学校全体で隠蔽していた旭川市14歳いじめ殺人事件報告書、黒塗りが剥がされて流出

いじめ撲滅.COM

いじめの重大事態に係る調査報告書(令和3年6月4日付諮問に対する答申)

当委員会が認定した事実等(事実関係・経緯についての調査結果)

II 当委員会が認定した事実等(事実関係・経緯についての調査結果)

第1 事実認定に関する考え方

法において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われる・・ものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの、と定義(法第2条1項)されている。

この定義によれば、行為の対象者が心身の苦痛を感じているのであれば、法律上の「いじめ」に該当するものであるが、この法律上の「いじめ」への該当性、すなわち、対象となる行為の客観的内容とそれによる対象者の心身の苦痛の有無を検討するだけでは、いじめ重大事態の調査として十分ではない。

子どもが学校生活において他者と交流していく中で、互いの言動によって一定の心身の苦痛を感じることはある意味で当然というべきである。それは子どもの社会生活の中で避けられないものであり、成長の糧になるものでもある。

検討すべきなのは、心身の苦痛を生じさせるような行為ついて、対象となる子供がそれをどのように受け止めるのか(気にならない程度の苦痛なのか、苦痛ではあるが受け流せる程度なのか、大きな苦痛を感じるものなのか、など)であり、これは客観的な行為内容のみによって明らかになるものではない。これを判断するには、行為の当事者の関係性や対象となった子供が置かれている学校内外の環境など、対象となる子供に関連するすべての事情の検討が不可欠である。いじめの背景の分析や再発防止の観点からも、可能な限り広範な事実関係・事情等の把握が必要である。

そのため、当委員会は、「いじめ」行為そのものだけでなく、その前提となる周辺事情も含めて本件生徒の就学状況から死亡に至るまでのあらゆる事柄を可能な限り幅広く調査して明らかにすることとした。そして、明らかになった事実関係等を踏まえて、「いじめ」として取り上げるべき事実や、その背景、再発防止に関する事項等を検討することとした。

そして、本件問には学校や市教委の対応等についての検証も含まれていることから、本件生徒に関する事実関係・経過だけでなく、学校・市教委の対応等についても、本件問における重大事態(以下、「本件重大事憶」という)に関連する範囲で、できる限り詳細を明らかにすることとし、その対応の課題等を検証することとした。また、本件諮問事項の検討において考慮すべき関連事情等についても、付随して明らかにすることとした。

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第2 2019年4月~6月の本件生徒と直接関係する事実経過

2019年4月から6月の期間における本件生徒と直接関係する事実経過(重要な前提事情等を含む)は下記記載の通りである。

なお、以下の記載においては、本件生徒の母親については単に「母親」と記載している。また、中学校及び小学校についてはすべて旭川市内の学校であり、それぞれ「中」「小」の略称で記載している

1 X中入学当初の本件生徒の学級での様子

1 本件生徒と同じ乙小からX中へ進学した生徒は少人数で、本件生徒の学級のZ小出身者は本件生徒を含めて3名しかいなかった。

2 4月5日(金)、午後1時からX中の入学式が行われた。その日、同級生男子生徒の一人は、自分の髪が寝ぐせで乱れているのに気づき騒いでいたところ、本件生徒に寝ぐせの直し方を教えてもらった。後日テストのとき、筆箱を忘れてうなだれていたら本件生徒がシャーペンを貸してくれた、という男子生徒もいた。

3 本件生徒は、同級生に対し、誰彼となく積極的に話しかけていた。毎朝一番乗りで登校していたが、髪は洗ったままぼさぼさなときがあり、女性教員が髪を整えであげたこともあった。給食は、毎回お代わりするほど沢山食べていた。

4 本件生徒は、4月9日(火)に行われた学級役員選挙で総務委員(委員長、副委員長、議長、書記2名)に立候補し、学級副委員長になった。54月12日に行われた学力テストで、本件生徒は学年順位5/81の成績を収めた。授業中も積極的に発言し、同級生の多くは、本件生徒に対し、すごく頭がよい子、明るい元気な子という印象を持った。
本件生徒は、休み時間に絵を描いていることも多く、独特の感性で描かれた絵を見て、絵が上手い子という印象を持つ同級生も多かった。本件生徒が描いた絵をもらったという生徒もいた。

2 本件生徒の通塾状況

1 本件生徒は、旭川東高校などの進学校から北海道大学への進学を目指していて、火曜日から金曜日の間は、連休中を除くほとんどの日、塾に通っていた。

2 塾は、毎日16:50~18:2018:30-20:0020:10~21:40の枠があり、生徒は指導者と事前に協議して学習計画を立て、指導を受けながら自習するという形式のものであった。本件生徒は、16:50から20:00までの2枠を使うことが多かったが、18:30から20:00まで1枠だけの日もあり、稀に21:40までの枠も使うことがあった。

3 熱は自宅から自転車で数分、乙小に隣接するW公園からでも自転車であれば10分とかからない距離にあった。

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4 本件生徒は、学校が終わると(授業6時間の日の「帰りの学活」が終了する時刻は15:25、清掃が終了する時刻は15:40)、一旦帰宅してから塾に通っていた(X中から自宅まで徒歩で10分ほど)。

3 本件生徒と上級生A、B、C、Dとの係わり

1 4月8日(月)、X中で「対面式・部活動紹介」が開かれ、上級生の部員による1年生に対するパフォーマンスが行われた。1年生は、4月19日に開かれる「部活動集会」ころまでの間、興味を持った部の部活体験をしたりして入部を決めていた。

2 本件生徒は、J部を訪ねて上級生男子A、同Bと知り合った。A、Bと本件生徒は、いずれも2小の出身だったが、それまで親しく言葉を交わす機会はほとんど無かった。A,Bは本件生徒を丁部へ誘ったが、本件生徒は、おそらくとの両立が難しいと考えて、最終的に諦めた。3A、Bは熱心に」部への勧誘を行っていて、学校の廊下やW公園で本件生徒に出会ったりした際、声を掛けていた。そうした中で、A、Bと本件生徒は、それぞれのスマホでLINEの登録を行い、メッセージの交換等をするようになった。

4 そのころBは、オンラインバトルロイヤルゲームL(以下「ゲームL」という。)にはまっていて、午後6時ころから9時ころまで毎日のよう自宅でゲームLをしていた。BはAやC(X中上級生男子)と一緒にオンラインでゲームLをすることがあり、そのようなとき三人はゲームLをしながらグループ通話で卑猥な「下ネタ」話をすることがあった。本件生徒もゲームLをした経験があり、4月中旬か下旬ころ、そのことを知ったBがAやCと一緒にゲームLをしようと誘い、本件生徒もこのグループでゲームLをするようになった。

5 本件生徒を入れて4人でゲームLをするときでも、A、B、Cは構わずにグループ通話の中で下ネタ話をしていた。あるとき、深夜3時ころまでゲームLをしたことがあって、そのときもA、B、Cは下ネタ話を始め、本件生徒に対し自慰行為をしたことがあるか聞いた。本件生徒は、一度はないと答えたが、そんなはずはないと言われて、ありますと答えた。

6 そのときゲームLを終えた後、Aと本件生徒でLINEのやりとりが始まった。その中で、本件生徒は、下ネタ的な話題になった流れから、ブラジャーを着けている胸の画像をAに送った。Aが自慰行為の話題を持ち出すと、本件生徒は、LINEのビデオ通話を使って自慰行為の様子をAに見せた。

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7 4月中旬か下旬ころ、W公園で偶然A、Bと本件生徒が出会い、Bが一時その場を離れた間に、Aが本件生徒の身体を触ったことがあった。

8 この年、4月27日(土)から5月6日(月)まで十連休となっていて、学校も塾も休みであった。連休中のある日、上記5のメンバー四人で深夜3時ころまでゲームLをしたことがあり、その中で、深夜を過ぎて補導されない時間になったから集まろうかというような話が出て、公園に集まる話になった。A、B、Cの三人は結局外出しなかったが、誰もそのこことを本件生徒に伝えなかった。本件生徒は、先輩であるAらとの約束を守るため、早朝自宅を出て行き、それに気付いた母親と知人男性が追いかけて引き止め、家に連れ戻した。

9 4月下旬から5月中は、上記5のメンバー四人にX中上級生女子Dを加えてゲームLをすることもあった。もっとも、本件生徒は塾があったので、他のメンバーに比べて一緒にゲームLをする機会は少なかった。104月下旬か5月上旬ころ、本件生徒が学級担任に対して、AやDとの交流について話したことがあった。

4 4月下旬以降の本件生徒の学級での様子

1 4月22日(月)、1時間目、社会の授業中、本件生徒は頭痛を訴え、保健室で休養した(本件生徒が保健室を利用した記録は、このときが初めてである。)

2 同日放課後、学級担任が、一部の生徒が遊びながら行っていたため時間がかかっていた掃除当番の生徒たち全体に、一人一人が何をすべきか考えて掃除に取り組むよう指導をしたところ、真面目に排除していた件生徒が私は何をしたらよかったのかと質問してきたので、学級担任が周りと一緒にどうしたらよいか考えてほしいと言ったところ、本件生徒は分からないから病気なんだと怒って帰宅した。同日午後7時過ぎ、学級担任から母親に電話したところ、本件生徒は母親に対し、なぜ怒られたのか周りは分かっていたのに自分が分かっていなかったのが辛かった、学級担任が教えてくれなかった、と説明していた。学級担任は、自分自身の勘違いもあったので、翌朝本件生徒を呼んで話すと母親に伝えた。翌朝、学級担任が、本件生徒に対し、全体への指導の理由を説明し、本件生徒の質問の意図を勘違いして嫌な思いをさせて申し訳なかったと謝り、今後、分からなかったらさりげなく聞いてほしいと言ったところ、本件生徒は、自分はできないダメなやつだと否定的になっていた。学級
「LINEデータ等が残っていないためAを本件生徒との間のやりとりの詳細は認定できないが、前後の事実経過からみて本件生徒が自発的に行ってはいないと認定した。担任がよく頑張っていると褒めると、本件生徒は泣きそうになった。

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3 4月24日(水)放課後、同級生五人が集まってクラス目標を決める話合“いをしたとき、学級旗を作りそれに虹を描くことになった。本件生徒が説明を行っていたとき、同級生の一人が別の提案をしたところ、本件生はいきなり持っていたペンを壁に投げつけ、副委員長も辞めるし帰る、と言い放って帰宅しようとした。その場にいた学級担任が止めようとしたが、本件生徒は振り切って逃走した。学級担任が何とか引き止めると、そこからは落ち着いて二人で話ができた。本件生徒は怒ってしまったことを後悔していて、学級担任と翌日その場にいた同級生一人一人に謝る約束をした。

本件生徒は、この日、16:50から20:00まで塾に通い、翌日、その場にいた同級生一人一人に怒ったことを謝った。

4 4月25日(木)5時間目社会の授業中、本件生徒が保健室を利用した・記録はあるが、症状についての記載はない。

5 4月26日(4時間目、体育館で生徒総会が行われた。本件生徒は質疑応答で質問する役割を担っており、緊張から腹痛を訴えていた。途中で体育館から出て休む場面もあったが、終了時には列に戻った。

6 同日5時間目と6時間目は全校奉仕活動の時間で、X中近辺の野外清掃活動(ゴミ拾い、私有地は対象にしないとされていた)が行われた。私有地のゴミまで拾っていた同級生に対し、本件生徒が私有地のゴミは拾わなくていいなどと言った。それを言われた同級生が反発したところ、本件生徒は、ゴミ袋を投げつけ、暴言を吐き「帰る」と言って走り出した。近くにいた別の同級生が追いかけて引き止め、学年副担任が本件生徒と話をして落ち着かせて、ゴミ拾いに復帰させた。本件生徒ば、ゴミ拾い終了後、保健室で休息してから帰宅した。この日、本件生徒は16:50から20:00まで予定していた塾を欠席した。

7 連休明け後の5月9日(木)午前8時20分、本件生徒は、頭痛とめまいを訴えて保健室で休息した。

8 5月30日(木)に行われる体育祭に向けて、5月16日(木)から放課後、「学級で「団結紙」を作成する作業が始まった。5月20日(月)、「団結紙」の色塗りが行われた際、自分が何をすればよいか分からなかった本件生

このことについて、本件生徒は、母親に対し、空に現れる虹の色の順番を説明していたとき、同級生の一人が本物の虹と違う順番でもいいんじゃないかと発言したので、このような行動をとってしまったと話していたという。

このときのことについて、本件生徒は、母親に対し、上記2の掃除当番の経験から敢えて周りを意識して声を掛けたのに反発されたことから腹が立ち、このような行動をとってしまったと話していたという。

生徒が同級生と相談することもできず自分の仕事が無いから帰ると言って教室を出たため、学級担任が引き止めて教育相談室で学年副担任を交え本件生徒の話をきいた。このときは、本件生徒が感情を露わにすることはなかったので、それはよかったと学級担任は話した。5月21日(火)放課後、「団結紙」完成の日であったが、本件生徒は体調が悪く、帰宅することになった。この日、本件生徒は18:30から20:00まで予定していた塾を欠席した。

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9 5月22日(水)から29日までの登校日、午前7時45分から8時1
5分まで体育祭の練習が行われた。日時は定かでないが、本件生徒が、朝練習で同級生と長縄跳びの練習中、ミスをして励ましの声を掛けられたとき、「帰る」と言ってその場を離脱してしまったことがあった。
この間、本件生徒は、5月23日(木)午後1時20分に左腕打撲(ただし腫れや内出血は認められなかった)、同日午後2時55分に嘔吐、5.料月24日(午前8時30分に気分不良、同日午後1時35分に嘔吐、をそれぞれ訴えて保健室を利用し、休養している。
時期は特定できていないが、複数の同級生・教員により語られる5月以降の出来事として、以下のような本件生徒の言動があった。

7 保健体育の授業が終了し、他の生徒との間で何らかのやりとりがあった後、校庭から外に出て帰宅しようとした。

1 理科の授業中、特別な切っ掛けもなく無言で教室を出て行った。ウ授業中、発言が授業から離れた話題に及び、教員がその話は後にしようと言ったところ、「帰る」と言って教室を出て行った。

2 同じような場面で、近くの席の生徒が発言を止めようとしたところ、「帰る」と言って教室を出て行った。
本件生徒は、「帰る」と言って教室を出て行くことが多かったが、実際に帰宅するのではなく、保健室に行ったり、本件生徒がクールダウンするために学校が用意していた教室に行ったりして、落ち着くことができたら教室に戻っていた。当初、出て行く本件生徒を追いかけて止めようとする生徒もいたが、そのことが分かってからは止めるような行動をとる生徒はいなくなった。
105月下旬から6月上旬のことと思われるが、本件生徒と学級担任、学年副担任が本件生徒の行動傾向などについて話をしているとき、学年副担任から本件生徒に対し、自分の特性を同級生の前で話してみるという方法もあるかもしれないなどと言ったところ、本件生徒はそうしたいと言い、本件生徒が同級生の前で話す文書を作ってみることになった。・後日、本件生徒がノートに鉛筆で文案を書いてきたので学級担任がそれをみたところ、単に自分のダメなところを並べたネガティブな内容だ-16-

ったため、学級担任はこの内容のままで同級生に説明しても本件生徒が望むような結果にならないと考え、文案を一部直すように指導した。そうしたところ、本件生徒は精神的に不安定になり、書いてきたものを消レゴムで全部消してしまった。学級担任は、本件生徒と再度文案の作成を試みたが、本件生徒が落ち着かない様子だったことから文案の作成を断念し、家でもう一度考えて書いて来るように言った。
その後、学級担任は、何度か本件生徒に確認したが、本件生徒が文案を持って来ることはなかった。
上記以降、本件生徒が、突然、感情を露わにして教室を飛び出すような出来事が繰り返されるようになると、そのような事態を生じさせないよう距離感を保ち、本件生徒に話しかけられても会話を避けるような態度をとる生徒も、現れるようになった。本件生徒がいないところで本件生徒の真似をするような生徒もいたが、本件生徒の目の前でそのようなことをする生徒がいたという話は、出てこなかった。他方で、本件生徒の言動に戸惑いながらも、学級副委員長として最後までしっかりやり遂げる頑張り屋さんと評価する生徒も、少なからず見受けられた。
本件生徒は、自分が、突然、感情的な言動をしたり授業から離脱したりすることが、一時的とはいえ授業を中断させたり、同級生を困惑させたりしていることを自覚していて、止めなければならないと思いながらも繰り返してしまうことにひどく落ち込んでいる様子が窺われ、5月末ころには、自分は嫌われているのではないかと一部の同級生に話すこともあった。そのころになると、所属する学級の教室で過ごすことが精神的に困難な状況となることが多くなり、登校はしても保健室や支援学級の教室などで過ごすことが多くなっていった。また、食欲不振も目立つようになり、しばしば吐き気を訴えて保健室で休養するようになった。
4当委員会が実施したアンケート調査において本件生徒が無視されていたという趣旨の回客が複数あったものの、直接対面しての取調査においては、字義通りの「無視」ではなく、交流に消極的な態度を「無視」と表現したという者ばかりであった。「取調査に応じたクラスメートに対しては、聴取対象者以外のクラスメートの本件生徒に対する接し方の状況についても基本的に確認したが、本件生徒が字義通りの意味で「無視」されていたと回答したクラスメートはいなかった。他方で、本件生徒との交流に消極的な態度を取るクラスメートの存在については、聴取に応じたクラスメートのほとんどが同様の認識を示していた。
同じく当委員会が実施したアンケート調査において、本件生徒があだ名をつけられていたという趣旨の回答もあったが、聴取調査において詳しく状況を確認したところ、下校時に上級生が本件生徒がいない場面で本件生徒を指して不名誉なあだ名で呼んでいる状況を見たというものであり、本件生徒を直接不名誉なあだ名で呼んだという状況は確認できなかった。また、感敢に応じたクラスメートにおいて、本件生徒がクラスの中で不名誉なあだ名を付けられていたと回答した者はいなかった。
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同時期、本件生徒は、何人かの教員や同級生に対し、具体的な理由を話すことはなかったが、家に自分の居場所がないという発言をしていた。実際に、週末の休日、旭川市西部にあるショッピングモールのゲームセンターに一人で居る本件生徒に会ったことがある、その近くの公園に一人で居る本件生徒に会ったことがある、と話す同級生もいる。
6月に入ってからの本件生徒の保健室利用記録は以下のとおり、ほとんど毎日のようになった。体育祭(5/30)以降は、授業時間に本件生徒がほとんど教室にいなかったような印象を持っている教科担任の教員や同級生も少なくない。
・6/04(火)12:50気持ちが悪い14:45戻り
6/05(水)13:00吐いた給食食べると吐く
・6/06(木)8:15気分不良※学校早退
・6/07(金)10:45症状記載なし

6/10(月)10:00気持ちが悪い

途中から情緒学級へと記録されている。
また、朝から調子が悪く別室で一日過ごした、給食も別室で食べている、と記載されている資料がある。
6/12(水)8:10頭が重い13:25症状記載なし
・6/14(金)12:25気分不良※巻16:50~欠席18:30~出席
※6月第2週(6/10~14)の本件生徒の保健室での様子について、「身体の不調は保健室へ、気分の時は学習室へというパターンですが、多い時は1日3回来室。保健室のソファで話しながら寝てしまったり、他の来室者と話をしたり…という感じです。」と記載されている資料がある。
・6/17(月)
8:00症状記載なし11:40症状記載なし
13:30吐いた
6/19(水)
※6/20(木)学校欠席
※6/21(金)学校欠席
106月7日(金)、X中全校でいじめアンケートが実施された。
本件生徒は、「今年4月から今日まで、例えば、仲間はずれや無視をされたり、悪口をいわれたりして嫌な思いをしたことがありますか」という質問に対し「ない」を選択、3「嫌な思いをしたとき誰に相談しますか」という質問に対し「だれにも相談しない」を選択、ウ「学校から「子ども相談支援センター電話相談紹介カード』が配られていることを知っていますか」という質問に対し「知っている」を選択、「あなたは、いじめはどんな理由があっても許されないことだと思いますか」という質問に対し「そう思う」を選択した調査票を提出している。
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76月13日(木)~14日(金)に実施された期末テストの本件生徒の成績は、
五教科学年順位15/80であった。本件生徒は、期末テストを所属する学級の教室で受けようとしたが、直ぐに無理だと学級担任に告げ、二日間とも特別支援学級の教室で受けた。
5本件生徒と上級生Dとの日常的なW公園での係わり
1本件生徒は、W公園の緑が多く静かな環境が好きで、学校が休みの日
や平日の放課後塾に行くまでの間、W公園で独りで絵を描いたり、本を読んだり、スマホで動画を見たりゲームをしたりすることが多かった。2DもW公園をよく訪れていて、友人やZ小の児童たちと遊んだりしていた。Dと本件生徒は、前記39のとおり、一緒にゲームLをしたことで知り合い、LINEの交換もしていたが、W公園で会うことが多くなった。
学校が終わると本件生徒からDへ「お疲れさまです」というようなメッセージを入れることもあったが、DがW公園に行くと本件生徒がいてDから声を掛けるという形が多かった。
本件生徒はW公園でよく絵を描いていて、その絵はDにとって不思議で個性的な絵だった。Dが何描いてるのと聞いて話が始まることがよくあり、一緒に絵を描くことやスマホでゲームをすることもあった。その日の学校であったことを本件生徒が話すこともあった。多いときは週に5日くらい、二人はW公園で会って話をしていた。
3本件生徒は、塾に行く日、母親から飲み物や軽食を摂るためのお金を渡されていた。W公園でDと一緒に居るとき、近くのコンビニ等へ二人・で行って、菓子、飲み物、アイスクリーム等を買うことがあり、切っ掛けははっきりしないが、ほとんどの場合本件生徒がDの分まで代金を払っていた。W公園に小学生やDの友人がいるときは、本件生徒がその子たちの分も買ってあげていた。回数、金額ははっきりしないが、5月中旬から6月中旬までの間、相当程度頻繁にそのようなことがあったと考えられる。
4本件生徒が5月9日(木村)Dに自殺したいと相談したLINEのやりとりが、本件生徒のスマホに残っていたとの資料がある。
※時期は特定できないが、自殺したいという本件生徒のLINEメッセージが突然送られてきたことがある、と話す生徒も複数いる。
56月初めころ、本件生徒は、Dと二人でW公園のブランコに並んで座っているとき、前記37の出来事を「A先輩との黒歴史」として話した。Dは、X中でAにそのことを問い質し、その後Aは本件生徒との係わり、
本件生徒とDの関係性は、後記第5で検討する。
⚫19:

