「宇宙飛行」についての名言
- 「6か月の宇宙飛行において、リスクの半分は最初の9分にある」―クリス・ハドフィールド(カナダの宇宙飛行士)
- 「宇宙は決して離れた場所ではない。車がまっすぐ上に行けるなら、車で1時間の距離だ」―フレッド・ホイル(イギリスの天文学者/SF小説家)
- 「時折、私たちは宇宙で孤独だと考えることがあり、また時にはそうではないと思うこともある。いずれの場合でも、その考えには圧倒される」―アーサー・C・クラーク(イギリスのSF作家)
- 「私たちにできる最も重要なことは、若い人たちの心を鼓舞し、宇宙旅行の次の段階へと導いてくれるような科学、数学、技術教育を進めることである」―ジョン・ハーシェル・グレン(アメリカの戦闘機パイロット/宇宙飛行士/政治家)
- 「宇宙探査は、異星人の存在、利益の上がる惑星の採掘、素晴らしい月面植民地を約束した。皆さん、ニュース速報です: 宇宙にはほとんど何もない。宇宙は無菌の真空地帯であり、そのほとんどは私たちがそこに置いたガラクタで満たされている」―グラハム・ホークス(イギリス生まれの潜水艦デザイナー)
- 「宇宙を探検するには惑星が必要だ」―ディラン・テイラー(アメリカの宇宙ツーリスト)
- 「私たちは、ごく平凡な星のマイナーな惑星に住む高度な猿の一種にすぎない。しかし、私たちは宇宙を理解することができる。それは私たちを特別な存在にしている。」―スティーブン・ホーキング(イギリスの理論物理学者)
宇宙は138億年前に生まれた、地球は46億年前
こうして地球が生まれ月が生まれました。宇宙は138億年前にビッグバンによって生まれましたが地球が生まれたのは46億年前になります。
たかが仮説、されど仮説
宇宙に関する科学の進展を見ていくと、科学とはどのような営みであるかがわかってくるのではないでしょうか。人間はいろいろなものを認識します。でも最初の認識が正しいとはかぎりません。コップを遠くから見ると単なる二次元の長方形にしか見えません。その長方形に水が入っているのを、遠くから見ている人はどう考えるでしょうか。二次元なのに水が入っている。これは不思議だ。きっと神の力に違いない。そんなふうに思うかもしれません。でもコップに接近して、それが三次元の立体であることがわかると、今までの認識が覆されて、新たな認識を得ることができるわけです。自然や宇宙に関しての認識にも同じことが言えます。最初は、神が創り上げたとしか思えなかった現象も観察や実験を重ねそこから仮説を導きその仮説を確かめることによって人間はどんどん新しい認識を得ることができるようになってきました。もちろん新しい認識もその時々の暫定的な理論でしかありません。絶対的な真理ではないという意味では仮説にしか過ぎません。でも、その仮説を裏づける実験や発見があり、私たちはより多くの出来事を認識することができるよっになってきたのも事実です。ヒッグス粒子も最初はただの仮説でしたが、それが発見されることで、宇宙とはどういうものなのかという謎の解明がまた1歩先に進んだのです。もちろんそれで終わりではなくて、さらにその先があります。これからも新しい仮説を積み重ねていくことで、人間の認撒は更新されていくことでしょう。
実は宇宙誕生も137億年前の出来事だと言われていました。それがつい最近138億年前だといっことになったのです。これはビッグバン直後に出た光が宇宙に残っているのを観察して分析し宇宙の年齢を引算することでわかったそうです。ですから宇宙の年齢についても今まで定説だった137億年といっ仮説が覆され138億年といっ新たな仮説が提示されたということになります。今も宇宙はどんどん広がり続けています。このまま果てしなくどんどん広がり続けるのでしょうか。あるいは宇宙にはさまぎまなものがあるわけですからそれぞれが引き合ってどこかの段階で宇宙の膨張が止まって今度は逆回転を起こして収縮し、最後にはまた1点に戻ってしまうのでしょうか。これも長い間、宇宙の研究者の中で謎でした。しかし最新の宇宙モデルによるとどうもまた元に戻ることはなく、宇宙はこれからも広がり続けるだろうということがわかってきました。宇宙について考えると、不思議な感慨にとらわれます。まったくの無のような地点から突然、インフレーションによって小さな宇宙ができそれが爆発してありとあらゆるものをまき散らした。その中にヒッグス粒子が現れて重みができやがで宇宙の星ができ私たちが生まれたということになるわけです。こうしてみると、ヒッグス粒子の理論を提唱した二人が、2013年にノーベル物理学賞を受賞した理由も、実感できるのではないでしょうか。ヒッグス粒子の仮説とは突き詰めて考えれば私たちの起源を解き明かす理論だったからです。そしてヒッグス粒子の発見によって、「私たちはどこから来たのか」ということが、宇宙スケールで説明できるようになったのです。
