メガソーラー事業は、再エネ賦課金が主な儲けの源泉

2025年12月14日 新規メガソーラー、電力買い取り価格上乗せ廃止へ…消費者が支払う再エネ賦課金が原資

  • この記事は、政府と自民党がメガソーラー(大規模太陽光発電施設)への新規支援を2027年度から廃止する方針を固めたことを伝えています。主な内容は以下の通りです。

政策転換の概要

  • 出力1000キロワット以上のメガソーラー、および出力10キロワット以上の地上設置型事業用太陽光を支援制度(電力買い取り価格上乗せの対象)から除外。
  • 屋根設置型や家庭用の太陽光発電には支援を継続。
  • こうした方針を盛り込んだ提言を自民党が15日にまとめ、政府が年内にも正式決定する見通し。

背景と理由

  • 東日本大震災後、原発事故を受けて始まった再エネ支援制度(FIT制度)により、メガソーラーが全国で急増。
  • しかし、山林伐採や土砂災害の危険増大、生態系破壊、景観悪化など環境問題が深刻化。釧路湿原や千葉県鴨川市などで地元とのトラブルも発生。
  • 発電コストの低下により、「もはや補助は不要」との意見が自民党内で拡大。
  • 高市首相は総裁選中に「釧路湿原の太陽光補助制度を整理する」と明言していた。

経済的影響と再エネ賦課金

  • 2025年度の再エネ電力買い取り総額:約4.9兆円。
  • うちメガソーラーなど事業用太陽光:約3兆円(全体の6割)。
  • このうち3.1兆円が「再エネ賦課金」として国民の電気料金に上乗せされている。
  • 負担増への国民の不満も、見直しの一因となっている。

環境アセスメントの強化

  • 現行では出力4万キロワット以上の事業のみ対象だった環境影響評価を、中小規模にも拡大。
  • メガソーラーの無秩序な拡大を防ぎ、地域との調和を重視する方向へ。

政府は脱炭素政策全体の中で、コスト効率の高い再エネ普及と環境保全の両立に舵を切る形となります。この転換は、再エネ支援が「量から質」へと移行する節目といえます。

 

 

再エネ賦課金は、民主党政権時代に導入された

  • 再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、民主党政権時代に導入された固定価格買取制度(FIT制度)の原資として提案・制定されました。

提案の経緯

  • 民主党政権(当時の菅直人首相主導)が2011年の東日本大震災後、脱原発と再エネ普及を目的にFIT法を成立させました。この制度で電力会社が再エネ電力を高値で買い取り、その費用を電気料金に上乗せする賦課金が設けられました。自民党政権下でも継続・改正され、現在に至っています。

現在の議論状況

  • 近年、国民民主党や日本保守党、参政党などが賦課金の廃止・停止を公約に掲げ、負担軽減を主張しています。一方、政府はメガソーラー支援の見直しで負担抑制を図っていますが、制度自体は存続中です。

 

 

国民から徴収した再エネ賦課金をあてにした発電事業

メガソーラー事業は、太陽光発電の純粋な収益性より、再エネ賦課金による固定高額買取が主な儲けの源泉です。

  1. 利益構造の核心
    FIT制度下で、事業者は20年間の固定価格(例: 初期40円/kWh)で電力を売却でき、市場価格との差額を国民の電気料金から徴収される再エネ賦課金が補填します。この仕組みにより、初期投資回収が5年以内で可能になり、以降は高利益を生み出しました。太陽光パネルのコスト低下が進んだ現在も、過去認定案件の「レガシーコスト」が賦課金の大部分を占め、事業者の安定収益を支えています。
  2. 国民負担の実態
    2025年度の賦課金総額は約4.9兆円で、事業用太陽光が6割を占め、標準家庭で月800-1000円の負担増となります。事業者は売電益に加え、税制優遇や融資支援を受け、地元への還元は限定的です。こうした「国民から事業者へ」の資金フローが、環境破壊批判を招いています。
  3. 最近の政策転換
    政府は2027年度から新規メガソーラー支援を廃止し、FIP制度移行で市場連動型へ転換。事業者の過度な依存を断ち切り、負担軽減を図りますが、既存案件の買取義務は続き、賦課金は当面高止まりの見込みです。

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