を避けるようになった。
‘6本件生徒と上級生EとのLINEを通じての係わり
1Y中上級生男子Eは、Z小の出身で、Z小に通っていたとき本件生徒
がW公園にいる姿を見たことはあったが、親しく言葉を交わす機会はほとんど無かった。
2同学年のEとCは、学校は別であったが知り合いで、5月ころからW公園でボール遊びをすることがあり、そのときEは、Dと話している本「件生徒と言葉を交わすこともあったが、親しく話をすることは無かった。・当時、Eは、ゲームLをしていなかった。
3Eは、Cから本件生徒がLINEのビデオ通話の中で自慰行為の様子をAに見せたことがあるなどと聞き、性的な興味を抑えきれずに、Cから教えてもらった本件生徒のLINEにメッセージを送ることにした。46月3日(月)午後7時ころ、Eから本件生徒へLINE登録の許可を求
めるメッセージが送られた。本件生徒が許諾したところ、Eから本件生徒へ本件生徒が下ネタを言っているとCから聞いたが本当かと尋ねるメッセージが送られ、これに対し本件生徒からEへ下ネタは全然平気ですとメッセージが返された。
その後、午後8時過ぎまでの間に、Eと本件生徒との間で30分を超えるLINE通話が行われた。通話の中で、が本件生徒からAとのL
INEのビデオ通話での自慰行為のことを尋ねると、本件生徒はやりましたと答えた。通話の後でやりとりされているメッセージから、通話の間に本件生徒が自慰行為を行い、その様子をEに伝えていた様子も窺える。
午後8時過ぎから、Eは、本件生徒に対し、自慰行為の実行と動画送信を求めるメッセージを、あの手この手でしつこく送信した。本件生徒は、メッセージを送られる度に断りのメッセージを返信していたが、午後9時近くに至って断り切れなくなり、動画送信はしなかったものの、再度Eとの間のLINE通話やメッセージを使って、自慰行為を実行する様子を伝えた。
Eは、その後も、本件生徒に対し、自慰行為の動画送信を求めるメッセージを手を変え品を変えしつこく送信した(その中には、性行為をすることをにおわすような表現や、動画の拡散はしないことを告げるようなものも含まれていた。)。本件生徒は、断りのメッセージを返信し続けたが、午後11時を過ぎて、断り切れずに自分の下半身の画像を送信した。
5本件生徒からEに送られた画像は、その後、EからC、D、E三人のLINEグループに送信されているが、この三人から更に拡散した事実-20-


は確認できない。ただし、Cは、6月23日(日)に、この画像をAとBに見せている。
6Eと本件生徒との間では、その後6月15日(土)に至るまで、LINE
を使ってメッセージを交換したり、通話をしたりした様子は窺われない。6月15日(土)、W公園での本件生徒と上級生C、D、E、F、Gとの係わり
1E,F(上級生女子)、G(上級生女子)はY中の同学年で、FとGはいつも一緒に遊ぶ仲だったが、二人がEと遊ぶことはめったになかった。6月15日(土)昼前、FとGはLINEでE外1名(W公園到着以前・に別れる)を誘ってショッピングモール等で遊んだ後、午後2時ころW公園に着いた。
2同日、本件生徒が一人でW公園にいたところ、CとDが遊びに来て、
そのすぐ後に、E、F、Gの三人が合流する形になった。そのとき、Z小の児童数名もW公園で遊んでいた。
3FとCDは小学校時代一緒に遊んだことがある間柄で久し振りの再会、GとDは少し前にDのSNSを通じて知り合った間柄であった。F、
Gと本件生徒は初対面で、Dが本件生徒を紹介し、本件生徒はスマホを使ってFとGに自分や母親の写真を見せた。
4そのとき、CとEが、本件生徒が自慰行為をしている、AやBに自慰行為の画像を送っているなどと発言し、F、Gが本件生徒に本当かとねたところ、本件生徒が本当ですと答えたので、D、F、Gは本件生徒その場でやってみせてと言った。本件生徒はここではできないと答えたが、三人はやってやってと言い、そのとき近くにいた小学生たちも、事情をどの程度理解していたか定かではないが、同じように言い立てた。CとEは、それを止めようとしなかった。本件生徒は、初めは嫌がっていたが、断り切れず自慰行為をすることを受け入れた。
5D、F、G、C、Eと本件生徒の六人は、W公園奥のペンチへ移動し、小学生たちを選ざけ、ベンチに座る本件生徒を囲むようにして立った。本件生徒は、腰に回していたパーカーを前に回して隠すようにして、自慰行為を行った。D、F、Gはその様子を見ながら痛くないのと聞いたりした。C、Eはそれを遠巻きにして、Cは背を向けるような態度をとっていた。
W公園にいた小学生たちが六人の様子を気にしている素振りをしていたので、数分後、六人でZ小の多目的トイレに移動し、本件生徒とD、FGが中に入ったが、結局、そこで本件生徒は自慰行為に至らなかった。
6その後、六人は、Z小近くの駄菓子屋に行き、そこで本件生徒はガム
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8
を大量に買って一緒に行った生徒らに配った。本件生徒はアイスクリームも買って配ろうとした。
7それから六人は、近くのV公園に移動した。V公園ではAとB、その他に小学生らが遊んでいた。六人はV公園で遊び、その後F、Gは帰宅し、C、D、Eは近くの食品スーパーへ飲み物を買いに行き、AとB、本件生徒とは一旦別行動となった。
その後、AとBはW公園へ移動し、C、D、Eも食品スーパーからW公園へ行った。五人がW公園にいたところ、本件生徒が自転車に乗って猛スピードでやって来て転び、左脚に擦り傷を負って出血した。五人は、Aが持っていたガーゼやEが自宅に戻って持ってきた絆創膏やティッシュを使って傷の手当てをし、本件生徒の自宅近くまで送っていった。
8後日、本件生徒は、Aに傷の手当をしてもらったことを学級担任に話した。学級担任がAにお礼を言っておくという趣旨の話をしたところ、本件生徒は恥ずかしいから止めてくださいというような発言をした。学級担任は、本件生徒が照れているだけで本心だとは考えなかったため、Aに対し傷の手当をしてくれたことについて感謝を示す話をした。このことを伝え聞いた本件生徒は、学級担任に対して、何で言ったんですかというように抗議し、もう先生には何も話さないというような発言をした。
6月20日(木)午後7時ころから午後10時ころまでの本件生徒の失踪※同日の日没は午後7時15分
1同日、本件生徒は学校を欠席した。
同日夕刻、W公園に本件生徒、A、その他数名のX中生徒がいた。3午後6時30分ころ、W公園には本件生徒とAがいた。本件生徒が塾へ行く時間になったが、本件生徒がAに塾へ行きたくないと言い、対応に困ったAがCに来てほしいと電話をかけた。
4午後7時ころ、W公園にいた本件生徒と母親が電話で話した。Cはその電話の最中に駆けつけた。本件生徒は、母親に塾に行きたくないなどと言い、スマホを投げてどこかへ行こうとした。AとCは行く手を遮って止めようとしたが、本件生徒は荷物を置いて自転車で逃走した。AとCは周辺を探したが、本件生徒を見つけることはできなかった。
5午後7時30分ころ、Aの母親が帰宅しないAに電話をかけて本件生徒の失踪を知り、X中に電話連絡した。Aの母親、Cの母親、X中の教二名ずつが二組で、それぞれ公園周辺地域を自動車で捜索したが見つからず、午後9時すぎ警察へ未帰宅児童の届出を行った。
6その後、母親と知人男性、学級担任を含む教員二名が、それぞれM交番へ出向いて待機していたところ、午後9時50分ころ母親の携帯にW
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MO
公園から8kmほどの道のりにあるコンビニから電話連絡があり、本件生徒が同店に電話連絡を頼んだことがわかった。本件生徒は、パトカーでM交番へ連れてこられた。
7翌21日、本件生徒は学校を欠席し、塾も欠席した。
同日、母親と知人男性がX中を訪れた。
※学級担任がその際に母親から聞いたこととして、本件生徒は、支援学級に通報してもよいがそのことでバカにされるのは嫌だ、授業が無理、塾も無理と話している、という趣旨のことが記載された資料がある。
6月22日(土)、W公園での本件生徒と上級生C、D、Eとの係わり及び本件生徒が川に入った後の事実経過
※天気は昼ころから終日小雨、午後3時ころから6時ころまで雨が強ま
1同日、本件生徒は、午前中からW公園にいて、東屋でタブレットを使って動画を見たりしていた。
2午後になって、DがW公園に来て、Z小の児童5~6人と一緒にZ小の図書館に行ったり、コンビニに行ったりしていた。それから、Eが友人と二人でW公園に来て、雨が当たらない木の下で遊んでいた。
3午後4時ころ、本件生徒、D、E、Z小児童5~6人がW公園の東屋にいたとき、Eが本件生徒の仕草などを真似てからかった(6月15日の自慰行為の様子を真似た可能性もある。)。本件生徒は真似しないでくださいと言ったが、Eが面白がって挑発するように真似を続け、Eが知っている本件生徒の秘密をその場で大声で言うかのような発言をしたところ、本件生徒は、泣きそうな表情になって怒り出し、Eを握りで叩いたり蹴ったりするような状況となった。本件生徒は、私のことなんか何も知らないくせにとか、誰もわかってくれないとか、自分には障害があるとか、親とうまくいっていないとか、もう死にたいとか、Eを叩いたり蹴ったりしながら大声で怒るように言い続けた。
4そのとき、Dは自宅にいたCと電話で話しをしていて、Eがからかう様子や本件生徒が止めてくださいと言って怒る様子は、電話を聞いているCにも伝わっていた。
5やがて、本件生徒は、もう死にますと言ってW公園西側を流れている川の方に向かって歩き出した。Dは、本件生徒の死ぬという趣旨の発言に対して、死ぬ気もないのに死ぬとか言ってんじゃないよなどと言った。その発言を聞いた本件生徒は川の方に走って行って川岸の機を乗り越え、W公園の東屋からは本件生徒の姿が見えなくなった。
6DとEはしばらく放っておいたが、本件生徒が戻らないので川岸の機
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まで行ってみたところ、本件生徒は川の流れ近くの草むらに立って電話で話している様子だった。川は雨で増水していたので、危険を感じたDは土手を降りて本件生徒のところへ行った。本件生徒はX中の教員と話していることがわかり、Dは電話を代わって状況を説明した。すると、本件生徒は、川の流れに入り、膝下まで水に浸かった。東屋でDやEを見ていた小の児童たちも、川岸の橘のところに駆けつけて、本件生徒とDの様子を見ていた。Dと電話で話していたCは、本件生徒が川に入ったときいて自宅から自転車で駆け付けた。
7午後4時30分ころ、本件生徒がパニック状態でX中へ電話を掛け、
電話に出た男性教員に死にたいと繰り返した。居合わせた女性教員が代わって本件生徒を落ち着かせ、本件生徒がW公園にいることを聞きだした。男性教員は、母親に電話を掛けてW公園に向かうよう伝え、別の男性教員とともに自動車でW公園へ向かった。その間、女性教員の電話にDが出て、本件生徒の様子を説明した。女性教員は、Dにそのまま本件生徒から離れないでほしいと伝えて電話を切り、別の教員に電話を掛けてX中に来るように頼んでから、自動車でW公園へ向かった。
8そのころ、W公園と川を挟んだ向かい側にいた近所の女性が、本件生徒が土手下の草むらに立っているのに気づき、そのまま何もしないでいることを不審に思って、午後4時50分、110番通報した。その後、中の男性教員二名が到着して土手を下り、膝下くらいまで川の流れに浸かっていた本件生徒を川岸の草むらに引き上げて座らせた。そのとき本件生徒は、死にたい、生きたくないと繰り返しパニックになっていた。本件生徒の傍らにDも付き添っていて、男性敏員ちと一緒に本件生徒に話しかけたりして、本件生徒を落ち着かせようとしていた。
9その後、女性教員も現場に到着し、土手を降りて本件生徒の手を握り話しかけた。本件生徒は、死にたい、家に帰りたくない、私はいない方がいい、と言って再びパニックになりそうになったが、女性教員が本件生徒の得意な絵の描き方やテレビ番組のことなどを話していくうちに、次第に落ち着きを取り戻した。
そのころ、母親も現場に到着し、川岸の柵のあたりで本件生徒の様子を見守った。
午後5時4分、警察官一名がミニパトカーで現場に到着し、川岸の権のところにいた児童生徒たちから事情を聴き始めた。
10本件生徒が大分落ち着いたところで、警察官が上に登れますかと声をかけてきた。女性教員が本件生徒に登ろうかと促したところ、本件生徒・は頷いた。そこで、その場にいた皆で離れた場所にあった土手の階段ま草むらの中を移動し、一緒に階段を上った。本件生徒は、上っている
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途中で楽しくなってきたような様子を見せて、このまま先生たちと学校に行きたいなと何度か繰り返した。
10土手を上がると、本件生徒が寒いと言って震え出したので、女性教員は本件生徒を連れ、男性教員の一人と一緒に、女性教員の自動車に乗った。
その後、女性教員の自動車の中で、警察官が本件生徒から簡単な事情聴取を行った。本件生徒は、親の車に乗りたくない、家には帰りたくないと話した。その間、X中に待機していた複数の教員が話し合って、女性教員へ本件生徒と一緒に一度学校に来た方がいいと伝え、女性教員から母親と警察官にX中へ行くことを提案した。
この間、別の男性教員が、Eから本件生徒が川に入ったいきさつを聞いた。Eは、自分が本件生徒の働きをからかって真似したところ、本件生徒がバカにされたと思って激怒した、本件生徒に謝りたいと話した。男性教員は、今ではなく、本件生徒が落ち着いたころに、きちんとした形で誠意をもって謝るよう論した。
午後6時過ぎ、女性教員の自動車に本件生徒が乗り、男性教員二人が乗った自動車とともに、W公園からX中に向かった。X中には数分後に到着し、少し遅れて警察官も到着した。母親は、一旦、自宅に着替えを取りに戻った。
午後6時20分ころ、学級担任、生徒指導部長、警察官の三人によ
5分程度、本件生徒の簡単な事情聴取が行われた。そのとき本件生徒は、午前9時にはW公園にいた、最初は一人だった、その後D、Z小の児童5~6人、Eが来た、パニックになった原因ははっきり覚えていないが、誰かに何かをされたわけでなく自分が勝手になったことだ、母親には会いたくない、と話した。
10午後6時30分ころ、本件生徒は保健室で着替えを行い、女性教員、
学級担任と話をした。女性教員らは、本件生徒が再びパニックにならないように、絵の話や食べ物の好みについてなどを話した。本件生徒は、終始楽しそうな様子だったが、お腹は減っていないし食べたくないと繰り返した。午後7時ころ、女性教員からお腹がすいたのでカップラーメンを一緒に食べてくれないかと頼むと、本件生徒はようやく食べると言い、学級担任も入れて三人で食べた。その最中に、本件生徒からAとBのことを話題にして、面白い人達ですよねとエピソードを交えて楽しそうに話した。また、Eについても、謝ってほしいとは思っていない、自分が過敏になっているせいで、相手は悪くないと思っていると話した。10同じころ、校長室で、母親、知人男性、教頭、生徒指導部長、警察官が、これからどうするか協議を行った。午後7時過ぎ、生徒指導部長が
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保健室に来て本件生徒から話をきいたが、本件生徒は、母親と知人男性には会いたくないと言った。
午後7時40分ころ、母親が病院へ電話を掛け、当日の出来事の様略を説明し入院可能か問い合わせたところ、受け入れは可能であるとの回答を得たことから、本件生徒はN病院を受診することになった。10午後8時20分ころ、本件生徒は、女性警察官に同行してもらってパトカーに乗り、X中からN病院へ向かった。母親と知人男性も自動車でN病院へ向かった。
午後8時50分ごろ、本件生徒らはN病院へ到着し、1時間余り医師の診察を受け、午後10時ごろ、「自閉スペクトラム障害、および混合性不安抑うつ状態、急激な不安衝動性亢進で希死念慮に伴う行動化のリスク、今後増悪のリスクあり、母親による家族対応困難にて、入院にての環境調整を要する」と判断された。
.この判断について、母親は了解したが、本件生徒は携帯電話が使えず友人と連絡がとれなくなることを心配して、入院について医師が同意を得ることが困難だった。そこで、本件生徒は、親権者である母親の同意による医療保護入院となった。
第32019年6月~2021年3月の本件生徒と直接関係する事実経過2019年6月22日病院入院から2021年3月23日遺体発見までの本件生徒の学校生活等の事実経過は下記記載の通りである。
1N病院入院中の出来事(2019/6/22~7/7)
16月22日(土)午後9時ころから、本件生徒は、N病院で医師の診察を受けた。医療記録によると、本件生徒は、医師に対し、同月20日のW公園からの一時的な失踪や当日のW公園での出来事については、覚えていないと話した。
医師は、「診察時印象」として、「2019、4月以降、P医院通院以外、児童相談所や福祉制度の利用無く、中学は普通学級でかつ不登校が続いており、ASDなどへの各種フォローのあり方を入院中模索検討して方向性を児童精神科医より提示していただくことが望ましいと考える。」と書いているが、N病院が自宅から遠く面会のための通院が負担になるとの母親の申出があって、O病院への転院の方針が決められたため、そこで書かれたことは実行されずに終わってしまった。
本件生徒は、前記の通りN病院に医療保護入院となり、安全を図るため隔離室へ入室となった。
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6月23日(日)朝、本件生徒は、看護師に対し「寝れました。三度寝ぐらいしました。」と話し、朝食を完食した。
同日午前11時30分、隔離室を別の患者のために空けることにな本件生徒は一般個室へ移動となった。
(2)6月24日(月)の看護記録には、本件生徒は、朝食後まで機嫌よく他交流もみられたが、食後から頭が痛いと言って不機嫌さが著明となった、と書かれている。
同日午後、本件生徒は、主治医と面談した。医療記録には、次のような本件生徒の発言が書かれている。
・学校早く行きたい勉強遅れちゃうから、出席日数も気になるし・東高行きたい、北大目指したい
・言って欲しくない恥ずかしいレベルのこと言われたらキレちゃう・先輩が大声で言おうとするから、私が先輩吸ってそれでも言おうとするから川に突っ込みはじめた
高機能自閉症、調べてみたけど自分にぴったりだった。あやふやな表現が苦手だとか、得意なところと苦手なところの差が酷い、短時間で物覚えるのが苦手、運動も苦手、人の気持はわからない
・友達関係も上手く行かないし、教室にも入りたくないし入れなくなって
・主治医の「レントゲンとかするけど妊娠危ないのわかる?妊娠の可能「性は?」という質問に対し、本件生徒は「やったことないから大丈夫。言った方が安心でしょ。」と答えた。
主治医との面談後、本件生徒は、N病院が入院患者に対する治療の一環として行っている卓球に自発的に参加した。医療記録には、表情も明るいと書かれている。
6月25日午後、本件生徒は、N病院が入院患者に対する治療の一環として行っているアクセサリー製作に自発的に参加した。
6月26日(水)午前、本件生徒は、N病院が入院患者に対する治療の一環として行っているカラオケに自発的に参加し、一曲歌った。医療記録には、雑談しながら穏やかと書かれている。
同日昼、本件生徒は、隔離解除となり、個室から多人床に移った。
7後に「第4,11」で記述するように、前日深夜からこの日早朝にかけて、母親が、本生徒のスマホを操作してLINEの通信記録を発見し、本件生徒がレイプ等の性暴力を含む性的な被害を受けていたのではないかと思い当たり激しく動握する、という出来事があった。この日午前6時15分、母親がN病院へ電話を掛けて、本件生徒が性犯罪に巻き込まれている可能性があるので本件生徒には事情を一切明かさずに妊娠検査をしてほしい、と対応した看護師に泣きながら話した、との医療記録もある。
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86月27日(木)朝食前、本件生徒が、「ホールから叫びながら自室に向
かい、靴を脱ぎ捨てて走ってゆく。感情失禁あり。男性患者から悪口を言われたとのこと。距離をとるよう説明するが一人では生きていけない、よくわかんないと繰り返す。」と看護記録に書かれている。
同日午前、本件生徒は、「ストレッチ&体力作り」に参加した。話しかけは多いが、不穏さや不調の様子はなく、穏やかに参加することができていたと医療記録に書かれている。
同日午後、N病院は病院と連絡をとり、O病院に次週退院予定患者がいるので転院できる見通しとなった。そのため、N病院の医師は、新たな事はせず、本件生徒が不穏になったときには頓服で対応する方針とした。
46月28日午前、本件生徒は、アクセサリー製作に参加した。
6月30日(日)、本件生徒は、朝はホールで穏やかに過ごしていたが、昼過ぎ、他患者から看護師に対し、トランプで頭を叩いたり、お茶を自分の手にかけたりしていると報告があった。本件生徒は、自傷行為が悪いことはわかるが、したい気持ちが持続していると看護師に話した。同夕刻、本件生徒はトイレで嘔吐したが、嘔吐後に症状は無かった。7月1日(月)朝、本件生徒が自室で泣いているのを看護師が見つけた。本件生徒は、「昨日男性患者に一緒にご飯食べようと言ったら、女性患者から「そういうのよくないよ。距離感近いよ。」って言われた。男性患者も嫌そうな顔してて、私気付かないうちにみんなを嫌な思いさせてたんだって思って。距離感って言われるけど、私人の気持ちとか空気読めないから、気をつけてるけど距離が近くなってたみたいで、もう誰とも関わったらいけない。皆を困らせる。だけど一人でいるのも辛い。も死にたい。」と話した。対応した看護師は、「男性患者に触らないこと、テーブル席の隣はいいが、座敷などでべったりとくっつかないこと、を守ってもらう約束する。詳しく説明することで、本人も理解でき、ふてくされる様子なし。希死念慮え所で落着いてからホールで勉強する。」と看護記録に書いている。
同日午後、本件生徒は自発的に卓球に参加し、他患者と試合をして表情よく過ごす、と医療記録に書かれている
同日夕方、X中教頭外教論2名が面会に訪れ、英語と理科の問題集を使って本件生徒に学習指導を行った。
同日夜、他患者二名が、本件生徒に靴を投げられたと看護師に訴えた。看護師が本件生徒を詰所に呼んで話をきくと、「私の病気について誤解されているから、訂正しようと思って声掛けた。そしたら大事な話があるからって拒否られた。私も我慢してるのにどうしてそんなこと言-28-

