アメリカ人男性の3人に1人がもはや働いていない
- One In Three American Men No Longer Working
提示されたスクリプトは、米国の労働省労働統計局(BLS)のデータをもとに、20歳以上の米国人男性の労働力率が低下している現状を報じる記事です。
男性の労働力率が2006年の73%から2026年4月には66%にまで低下し、約3人に1人の男性が労働市場に参加していない状態(働くか、または仕事を探している状態ではないこと)を示しています。
これに対し、女性の労働力率は比較的安定しており、医療や教育など女性の割合が高い分野での雇用が増加しているため、近年増加した雇用の大半を女性が占めていると伝えています。
男性の労働力率の低下とその背景
20歳以上の米国人男性の労働力率は66%となり、過去20年間で最低水準に近い数字となっています。
この低下の主な原因として、伝統的に男性労働者が多かった製造業や運輸業などの労働集約型産業で雇用が減少していることが挙げられています。
また、退職者の増加や学生である男性の増加も、労働市場に参加する男性の割合を押し下げる要因となっています。
男女間における労働市場の動向の違い
女性の労働力率も過去20年間で低下は見られるものの、男性ほどの激しい落ち込みは起きていません。
2025年以降に米国経済で創出された36万9000件の雇用のうち、96%が女性向けであり、男性向けはわずか4%にとどまっています。
これは、近年の経済成長が医療や教育といった女性が多く働くセクターに偏っているためです。
失業率との関係
労働力率が低下している(働く意志を持つ男性自体が減っている)一方で、仕事を探している人を対象とした男性の失業率自体は、2021年以降3%から4%の低い水準を維持しています。
投資でFIREしたのかと思った
この記事で指摘されている「働いていない(労働力市場にいない)3人に1人の男性」の多くは、投資によるFIRE(経済的自立と早期退職)を達成した先進的な人々ではなく、主に産業構造の変化や高齢化による影響を受けた人々です。
労働力率の低下が意味すること
経済統計における「労働力人口に含まれない(No Longer Working)」という状態は、単に仕事を辞めた人だけでなく、働く意志がない、または求職活動をしていない状態を指します。
今回のデータで男性の労働力率が下がっている主な要因は、以下の3点に集約されます。
- 労働集約型産業の衰退
製造業や運輸業など、伝統的に多くの男性労働者を吸収してきた分野の雇用が減少したことで、職を失ったまま労働市場から退出した人が多く含まれています。 - 人口の高齢化(退職者の増加)
団塊の世代(ベビーブーマー)が引退の年齢を迎えており、純粋に高齢による退職者が増えていることが全体の比率を大きく押し下げています。 - 就学期間の長期化
若年層の男性において、すぐに就職せず学生としてとどまる期間が延びていることも、労働力率を下げる一因となっています。
失業率の低さとの関係
記事内で「男性の失業率が3〜4%と低い」とあるのは、雇用の状況が良いからではなく、仕事を探すこと自体を諦めた人々が「失業者」のカウントから外れ、「非労働力人口」に移動しているためです。
したがって、一部に投資や資産運用によって早期リタイア(FIRE)を選択した人が含まれている可能性はありますが、マクロ経済の動向としては、産業のミスマッチや少子高齢化という構造的な問題が背景にあります。
FIREして働いていない人の割合。男女分けて
米国の公的統計(労働省労働統計局など)において、純粋に「投資の原資によるFIRE」を理由に働いていない人の割合を直接集計した正確なデータは存在しません。
ただし、民間の意識調査や資産状況の統計から推計すると、男女合わせた成人全体の中でFIREを達成して完全に不労の状態でいる人の割合は、一般的に「1%未満」から、定義を広げても数%程度と極めて限定的です。
男女別の割合としては、FIRE達成者の人口そのものが少ないため公的な確定値はありませんが、投資市場の参加比率や所得格差のデータから、男性の方が女性よりも割合が高い傾向にあります。
FIREの割合が極めて低い理由
労働力人口から外れている原因を調べた調査では、その大半が「退職(通常の定年)」「病気・障害」「通学」「家事・育児」で占められています。
40代や50代前半などの若さで、自らの意志で経済的に自立して早期退職(FIRE)している人は、マクロ経済の統計上では「その他」の微小な項目に埋もれる程度の規模です。
富裕層の意識調査などでも、FIREという概念を知っている人は一定数(約2割〜3割)いるものの、実際にそれを実行して完全に労働を辞めている人は1%に満たないレベルであると分析されています。
男女における傾向の違い
完全にリタイアしたFIRE達成者の男女比を示す直接的な公的データはありませんが、以下の要因から、FIREの割合は女性よりも男性の方が高いと考えられています。
1.投資への参加率と資産規模の差
米国における株式やETFなどの投資口座の保有率および運用資産額は、歴史的に男性の方が高い水準にあります。FIREの前提となる「年間支出の25倍の資産」を構築できる確率が、男性の方が高くなる背景があります(年間支出400万円なら、資産は1億円)。
2.非労働力化の理由の違い
女性が労働市場に参加していない(働いていない)理由としては、依然として「家事・育児」や「家族の介護」の割合が男性よりも圧倒的に高い傾向にあります。
一方で、男性が働いていない理由は「退職(高齢化)」や「産業変化による失職(求職諦め)」が中心です。
したがって、今回の記事にある「男性の3人に1人が働いていない」という事象のほとんどは、経済的な余裕によるFIREではなく、高齢化や雇用環境のミスマッチによるものと結論づけられます。
「アメリカ人男性の3人に1人がもはや働いていない」は「アメリカ人男性の3人に1人が失業中」に置き換えても間違いない?
アメリカ人男性の3人に1人が「失業中」ではない
経済統計において「働いていない(非労働力人口)」と「失業中(失業者)」は完全に区別されており、この2つを混同すると米国の雇用の実態を見誤ることになります。
働いていない人と失業中の人の定義の違い
米国の労働省労働統計局(BLS)では、成人人口を以下の3つのグループに厳密に分類しています。
- 就業者
現在、仕事を持って働いている人です。 - 失業者(失業中)
現在は仕事を持っていないが、働く意志があり、過去4週間以内に具体的に求職活動(面接を受ける、履歴書を送るなど)を行っている人です。 - 非労働力人口(働いていない)
仕事を持っておらず、さらに仕事を探してもいない人です。今回の記事で指摘されている「3人に1人(労働力率66%の残りの34%)」は、すべてこのグループに属します。
なぜ置き換えると間違いなのか
失業率を計算する際の分母は「就業者 + 失業者(=労働力人口)」だけであり、働く意志のない「非労働力人口」は計算から除外されます。
もし「3人に1人が失業中」であれば、失業率は33%という大恐慌並みの深刻な事態を意味することになります。
しかし、記事内にもある通り、実際の男性の失業率は3%〜4%と低い水準です。これは、仕事をしていない男性の大部分が「仕事を探していない(非労働力人口)」状態にあるためです。
「働いていない3分の1」の内訳
この「働いていない3分の1」の具体的な内訳は、主に以下のような人々であり、彼らは「失業者」とは呼ばれません。
- 定年や早期退職によって引退した高齢者
- 大学や専門学校などに通う学生
- 病気や怪我、障害により働けない人
- 仕事を探したが、見つからないため求職活動自体を諦めてしまった人(滞留失業者)
したがって、「失業者が3人に1人もいる」のではなく、「様々な理由で労働市場から完全に退出している人が3人に1人いる」というのが正しい解釈です。

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