税の暫定税率維持や、道路整備を推進する立場から、関連業界や地方自治体との強固なネットワークを維持していました。

なぜ彼らが「美味しい思い」をできたと言われるのか

これらの有力議員たちは、直接的に税金を個人の口座に入れたわけではありません。しかし、以下の形で大きな「実利」を得ていました。

  • 政治資金:公共事業を受注する業界団体からの多額の献金。

  • 票の確保:道路ができることで潤う地元企業や住民からの組織票。

  • 人事権と権力:膨大な予算の行き先を決めることで、官僚(旧建設省など)や若手議員に対して絶対的な支配力を持つこと。

これらの仕組みが、ガソリン税の暫定税率を「期限が切れても延長し続ける」という不自然な政治判断を長年支えてきた背景にあります。