われなきゃいけないのって靴投げたら、天井に着いて床に落ちた。当たっていないと思う。みんな私が悪いんだ、私が我慢すればいいんだ。悪いことしたと思う。謝りたい。」と話した。本件生徒は患者に謝罪したいと言ったが、看護師から今日はひとまず距離を置くよう説明し、本件生徒は了解した。
同日0病院からN病院へ連絡があり、7月8日(月)に本件生徒を受入れ可能とのことであった。
57月2日(火)朝、本件生徒がホールで「私できない。上手くやって行こうと思ったのに、できない。反省しろと言われるけど全然できていない。」と大声を上げ、スリッパを投げつける等したため、病院スタッフが制止して詰所へ連れてきた。本件生徒は、泣き出す、大声を出した理由を話す、再び泣き出す、を3回繰り返し、落ち着いてからホールへ戻った。朝食は拒否した。
同日昼、本件生徒は自室前で過呼吸になった。看護師が理由をきくと、男性患者に椅子持って行ってよかったですかと聞いたら、そんなこといちいち聞かなくていいってきつめに言われ、ご飯食べないなら部屋行ってたらと言われて悲しくなった、と話した。看護師から、他患者との距離をとり関わらないこと、集団には近づかないよう言うと、本件生徒は納得した。
・同日午後、本件生徒は、趣味活動のビーズに取り組んだ。立ち会っていた作業療法士は医療記録に次のように書いている。「作品を作っている間は穏やか。トラブルの件については『私が悪いんだ』と自罰的に話すが、寂しさから『また話したい』とのこと。友達をつくる場所ではなく治療の場であるため、無理に交流はしないことを伝えた。」
同日、医師は、他人との距離感がわからずにトラブルとなり、本件生徒が傷ついて不穏になっている様子が見受けられる、指導医とも相談し、当院で本格的に介入するには7月8日病院転院予定で全て中途半端になってしまうため、当院でできる薬物調整を今後も行っていく、不時は傾聴、頓服で対応していく、と医療記録に書いている。同日夜、本件生徒は入眠困難を訴え、眠剤を内服した。
67月3日(水)午前、本件生徒は、自発的にカラオケに参加した。途中で感情失禁があったが、作業療法士が理由を尋ねたところ、仲の良い児童・他患者が自分のために歌ってくれたから、とのことだった。
7月4日(村早朝、本件生徒は、同室の患者に「勝手なことしないで」「ついてこないでクソガキ」と言われ、看護師詰所に来て涙ぐんで話したが、次第に落ち着き自室に戻った。同日午前、自発的にストレッチ、体操に参加し、集中して取り組んだ。
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7月5日(金)午前、本件生徒は、自発的に趣味活動に参加した。
同日夕方、X中教頭外教諭2名が面会に訪れ、談話室で母親も同席して、病院での生活の様子をきいたり、本件生徒が描いた絵を見ながら話しをしたり、数学の問題集の答え合わせを行ったりした。
7月7日(日)、本件生徒はN病院を退院となり、その夜は母親とホテルに宿泊した。
7母親は、学校、警察署と対応しつつ毎日N病院へ通って、本件生徒と面会していた(ただし、6月23日(日)は、病院の許可が得られず面会できなかった可能性がある。)。面会時間に制限がなかったので長時間本件生徒と一緒にいたこともあり、医療スタッフに誘われて作業療法に参加したりしたこともあった。
母親によると、入院初期に面会した時、本件生徒は「Dに早く連絡しなきゃ」、「Dに謝らなきゃ」といったことを何度か言っており、医療スタッフからは「マインドコントロールされている状態」といったことを言われたが、時間の経過とともに本件生徒はそうした訴えはしなくなっていった。
医療スタッフからは事件に係わることを本件生徒に思い出させるような発言はしないよう強く言われていて、母親はいつでも面会できたが、母親以外が面会するには医師の許可が必要だった。母親はQ警察署から本件生徒の事情聴取ができないか何度か問合せを受けたが、N病院は否定的な意見であった。
本件生徒が急に不安定になって頓服で落着かされることが何度もあり、他の入院患者から乱暴な口の利き方をされてそうなったこともあったが、理由を本件生徒が話さないときや、本件生徒から服を求めるときもあって、母親は事件の影響を強く感じていた。
2病院入院中の出来事(2019/7/8~8/1)
17月8日(月)午前、本件生徒は病院へ任意入院となった。同日の看護記録には、「理解力はあり。他患との交流が多く活発である。」と書かれている。
7月10日)午後の看護記録にば、「デイルームで過ごしていること多く、ジグゾーパズルしたり、他息とグループ交流ある。」と書かれている。同日夕方の看護記録には、「他患からうるさいと言われ過呼吸になっている。母の面会あり落着く。」と書かれている。
本件生徒がアクセサリー製作等の作業療法に積極的に参加した理由について、母親は、本件生徒がそれ自体好きだったこともあるが、一緒に参加する同年代の患者と交流したかったのではないかと思っている。
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同日夕方、母親が主治医と面談した際、主治医は、母親が退院させたいと言えば直ぐにでも退院できると話した。
27月11日(木)午後4時ころから20分間くらい、Q警察署の警察官2
名が病院に来院して本件生徒から事情聴取を行った。母親は、本件生徒が不安定になることを予想して直前までそのことを伝えず、警察官が聞きたいことがあるそうだから行っておいで、というように詳しい説明はせずに送り出した。本件生徒は、警察官の質問には、全て覚えていないと答えた。
事情聴取後、母親の目には本件生徒がわざと明るく振舞っているように見えたが、精神的に不安定になった様子があり、翌12日の看護記録には、午後の母親の面会時、口論になったのか廊下で声を上げて母親に怒っていた、ペットボトルで自分の手や腕を叩いている、と書かれている。また、同日夜には、本件生徒が看護師所に来て、「話聞いてもらっていいですか。結局、全部私が悪いんですよね。あの時だって、最後までいてくれなかったじゃないですか。」と話した、とも書かれている。
37月13日(土)から同月15日(月)の看護記録には、不穏な行動の記載はなく、ホールで他患と過ごしたり、ホールの小上がりでゲームをしたりテレビを見たりしている、と書かれている。
7月16日午後、中の教頭ほか教論2名が本件生徒に一時間くらい面会した。本件生徒は、自分が描いた絵を見せて説明したり、作業療法等の活動があったN病院に戻りたいと話したり、ゲーム機を持ってきて自分がやっているゲームの話をしたりした(0病院ではゲーム機の使用が許可されていた)。教頭らとの面会中、D先輩に会いたい、携帯使えないから連絡取れないし、という本件生徒の発言が何回かあった。
同日夜、看護師が、ホールで自分の腕を叩いている本件生徒を見つけて理由を尋ねたが、本件生徒は「わからない」とだけ答えて理由は話さなかった。看護師は、ホールにいた他患が泣いていたことが関係しているかもしれないと考え、看護記録にその旨記載して、精神状態観察し対応していく必要ありとした。
7月17日(水)朝、本件生徒が突然声を上げてホールから自室へ戻った。看護師が理由を尋ねたら、本件生徒は、他患と離れたいのに近よって来たから部屋に戻った、と話した。
同日昼、本件生徒が詰所に来て看護師に話しかけた、同日午後、スタッフにはがきサイズの色紙に一輪の花を描いた絵をみせた、との医療記録がある。
同日夕方、本件生徒が特別支援学級でよいと言っているので教育相談
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したいという電話を母親から受けた、という市教委の記録がある。
7月18日(村、本件生徒が、廊下で看護師や学生、色々な人に話しかけている、笑顔も多い、ホールなどで他患との交流も見られる、との着記録がある。・
47月19日(午前10時ころから本件生徒に突発的な働きが多く、廊下を大声で叫びながら走ったり、怒って壁を蹴ったりし、看護師にも「あんたなんて大っ嫌いです」等と暴言を吐いた。看護師長が対応して頓服を内服したところ、本件生徒は落着いて涙を流し「頑張ってないっで言われることが嫌。必死こいて頑張っているのに努力しても認められない。認めてくれない。お前は頑張ってないって言われて、甘えることができない。ふざけんなって。」と言った。看護師長から、これからもお話をするようにしよう、ということを説明した。
同日午後、Q警察署の警察官2名が病院に来院し、本件生徒から事・情聴取(7月11日(木村本件生徒から聴取した内容の確認)を行った。本件生徒は、Eへ画像送付させられたこと、A.に身体を触られたこと、公園で自慰行為を強要されたこと、いずれも覚えていないと話した。
このとき、本件生徒は事情聴取を終えた男性警察官から退院したら遊びにお出でと声を掛けられていて、退院後、母親に頼んで男性警察官に電話連絡してもらい、母とQ警察署を訪ねている。そのことが切っ掛けとなって、本件生徒と母親は北海道警察旭川方面本部の少年サポートセンターの相談を母子で受けたり、少年の居場所づくり事業として料理教宝等に本件生徒が参加したりしていた。相談や参加の回数は不明確であるが母親の話では相談の呼出しは毎月あったが平日の昼間だったので行けないこともあったとのことであり、コロナ禍の影響もあったと思われる。)、令和2年11月に母子で相談に出向いたことを窺わせる学校の記録がある。
7月20日(土)昼、本件生徒は、ホールで他患と過ごしていたが、急に飲んでいたお茶をばらまき、「私が全部悪いんだ。わかんない。何もかもどうでもいい。死にたい。」と言いながら、手すりや椅子などを蹴ったりした。スタッフや他患に暴醤を吐き、看護師が自室へ戻るよう促すが拒否したため、看護師3人で手を引き保護室へ向かった。保護室でも落ち着かず過呼吸状態で、手を離すと自分の腕や大腿部を叩こうとするので、落ち着くまで20分ほど看護師が手を握りながら話を聞くが、上手く言葉で表すことができない様子だった。看護師が頓服を内服させ、
当委員会は、当委員会から同センターへの情報提供依頼について遺族弁護団に同意を求めたが、同意は得られなかった。
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安静を促した。
同日夕方、看護師が本件生徒に部屋移動の希望を問うが、本件生徒はわからないと返答した。看護師から静かに過ごせるよう部屋移動を勧めると、本件生徒は納得した。一人で療養できる環境が必要と考えられたので、保護室へ移動となった。
57月21日(日)、本件生徒は、ホールでゲームをして過ごし、他患とのトラブルなく経過した。午後9時消灯前、自室に戻り、一人で居るのが怖いと言ったので、入眠するまで看護師が付き添った。
7月22日(月)午前、本件生徒は四人部屋へ転室となった。ホールで花の絵を描いていて、同じテーブルにいた他患が部屋に戻った後、「我慢しなきゃよかった。なんであたしだけ。」と泣いていたので医師が話をきいた。本件生徒は、「他人のことが分からない。裏の意味が分からない。人の名前が覚えられない。会えば見たことはわかる検査で凸凹ある。普通じゃないんだって。」と話した。同日夜、本件生徒は、ホールで過ごし、他患とトラブルなく落ち着いている、と看護記録に書かれている。
7月23日(火)昼前、ホールで泣いている本件生徒にスタッフが声を掛けたところ、本件生徒は「死にたいどうしていいかわかんない。何が最適か分からないの。私なんて書く資格がないんだ。4人部屋に4人もいるから休めない。1人部屋は独房みたいで寝られない。」と話した。テーブルの上にノートと鉛筆があり、何か書こうとしていた様子だった。スタッフが看護師に報告すると、少し前までは上機嫌だったとのことだった。同日午後の看護記録には、同室者とうまくいっていないのか自室にいること少ない、ホールで他患とテレビを見たりトランプをして過ごすことが多い、と書かれている。
7月26日(金)の医療記録には、母親は8月上旬までに退院してもらうことに同意、との主治医の記載がある。
7月30日(火)の医療記録には、退院は8/9以降で、本日はやや不機嫌か、発語多くない、との主治医の記載がある。
7月31日(水)の看護記録には、自室で過ごしていること多い穏やかである、との記載がある。
8月1日(木)、夕方の看護記録には、本件生徒の発言として「今まで頑張ってやってきたことが無駄なような気がしてきたの。誰かが悪い訳じゃなくて自分が嫌になる。いい人だっていうのは解るけど、分からないけど早く家に帰りたい。部屋変えてほしい。」との記載があり、これに対する看護師の所見として「笑顔もあった。他患との関わりの中でトラプルは無かった様子。大声を出したり手や足を叩いたりすることなし。
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他患と一緒に行動すること多く休息とること出来ず精神状態の不調を訴「えてくる。」との記載がある。
同日、母親と面会の際、本件生徒が「もう耐えられない」、「早く出してくれ、出してくれ」と訴えたため、面会後、母親から病院に退院を・前倒しでよいか問合せたところ、主治医の回答は退院でも外泊でもよいとのことだったので、母親は外泊を希望した。看護記録には、母親が迎えに来て、本件生徒はニコニコして外泊に出かける、他患との関わりで疲弊しており、自宅での方が休息とれると考えられると書かれている(病院退院の手続は8月4日(日)に行われた)。
3退院後の家庭での生活状況(2019/8/2~)
1退院後は、本件生徒の希望で2019年4月から通院していたP医院(精神科)への通院(2週間から4週間に1回くらい)を再開した。
8月1日の事実上の退院から同月10日(土)の家財道具搬入までの間、母親と本件生徒は、引越先のアパートで身の回りの物と寝具だけで寝起きすることになった。
3母親によると、退院当初、本件生徒は、急に何か思い出したように、
ごめんなさい、ごめんなさいみたいな感じになって、窓から飛び降りようとしたり、急に死にたいと言ったりすることが一日の中でも頻繁にあって、夜中にそのようなことが起こるのではないかと心配した母親は、本件生徒の部屋の隣のリビングの床に寝て、何かあったら直ぐに本件生のところへ行けるようにしていたとのことであった。
そうしたパニックのような状態になることは、時間とともに減少はしていったが、それでも1日に1回程度は続いていて、入院中に頓服とし立会て使われていたリスペリドン内用液の処方を退院後も受けて、それを頼用で使用したことも何度かあったといい、睡眠も不安定で、寝ていても、いきなり、ぱっと起きて、叫んでしまったり、窓から飛び降りようとしたりしたこともあり、母親は極力本件生徒を一人にしないように配慮を続けていたという。
4R中転入のころから1年二学期終了までの出来事(2019/8/5~12/31)18月5日(月)午前、子ども総合相談センターで、本件生徒が転校先のR中で特別支援学級(以下「支援学級」という。)に入級するための教育相談が実施された。同日午後、本件生徒と母親はR中を訪問し、入学のしおりを受け取った。
10当委員会は、P医の医療記録の提供と医師との面談について遺族弁護団に協力を求めたが、医療記録の表紙と思われる資料の写し1枚のみの提出を受けたほかは医療記録等の資料の提供を受けられず、医師との面談についても了承を得られなかったため、これ以上の詳細な事実は認できなかった。
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8月9日(金)午後、本件生徒と母親はX中を訪問し、教頭ほか教論1名と退院後の本件生徒の健康状態や引越しの準備状況、転校手続等について話をした。その後、本件生徒は別室に移り教諭2名と退院後の生活状況等の話をした。本件生徒は、LINEは禁止されている、R中学区にある塾へ通う、中は知り合いがいないから友達ができるか心配だ、多分できないとは思うけど等と話した。その間、母親は教頭らと謝罪の場の持ち方等について協議していた。
28月19日(月)、本件生徒と母親はR中を訪問し、翌日からの学校生活に向けた話合いを行った。本件生徒と別々に話をした際、母親は対応した教諭2名に対し次のような話をした。
本件生徒は他人との距離感が近く、そのため男子にいいように利用されてしまう。
・6月に仲良くなった男子に公園に呼び出され、皆が見ている前で自慰行為をさせられた。
その中の数名にレイプされた。
・それらの様子を動画に撮られ拡散された。
・・その場には女子生徒もいた。
本件生徒は川に入って自殺未遂をして1ヶ月以上入院した。・警察に訴えたが、本件生徒は学校や警察に事実を話していない。前の学校の生徒には会わせたくないので、引越をして転校した。
・X中から転校してきたことを隠してほしい。
事件のことに触れずに、何事もなかったかのように本件生徒に接してほしい。
他方で、本件生徒は、対応した教諭に対し、学校生活を頑張って公立の進学校に進学したい、成績には自信がある、という話を元気にしていた。
R中は、本件生徒は支援学級に籍を置くが基本的には通常学級で授業を受け、通常学級で授業が受けられない場合には支援学級で授業を受ける、という受け入れ態勢をとることにしていたが、実際に本件生徒がR中に登校してみると、最初の何時限か通常学級で授業を受けることができても、自分から無理だと申し出て、その後は支援学級に移る状況であった。R中での一週目(8/20(火)~23(金))の金曜日は、学校を欠席した。
二週目(8/26(月)~30(金)の月曜日は、頑張って通常学級で授業を受けたが、4時限目の国語は出席できずに支援学級で過ごし、6時限目の理科の最後の5分間はトイレに行って戻らなかった。火曜日は、学校を欠席した。水曜日は、1時限目社会の授業を通常学級で受けようとしたが、無理だと申し出て支援学級へ行き、午前中はずっと支援学級で過ごした。
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木曜日は、学校を欠席した。金曜日は、朝から支援学級で過ごし、3時目の調理実習を受けに通常学級に行ったが、手を洗った時ハンカチが無いことでパニックを起こし支援学級に戻り、その後ずっと支援学級で過ごした。
三週目(9/2(月)~6(金))の月曜日は、朝の合唱練習、給食、放課後の係活動以外は支援学級で過ごした(帰りの合唱練習は、通常学級の教室前まで行ったが教室に入れず、廊下で歌った。)が、全般的に元気で楽しそうに過ごした。火曜日は、朝から登校したが、通常学級の教室に入れず4時限目の体育以外は支援学級で過ごした。水曜日は、朝学校へ行きたくないと言って登校を渋り、1時限目の途中に登校してからずっと支援学級で過ごした。この日、支援学級の教諭から母親に電話し、支援学級中心の学校生活なので進路のことなども含めて近々お話ししたいと伝えた。木曜日は、学校を欠席した。
49月6日(1時限目、本件生徒と支援学級の担任教諭とで、R中転入後三週間の学校生活を振り返り、今後の学校生活について話し合った。席上、本件生徒は次のように話した。
高校には行きたい。進学校に行きたいと思っているが、高校の選択でレベルを下げたり、通信制の学校へ行くことも考えて行く。
通常学級の生徒と関係ができていないので居づらい(話ができた女子は3人くらい、男子は0人)。
・支援学級は、皆何かもっているからお互い理解できる。
・勉強が遅れているから通常学級に戻らないといけないと思うし、勉強やらないとダメだと理解しているが、気持ちが全く乗らない。
・気持ちが乗らないのは、通常学級は息が詰まる、支援学級に居たい、通常学級に戻りたくないから。
X中では通常学級で頑張り過ぎて、息詰まって爆発したんだと思う。あんな気持ちになるなら、通常学級に戻りたくない。
支援学級での生活が、自分には合っていると思う。
本家では集中できないので、塾の自習を活用している。
自分の特性は、集団に合わせるのが苦手。人の考えていることがよく分からない。読み取れない。
・無気力が突然襲ってくる。理由がわからない。理由もなく学校へ行きたくないと思うときもある。
朝ご飯食べられない。パンとか直ぐ食べられるものは買って置いて
「ぶる。
・家庭科は、調理実習で)一度失敗したからもう入れない。
・国語(漢字以外)、数学はよいが、理科、社会、英語はダメ。
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話し合いの結果、二学期は支援学級中心で動くこと。通常学級に行けそうな授業(体育、美術、音楽)は行くこと。二学期最後に、三学期通常学級に入るかどうか考えることを決めた。
5R中での四週目(9/9(月)~13(金))、本件生徒は、毎朝登校できたが通常学級で授業は受けられず、支援学級で過ごした。
9月13日は学校祭だった。合唱コンクールは、通常学級に参加してみんなで歌った。母親が来校し、本件生徒が来るまでの間、支援学級担任と話した。担任からは、本件生徒が支援学級は楽しいが通常学級には入りづらいと話していることを伝え、母親からは、地元月刊誌にX中での出来事の記事が掲載されたことについて、本件生徒が不安がっているとの発言があったが、本件生徒が来たので中断となった。
五週目(9/17(火)~20(金)、毎朝登校し、9/18(水)1時限家庭科、4時限体育、9/19(木)3~4時限調理実習、9/20(金)校外学習は通常学級に参加、9/17(火)と9/19(木)の二日は給食後に頭痛を訴え寝ていて、それ以外は支援学級で過ごした。
9月18日(水)午後、母親がR中を訪ね、支援学級担任と面談した。
担任からは本件生徒の学校での様子(基本的に落ち着いているが、調理実習でハンカチを忘れてパニックになったり、美術部の見学に行くと勝手に決めて教師にダメだと言われてパニックになったり、思い通りに進まなくて気持ちが不安定になることがあること)を説明し、今後は支援学級中心の生活をしたいと考えていることを伝え、母親はこれに同意した。
母親からは、地元月刊誌の記事になったことで、小学校時代の同級生から本件生徒に、あなたのことでしょという確認のメールが来て、本件生徒は皆にばれたのではないかと不安がっていて、記事に何が書いてあるのか色々と母親に質問してくるが、記事は見せていないし、内容も教えていないと話した。
また、本件生徒が、オンラインゲームを通じてY中の同級生男子と付き合っていて、二人で遊ぶ場所まで本件生徒を車で送って行ったりしていること、母親としては別れさせたいが、「別れなさい」と言ったら本件生徒がパニックになって大変なことになるので言えず、二人のつながりはオンラインゲームしかないので、ゲームをしないように仕向けているとも話した。
担任は、学校として記事のことについて噂が出ても全否定し、もし何があったら母親に相談すること、彼氏のことは学校として見切れないので、母親の方でスマホの管理をし、本件生徒の行動をよく把握してしっかりと見守ってほしいと話した。
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母親は、今後の進路について、本件生徒は大学まで行きたいと言っているが、母親としてはそこまでこだわっておらず、本件生徒の特性もあるので、本件生徒が幸せに生活できる場所に行って欲しいと思っていると話したが、本件生徒が頑張りたい目指したいと思ったところに行って欲しいできれば五教科の授業も受けてほしいし、テストも受けてほしい、とも話した。
「学校と母親の確認事項として、二学期は支援学級中心だが、通常学級に行ける授業には行く、三学期どうするかは、二学期の終わりころ、本件生徒、母親と相談することとした。
69月24日(火)、本件生徒は、朝から登校して、2時限目体育、4時限目数学、給食、帰りの会を通常学級に参加し、全体的にやる気がみられた。翌25日1時限目数学と3時限目体育は通常学級で受けた。5時限の終わりころ、廊下をうろうろし、教員室前のロビーで過呼吸になって「学校来るのが面倒」、「勉強したくない」と言った。支援学級の担任は、翌日からの定期テストに不安があるのではないかと感じた。
9月26日、朝の会は通常学級に入ったが、1時限目の定期テストが始まる前に別室に移動して三教科を受けた。翌27日(金)は、朝寝坊の電話連絡があって午前9時前に登校し、別室でテストを受けた。
9月30日(月)は、P医院通院を理由に学校を欠席した。10月1日(火)は、通常学級で朝の会に出席した後、テストが返却されてから支援学級に来て一日過ごした。翌2日(水)は、朝から体調不良を訴えて2時限目の途中まで支援学級で寝ていたが、保健室で1時間休んでも回復せず早退した。翌3日(木)は、学校を欠席した。母親から学校に電話があり、登校を促したが、本件生徒は気持ちが乗らないから休むと言っていて登校できない、とのことであった。翌4日(金)は、朝から登校したが、吐き気がするといって保健室で休み、その後は支援学級で過ごした。
その日以降10月25日までは、学校を休んだり遅刻したりすることもなく、概ね支援学級で過ごすことができた。この間、校外実習、芸術鑑賞作業実習、工場見学があったが、いずれも参加することができた。
710月28日(月)、本件生徒が、放課後、帰宅するため学校の玄関を出ようとしたとき、後ろにいた男子生徒に同学年の某男子生徒を待っているのかとからかわれたことに憤慨し、個々その某男子生徒が近くにいたので、「殺すぞ」というような暴言を言って、同生徒を蹴ってしまうという出来事があった。
生徒は、帰宅した後、母親に対し、事実経過を話した上で、多くの生徒がいる前で泣き叫んでしまったので学校に行きづらい、蹴ってし
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まった生徒に謝りたいがどうしたらよいかわからない、みんなに沢山迷・惑をかけて合わせる顔がない、だから自分は学校に行かない方がいい、
と話した。
翌29日(火)、本件生徒は学校を休んだ。母親と電話で話して事情を聞いた支援学級の教諭は、男子生徒に謝罪する場面を設けることはできるし、他の生徒と顔を合わせたくなければ時間をずらして登下校することもできると伝えた。
翌30日(水)支援学級の担任は、遅刻して登校した本件生徒から詳しく事情を聴き、謝罪については男子生徒の気持ちを担任が聞いて決めること、その男子生徒とは距離をおくこと、登校時刻を遅く、下校時刻を早くすること、今後、本件生徒と他の生徒との距離が近すぎると感じた担任から本件生徒に伝えること等を話し合って決めた。当該男子生徒とは、後日、本件生徒から直接謝罪する機会を設けることができた。811月7日(木)、本件生徒は、学力テストを全て別室で受けた。テストを受ける意欲は高かった。翌8日(金)は、テスト疲れのためか学校を欠席した。学力テストの結果は学年19位で、結構よかったから喜んでいた。11月12日(火)、邦楽教室(箏)に出席するかしないかでパニックになり、その後、支援学級の担任と本件生徒で今後のことを話し合った。担任から、本件生徒が進学校へ進みたい、三学期から通常学級で勉強すると言っているからサポートしているが、やりたくない行きたくないと言ってパニックになったり逆ギレしたりされると、どのようにサポートしたらよいか分からなくなる、通常学級では嫌でもやらなければならないことが沢山あるのに、どうしたらいいと思うときくと、本件生徒は、自分でもどうしたらよいか分からないと言い、今の状況だと通常学級に入ってもパニックになって、また人に迷惑を掛けたりぐちゃぐちゃになって行きづらくなると思うから今は難しそうだ、と答えた。気持ちの切り替えが課題であることは本件生徒も理解しているようなので、担任は、もう少し支援学級で時間をかけて気持ちの切り替えの練習をする、その代わり勉強は自力で頑張ることを本件生徒と確認した。担任は、三学期から通常学級で勉強することは難しいと判断し、そのことを三者懇談会母親にも話してみることにした。
11月19日(火)、三者懇談会が開かれた。席上、母親は、本件生徒が夜遅くまでゲームをやっていて朝起きられない、母親としては本件生徒が行きたいところに行ってくれればよいと思っていて、この先支援をしてもらいながら生活するなら支援の高校に行けばよい、本件生徒が公立の進学校に行きたいと言っているのだから勉強を頑張らないといけない本件生徒はやらないから仕方がないと話した。担任が、やりたく
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ないことはやらないし、やるように言うと逆ギレするので困っているというと、母も同じことを思っていると言った。塾でも同じで、今は0で帰らないことを目標にしているとのことだった。結論として、学校でも10分でいいから支援の授業中に勉強していくことを確認した。
翌20日(水)、担任が、3時限目に支援学級で本件生徒に対し、少しでもいいから数学の勉強をやらないかと勧めたが、本件生徒はやりたくないと言って寝てしまった。22日(木)と23日は、学校に行きたくないと言って欠席した。担任は、三者で確認はしたものの、本件生徒に無現にやらせようとするのは効果がないと感じ、本件生徒のやる気が出るまで待った方がよいと考えた。
1011月25日(月)から27日(水)まで、本件生徒は、普通に登校して支援学級で過ごした。
11月28日(木)は定期テスト1日目だったが、担任から「休みながら支援で受けてみようか、まずは1時間目英語。」と声を掛けると、本件生徒はスイッチが入ったように「英語分かんないから受けない」「やっても無駄」「もうヤダ」「帰る」「こんな学校来たくなかった」「明日から来ない」「早く帰りたい」と言って玄関へ行き帰宅しようとした。支援学級の教諭らが引き止めようとしたが本件生徒がきかなかったため、母親に連絡して、テストは翌日受けることを約束させて、9時10分に下させた。
11月29日(金)、本件生徒は、発熱して学校を欠席した。R中の1年生は、12月3日(火)まで学年閉鎖になった。
12月4日(水)、朝から登校したが、テストは受けず、ずっと支援学級で寝ていた。担任は、今週中にテストを受けないと成績処理に間に合わないことを本件生徒に伝え、いつ受けるか自分で決めるように言った。
12月5日(朝、本件生徒は、登校して、塾の先生と親に説得されてテストを受けることにしたと言った。1時限目と2時限目で数学と国語のテストを受け、3時限目は通常学級の体育の授業を受け、4時限目に社会と理科のテストを受けた。受けられなかったテストは明日頑張ろうと担任と約束して下校した。
12月6日朝、母親から、登校を絞ったが何とか説得して行かせたとの電話連絡があった。本件生徒は、1時限目にテストを受けたが、その後下校した。
1012月9日(月)、本件生徒は、午前9時ころ登校したが「もう無理」と言って2時限目終わりに下校した。10日(と11日(水)は学校を欠席し
12日(村と13日()は朝登校したものの、「何もかもが面倒くさい」「勉強したくない」「学校に来る意味がない」と言って何もしようとし·40-


