高市首相への援護射撃?スターマー首相「中国は真の国家安全保障上の脅威」

2025年12月03日 中国、英首相に「真の国家安全保障上の脅威」と呼ばれ猛反発

  • 英国のキア・スターマー首相が、中国を「真の国家安全保障上の脅威(a genuine national security threat)」と呼んだことに対し、中国政府が強く反発した。発言はロンドン市長主催の晩さん会での演説中に行われ、首相は人権問題を含む懸念を今後も中国政府に直接提起していく意向を示した。

背景と経緯

  • 英政府は、中国との関係修復を模索していた。スターマー首相は2024年11月に習近平国家主席と会談し、2018年以来の英中首脳会談として関係改善の兆しを見せていた。
  • しかし、スパイ活動の疑惑や香港の統治を巡る対立などにより、緊張関係は依然として続いている。

スターマー首相の発言要旨

  • 中国は「真の国家安全保障上の脅威」であり、人権問題について引き続き指摘していく。
  • 英国の対中政策を「一貫性のないもの」にはしないとし、過去の対応を「職務怠慢」と批判。
  • 貿易、核拡散、AI、気候変動などでは協力を進めるが、安全保障面では厳しく対応する姿勢を強調。
  • スパイ活動抑止のために治安機関(MI5など)に権限強化を約束した。

中国側の反応

  • 在英中国大使館は、「根拠のない非難」「内政干渉」として強く反論。
  • 「中国の発展はいかなる国にも脅威をもたらさない」と主張し、スターマー発言を「誤り」と断定。
  • 香港問題についても「純然たる内政問題」とし、英国に発言の資格はないと非難した。

現状と展望

  • 英国内では、中国によるスパイ活動疑惑への警戒が強まっており、議員を標的にしたとされる事案が問題化。
  • ロンドンで計画されている新中国大使館建設に対しても、安全保障上の懸念が高まっている。英国政府は12月10日までに許可を出すか判断する予定。

この一連のやりとりは、英国が「安全保障と経済協力をどう両立させるか」という外交上の難題に直面していることを示しているといえます。また、スターマー政権の対中姿勢は「関与しつつ抑止する」バランス外交へと移行している点が注目されます。

 

 

偶然にしても、高市早苗首相にとっては良い援護射撃

  • 高市早苗首相の対中強硬姿勢が、英国スターマー首相の中国批判と時を同じくして重なることで、日英の立場が一致し、中国包囲網の印象を強める形となった。これにより、高市首相は国内保守層の支持を固めつつ、国際的な援護を得た構図が生まれている。​

高市首相の対中発言の経緯

  • 高市首相は2025年11月、台湾有事で「存立危機事態」に該当しうると国会答弁。これに対し中国は「一つの中国」原則違反として激しく反発し、日本産水産物輸入停止を表明した。​
  • 中国外務省は高市氏の総裁選出時から「理性的な対中政策」を求めていたが、台湾問題や歴史認識で対立が深まり、日中関係は冷え込んでいる。​​

英国発言との連動効果

  • スターマー首相の「中国は真の国家安全保障上の脅威」との言葉は、スパイ疑惑や香港人権問題を背景にしている。これが偶然重なることで、高市首相の台湾有事発言が孤立せず、日英の安全保障協力が強調される結果となった。​
  • 中国は両国発言を「内政干渉」と一蹴するが、経済制裁を抑えつつ外交的圧力を強めており、高市政権の外交手腕が試される局面だ。​

高市首相への影響

  • このタイミングは高市首相にとって有利で、中国の反発が逆に国内支持を高め、トランプ大統領との親和性も米メディアで指摘されている。​
  • 日中首脳会談直後の発言で習近平主席のメンツを損ねた面もあるが、TPP活用などの対抗策で中国を交渉テーブルに引き込む余地がある。