統合失調症の人に向く仕事

統合失調症の人に向く仕事

統合失調症の人に向いている仕事の特徴

統合失調症を抱えながら働く場合、症状の波や認知機能の特性に合わせた環境を選ぶことが、長期的な安定につながります。

一般的に適しているとされる仕事には、以下のような共通の特徴があります。

1. 手順が明確なルーチンワーク

判断を迷う場面が少なく、決まった手順を繰り返す業務は、認知機能への負担を軽減できます。

  • データ入力やファイリングなどの事務補助。
  • 検品、梱包、商品の仕分け、ピッキング作業。
  • 製造ラインでの組み立てや加工。

2. 対人ストレスが少ない環境

不特定多数の人との接触や、複雑な人間関係を必要としない仕事は、精神的な安定を保ちやすいです。

  • 図書館の司書補助や整理。
  • 深夜・早朝の品出し、清掃、新聞配達。
  • 公園の整備や植物の管理、農作業。

3. 自分のペースで進められる仕事

納期やスピードよりも、正確性や丁寧さが求められる業務、あるいは一人で完結できる業務です。

  • デザイン、イラスト、Web制作、プログラミング。
  • 専門的な手順に従う検査業務。
  • ポスティングや特定の区域のメンテナンス。

仕事選びのポイント

職種だけでなく、以下のような「条件」に注目することも重要です。

  • 通院時間を確保でき、体調に合わせて調整しやすいこと。
  • 指示系統がシンプルで、困ったときに相談できる担当者が決まっていること。
  • 騒音や強い光など、感覚過敏を刺激しない環境であること。

就労支援の活用

いきなり一般企業で働くことに不安がある場合は、以下のような公的なステップを利用するのが一般的です。

  • 就労に向けたトレーニングや、自分に合った仕事探しをサポートしてくれます。
  • 福祉的な配慮を受けながら、実際に働く経験を積むことができます。
  • ハローワークなどに設置されている窓口で、障害への理解がある企業の求人を探せます。

 

 

統合失調症の症状

統合失調症の主な症状

統合失調症の症状は多岐にわたりますが、専門的には大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分類して分析されます。

陽性症状(本来はないものが現れる症状)

急性期に目立つ症状で、現実との接点を失っているように見える状態です。

  • 実際には存在しない音や声が聞こえる「幻聴」が最も多く、自分の悪口を言われていると感じたり、行動を指図されたりすることがあります。
  • 「誰かに監視されている」「毒を盛られている」といった、客観的に見てあり得ないことを真実だと確信してしまう状態です。
  • 会話に脈絡がなくなり、何を言いたいのか周囲が理解できなくなることがあります。

陰性症状(本来あったものが失われる症状)

感情の起伏が乏しくなり、意欲が低下する状態です。陽性症状の後に現れることが多く、一見すると怠けているように誤解されやすい症状です。

  • 喜怒哀楽の表現が少なくなり、顔つきが硬くなったり、他人の感情に共感しにくくなったりします。
  • 何をするにもやる気が起きず、身の回りのこと(入浴や着替えなど)にも無関心になることがあります。
  • 他人との関わりを避け、自分の世界に閉じこもるようになります。

認知機能障害(情報処理能力の低下)

日常生活や仕事において、最も「生きづらさ」や「生産性の低下」に直結しやすい症状です。

  • 新しい情報を覚えたり、以前覚えたことを思い出したりするのが難しくなります。
  • 物事に集中し続けることや、必要な情報だけを選び取ることが困難になります。
  • 計画を立てる、優先順位をつける、効率よく作業を進めるといった高度な判断ができにくくなります。

症状の経過と波

統合失調症は、これらの症状が一定のサイクルで変化することが特徴です。

  • 前兆期(眠れない、イライラする)から始まり、急性期(幻覚、妄想が激しい)、休息期(心身の消耗、意欲低下)、そして回復期へと進みます。
  • 現代の医療では、薬物療法によって陽性症状を抑え、リハビリテーションによって陰性症状や認知機能障害をカバーしていくアプローチが一般的です。

 

 

精神疾患自体が、患者が、精神科医が、精神疾患支援者がバカにされている

精神疾患を取り巻く偏見と医療現場の現状に関する要約

精神科医の芳賀高浩氏は、精神科疾患や患者、そして支援者が社会から軽んじられている現状について、自身の経験をもとに考察を述べています。

身体疾患の救急搬送における拒否の現実

統合失調症を患う患者が身体的な体調不良をきたした際、精神科未設置を理由に複数の病院から受け入れを拒否される事態が発生しました。芳賀氏は、救急隊ではなく医師自らが交渉に当たってもなお、診断名を聞いた瞬間に態度を翻される状況に、根深い差別の存在を指摘しています。

偏見が生じる二つの主な要因

病院側が受け入れを躊躇する背景には、大きく分けて二つの心理的要因があると分析されています。

未知への恐怖 「暴れるのではないか」「扱いが難しいのではないか」という、統合失調症に対する過度な警戒心や、精神科薬に関する知識不足による不安です。

医療界のヒエラルキー 社会的な影響力が高い人物や、高度な身体外科手術などを重視する価値観があり、精神疾患や生活保護受給者の診療を低く見る、内なる偏見が存在しています。

精神疾患を「脳の病気」と捉える視点

芳賀氏は、精神疾患は他の臓器の病気と同様に「脳という臓器の病気」であると強調しています。しかし、脳が人格や意思疎通を司る場所であるために、不調をきたすと「人間性が壊れた」と誤解されやすく、それが当事者の尊厳を傷つける要因となっています。

精神科医療の地位向上と啓発の必要性

精神科側にも、身体科からの「逃げ」と見なされる一部の現状などの課題はあるものの、不当な扱いは解消されるべきであると主張しています。

今後の展望として、以下の活動を通じて社会の認識を変えていく意欲を示しています。

  1. 精神疾患が脳の病気であり、患者は特別な存在ではないという正しい啓発。
  2. ドラマや漫画などのメディアを通じ、精神科医療の現場をポジティブに描くこと。
  3. 若い世代が憧れを持って選べる職業へと、精神科医療の価値を高めること。

芳賀氏は、現場の医師として、患者が不利益を被らない社会の実現に向けて発信を続ける決意を語っています。