なかったため、給食を食べさせて下校させた。担任は、12日(木)、早退
の連絡を母親にした際、16日(月)に母親と面談することにした。
12月16日(月)夕方、母親がR中を訪れ、支援学級の担任と面談した。担任は、転校してきてよく頑張ってきたと思うが二学期後半はキツそうだった、頑張らせるとその後学校を休んだり拒否反応が出たりすると話した。母親は、ゲームの中にニートの人が沢山いて「親が死ぬまでは仕事しなくても親のすねをかじって生活できる」と言っていて、本件生徒もそれを呑みにしているようだ。催眠療法などの精神的治療を進めたいが、病院からはいろいろな情報がないと治療ができないと言われ、学校からは情報は開示できないと言われて困っている。本件生徒にどんな声を掛けたらよいか分からない。今まで頑張ってきたから少し休憩が必要なのかもしれないが、ずっと休んでしまうとそのまま学校に行かなくてもよいと思って行かなくなるのが怖い、と話した。
面談の結果として、担任と母親は以下の四点を確認した。
・無理やり登校させたりテストを受けさせたりするのは、余り効果がない。
・欠席、早退は、本件生徒の意向に沿って対応してもよいかと思う。・最低でも1週間に1回は登校させるようにする。
・学校は集団の中でも安定した気持ちで生活を送れるように練習をする場所である、というくらいの楽な気持ちで登校してもらえればよい。
12月16日(月)から20日(金)までの週、本件生徒は、19日(村以外、学校を欠席した。19日(木)は映画を見る日になっていたが、登校して映面に出発する直前になって、吐気と腹痛を訴えて下校した。
12月23日(月)は終業式で、本件生徒は学校に行きたくないと言ったが、母親からプリントとかもらう物あるから取りに行ってみたらと言わ午後に登校した。通知表の成績は思ったよりよかったようで、支援学級の担任に促されて30分くらい話をする中で、冬休み中にの予定が入っているとか、道コン(公開模擬試験)を受けるとか話していた(実際には、にも通えず、道コンも受けなかった。)。
本件生徒は、R中に転入したころから、X中在籍時に通っていた塾と同じフランチャイズの塾に通っていたが、R中に登校できなくなるのと並行して、にも通えなくなっていた。ただし、本件生徒が公立進学校への進学を断念した訳ではなかったので、母親はとの契約を維持して、本件生徒が行きたくなればいつでも行けるようにしていた。そのような事情もあって、塾の先生から本件生徒に直接連絡が入ったり、塾の先生の計らいでリモート授業が試みられたりしたこともあった。
この年のクリスマスのころ、Aから本件生徒に手紙が届いた。手紙を
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見せてもらった母親によると、そこには、AもDに脅されていた、本件生徒を助けてあげられなかったことはごめんなさい、ということが書かれていた。本件生徒がAに宛てた返信の手紙には、「証言ありがとうございます。言ってることがバレたら大変なことになるのに・・・。本当にありがとう。《略》A先ぱいたちはおどされてたんですよね?私のせいでまきこんでしまって本当に申し訳ないです。でもA先ぱいは裏で止めてくれてたって聞きました。そんなことがあっただなんて知らなかった。ずっとずっと頑張ってくれてありがとうございます。」と書かれている。5R中1年三学期の出来事(2020/1/1~3/31)
1この期間中、本件生徒がR中に登校したのは、1月30日(木)夕方、絵の具を取りに行ったときと、2月27日(木)から3月25日(水)までコロナ臨時休業期間中の分散登校日二日だけであった。
支援学級の担任は、ほとんどの週末に学校が終わった後でプリントなどを持って家庭訪問していて、玄関先に出てきた本件生徒と言葉を交わしたことも3回あった。
このように、担任が本件生徒に会う機会は少なかったが、分散登校日に指定された二日とも登校して落ち着いて過ごすことができ、2月25日(火)に家庭訪問した際、「もしかしたら前の学校の先輩がいろいろと手伝ってくれるかもしれない」とか、塾のテキストを前日から解き始めたので、ある程度解いたら教科の先生に渡してほしいとか、テンション高く話す本件生徒の様子を見て、担任は二年生になれば登校してくれるようになるのではないか、との期待を持った。
22020年1月のある日、それまで母親がX中から説明を受けていたことを時系列で整理して書いていたノートや、謝罪の場で母親から相手の生徒に質問しようと考えた事項を整理した表、当委員会がいじめとして取り上げた事実関係を報道したと思われる地元月刊誌等を、母親の外出中に本件生徒が見つけ、内容を読んでしまうという出来事があった。
帰宅した母親に対し、本件生徒は、文字通り激怒して「これ信じてる
11当委員会は、Aから本件生徒に送られた手紙について弁護団に写しの提供を求めたが、提供は受けられなかった。
12この報道記事はX中の女子生徒がその年の6月に自殺を図ったとしていることや、男子生徒が不適切な自画撮りの画像や動画を要求したとしていることから、本件事案を報道したとものと考えられるが、本件生徒について「横から飛び降り自殺を図り、市内の病院に緊急搬送」などと記載されているように事実と異なる部分が多いものだった。記事では本件生徒については匿名であったが、X中については実名であり、本件生徒が自身の被害状況が周囲に伝わると感じるような内容であった。
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の?」、「誰から聞いたの?」と質問攻めにし、書かれていることは全部違うと言った。母親が、「本当のことと違うのであれば、どこが違うか話してごらん」と言うと、本件生徒は話したがらなかった。そこで、「ママに話すのが嫌だったら弁護士さんに話してみるかい」と母親が言うと、本件生徒は部屋に入ってしまったが、数日後、本件生徒が弁護士に話すと言ったことから、母親が弁護士に面談の予約を入れた。
1月29日(水)夕方、2月6日(木)午前、同月21日午後の3回、本件生徒と母親は弁護士の事務所を訪ね、本件生徒が別室で弁護士と面談を行った。面談の席上、本件生徒は次のような話をした。
6月22日のこと。
・みんなの話をしていて、本件生徒がEの地雷を踏んだ。Eにお前のこと言いふらすぞと笑って言われ、激怒した。Eが何を言いふらすのか言う前に切れてしまったので、Eが何を言いふらそうとしたのかわからない。
・独り醤的に死にたいと言ったら、Dに死にたくないのに死ぬとか言うなと言われた。最後のとどめに感じて、川に行った。
6月15日のこと
本件生徒は、外だし人に見られたら嫌だし、やりたくないよと言っていたが、EとDがしつこかった。
・そういう雰囲気に率先していたのはEだった。Dは、やったらいいんじゃない、やって、みたいな雰囲気を作っていた。
警察から、Eは謝りたいと言っているときいた、Dのことはきいていない。
ODのこと
・一緒にいるとき、母親から塾に行っていないことについて電話があると、そういう電話まじうざいよねー、と言われた。
・Dの機嫌が悪くなると周りにいる者がピリピリしていた。Dは、イライラし始めると、あのさぁーと口が悪くなった。
・Dは小学生に成人アニメの動画を見せていた。それが普通でないことは、後から気付いた。
•Aとかには逆らえる。Dには逆らおうという考えに至らない。無言の圧力を感じるときがある。
6R中2年一学期の出来事(2020/4/1~7/31)
4月7日(火)始業式、本件生徒は朝から登校し、時間も短かったため元気に生活できた。8日(水)は、朝起きられず午前10時30分ころ登校し、給食を食べて下校したが元気だった。9日(木)は、朝から登校し、1時限目は保健室で寝て、2時限目から色紙とポスター作りを行ったが、やる-43-

