トヨタの大規模なカナダ投資(約1.6兆円) 米国中心の生産・物流からカナダを軸とした「日本・カナダ二国体制」へ転換

世界

 

2025年09月01日 ほころびるグローバリゼーション、注視すべき4つの潮流 日本にも「異変」

  • 世界経済のグローバリゼーションが退潮しつつあり、その「ほころび」がいくつかの重要な現象として現れているという視点が提示されている。

特に注目すべき動きは以下の通り:

  1. 米中など大国間の地政学的せめぎ合い
    → 各国の経済・政治の力関係がグローバリゼーションの潮流を押し戻している。
  2. 日本のCPI上昇率が米国を上回る異変
    → 数十年ぶりに物価上昇が顕著となり、長期国債利回り上昇にもつながっている。日本経済が従来と違う局面に入りつつあることを示す。
  3. FRBの独立性の揺らぎ
    → トランプ大統領による理事解任の試みなどを通じ、金融政策が政治の道具にされる兆しが出ている。FRBはグローバル経済の柱だったため、その独立性の低下は国際金融秩序の「ほころび」となる。
  4. 民主主義の後退
    → 各国で権威主義化が進み、エコノミスト誌の「民主主義指数」は20年間で最低水準に下落。

筆者はこれを「ほころびの法則」と呼び、グローバリゼーションを支えた要素(低インフレ、秩序だった国際協調、民主主義、安定した通貨制度など)が一つひとつ崩壊しつつあると指摘している。そして、「低インフレ・戦争の不在」という従来の特徴から、「高インフレ・戦争の時代」への移行を強調している。

日本への含意

日本はこれまで物価停滞国とされてきたが、急速なCPI上昇により従来の経済構造が変容している。また、米国の金融政策不安定化と国際秩序の揺らぎが、円の価値や日本の長期金利にも直接波及しかねない状況となっている。

世界規模で「グローバリゼーションを支えてきた基盤の解体=ほころび」が進行しており、日本もその変動のただ中にある、という問題提起です。

 

 

カナダは既存の米国依存から脱しつつある

世界のサプライチェーンにおける脱アメリカ化の動きが加速しており、日本とカナダが注目されています。特にトヨタの大規模なカナダ投資(約1.6兆円)は、米国中心の生産・物流からカナダを軸とした「日本・カナダ二国体制」へ転換し、サプライチェーンの多極化を進めています。この動きは関税引き上げや地政学リスクの高まりに対応し、米国依存を減らす戦略として現れています。

カナダは水力発電と先端製錬技術による低炭素素材の供給拠点としても注目されており、電気自動車や先端航空産業などのサステナブルなサプライチェーンの中核に位置づけられています。一方、日本のホンダも米国関税ショックに対応し、カナダとの連携強化や生産再編を進め、脱アメリカ依存を図る動きを見せています。

こうした動きは単なる経済的な貿易関係の変化にとどまらず、安全保障や環境政策を含めた多角的な国際連携に発展しており、米国の保護主義的政策が長期的に他国の投資先多様化を促す結果となっています。カナダは既存の米国依存から脱し、自立した成長モデルと国際的な経済地位向上を目指していることが特徴です

 

 

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