こと無くなった帰りたいと言い、給食を食べて下校した。
同月10日と13日(月)は、学校を欠席した。14日(火)は、午前11時40分ころ登校し、給食後、生理で体調が悪いと言って下校した。15日(水)と16日(木)は、学校を欠席した。17日(金)は、12時近くに登校、すぐ給食を食べ、5時限目プリントを渡す。自分から先生方に話しかけ、気分は安定してい
同月20日(月)から5月31日(日)まで、学校はコロナ臨時休業となった。25月21日(木)、本件生徒は、ツイッターの名アカウントで自身がいじめを受けていたことなどを発信した。
また、具体的な時期ははっきりしないものの、おそらくこれ以降の時期において、本件生徒は、複数の教員に対して、自分がいじめを受けていたという趣旨の発言をしたことがあった。ただ、本件生徒がそれ以上具体的ないじめの内容等を話すことはなく、教員としても本件生徒の心情に配慮してそれについて触れるような発言は控えていた。
3コロナ休業期間中の分散登校期間(5/19(火)~29(金)本件生徒は、前もしくは午後に限定して指定された登校日7日のうち、4日登校した。5月28日(木)、本件生徒は弁護士事務所を訪れ、A宛の手紙を書いて弁護士に投函してもらった(弁護士も母親も内容は見ていなかった。)。同月30日(土)、その手紙に「先輩は生きてください」と書かれていて、便せんが黒く緑どられていたことから、心配したAの母親から、本件生徒の母親と連絡をとりたいので連絡先を教えてほしいという電話がX中に入った。X中から中に連絡が入り、R中教頭が母親に電話を掛けて本件生徒の様子を聞いたところ、側に本件生徒も居たようで、母親が本件生徒の話を聞いて心配ないことが確認された。
46月1日(月)から7月31日までの間、本件生徒が登校したのは、
6/1(月)、6/2(火)、6/5(金)、6/8(月)、7/3(金)、7/16(木)、7/30(村の7日であった。このうち7/16(木)を除き、2時限目から3時限目に登校し給食を食べて下校していた。登校したときは、最初に担任の教諭と話をして、その日はいつまでいて、いつ下校するか予め決めるようにしていた。この期間中に、担任が家庭訪問して本件生徒に会ったことも4回あり、担任には、登校日のときも含めて、いずれも本件生徒は元気そうな印象であった。7/16(木)は、本件生徒の絵に興味を持った同学年の生徒にイラストを手す約束をしていたようで、朝7時30分に登校して、その生徒と会ってをした後、支援学級で朝の会から2時限目まで過ごし、3時限目が始まる前に下校している。
13ツイッター上の記載内容については後記Vで詳細を検討する。
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7R中2年二学期の出来事(2020/8/1~12/31)
18月18日(火)、本件生徒は学校を欠席したが、母親からの欠席連絡
の際、担任がきいた話では、夏休み中、体調を崩すことなく過ごしていたようであった。その日から9月24日までの間、本件生徒が登校し・たのは、8/20(木)、8/27(村)、8/30(月)の3日であった。いずれも2時限目に登校していた。
29月25日、本件生徒は、3時限目から久し振りに登校し、通常学級の同級生と話がしたいと言って4時限目の休み時間に教室に出向いたが、上手く行かなかったようで、元気なく支援学級に戻ってきた。
昼休み後、支援学級で臨時講師をしていた教諭に伴われて保健室を訪れた本件生徒は、最初泣きじゃくっていたが直ぐに落ち着き、養護教論を加えた三人で友達づくりの方法を考えることにした。その結果、絵が得意な本件生徒が乗を作成し図書室に置いてもらって、興味を持ってくれた生徒と話をして仲良くなろう、ということになった。
この日、本件生徒は、乗作りをして過ごした。
39月28日(月)、本件生徒は、2時限目に登校して。教師や支援学級の生徒に色紙に描いた絵を見せて話すなどしていたが、学習には向き合えず、イライラする、落ち着かない等の発言があって、不安定になったた4時限目に下校することになった。翌29日(火)から10月12日(月)ま本件生徒は、学校を欠席した。
410月13日(火)から15日(木)まで、本件生徒は、毎日3時限目、4時限目に登校して給食を食べ、午後は保健室で絵を描いたり、楽を作ったりして穏やかに過ごした。その間、保健室に来た生徒たちと絵の話をして盛り上がったり、絵をラミネートしてプレゼントしたりして、楽しそうに過ごしていた。
しかしながら、10月16日(金)以降、年末まで、本件生徒が登校することは無かった。担任は、頻繁に電話を入れたり、家庭訪問をしたりしていたが、本件生徒と会って言葉を交わすことができたのは、10/30(11/9(月)、12/9(水)の3回だけであった。
8R中2年三学期の出来事(2021/1/1~3/23)
11月15日から2月3日(水)まで、本件生徒は学校を欠席した。
22月4日(木)、本件生徒は、2時限目に登校、給食は完食した。頭痛を訴えて、午後1時20分ころから一時間、保健室のベッドで休養した。その際、養護教諭が本件生徒が作った薬を使っているよと言って見せると、本件生徒は笑顔を見せた。この日は、支援学級の仲間と一緒に下校した。
32月5日、本件生徒は学校を欠席した。夕方、支援学級の教諭が家
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庭訪問すると、本件生徒が玄関に出て学級通信を受取った。
2月8日(月)、9日(火)、10日(水)、12日(金)、本件生徒は学校を欠席した。
2月13日(土)夕刻、母親が仕事上の用件で外出している間に、本件生徒が自宅から失踪した。失踪前、本件生徒は、ネットゲーム向けのボイスチャットで知り合った人に、「きめた」「今日死のうと思う」「今まで怖くてさ」「何も出来なかった」「ごめんね」というLINEメッセージを送っていた。ただし、本件生徒とボイスチャットで最後に話していたと思われる人物は、匿名通報後、連絡を断っているため、本件生徒が失踪したときの詳しい状況はわかっていない。
53月28日(火)、自宅から2kmほど距離のある公園で、本件生徒の遺体が発見された。遺体は軽装で、死因は低体温症による凍死とされており、薬物を大量に服用した形跡は認められないとされている。
第4いじめ発覚後の学校対応に係る事実経過
2019年6月23日いじめ発覚から同年9月11日X中謝罪の場の実施、同月17日月刊誌報道対応までの、X中、Y中の対応に関係する事実経過は下記記載の通りである。
なお、以下ではA、B、C、D、E、F、Gの七名の生徒のことを「関係生徒」という場合がある。
1いじめ事件発覚から関係生徒の事情聴取までの学校の対応(6/22~7/7)16月22日(土)、N病院入院の際、本件生徒からスマホを預かった母親は、同日深夜から翌23日(日)早朝にかけて、自宅でLINEメッセージの履歴を確認した。スマホの画面にひびが入っていて読みづらい部分もあったが、本件生徒がEから執拗に性的な画像送信を要求され、断り切れずに送信している様子を見つけ、画像がインターネット上に拡散したら大変なことになると思った。また、Eのメッセージの中に性行為をにおわすような表現があることから、5月の連休中の早朝、本件生徒が自宅を出たことに気づいた母親が止めようとしたときに、Aちに呼ばれているからと必死になって公園へ行こうとした本件生徒の姿を思い出し、同連休明けころに本件生徒がDに自殺したいというメッセージを送っていることや、6月1日(土)、Dから本件生徒への「大丈夫」と尋ねるメッセージに対し、本件生徒が「私がA先輩にされたことは、拒否らなかった私が悪い」と返信していること、6月11日(火)、本件生徒からDに対し「先輩方とのラインを消したい」というメッセージを送っていること等を見つけ、明るく活発であった本件生徒がそのころは笑わなくなり、塾に遅刻したり、自宅で自室にこもるようになったり、しばしば吐き気·46·

を訴えたりしていたことも思い出され、本件生徒が性的被害を受けていると確信し、そのころ自転車で転んだといって脚にケガをして帰ってきたこともあったことから、ひょっとしたら本件生徒が性暴力を受けていたのではないかとも思い当たり、激しく動揺した。
母親は、6月23日(日)早朝、いても立ってもいられなくなり、M交番へ行って警察官に相談した(同日午前6時15分、母親は、N病院へ電話を掛けて、本件生徒が性犯罪に巻き込まれている可能性があるので、本件生徒には事情を一切明かさずに妊娠検査をしてほしい、と対応した看護師に泣きながら話した、との医療記録もある。)。
26月23日(日)午前7時ころ、母親はX中に電話を入れ、午前8時15分ころから午前9時40分ころまでX中を訪れて、教頭ほか教諭2名と面談した。席上、母親は、本件生徒とE、Dとの上記LINEメッセージ履歴について説明し、教頭らはその場でスマホ画面を確認しながら説明を聞いた。母親は、刑事事件として捜査してもらうため、面談終了後、Q警察署へ向かった。
3Q警察署において、母親は、本件生徒のスマホを提出してLINEメッセージ履歴を説明し、本件生徒が受けたと思われる性的被害を訴えたが、刑事事件としてはEの児童ポルノ法違反の捜査が行われることになり、Eが14歳未満であれば処罰を受けることはない旨の説明を受けて、N病院へ入院となった本件生徒の処遇と比べ加害者が問われる刑事責任の軽さにショックを受けた。
同日午前11時ころ、Q警察署からX中にA、B、C、Dの連絡先等を問い合わせる電話があり、その後、4名の生徒から事情聴取を行うの当日中は学校による事情聴取を控えてもらいたいとの電話があった。X中はQ警察署から申入れを受けた後、母親に電話してQ警察署とのやりとりを説明した。
同じころ、Q警察署からY中にEの連絡先等を問い合わせる電話があり、その後、Eが文中に居ることが判ったので会わせてもらいたい、との申し入れがあった。その際、F、Gという名前の生徒がY中に在籍しているかについて、問い合わせがあった。Y中は、Q警察署の警察官によるEとの面会を受け入れ、F、GがY中に在籍すると回答した。4同日、Q警察署の警察官は、A、B、C、Dの所在場所に出向いて、事情聴取と画像データの有無の確認を行った。また、Y中に出向いてE警察署に任意同行し、事情聴取してタブレットを提出させた後、帰宅させた。
これらの事情聴取等によって、Q警察署は以下の事実を把握した。
Eが本件生徒から取得した画像には顔が写っていないので、本件生-47.

徒が特定されるおそれはないこと
Eがそれらの画像データを、CとDに送信していたこと(児童ポルノ法違反)、AとBには送信していないこと
CとDに送信された画像データについて、事情聴取時に削除していることを確認していること(ただし、Cが別の形でデータを所持していたことが翌日のX中による聴取で判明し、そのデータはX中が削除させている。また、Eのタブレットに残されていたデータは、Eへの返却時に削除させている。)
別の機会にAが本件生徒から取得した画像データについて、事情聴取時に削除していることを確認していること
母親から聞いていた事案の外にC、D、E、F、GがW公園で本件生徒に自慰行為を強要した疑いがあること
Q警察署は、Eが本件生徒の画像を取得してCとDに送信した行為は児童ポルノ法違反に該当するが、14歳未満であるため触法少年として児童相談所に通告するか否か本件生徒からの事情聴取の結果を含めて検討する、この事案に関してCとDは触法少年として取り扱わない、その余の本件生徒の性的被害について立件するか否かは本件生徒からの事情聴取の結果次第である、との捜査方針を立てた様子が、学校や母親への連絡から窺える。
56月24(月)午前、X中教頭はQ警察署に電話を掛け、上記について説明を受けた。
同日午前10時ころから午後4時30分ころまで、X中は、教諭2名ずつが二組になって、A、B、C、Dを順次校内の部屋に呼出し、各1時間から1時間30分程度の時間をかけて事情聴取を行い、前記第2の35678745記載の事実について事実関係の概要を把握し、各生徒に本件生徒に対する言動について指導を行った。
これらの取の結果と指導の内容について、A、B、Dについては、同日夕刻、各生徒の学級担任から保護者に対し電話で説明した。Cについては、聴取の過程で、6月23日(日)、警察官から事情聴取を受けた後、CがEから送られた画像をAとBに見せていて、画像データを保有していることが判明したため、6月24日(月)夕刻、保護者にCのスマホを持参させ、X中においてデータ削除の指示を行うとともに、教諭2名から保護者に対し同日Cから聴取した結果と指導の内容を説明した。同日夜、X中を訪れた母親に対し、教頭ほか教諭1名は、同日AB、C、Dから聴取して判明した事実(6月15日ころ本件生徒が自慰行為を強要されたことがあったと思われることCEから送信された本件生徒の性的画像をAとBに見せたこと、本件生徒に対しAが行った-48-

性的な行為等)について説明を行ない、母親は、教頭に対し、N病院入院により本件生徒が厳しい処遇を受けているのに比べ、関係生徒が問われる刑事責任が思いのほか軽く理不尽であるとの思い等を話し、情報提供を求めた。
6同日午前、Y中教頭がQ警察署に電話を掛け、Eに対する捜査の状況
について問い合わせた。Q警察署からは、Eの容疑が性的画像の送受信であること、画像が拡散するおそれはほとんどないこと、捜査終了まで1ヶ月程度を要すること等の説明を受けるに止まり、具体的な事実関係についての説明はされなかった。
同日午後、X中からY中に対し、X中生徒から事情聴取をした結果、6月15日ころ本件生徒が自慰行為を強要されたことがあったようで、Y中生徒E、F、Gの名前も上がっている、との連絡があった。
Y中は、Eが警察の捜査を受けている事件との関連が疑われたことから、Q警察署に電話をして、この件について生徒指導を行うことが捜査の支障にならないか問合せ、指導しても構わないとの回答を得た。
6月24日(月)夕刻、Y中は、教諭2名でGから6月15日公園での出来事について事情聴取を行い、当委員会が「いじめ」として取り上げた事実5について事実関係の概要を把握し、Gに本件生徒に対する言動について指導を行った。その後、Gの学級担任外教論1名が、Gの家庭訪問を行って保護者に対しGから聴取した事実関係と指導内容を説明した。
6月25日夕刻、Y.中は、Fの学級担任外教諭1名がFの家庭訪問を行い、前日Gから聴取した事実関係をFに確認し間違いないとのことだったので、Fに説論するとともに保護者に対しても再度Fと話し合いの機会を持つことを求めた。
同日夕刻、Y中は、Eと保護者を学校に召喚し、Eの学級担任外教論1名が、前日Gから聴取した事実関係をEに確認し間違いないとのことだったので、Eに説論するとともに保護者に対しタブレットの使い方に関する指導と管理を求め、Eと保護者で再度合いの機会を持つことを求めた。
同日夜、Y中教頭からX中教頭に電話があり、Y中教頭は、E、F、Gから聴取した事実関係を説明した。
76月26日(水)午後、X中は、6月15日W公園での出来事についてAとCから補充的に事情聴取を行った。
同日午後3時20分ころから午後4時ころまで、X中から母親に電話をして教頭らが対応)本件生徒のN病院での様子等をきいた。母親の話では、前日、本件生徒がフラッシュバックを起こしたようで、強い-49-

薬が投与された、「誰にも会いたくない」と言って母親との面会も拒絶した、当日はベッドがある普通の病室に移っていた、とのことだった。母親は、前日、Q警察署の担当警察官に電話を掛けて、本件生徒が自慰行為を強要されたことやAから性的なことをされたことについても調べてほしいとお願いしたが、消極的な対応をされたとのことだった。母親ほ、学校と警察で事実を調べてもらって、本件生徒が何をされたが判れ本件生徒の治療も進められるのではないかと話した。X中から母親に対しては、中の教諭が本件生徒と面会できるかN病院の先生にきいてもらいたいと依頼した。
その後しばらくしてから、母親からX中に電話があり、Q警察署から母親の要望した事実関係についても捜査する旨の電話があったとのこと
だった。
同日午後8時ころから、X中に、X中、Y中乙小の教頭らが集まって情報交換を行った。その席で、母親との対応はX中が行い、必要があればX中からY中小に連絡することが決められた。
86月27日、午前9時ころから午後1時ころまで、Y中は、教頭ほ
か教諭1名がEから事情聴取を行った。聴取内容は、小時代の本件生との接点から6月22日(土)に本件生徒が川に入ったところまでに及び特に6月15日(土)については詳しく聴取されたが、6月3日(月)の本件生徒とのLINEを通じたやりとりについては、警察が捜査中ということもあって踏み込んだ聴取は行われなかった。
96月27日(午前、X中は、教諭2名が、から、6月15日公園での事実経過について、改めて事情聴取を行った。
・同日、X中は、生徒・保護者への指導と確認の方針を決めた。その内容は、A、B、C、Dと保護者を学校に召喚して、本件生徒が入院し厳しい制限を受けて生活していることを伝え、これまでに聴取して判明した事実関係を説明した上で、それ以外に同様の行為をしていないかも含めて再度生徒に確認を行い、現時点で生徒と保護者がこの件をどう考えているのか取するとともに、今後W公園へ行かない、スマホは使用させないか、使用させるとしても毎日LINE等のやりとりをチェックする等の対応策をとるよう指導する、というものであった。
同日昼、X中はBと保護者を学校に召喚し、学級担任外教輪2名が、上記方針にもとづき確認、指導を行うとともに、本件生徒に対する謝罪意思を確認した。
同日夕刻、X中はCと保護者を学校に召喚し、学級担任ほか激論1名が、上記方針にもとづき確認、指導を行うとともに、本件生徒に対する謝罪の意思を確認した。
-50-

6月28日夕刻、X中はAと保護者を学校に召喚し、学級担任ほか教諭2名が、上記方針にもとづき確認指導を行うとともに、本件生徒に対する謝罪の意思を確認した。
X中は、6月15日(W公園での出来事について、6月27日(村から7月4日(木)まで、Dから2回の事情聴取を行い、Y中に依頼して、Gから再度の事情聴取をしてもらった上で、Dと保護者を学校に召喚し、7月5日(夜、ほか教諭2名が、学校として把握している事実関係を説明した上で、Dの本件生徒に対する考えを確認し、その場にいた生徒が本件生徒に自慰行為をさせたことを止められなかったことは本件生徒に謝りたい、というDの意思を確認した。
6月28日午前、X中において、母親と教頭ほか教諭1名で面談を行った。席上、X中からは上記の指導方針を説明し、A,B,C,Dは自らった行動をした部分について深く反省し、保護者ともに謝罪したいという意思を確認していると伝えた。Y中のE、F、GについてY中から保護者ともに謝罪の意思があることを確認していることを伝えた。
母親は、前日、弁護士に相談して謝罪を受けてから新たな事実が判明した場合、再度謝罪の場を設けなければならなくなり二度手間となること本件生徒の精神状態についても心配な現状であることから、
を受けるのは一連のやりとりが全て判明してから行った方がよいと考えていると話した。
また、母親は、本件生徒が面会に来てもらいたい先生として6月22日(土)川に入ったときに助けに来てくれた男性教諭2名の名前を挙げたこ本件生徒が勉強が遅れることが心配だと言っていて、病院の許可も出たので問題集を購入して差入れたこと等を話した。学校への要望を間われた母親は、生徒に配布しているプリント類を渡してもらいたいと答え、学校もこれを了承した。
その後、母親からX中に電話があり、上記男性教諭2名と頭の面会について病院の許可があったとのことであった。
6月29日(土)、母親は、病院の許可を得て、X中のロッカーに置いてあった本件生徒の教科書を持ち帰って同人に渡した。
7月1日(月)午後、X中に市教委から電話があり、同日昼、母親が市委を訪ねて面談を行った際、母親は本件生徒の転校を考えているとのことであった。
同日午後4時15分ころから午後5時30分ころまで、X中教頭と男性教諭2名がN病院で本件生徒と面会し、談話室で、母親同席のもと、本件生徒が取り組んでいる英と理科の問題集を使って学習指導を行な-51.
ったり、話しをしたりした。そのとき、本件生徒は積極的に発言し、教頭らは本件生徒が終始話し続けていたような印象を持った。
7月2日(火)昼、X中教頭とY中教頭が打合せを行い、X中教頭からY中頭に対し、前日教頭らが面会したときの本件生徒の様子等を説明し、6月15日の事実経過についてFとGから再確認することを依頼した。
7月5日(午後4時ころから午後5時ころまで、X中教頭と6月22日本件生徒に付添った女性論ほか酸1名がN病院で本件生徒と面会し、談話室で、母親同席のもと、病院での生活の様子をきいたり、本件生徒が描いた絵を見ながら話しをしたり、数学の問題集の答え合わせを行ったりした。
7月7日(日)、本件生徒は、N病院を退院し、母親とホテルに宿泊して、翌8日(月)、病院へ入院した。
20病院へ転院後、謝罪の場までの学校対応(7/8~9/11)
17月11日(夕刻、Q警察署の警察官2名がO病院を訪れ、本件生徒から事情聴取を行った。本件生徒は、Aから何か嫌なことをされたのではないか、裸の画像を送らされたり、公園で様なことをされたりしたのではないか、との警察官の問に対し、いずれも忘れた、覚えていないと答えた。
※なお、X中では、警察官が本件生徒から話を聞くことができたら、A、B、C、Dから改めて事情聴取して確認を行い、本件生徒や母親が謝罪を受け入れる段階になったら謝罪の場を設けるという青写真を描いていた様子が、X中に残されていた文書から窺える。
27月12日午前、X中から母親に電話を掛け、警察官による事情聴取の結果について、母親が警察官から説明を受けた内容を聞いた。その今後の学校生活について7月22日(月)に母親がX中を訪ねて相談すること、7月16日を候補日として教諭らがO病院を訪問し、本件生徒と面会することが決められた。
同日午後、X中は、BとCに対し、各担任が、本件生徒と連絡をとっていないか、W公園へ行っていないか、スマホの利用状況等を確認し、各自の行動の問題点を再確認した。同日夕刻にはそれぞれの保護者を学校に呼んで、各生徒に確認したことを伝え、謝罪の意思を確認した。37月16日(午後、X中の教頭外論2名が病院で本件生徒に一時間くらい面会した。本件生徒は、自分が描いた絵を見せて説明したり、作業療法等の活動があったN病院に戻りたいと話したり、ゲーム機を持ってきて自分がやっているゲームの話をしたりした(病院ではゲーム機の使用が許可されていた)。教頭らとの面会中、D先輩に会いたい、
-52-
携帯使えないから連絡取れないし、という本件生徒の発言が何回かあった。
7月19日(午後、Q警察署の警察官2名が〇病院を訪れ、本件生徒から事情聴取(7月11日(に聴取した内容の確認)を行った。本件生は、Eへ画像送付させられたこと、Aに身体を触られたこと、公園で自慰行為を強要されたこと、いずれも覚えていないと話した。事情聴取後、警察官は、母親に対し、本件生徒が全て覚えていないと話しているので警察として事件化はできないこと、警察は関わった生徒たちを厳しく指導するとともに、それぞれの保護者に対しても生徒の指導監督を要請することを説明した。
同日夕刻、Q警察署はY中に電話を掛け、本件生徒が全て覚えていないと話しているので立件は困難であると母親に説明したこと、警察からFとGの自宅へ連絡をとって同人らから事情を聴き、注意をして本件は終了となることを伝えた(7月31日(水)、Q警察署はY中に電話を掛け、捜査は全て終わり、警察内の処理で事件は終了すると伝えている。)。
57月22日(月)夜、母親がX中を訪れ、教頭ほか教諭1名と面談を行った。母親からは、病院での本件生徒の様子や主治医から何時でも退院してよいと言われていること、本件生徒の転校先を探していること等を話し、X中からは、それまで関係生徒らから聴取した経過を説明するとともに、母親に対し謝罪の受入れについて質問した。これに対し、母親は、そろそろ受け入れてもよいと考えており、弁護士と相談してから決めたいと回答した。
107月30日(火)午前、X中教頭から母親に電話を掛け、翌日午後、母親に来校してもらって、今後について相談することを決めた。その際、母親から、R中への転校を予定していて、8月9日(以降に学区内への引越しを予定していることが伝えられた。そのことに関し、X中教頭からは、二学期が始まる8月20日(火)までに教育相談や転校手続を行う必要があることが説明された。
このとき、関係生徒からの謝罪に関し、母親から、相談している弁護士が謝罪の場に同席したいと話していることが伝えられた。これを受けて、X中は、謝罪の場を設けるに当たっての基本姿勢を次のように決定した。
謝罪の場を設ける目的は、教育的な観点から、関係生徒がきちんと謝罪し、けじめをつけて、関わった生徒らの次の学校生活につなげてゆ
くことにある。
弁護士が同席すると、謝罪の場が設けられる目的が違ったものになっ
-53-
てしまうので、学校が関わる形でそのような場を設けることはできな
・弁護士同席で関係生徒側と話をするのであれば、学校が関与しない形で行ってもらう。
77月31日)午後、母親がX中を訪れ、教頭ほか1名が対応した。席上、本件生徒の通知表が母親に手渡され、母親は転校先の中学校で特別支援学級に通するために必要な教育相談の同意にその場で記
入して提出した。
母親は、関係生徒による謝罪について、弁護士に同席してもらってそこういう場を持ちたいと言い、弁護士同席の理由として主に次の三点を挙
げた。
i
自分一人では心細い。
い。
い。
関係生徒から本件生徒への連絡禁止を書面等で警告し万全を期した
入院引越し・転校にかかる費用を関係生徒側に負担してもらいた
これに対し、教頭は、上記6の基本姿勢を説明し、弁護士同席による
謝罪を学校で行うことはできない、関係生徒の連絡先を学校が母親に伝えられるかこの場で即答できない、と回答した。
謝罪の場の持ち方について、母親は、改めて弁護士と相談して、対応
を考えると話した。
88月2日午前、市教委がX中を訪問し、校長、教頭と面談した。席
上、校長は、弁護士を同席させた謝罪の場を設定できない理由として、
主に次の5点を挙げた。
V
謝罪の場は教育的指導の一環として行うもので、弁護士による示談
交渉のため行うことは想定していない。
公的機関である学校は、生徒関の民事紛争には不介入である。
関係生徒の保護者は、弁護士が関わっていることを想定していない
中で、謝罪の意思を表明している。
関係生徒も本校の生徒であり、弁護士同席で謝罪の場が設定された
場合、関係生徒の今後の学校生活への影響が心配である。
学校外で発生している事案について、学校がそこまで関わる理由が
ない。示談交渉は、当事者間で個別に行われるべきだ。
市教委は、母親の意向を関係生徒側に伝えて保護者に判断してもら
う、という考えもあるのではないかと提案し、X中に再検討を求め
た。
8月5日(月)午前、市教委は、本件生徒の教育相談を実施し、それと並
-54.
行して母親と面談を行った。
8月9日午後、本件生徒と母親がX中を訪問し、頭ほか論1名
と面談した。面当初は、退院後の本件生徒の健康状態や引越しの準備
状況、転校手続等の話をしていたが、その後、本件生徒は別室に移り数論2名が生活状況などを聞くことになった。
本件生徒が別室に移動した後、教頭らは、母親と謝罪の場の持ち方に
ついて話し合った。教頭らは、改めて生徒、保護者のみの謝罪の場の設定を求めたが、母親は弁護士同席が必要と答えた。教頭らは、学校は、教育的な観点から、状況を調べ、加害者に反省させて、謝罪を促すことはできるが、示談の話をするような場は設定できないと説明したが、母親は、弁護士を同席させたとしても、その場で示談の話をするのではなく、名前と住所を聞くだけなら問題はないのではないかと答えた。そこで、教頭らは、謝罪の場への弁護士の同席を断る代わりに、関係生徒側に母親が弁護士を代理人とする示談交渉の希望をもっていることを伝え、その上で母親もしくは代理人弁護士の電話番号を教えて関係生徒側から連絡をとるように伝える、という方法を弁護士と相談してほしいと
えた。
提案し、母親は、その日弁護士と会う予定があるので相談してみると答その後、母親からX中に電話があり、謝罪の場の録音をさせてもらえるならば、教頭らの提案する方法を受け入れるとのことであったので、
電話を受けた教頭は、検討の上、学校閉庁日明けの8月19日(月)連絡すると答えた。
10X中は、母親からの録音希望の申出を受けて検討し、教育的な観点か関係生徒がきちんと謝罪し、けじめをつけて、関わった生徒らの次の学校生活につなげてゆくという謝罪の場の目的に照らして、弁護士同席と同じ理由で録音も認められないと回答することを決め、関係生徒側には母親もしくは代理人弁護士の電話番号を学校から伝えて連絡してもらうこと、弁護士同席なし、録音なしであれば学校が立ち会って謝罪の場を設けること、弁護士同席とするのであれば学校は会場を提供するが立ち会わないことを決めて、母親の選択に委ねることとした。
@Y中は、謝罪の場の持ち方について、X中・市教委から母親との話合
いの状況に関する連絡を受けて、次のとおり方針を定めた。
母親が弁護士の同席を希望していることを事前に関係生徒側に伝え
た上で謝罪の場の設定に努める。
謝罪の場が教育指導の一環であるとの押えはX中と同じであり、謝
罪場面で弁護士の発言は控えてもらう。
面作成や示談交渉を行う流れとなった場合は、学校は退席して保
-55-
護者同士で個別に対応してもらう。
v謝罪の場面の録音は断る。
v校長が事前に代理人弁護士と連絡をとり、学校の考えや謝罪の場の
進め方等について伝える。
8月19日(月)昼ころ、X中に市教委、Y中校長が出向き、X中校長と
面した。席上、X中校長は上記の決定事項を説明し、Y中校長は上記1の方針を説明した。市教委は、Y中の方針に従った謝罪の場の設定
X中校長に求めたが、X中校長はこれを断った。X中とY中の謝罪の
場の持ち方に違いが生じたことから、Y中校長から母親に直接連絡する
ことについて、X中が母親の了解を得ることになった。
同日午後3時ころ、X中教頭は電話で母親に上記の決定事項を説明
した。母親は弁護士と相談して回答すると答えた。
しばらくして、母親からX中に電話があった。弁護士同席せず、録音
もしないで、学校立会の下、謝罪の場を設定してもらうことを受け入れ
る。ただし、関係生徒側から電話連絡してもらうことは止め、その代わ
り謝罪の場で住所や電話番号を教えてもらうことにしたい、とのことであった。対応した教頭は、校長と相談した上で、これを了承した。教頭は、Y中校長に、母親との電話の内容を報告した。Y中は、母親
がX中の提案を受け入れたことから、Y中独自の提案は行わず、X中で
行われる謝罪の場にY中の生徒、保護者、教論も参加することを決め
た。
8月20日(火)夜、母親は、本件生徒のスケッチブック等を受取るためX中を訪ね、教頭ほか教諭1名が対応した。教頭は、二学期初日であ当日の本件生徒の様子や引越後の同人の生活状況等を聞き、謝罪のの日程として8月28日、同月29日を考えていると伝えた。
8月21日(水)、X中は、臨時生徒指導会議を開き、謝罪の場に向けた準備の内容教論の役割分担、当日のスケジュール、個々の謝罪の進め各生徒と本件生徒との関わり方がそれぞれ異なるため、謝罪や質疑応答は個別に行うこととされた)等を申し合わせた。同日夕刻、A、
B、C、Dの保護者に各担任教諭が電話を掛けて、謝罪の場の趣旨説明
を行い、謝罪の意思を再確認して、日程の都合を聞き、生徒・保護者全
出席することが決まった。
X中の臨時生徒指導会議の資料はY中にも提供され、EとGは出席が
決まったが、Fは保護者のスケジュールが合わなかったため、Fの謝罪
の場は別の機会に行われることになった。
8月24日(昼、X中教頭とY中教頭が打ち合わせを行い、同月28日にX中の生徒A,B,C,D、同月29日(木)にY中の生徒E、Gと
-56-
Z小の児童2名について、各生徒児童と保護者が出席してX中で謝罪の

が設けられることになった。
8月26日(午後、市教委からX中に電話があり、X中が準備を進め
ている謝罪の場について頭が説明を行った。謝罪の場の実行状況につ
いては、後日X中から市教委へ報告することとされた。

8月27日(火)午後、市教委がY中を訪問し、対応した校長に対し、代
人弁護士不在の中で謝罪の場を行っても母親に不満が残るおそれがあ
あるので、Y中の当初の方針どおり代理人弁護士の同席を認めた上で謝罪
の場を実行するよう求め、校長はこれを了承した。
・市教委は、引き続いてX中を訪問し、校長が不在であったため対応し
た人弁護士同席の再検討と校長が謝罪の場に同席することの検討、これら
頭に対し、上記Y中校長との話し合いについて説明した上で、代理
についての校長の考えを市教委へ報告することを求めた。
同日夕刻、X中教頭から市教委へ電話があり、謝罪の場は予定通り代
理人弁護士不在で実施する、これまで関係者と調整を進めて準備してき
たものを前日になって覆すことはできない、謝罪の場への校長の同席に
ついては検討する、との校長の考えが伝えられた。その後、同日中にY中校長が母親と代理人弁護士に電話を掛けてY中
の方針を説明し、その結果、同月29日(木)に予定されていた謝罪の場
は、Y中の方針に従ってY中で行われることが急遽決められ、同月28
日にX中で行う予定であった謝罪の場は延期せざるを得ない状況とな

た。
8月28日午前、市教委がX中を訪問し、校長と教頭が対応した。
席上、校長は、X中がそれまで母親の意向を聞きながら、関係生徒・保
護者とも長い時間をかけて調整し実現にこぎ着けた謝罪の場を市教委が
台無しにした、前日になっての変更などありえないと猛反発した。市教
委は、代理人弁護士同席で謝罪の会を行うことを市教委として指示した
が、校長は指示に従わないと明言した。
その後、X中は、A、B、C、Dの保護者に連絡をとり、同日夕刻予
定していた謝罪の場は市教委の指導により急遽中止となったが、その経

来を説明するため保護者のみ予定の時刻に来校してほしいと伝えた。
した保護者4名に対し、教頭は、謝罪の場を設定するに当たり母親か
弁護士の同席等の要望が以前からあり、X中として望ましくないと判
断したため、その要望には応えられないと伝えてきたが、このたび、市
教委からその要望を関係生徒側に伝えないまま謝罪の場を設定すべきで

ないとの指導があったため、本日は謝罪の場を設定することができな
くなった。今後は、母親の意向に沿った形で謝罪の場を設定することに
·57-
なるので、後日、日程調整の連絡をする。もし、不明の点があれば市教
委に問い合わせてもらいたい、と説明した。
8月30日(金)午後X中を訪れた市教委に対し、X中校長は、本件生
徒に係る一連の出来事へのX中としての対応は、同月28日(水)の関係生
徒の保護者に対する説明を以て終了し、今後、市教委が主催する謝罪の

については、会場の提供や関係生徒保護者への連絡等事務的な協力の
み行うことを決め、X中の全教職員にその旨説明した、と話した。
8月29日(木)午後6時20分ころから、Y中において、Z小児童2名
の謝罪の場が開かれた。出席者は、母親、代理人弁護士,Y中教頭Z

Z小児童2名と保護者3名であった。席上、乙小ほか教諭1名、
教頭が謝罪の場の趣旨、Z小が把握した事案の概要を説明した後、児童
2
母親は、小学生からは何も聞くことは無名が謝罪の言葉を述べた。
い、もしこの先、酷いことをされている人がいたら、先生に相談すると
かしてほしいと話した。
引続き、午後6時35分ころから、E、F、Gの謝罪の場が開かれ
た。出席者は、母親、代理人弁護士、Y中校長、教頭、ほか教諭2名、
生徒3名、保護者3名であった。席上、教諭から謝罪の場の趣旨、Y中
が把握した事案の概要を説明した後、FFの保護者、G、Gの保護
者、E、Eの保護者の順に謝罪の言葉を述べた。Gの保護者は、母親に
対し、GとFは本件生徒がやろうとしたときには、やらなくていいんだ
よと止めたことを伝えておきたいと発言した。全体会は15分ほどで終

し、個別の話し合いに移行した。
個別の話合いは、母親、代理人弁護士、生徒、保護者が行い、校長、
頭が立ち会った。席上、母親から保護者に連絡先を聞き、FとGには
6月15日(土)W公園での出来事について、Eにはそれに加えて6月22
日田公園での出来事について、主に母親から質問し生徒が答える形で
行われ、午後7時45分ころ終了した。
109月2日(月)午前、市教委はX中校長を市教委へ招き、教育長がX中校
長から市教委の対応に対する不満を聞いた。翌3日(火)午前、教育長から
X中校長に電話を掛け、市教委の担当課に対し、X
中の思いに配慮し、より丁寧な対応を指示したことを伝え、学校が関与した謝罪の場の設定
について市教委の担当課と改めて検討してもらいたいと話した。同日午
後、市教委がX中を訪問して校長と面談し、Y中とほぼ同様の謝罪の場
の設定に向かって、市教委の協力の下、X中が準備を行うことが決めら
れた。
9月11日(午後6時10分ころから、X中において、A、B、C、
Dの謝罪の場が開かれた。出席者は、母親、代理人弁護士、X中校長、
-58-
教頭、外教諭1名、生徒4名、保護者5名であった。席上、校長から謝
罪の場の趣旨説明、教頭からX中が把握した事案の概要説明を行なった
生徒・保護者がその場で起立し、生徒が謝罪の言葉を述べた。その
中で、BとDは「止めることができなくて、ごめんなさい」A「傷
つけるようなことをして、ごめんなさい」という表現で謝罪した。全体
会は13分ほどで終了し、個別の話し合いに移行した。
個別の話合いは、母親、代理人弁護士、生徒、保護者が行い、X中の
校長ら職員は立ち会わなかった。席上、母親から保護者に連絡先を開
き、各生徒が直接かかわった事案について生徒からの聴取が行われ、午

8時15分ころ終了した。
地元月刊誌の報道に対するX中の対応(9/9~9/17)
19月9日(月)、X中と市教委に地元月刊誌の記者から取材の電話が入っ
た。X中と市教委は、個人情報に関わることであり個別の案件について
は答えられないと回答し
た。
2同じころ、知合いの市議会議員から本件生徒の件が記事になるかもし
れないという連絡を受けた母親は、月刊誌の発行元に電話を入れて、本
生徒が生きる道を潰さないでほしい、記事にするなんて絶対ダメ、と訴えたが、同月13日(ころに発売された2019年10月号に「X中
学校女子生徒が『いじめ』で自殺未遂、学校側は事件隠蔽に躍起」とい

見出しで、3頁にわたる記事が掲載された。
3この記事は、いじめを苦にした女子生徒が横から飛び降りて自殺を図
り病院に救急搬送されたことが契機となり、Q警察署が事情聴取をした
結果、X中や他校の複数の男子生徒が、長期間にわたり女生徒に対しい
じめをする中で、不適切な自画撮りの画像や動画を要求し、男子生徒自
らも複数回にわたり女子生徒の不適切な写真や動画を撮影し、それらの
画像データをSNSなどで拡散していたという実態が明らかになった。
が、X中は、事態を重く見て適切な対応を求めるQ警察署、市教委、女
子生徒の保護者らに対し、「いじめの事実はなかった。男子生徒らのい
たずらが過ぎただけ。」などと説明し、校長が中心となり「事件性など
なにもない」などと約3か月にわたって適切な対応を行わなかったが、
当月
刊誌の取材に慌てて月刊誌発売前の9月11日に急遽保護者らを
集めた説明会(謝罪の場)を開催することになった、というものであっ
た。
この記事は、X中の女子生徒がその年の6月に自殺を図ったとしてい
ることや、男子生徒が不適切な自画撮りの画像や動画を要求したとして

ることから、本件事案を報道したともの
と考えられるが、それ以外の
事案の内容やその後の事実経過に関する記述に事実と合致するところが
-59-
ないと言えるほどの杜撰なものであった。
しかも、上記2で母親が訴えているとおり、たとえ匿名の記事であっ
たとしてもX中の生徒関係者には「女子生徒」が本件生徒であること

判ってしまうであろうことは容易に想像できるところであり、自分が
性的な被害を受けたことが広く世間に報道されてしまったことを知った

このような、被きに本件生徒が受けた衝撃の大きさは測り知れない。
害を受けた生徒への配慮を欠いた報道姿勢は、強く非難されるべきであ
る。
9月19日(木)と翌20日(金)に文化祭を予定していたX中は、急遽、校
長とPTA会長の連名で保護者宛に「生徒の安全確保と文化祭の円滑な
実施について」と題する書面を作成し、同月17日(火)、生徒を通じて配


た。

その書面には、上記3の記事について「ありもしないことを書かれた
いわれのない誹謗中傷をされ、驚きと悔しさを禁じえません。
り大事に守り育ててきた生徒たちの人格を平気で傷つけるような報道に
心を痛めています。」とし、学校として生徒に対し心無い言葉をかけら
れたり強引に取材されたりした場合は学校に連絡するか警察に通報する
よう指導していることや、安全対策として文化祭に教育委員会議員の派
遣を要請すること等が書かれていた。
第5市教委の関与・対応についての事実経過
2019年6月20日本件生徒の一時的失踪についてのX中からの報告から
同年10月28日・上川教育局との面談までの市教委の対応に関係する事実
過は下記記載の通りである。
1一時的失踪の報告から母親との面談前までの市教委の対応(6/20~
6/30)
16月20日(夜、市教委は、X中の教頭から本件生徒が同日に行方不
明となったがその後発見されたことについて報告を受け、同教頭に対
同月21日の登校状況と本件生徒からの聴取状況を報告するこ
と、必要に応じて警察、児童相談所との連携を図ることを指示した。
26月21
欠席したこ
X中の教頭から、同日、本件生徒が日(金)午後、市教委は、
母親によると、本件生徒は、「今日は欠席するが、6と、
月24日(月)は登校する。」と話していることについて、報告を受けた。
市教委は、同教頭に、同日の登校状況と聴取状況を報告することを指示
した。
6月24日(月)午前、市教委は、X中の教頭から以下のことについて報
告を受けた。
-60-
同月22日()夕方に本件生徒が川に入水しX中に連絡したこと
9本件生徒がX中の教諭に保護されたこと
本件生徒がN病院に搬送され入院したこと
同月23日(日)、母親が、本件生徒のスマホを確認したところ、Y中
のEを通してX中のA、B、C、Dに本件生徒の性的な画像がLIN
E

によって送信されたことを窺わせるメッセージを発見したこと
同日、頭か教論1名が母親、同人の知人と面談したこと
同日、警察官が、C、Dのスマホから、Eから本件生徒の性的な画
(C、Dが送信されたことを窺わせるメッセージを発見したこと
・は、本件生徒の性的な画像1枚をEから送信されたが、同画像を削除
しており、
A、Bは、一切の関与を否定転送していないと話した。
し、A、Bのスマホから、同様の画像を受信した形跡は見られなかっ
46
母親、警察と連携を密にして情報の収集に努め同教頭に、

た。
)

教委は、



を指

した

月24
日(月)午

市教委は、

れたこ

につ
いて報告
を受けた
市教委は、
同教頭に、
とを


した。
月25
告を
受けた

56

Y中の教頭からEが警察から事情聴取
警察署と連携を密にして情報の収集に努めるこ
日夕方、市教委は、X中の教頭から以下のことについて報
同月24日(月)、X中が、関係生徒から以下のことを聴取したこと
月23日(日)、Cは、スマホに残っていたEから送信された本件
11
生徒の性的な画像をA、Bに見せたこ
4

A、B、C、本件生徒が、ゲーム機を通じた通信で、自月頃、
慰行為の経験の有無について会話し、その後、本件生徒からAに本
件生徒の性的な動画、画像が送信されたこと
月頃、A.が本件生徒の体を触ったこと
iv6月15日(土)、本件生徒が、EFGに強要され、自慰行為を
した


6月25日(火)、同教頭、本件生徒の担任外教諭1名が、面で、母
同人の知人に、本
内容を伝え



66月26日(水)午前、市
を受けたこと、川
件生徒の様子を確認し、関係生徒から聴取した
本件生徒が、性的な被害教委は、母親から、
に入る自殺行為をしたことに関し、学
校から連絡を受
けたときの記録を開示してほしい、本件生徒がX中に戻ることができ
るのかを心配しており、どのような方法(転校等)があるのかを知り

-61-
いという内容の電話を受けた。
市教委は、母親に、どのような方法が可能であるのかを含め、今後、
学校とも相談しながら対応したいと考えていることを伝えた。
76月26日
市教委は、面談で、X中の校長、教頭との間で、後、

以下のことについて情報共有し協議した。
本件生徒の出席状況、本件生徒の特性、関係生徒、保護者に改
めて指導し謝罪を行うよう促し、今後、スマホの解約、W公園を利用し
ないこと
等を検討しても


こと
86月26日(午後、
市教委は、面談で、Y中の校長、教頭との間で、
以下のことについて情報共有し協議した。
7Eによる本件生徒への性的な画像の要求及びCDへの画像の転送
については、警察が捜査しているところであり、Y中からEに指導しな
いよう警察から言われていること、自慰行為の強要について、Y中
が、関係生徒に指導し、関係生徒の保護者に説明したこと、関係生徒
の保護者が本件について反省しており、謝罪については、Y中がX中

日程等を相談し、Y中の教論が同席し、対応する予定であること、2
Y中が、情報モラルの徹底、他校の生徒と
方等について改めて指導する予定である
W公園の利用の仕の関わり、


6月27日午前、市教委は、警察から以下のことを伝えられた。
7EによるとEが本件生徒の性的な画像をCDに送信したこと
警察が、Y中に、警察の捜査を優先し、本件生徒への謝罪等につい
ては捜査が終了し事実関係が明確になった段階で行った方が望ましい

説明しているこ
7E

の保護者、

本件生徒の保護者の意向であれば、捜査中であっても
罪等の対応をしても構わないと考えていること
本件生徒、本件生徒の保護者、関係生徒、関係生徒の保護者の意向
を踏まえて、学校において指導することは構わないこと
オAが本件生徒の体を触ったこと、自慰行為の強要については、本件
生徒から状況を確認できない現状では、立件できるのかは未定である
こと
106月27日(木)午前、市教委は、面で、X中の校長、教頭外教諭2名

7
ら、以下のことについて報告を受けた。
本件生徒の教室等での様子(本件生徒がパニック状態になり教室を
飛び出すことが複数回あったこと、5月から給食をあまり食べなくな
り「気持ち悪くなる。」と言ってトイレに行くことがあったこと、「母
は自分の気持ちをわかってくれない。」と話したことがあったこと、
本件生徒の担任は、本件生徒から「嫌な思いをしている。」等、いじ
-62-
めを受けていることを窺わせる言葉を聞いたことがないこと)
本件生徒の保健室での様子(本件生徒は、パニック状態になったと
きに保健室でクールダウンしていたこと、5月下旬から頻繁に保健室
に来するようになり、6月からは毎日3回程度、来しているこ

、同
「教室に行きたくない。」「家にも戻り月初旬に、本件生徒が
「たくない。」等と話したことがあったこと、護教諭は、本件生徒か
ら、「嫌な思いをしている。」等、いじめを受けていることを窺わせる
言葉を聞いたことがないこと)
市教委とX中は、以下のことについて確認した。
病院と連携して本件生徒が安心して学校生活を送れる環境をつくる
こと
9全
教職員が本件生徒を見守り、
件生徒が信頼する教諭が、いつで



談に乗





ポー

する


7スクールカウンセラーによるカウンセリングを行い、本件生徒の心
児童相ケアに努めるとともに本件生徒への支援の在り方について、


と市教委と連携を図って対応する
2X中が、
7
本件生徒が学校
築で
きる
よう
支援する


生活を送る


上での支えとなる人間関係を構
X中が再発防止の具体策を立て母親に説明すること
母親が、X中にいつで
も相




よう校内体制を整えること
4X中が、関係生徒、保護者に対し謝罪の場について必要性を十分理


せた上で
設定する



は不





10正確な日
件生
2母
W公園へ出向き、本、この頃、市教委は、
徒が入水した川の現地確認を行っている。
親との面談が始まってから謝罪の場への弁護士同席の話が出るまでの

教委
の対応
(7/1~7/30)
17月1日(月)昼、市教委は、面談で、母親から以下のことを伝えられた
(面談の途中から市議会議員が同席した。)。
7母親が以下の



心配し不
満を感じていること
退院後の学校生活
が見えな
いこと
本件生徒の担任が学級に本件生徒が行方不明になったと伝えたよ
うであること
本件生徒が本件生徒の担任に相談した内容を学級の生徒に話した
母親は、5月中
こと






旬から本件生徒の様子がおかしいと感じることが
中旬には本件生徒が母親に学校へ行きたく
ありX中に相談し、6月
ないと話したのでX中にいじめについて調査してほしいと相談した
-63-
X中が十分対応しなかったこと
v母親が、X中の教頭にこれまでのX中の対応についての記録の
出、会話の録音を申し出たが、市教委から指示があったという理由
で断られた
こと
本件があったこと等から、母親が転居を考えていること
ついて、市教委がX中に指示してい
市教委は、母親に、前記のにないが、警察の捜査案件になっているため、X中から文書等の記録を



にはな






てい




を伝えた。
月1日(月)




27
7母親が本件生徒の転校を考えていること

委がX中の



以下

ことを伝えた。
母親が
以下のことについて不満があること
i

本件生徒が相談した内容を本件生徒の担任が他の生徒にしたこ
母親が、関係生徒と本件生徒とのかかわりを心配し5月にX中に
相談したが、X中が対応しなかった


母親が、

教頭に会



音、

応記

を出すよう求めたとき

、同教頭か
ら市教委の指示を理由
に断

れたこ

市教委
は、









を伝え
られた。
7前記
のに

いて事


はな



前記のに
ついてX

が本
件生
徒、

いての相
はないこと
談、いじめの相談を受けたこと
親から関係生徒との関係につ
前記の量についてX中が母親に会話の録音、文書等の提出について
市教委から拒否するよう指示を受けた等と言ったことはないこと
37月5
市教委は、X中の教頭から、同教頭ほか教諭2名が日(金)夕方、
本件生徒のお見舞いに行ったことについて報告を受け、同教頭に、同月
8日に本件生徒が受診する際に母親の了解のもとX中が同席することを

討するよ






47月8日(月)朝、
X
X中の教頭が市教委に以下のことを伝えた。
者が本件生徒に謝罪したいと話したこと
(病院とら受診に同席しないと考えていること
®Dの保護

が以下の理


の連携について



考えてい
る。)
iX
中は、


っている



親から、医師の診断結果について伝えてもらうことに
母親の同席のもとでは、本件生徒の家庭環境等、本件生徒が精神
的に不安定になっていると思われる要因について、医師
に情
報提供
親の了解のもとX中が単独で主治医と行いたい
する


が難し



64.
57月
8日(月)夕方、市教委は、
X中の教頭から同教頭が母親から聞いた
受診状況



て報


受けた

面談で、母親から以下のことを伝えられ
67月9日(火)午後、市教委は、
た。
本件生徒が、同月8日、病院を受診し入院することとなったこと
本件生徒と転居、
旭川市適応指導教ついて話し合っており、
転校に
室の利




している


できる限り早い段階で退院後のことを決めたいと考えていること

校となった際は、周
囲の人達に本件生徒の特性について理解して

らいたいので、学級で話をしてもらいたいこと
オ本件生徒が個別での支援について納得しないような気がしているこ

市教委は、母親に以下


とを

えた

7旭川市適応指導


の利
用につ

ては、本件生徒の状況から一時的
に活用


も良いと
考え

いるこ


用するかどうかを
学校を通して含め、
利別支援学級については、
教育相談の申込書を提出することで、相談という形で本件生徒とも話

する









7月1
0日、
母親が
治医と話ができれば、その内容について市
教委に連絡してもらいたいこ
77月10日

市教委は、X午後、
中の順に、X中が本件生徒をお見

(お見舞いする際のX中のスタンスを母親、警察と確認しておくこと
いに行った論が、本件生徒から、本件について聞かれる可能性がある

め)

伝え
た。
87月12日午前、市
た警察による本件生徒の聴取の概要(

委は、
X
中の

頭か
ら、
X



親から聞い
聴取後に


が警
察から聞いた内
容)

つい
て、





た。



以下




であ






7本件生徒は、E
「黒歴史」(本件生徒は、「黒歴史」のら
「忘れた。覚えていない。」と話した。)を言いふらすと言われたので

に入った。
A
「忘れた。覚えていない。」から嫌なことをされたのかについて、
と話



「裸の画像を送らされたり
、公園で嫌なことをされたのでは」と
の質問に対し、「忘れた。覚えていない。」と話した。
2「X中のことはどう思う。」との質問に対し、「X中には戻りたくな
同級生とはそりが合わない。いじめられてい輩はいいけれど、
・い。先


と話けではない。」

た。
-65-
Q警察署に本件生徒の聴取の情報提供を求めた教委が、
警察署からX中が母親から聞いたこととほぼ同じ内容の情
同日午前、市
ところ、Q
えられた。
教委は、
を伝


Q警察署から、区については、警察が対応する可能性があ
るが、Aが本件生徒の体を触った
こと、

本慰行為の強要については、
件生徒からの事実確認ができていないため、警
107
6
察が対応することは難し
日午前、市教委は、X中の教頭から以下のことについて報

と考えて
いる
ことを伝え

れた。
月1
告を受

た。
7

度、同順ほか教諭2名が本件生徒のお見舞いに行くことになっ



母親は、X中が関係生徒の聴取等を行っていることを本件生徒が知
らないため、X中には(川への入水以外のことは)何も知らないふり
をして対応してほしいとの意向であり、その意向のとおりX中は対応
する予定であること
7月17日(午後、市
教委が面談で母親から以下のことを聞いた。
本件生徒は、引越し、転校を望んでいること。X中で、何か嫌な思
いをしたわけではな
く、
同学年の生徒たちとそりが合わないというの
が転















転校先では、

件生徒の障害の
ことを周
りの生徒に理解してもらえ
るよう、本件生徒の担任が他の生徒に説明する等の対応を希望してい
ること
7特別支援学級に入級し、通常の学級に措置変更することも視野に入
2事
本件生徒と今後の学校生活についてもう少し考えること
実が整理できたら、学校から時系列で報告をもらうことになって
いる


7


市教委は、母
親に以下のこ
とを

えた。
7市内中学校の通学区域と
情緒学級を開設している学校のリストを提
供す


で参


してほ

い。
1まずは教育相談を行うことを勧める。
察が対応している事案であり、学校が事実として説明することは
学校からはしいと思われる。
、関係生徒、保護者のすべてが謝罪の

向を示していると聞い
学校から母親に改めて説明させる。ている。
同日午後、

実施するこ


なった。
教市教委は、母親から、教育相談の希望を伝えられ、
同日午後、市教委がX中に以下のことを伝えた
7母親が教育相談を希望しているこ

育相
-66-
9すべての関係生徒、
保護者
て、
母親

改めて説明
するこ





7学
校が母親に事実関係
が謝罪の意向を持っていることについ
説明内容を十分に精査し行うこ
警察とも連携し、するにあたっては、
学校が主治医と連携し本件生徒の現状等について確認すること
107

警察が、市教委に、同日の取において本件生月19日(金)午後、
本件生徒が覚えていないと話していから新たな話はなかったこと、
るため警
察としては
事件化
できな


とを

えた

7月23日(火)

前、



は、
X中





同月22日夜の同、
ほか教諭1
名、母
同親、
を受けた。
人の知人との面談について以下のとおり報告
7X中が、母親に関係生徒から聴取した内容について説明した。

X中が、母親に、X中、Y
Xも謝罪の意向があり、
Z中、
小の関係児童生徒、保護者がいず

を会場にし
て謝罪の場を設定することが
できると伝えたところ、母親から、謝罪の対応について決まれば同教

に連絡
する


えら
れた。
7X中は、母親に、特別支援学級で
の個別指導も


本件生徒の指導
について、X

においてできる



対応を行う



伝えたとこ
ろ、
母親は、


い環



件生徒


ばせた






市教委
は、
X中の






後のX

の対応

ついて次のとおり考
えている

伝え

れた。
本件生徒のお見舞いに行き本件生徒の学習支援等をすること
7X中が、教育相談の申込みの手続を行うこと
7母親から謝罪の場の設定にかかわる意向を確認し速やかに対応する
X中の教頭か
こと
2転校先の学校への
引継ぎ

準備を進める


7月23日(午前、
7いつでも退院が
市教
委は、
ら、同教頭が主治医から
可能で
教あり、


も可能であると聞いたこ

3母

から謝罪の場への弁






談については病室で受けること
について報告を受けた。
を伝えられてから、X中が当初
定した謝罪の場の前々日までの市教委の対応(7/31~8/26)
17月
3
た。
7
X
1日(午後、市教委はX中の教頭から以下のことを伝えられ
以下の理由から謝罪の場に弁護士を同席させた中は、母親から、


伝えら
れた。
母親が関係生徒の保護者から責められるのではないかと心細く、
弁護士



の思いを伝えてもらいたいため
-67-
弁護士が関係生徒側に


等で警告することで、関係生徒から本

徒を守ることができ
るた

本件生徒の入
院費


関係
弁護士生徒側に負担してもらいたく、
に交渉しても
らいた
いため

X頭は、母親に、
中とし
ては、関係生徒の反省
を促し保護者に
家庭での指導を要請するため教育的指導の一環とし
て謝罪の場を




考えで

り、














設定す






して


いこと

母親の意向に沿っら、
て謝
罪の場を設定する
ことは

しい
と伝
えた。

教委は、X中に、教育相談の日程等が決まればX中に連絡するこ
と、謝罪の場については、母親に寄り添い


とを伝えた

つつ実施できるよう検討す
27月31日(夕方、市教委は、母親から謝罪の場に弁護士を同席させ
についてX中から難しいと言われたことについて相談を受け、母
同席し双方の弁護士がやり取りするようなこ
指導としての謝罪の場
ること
親に
以下のこ
とを伝えた。
7関係生徒側
の弁

士が

にな
れば、
X
中が
考え

いた



ない


を心配し
ているのだ

思われること

護士が同席すると
う判断
をするかもし
れないこと
護士


母親には、弁
いた




はなら
関係生徒側が、謝罪の場に来ないとい聞いて、
談のうえ、引き続き、学校と話し合ってもら
38月1日(夕方、市教委は母親に以下のことを伝えた。
7謝罪の場の設定にかかわり、市教委としても、母親の意向に沿った
形で行われるよう
ての考
X中と相談している。こ
X中としのことについて、
えがまとまったら、母親に連絡させる。
イ教育相談について、主治医の許可があり、病院で実施することがで
きるようになった。
母親は、市教委に、都合を確認し連絡すると伝えた。
8月
2
午前、市教委が、面談で、X中の校長から以下のことを伝

えられた。
7弁護士を同席させたうえでの謝罪の場については、以下の理由で設
定できないと考えている。
X中
関係生徒の反省を促し保護者に家庭での指導を要請するは、
ための教育的指導の一環として罪の場を設定する考えであり、弁
士による示談交渉等のため行うことを想定していない。
公的機








民事不介入である

-68-
弁護士がかかわっていることを想定していな
・関
係生徒
と保護者
は、


で、


の意思

表明
して
いる
7関係生徒も
X中の生徒であり、

母親が希望する形で謝罪の場が設定
校外で発生している事案について、学
がない。示談交渉等は、学校を介さず
別に行われるべきであ

れた場合に、今後の関係生徒の学校生活への影響が心配である。

校がそこまでかかわる理由
個に、
る。



は、
X中

以下


おり伝
えた。
7X





意向を

法が
考え

れる。
関係生徒の保
関係生徒の保護者の判断の結
護者に伝え判断してもらうという
果になるかもしれないが、X中はそのよ

、いじめ事案であるなら、学
場を学校としてもつこと、その方法について
月5日(月)午前、市教委は、本件生徒の教育相談を実施した。
謝罪の果、
場が設定できないという結

な場を設定すると約束して
いる以上、
そのための努力をすべき
であ


学校外
で発



いること
ではあ
るが
校が



応すべきこと
にな

市教


X

は、



X中
がさ


検討
するこ

を確


た。
58

教委は、母
親に、市

心して

校で


よう配


教頭に本件生徒が
えた。
6同
日午前、




た。
78月6
日(火)午後、

下のとおり報告を受けた。

7
X
関が、改めて、
係生徒、
たい





ある


を伝え


教委が転校先のR中の校
を要請することを伝

教委はX中の教頭にR中への引継ぎを早急に行うことを
教委は、X中の教頭から、X中の考えについて以
本件生徒が謝罪の場に来る



7弁護士の来校については断る。
2X
88

7日(水)
母親に謝罪をし保護者が、本件生徒、
係生徒の保護者に、



とができない場合は母親だけに来ても
、本件生徒の様
関中が、

親が
示談交渉の希望をもっている


母親(弁護士)の連絡先を伝える





教委

面談で、
Y
中の校長

子、謝罪の
場の設定に関する母親
の意向を


提供



教委
は、
Y
中の











沿

た形
で謝罪の場が設定
されるこ




しいと考えていること等を伝え


た。
8月
7
日(水)夕方、






R中
本件生徒への配慮を要請する予定であり、中に伝える内容に
-69-








教委
が、

訪問
ついて
母親の希望を聞
きた

と伝え
た。
市教委
は、


から

以下のこ

を伝え
られ
た。
7本件生徒の特性につ
いて、
周囲

生徒に
伝え理
解してほしい。

件について、同


い。
本件生徒の担任には、すべて伝えて校長、教頭、
108月8日午前、市教委が、面談で、R中の校長、教頭に、教育相
の結果についての情報提供、指導上の配慮事項、1市教委の対応状況
につ
いて伝えた。



は、
同校長から、母親
本件生徒の特性に配慮と相談しながら、
して指導を進め、本件生徒が安心して登校できる環境をつくると伝えら
れた。

教委は、

校長


頭に、2学


市教委がR中を訪問し、担当の
論からの

談に
応じ
るこ

もできると
伝えた。
103月8日(木)午後、市
教委は、Y
中の校長から以下のことを伝えられ
た。
7同
校長が
X

の校




のこ
とを提案
した。
i


の場の設
定に
同かかわって、
し、
謝罪の場面のみ立ち会ってもらう。
関係生徒、

は退席
し、

護者
同士




保護者に、示
席する弁護士の名前と立場を確
談交渉等をするような働きがあれば、学
母親に提案することになる謝罪の場の設定の仕方につい
対応

てもら
う。
X中ては、
の校長の判断になるが、X中の校長が前記のの提案に従わない場合
は、以下のとおり考えている。
Y中の校長が母親にY中の関係生徒、保護者の謝罪の場面をつく
るようお願いする。
母親が弁護士の同席









伝え

108月


方、
市教委
9
希望するのであれば、Y中から関係生徒の

は、X中の教頭から、同日午後に同教頭ほか
論1名が母親と以下のとおり話をしたことについて伝えられた。
7X中は、母親に、弁護士の来校については断ると伝え、本件生徒が


罪の場に来ることができない場合は母親だけに来てもらいたいこ

X
ことと母親(弁護士)の
連絡先を伝えることを提案した。

から

係生徒


護者





談交
渉の
希望

もっている
母親は、前記7の提案を受け入れられず、弁護士が謝罪の場に立ち
会えないのであれば、その場面を録音したいと話した。
7同教頭は、母親に、母親の意向をX中の校長に伝え同月19日に回
すると伝え
た。
-70-
8
月19日(月)、
X
中の校長
は、

談で、市教委、Y中の校長に、X中
では以下のと




ていると


た。
7教育的指導の一環として、
弁護士が同席しない形での謝罪の場を設


弁護士を同席させたいとの母親の意向が変わらないのでたいが、
あれば、関係生徒側にも事前に母親の意向を伝えたうえで、X中は場
所だけを提供し謝罪の場には入らない。
9謝罪の場面を録音することについては、断る。

いる


えた。
7


める
イ謝
Y
7示
の校長は、市教委、X中の校長に、Y中では以下のとおり考えて

生徒側に母親の意向を伝え、弁護士同席の謝罪の場の設定に努
罪場面では弁護士の発言を控えてもらう。
談交渉等をするような働きがあれば、




対応






Y
2謝罪の場面を録音することについては、断る。
中は退席し、保護者同士
オY中の校長が事前に弁護士に謝罪の場の進め方等を伝え
る。

X中の教委は、
Y中の校長に、X校長、
中においても、Y
中と同様
の対応をしてもらいたいと考え


校るが、
長が

断することで
あり、
強制はで
きな



えた。
108

1
9
日(月)




9同日、
母親X中は、
に以下のことを伝えた

罪の場面を
録音する

とについては、
い。
X
の教頭がに以下のことを伝えた。

X中として認められな
弁護士を同席させたいとの母親の意向を関係生徒側にも事前に伝

たうえで、X中は場所だけを提供し謝罪の場には入ら
ない。
7
の数十分後、

母教頭は、
親から
、謝罪の場を設定してほしい。



護士







し録

しな




伝え

れた。
中の教頭は、謝





7X
8月24日(土)昼、
X中教頭とY中頭が打ち合わせを行い、
らせてあった同月28日(水)にX中の生徒A
B

・C、D、同月29日(木)にY中の生徒E、GとZ小の児童2名について、
罪の場の日程調整を行うこ
と伝えた。
事前
に母

各生徒児童と保護
者が出席してX中で謝罪の場が設けられることになっ
た。
4X
中が当初設定した謝罪の場の前日からY中での謝罪の場実施日までの
1
8
2
7
市教委が、面談で、Y中の校長に以下のとおり伝(午後、
市教




(
8/
2
7~
8/2
9)


えた

-71-
7母親が、弁
護士が不在の中で謝罪

場が設定されるこ



いて、
十分に納
得し

いな
いこ

が予想


る。
そう
した場合



罪その






いく

は思
えな


弁、

士の出






学校に対
する


が大










はな
いか

心配
している。
9Y中が当初予定したとおり、関
係生徒側にも事前に母親の意

を伝
えたうえで、弁護士が同席する形での謝罪の場を設定することについ

Y中から母親の意向を確認することが望ましいと考えている。
同校長は、市教委に、Y中としては、母親の意向にできるだけ沿った
形で謝罪の場を設定したいと考えていたので、同校長から母親の意向

確認し


ら進める


を伝えた。
2同日午後、市教委が、面談で、X中の頭に以下のとおり伝えた。
母親は、弁護士が不在の中で謝罪の場が設定されることについて、
7

そ分に納得していないことが予想される。


た場合は、謝
罪その

のが


くいく

は思え
ない
弁護し、
士の
出席
を拒否
した学校に対

る不満が
大き


って
しま

ので




と心配して
いる。
X中の校長に以下のこ
とを伝えてほ
しい。
弁護士

同席
する形での謝罪の場を
設定することについて、再度
検討


ほし
い。
X中の校長が謝罪の場に同席することについて検討してほしい。
3同日午後、市教委は、
X










とを聞
いた

前記2iについて、X中の校長は、同日まで予定していた形
で謝罪
の場を設定す


理由は





係生徒













て、

に打
ち合わせ
を行い進め
ている
ところで
あり
、変える
こと
はでき
ないからであ
る。

については、同記2i
校長が引き続き検討する。
同日夕方、市教委は、Y中の校長から、同校長が母親と話したことに
ついて以下のとおり報告を受けた。
同校長が、母親に、弁護士が同席しての謝罪の場を設定できるよ
関係生徒側に働きかけると伝えたところ、母
親は、「その方が望
まし
い。」

答えた。
イ弁
護士が
入る
こと
を関係生徒側

事前に伝


が、
関係
生徒

が謝

の場
に行
かな

との判

をす
るかもしれないと


念を伝えたとこ


「それであれば仕方がない。」と答母親は、
えた。

校長
が、


29

の都合が悪け





を変えることができ


伝えた


ろ、










する


えた。
2母親

許可があれば、同
校長が母親の弁護士

直接

をしたいと伝
えたとこ
ろ、

親は、「自分としてはかまわない



護士に確認す
-72-
る。」
と答えた。

どういう経緯で校長は、母親から「ただ謝罪をするのではなく、
事業が起こったのか、学校が聞き取



い把握していることを弁護
士の前で説明してほしい。

と伝えられ、「学校が把握していることに



は、説明する。」
と答えた

5同







は、
Y


校長から、同校長が母親と話したことに

いて
以下





告を受けた。
7母

は、



に、


2
9
日に
謝罪の場

設定する



び同校
長が
弁護士に直接電話する
ことを

護士




てい





え、
同校長と母親は、Y
Z小の関係児童生徒の謝罪についてY中を会場中、
に行うことを確認した。その後、同校長は、市教委に同校長が弁護士と


で謝罪の場に関して協議した内容を報告
10同日夜、市教委が、母親から以下のとおり伝えられた。
X
母親としては納得して中で翌日予定している謝罪の場について、
した。
いない



ら延




しい。
下のことを希望する。
謝罪の場について、以
1弁護士の同席
・学
校ごと





に関係生徒とその保護者全員がいる場での学校からの経
X中に教委が、母親に、X中に謝罪の場の延期を伝えること、
伝えた結果については市教委から母親に伝えることを伝えた。
7同日夜、市教委は、X中

教頭に以下
のこと


えた。
7母親からX中で予定している謝罪の場については納得していないと
の話があったこと
本件生徒側が納得していな
い中で謝
罪が行われたとしても、事案の
解決には結びつかないと
考えて
いる


市教委として謝







X

に求めたいこと
母親は、翌日
X中に
は行かな
いこと
に対し、X
8
8同日夜、市教委は、母親
翌日、X中を訪問して、Xたこと、
28日午
、を伝えた。
X中
罪の場の設定の仕方は校長の判断のもとで行われるべきものであ

の教

に謝罪の場の延期を求

て市教委と
しての
考えを伝えること

前、
市教委が、
面で、
えた

7謝

と考えているが、同日




いた





は、
事態


善に向
かわず、

しろ
母親の学校への不信感を
強めること
になっている。



徒の
保護者に以下のとおり連絡する
こと
中の校長、教
頭と面談し、改め
の校長に以下のことを伝
-73-



謝罪の


ついては、延期させてほしい。
謝罪の場を設定するにあたり、母親から、弁護士の同席、関係生
徒、保護者が一同に会した中で経緯を説明してほしいとの要望が以
前からあ
ったが、X




しくない
と判


たた
め、





の要望

ついて
は応


れな


伝え

いた





び、



から、母親からの要望を関係生徒の保護者に








の場
を設定すべきではないとの指導があった。不明な点があれば、市

委に問い合わせてほしい。
同校長は、市教委に以下のとおり伝えた。
7指示に従うことはできない。X中


被害拡
大の
防止

本件生徒の
立ち直りのため、
関係生徒、これまで、

護者










設定

努めた


謝談に学校は踏み込めず、
罪の場に弁護士が同席す
るこ

はあ

得な
い。


が納得するかどうかは、母親の問題であり、本件とは別問題で
ある。
市教委は、同校長に、X
中が同席し
ているときは弁護士
が示談にかか
わる発言をしないこと



護士
と調整


ことを




が、

校長
は、

教委
に、
X






本件は
同日の対応を
もって終わり
にし、
関係生徒


護者
に、
改めて
個別に母親、弁護士に連絡し指導を行い、
謝罪するよう促すと

えた。
8月28日午後、市教委が、母

に以下の



伝えた。
7X中は、関係生徒、保護者と日
程調整
を終えているため、同日は関
生徒


護者へ
の指






いている。
.X


は母





沿った

罪の


設定できないということで
あれば、
市教委

設定
する
こと

考え

いる。
10同日夜、X中の教頭は、
市教委
に、
同日、
関係生徒の保護者に、同日
の謝罪の場を設定することができなくなった経緯等を説明したことに
8
2

9
日(
、乙小の教頭は、市教委に、同日の謝罪の場の様子






た。



等につ




した。
夜、Y
報告した。


中の教頭は、市教委に、同日の謝罪の場の様子等について
5Y中での謝罪の実施の翌日から本件生徒転校後のR中間までの市教
18
30

X中の校長、教頭から以下の後、市教委が、面談で、
の対応
(8/30~9/6)




伝えら
れた。

7
X


しての謝罪の場に対する対応は、今後も変えるつもりはな
い。
-74.
9この件についてのX中としての対応は終えており、X中の教職員に
対して、同
月28日の





説明




もって対応を終了する
旨伝え



教委が主催する謝罪の場について、X中は以下のことについて協
力する。
X中
を会場

して使




係生徒、

護者に連絡すること、X中
が生徒から聞き取った
本件の
経緯について、






提供する


29月2
日(月)午前、




教育長は


談で

X中
の校長から、学校

立場
(第
三者


加て客観的な立場をとり被害、

どちらか一方の味





伝えら
れた。
9
月3
た。
7

教委
には、(担当課)
が担保されなければX中が謝罪の場に同席するのは難しない。)
X中の校長に以下のことを伝え日(午前、市教委の教育長が、
X中のこれ
までの指導の経緯等に配慮し
て、
より
丁寧
に対応するよう





が設定
Y
中と同様の形で謝罪の場



7謝
されることが望ましいと考えてい
罪の場に、X中が入らないということにはならないと考えている



罪の
場での
X

の立

を、市教委とX中とで明確にした上で、謝




設定



しい


オ具体的な形や進

方について、




教委と




ほし

こと
同日午後、市教委は、面談で、
X中の校長、教頭に、謝罪
の場の設定
に向けて、改めて相
談したいと



同校




教委


Y

と似た
ような形で、X中が主体となって謝
罪の場を設定することを伝えた。
5同

夜、市教

は、母親
に、
ほぼY



った形で行うこ


われるよ


X中の謝罪の場について、
謝罪の場が円滑ととしたこと、
教委が弁護士と会って話をしたいと考えていることを伝えた。

母親は、弁護士に確認し、その結果を市教委に伝えることとなった。
69
月4日(水)午後、市教委は、母親から

設定


望する



伝え


た。


罪の場について同月11日
同日夜、市教委は、X中の頭から、母親に、同月11日にX中で
謝罪の場を設定すること、関係生徒、保護者全員が参加すること、を





について報告を受けた。
-75-
79
6
(


午前

市教委は、弁護士に、同月11日(水の謝罪の場の流
れにつ
いて説明

た。
8同



、市

R中の委は、面談で、
教頭から、本件生徒のR中で

様子について説明を受けた(その後、少なく
とも令和
2

1
2

まで、
市教委
は、
R


ら、
1
か月

1
回程度

件生徒
に関

る情
報収

を続けた
。)。

記録の提供を受ける
等し
て、

業参観し本件生
徒の様子を確認
した。
授き続き、市教委は、
授業参観後、市教委は、R中の教諭2名から、同日行われた教育相談
の概要保護者懇談を行う予定であることについて説明を受けた。

教委は、R中のほか教論2名
7本件生徒の特性等により、人間
に以下のことを伝えた。
関係の形成に課題があるため、


件生徒の信頼
関係を構築し、温
かい雰囲気のある学級経営に努め



イ本件生徒に限らず、携帯電話の適切な使用や携帯電話のやりとりが
起因した友人関係のトラブルを未然に防ぐ観点から、学校祭終了後を
目途に、すべての学級で携帯電話の適切な使用等に関する指導を行う


6本件生徒転校後の
R中間以降の
市教委の対応
19月9日(月)、X中と市教委に地元月刊誌の記者
X材の電話が入った。
(9/7~)
から本件生徒の件につ

て取
中と市教委は、個人情報に関わることであ





件につ
いて
は答え

れない

回答した。
29

日(火)午後5時
市ころ、

1
0
教委が上川教育局に
道教委に本件生徒のて報告した(この頃までに市教委が上川教育局、
件について少なくとも詳細な報告をしたことはなかった。)。
本件生徒の件につ
39月11日夜、X中での謝罪の場が終了してから、市教委、母親、

市教委は、本件生徒の転校先での学校生活のことに・護士との面談で、

49



前、
いつでも相談いて何か心配なことがあれば、
1
7
X
してほしいと伝えた。










元月
刊誌




掲載さ
れたことの影響X
中の対応状況等について報告した。

関教委は、同頭に、
生徒間で噂になって係生徒の様子を注視し、
いないのかアンテナ





こと等
を伝えた

510月10日、市
7
X
教委が上川育局に以下のことを報告した。
中での関係生徒、関係生徒の保護者から母
親への



様子
本件生徒、母親、関係生徒、保護者
の現状


以下









7市

本件
その理由がについていじめとの判断に至っておらず、
本件生徒が警察による聴取で「いじめはない。」と発言している
-76-
ため
学校におけ


育相談
、いじめア
ンケ

トにおい

本件生徒
のい
じめ被害の訴えがないこと、他のいじめに関する情報がない


母親


学校
に対



件生


対す
る聴取を

わな


う申し
入れが



状況









10月28日(月)、上川教育局が、面談で、市
のとおり指導した(なお、上川教育局は、より


に、少



も以下
詳細な指導
内容が記載さ
れた面を準備していたが、市教委にしていなかった。)。
7
学校は、自殺未遂があったことから、本件生徒への聴取をすべきで

る。
母親と協力した本件生徒への対応母親への対応を組織的に行う必

要があ

77、
を今後








生かす。


委は、
学校


し、


委に速やかにいじめの疑いがあるとし
て連絡
し対応する


伝える

学校は、
本件につ



織的に対応し、母親らに対し、今後の対応
につ
いて共通理解




7その
後、

教委





た様
子はな
い。
82
020年
1月
(X中等)に前記6について具体的な指導助言校
5日(日)、母親








員会







援セ
ター「24時間こどもSOSダイヤル」に本件いじめに関する学校の

対応についての電話相談があっ
た。
同月
16日(村、
上川教育局は


市教委に前記相談の内容








を確
認し、

れを
踏ま
えて、



育局が
市教委に母

と連絡を






明す

よう
指導し
た。
市教委は、上川



に対





親の相談内容について市教委と
して
の等を説明し
たが

事案
への対応方針等を変えた様
子は認めら
れない。
第6本件重大事態に


報道の

本件重大事態は、2019年9月に地元月刊
誌、本件
生徒

亡くなった
後の2021年4月以降に出版社のオンラインで報道(その後単行本とし


版)
され
ている
重要な事実がって報道されたことも一因とが、


てネッ



報発信が
過熱し


定の個

がネット(無関係の人も含む)







シングを
受け

騒動

なっ
た。
今後、本件重大事態が採り上
酔げられる際、







前提とされ
ることがないように、当委員会が調査した結果判明し
た事実関係の誤り等
を指摘してお

たい。(※記事→当委員会認定事実の

で示す。)
-77-

子生徒自
らも複



1地
元月刊

2
0
1
9
じめで自殺未遂、学校側は事件隠蔽に躍起」と題する記事
1男
10月号に掲載
「X中学校女子生徒が「いされた



、女子生徒の不適切な写真や動画を撮



いた

な事実はなか

た。
子生徒
そのよう
(女

データをSNSなど不適切な自画撮りの画像や動画の)
で拡散
して
いた。
2
の三人から更に拡
E

らC
、D

散した事実は確認されていない。
E三人のLINEグループに送信されているが、こ

自分
(がの画像が拡散されていることを知った女子生徒





た。
8S
N
S


)
本件生徒が上記2を知っていたことを窺わせる事実は認められない。
4女子生徒は、市内の欄から飛び降りた。
その
よう
な事実
はなか
った。
5女子生
徒は、


の病



急搬送された。

その
よう
な事
実はなか
った。
2
02
年4
月から順
次オンラインで



れ、同年
9月1
0
日に出版

1
「娘の遺体は凍っていた」と題する単行本の記述(表題から解しれた
ている人も多いと思われるが、単行本の著者は出版社の特集班であって、
母親

はない。
)
1本件生徒か
「A子」(D)に転送
らスマ

「Cで
(E)男」











真が


複た後、


中学生が入
っていた
グループL
I
N
E
に拡散

れた。

E
から
C

D

E

人の
L
I
N
E
グループに送信されているが、こ
の三人から更に拡散した
事実
は確

されていない。
26

15日、本件生徒は、「A子」
にたまり場の公園に呼び出された。
(D)、「B」(C)、「C男」(E)
→同日、本件生徒が一人でW公園にいたところ、C
とDが遊びに来て、
そのすぐ後にE、F、Gの三人も偶然遊びに来て合流する形になった。
3加害少年に今まで

画像を全校生徒に流すことを知らない人に話す、
と言われて、本件生徒が、「やめてください」とお願いしたら、「死ね」
と言われ、「じゃあ死ぬから画像を消してください」と答えたところ、
別の加害少年に「死ぬ気もねぇのに死ぬとか言うなよ」と煽られ、集ま
った10人以上の児童生徒らにも煽られて、を乗り越え土手を降り川
に飛び込んだ。いじめグループから逃げるためには、川に入るしかなか
った。
公園の東にいたとき、Eが本件生徒の仕草を真似てからかった後、
-78-
本件生徒の秘密をその場で大声で言うかのような発言をしたため、本
生徒が泣きそうになってEを握り拳で叩いたり蹴ったりしていた。
やがて、本件生徒は、もう死にますと言って川に向かって歩き出した。
そのとき、D
が、死ぬ気もないのに死ぬとか言って
と言った。その発言を聞いた本件生徒は、川の


ゃないよなど
方に走って行って川岸
のを乗り越え、土手を降りて流れ近くの草むらに立って、X中に電
話を掛けた。後から土手を降りたDが電話を代わりX中の教員と話し
E
ていたところ、本件生徒が川の
流れに入っ
た。


でDや

見てい
た2小の児童たちも、川







た。
4川
に飛び込
求め


本件生徒
む直
はパ
岸の桜のところに駆けつけて、本件生徒とD
本件生徒は「助けてください」と中学校に助けを前、




た。
電話に出た男性教員ック状態でX中へ電話を掛け、


にた






た。
5この事件の一部始終を川の対岸から目



いた人
物が
1
10番通報
した。その人物は、「私見てたの、
1
人の
女の
子を

んな




いて、
あれはイ
ジメ
だよ








び込ん

時に
はみ



携帯
のカメ


向けていた



親に話
した

取材

はこ
の目



話を聞



したが、既に亡くなっていることが現場周辺の聞き込みでわかった。

園と川を挟んだ向かい側にいた近所の女性が、本件生徒が
土手下
の草むらに立っているのに気づき、そのまま何もしないでいることを
不審に思って110番通報した。(当委員会は、警察署に110番通
報者




行い

事前










を得






取さ
せていただいた。通報者の女性は、自分
が行った1
10番がテレビで
報道されていた有名ないじめ事件であることを警察署に知らされて驚

たと
話された。









る。
6い
件に関する通報がこの1件のみであったことも警
じめの発覚を恐れた加害少年らが、
お母さんから虐待を受けていて、
と虚偽の説明をしたため、警察が呑み
を止めた。
→そのような事実
駆け付けた警察官に「
この子は
にたくて飛び込んだ」


が辛
いか


にして母親が病院に付添うこ

は認められなかった。
7加害少年らは自身のスマホを初期化するなどい




拠隠


図っ








データを復元し、彼らがった
わいせつ動画や画像の

在が






た。


察による事情聴取は迅速に行われているので、証拠隠滅を図る余
裕はなかったと考えられる。加害少年らが本件生徒を撮影した事実は
-79-
ない。
8警察が加害少年らのスマホの画像
データを削除させ
た後







警察がそパソコンのバックアップしたデータを拡散し、

を削除させ
た後

、別



いせつ
画像


出が続
いた
6
の加害少年が保管したアプリから画像を流失させたり、その

警察官から事情聴取を受けた後、C月23日(日)、

Eから送られ
た画像をAとBに見せていて、画像データを保有していることが判明


6月ため、
24日(月)夕刻、保護者にCのスマホを持参させ、X中
においてデータ
画像流出は、この件以外に削除の指示を行っている。
は認められなかった。
3報道で摘示された関係者の具体的な言動について

件に関する報道
においては、関係者の問題のあ

言動
として具体的に

示されたものもあ
った




ような


者の
言動
について、当委員会
の調査において当事者本人が否定してい
たり、
問題とされた言動があった
とする情報自体が出てこないこともあったことを付する。
-80-

https://ijimebokumetsu.com/2024/06/24/asahikawa-chousahoukokusho1/