私たちは、どこから来たのか?私たちは、ビッグバンによって誕生したのです
進化=進歩ではない
広大な宇宙の中で約46億年前に地球が誕生し、その地球に生命が誕生したのは約40億年前と言われています。地球最古の生命は海で誕生しました。私たちの体の中には太占の生命の痕跡があります。人間の体内の約60%は水分でできています。この水分の塩分濃度が太己の海水の塩分濃度と同じだということがわかっているのです。つまり、海に生活していた生き物の塩分濃度が、私たちの細胞の中にも残っているということになります。海に生きていた私たちの祖先の水分の塩分濃度が、現在の私たちにまで受け継がれていると考えると、生命の不思議といっものを考えざるをえません。海で生まれた生命はやがて陸上に進出していきます。陸地ではさまざまな植物や動物が生まれてきます。もともと地球に酸素はなかったのですが植物が生まれて光合成によって酸素をつくることで人問も含めた動物が暮らせるような環境ができていきました。なぜ単純なしくみしか特っていなかった生命が多種多様な種へと変化を遂げていったのでしょうか。私たちは、太古の生物から人間までの移り変わりを「進化」という言葉で表現します。では進化とは何でしょうか。間違ってはいけないのは「進化=進歩」ではないということです。進化というと何か進んでいるというイメージがあります。そこには「進んでいるものほど優れている」という価値判断も伴っています。たしかに私たち人類はさまざまな動物が進化した結果誕生したということになっています。いわば人類は進化の頂点に位置する。そこで他の動物は人間より劣ったものだという価値判断が入り込んでしまうわけです。でもそれは人間中心的な考え方ではないでしょうか。進化とは決して劣ったものから優れたものへと進歩することではないのです。ここでダーウィンに登場してもらいましょう。彼が『種の起源』(1859年)で明らかにしたことはこういうことです。さまざまな生き物は突然変異を繰り返している。突然変異を繰り返しているもののうち、その時々の環境に一番適応できる生き物だけが生き残ってきた。
木が黒くなれば、黒い蛾のほうが目立たないぶん、野鳥などに食ぺられなくてすみます。つまり黒が保保護色になるわけですね。そのためにロンドンでは、真っ黒の蛾のほうが増えていったのです。これは実際の実験によっても確かめられました。研究者は、一種類の蛾を煤のために木が黒くなっている森と、空気がきれいな郊外の森に放ちました。結果は劇的なものでした。木が黒くなっている場所では霜降りタイプは野鳥に見つかりやすく野鳥に食べられてしまいました。逆に空気がきれいな森の中では、真っ黒のタイプの蛾が食ぺられてしまったのです。ロンドンでは、大気汚染で環境が変わってしまったため、霜降りタイプの蛾は環境に適応できずに数を誠らし、たまたま突然変異をした真っ黒のタイプの蛾がその環境を生き延びることができました。逆に言えば大気汚染が解消されて空気がきれいになるとその黒い蛾は生き延びることができなくなる。これが進化といっものです。私たちは、進化とは正しく優れた方向に向かっていると思ってしまいがちですが、自然界は決してそういっものではないことがこの例からもおわかりいただけると思います。
ダーウィン進化論の衝撃
ダーウィンの進化論は同時代のキリスト教にとっては決して認めることができない理論でした。実際、当時のイギリスでは大論争が巻き起こっています。ダーウィンが生きた一九世紀の時点では、イギリスではまだキリスト教会が大きな力を持っていました。キリスト教では、神がすべての生き物を創造したと考えます。進化論が説くような、はるか昔から生き物が次々に突然変異を起こして新しい種を生み出していったという考えは、絶対に受け入れることができない理論でした。それを認めることは、神の存在を否定することに等しいからです。では現在キリスト教はダーウィン進化論をどのように考えているのでしょうか。実は1996年に、当時のローマ法王ヨハネパウロ二世は「進化は仮説以上のものである」と、事実上、進化論を認める書簡を発表しました。
また、キリスト教徒ながら、生き物が変異する事実を受け入れる人たちも登場しました。この人たちは、神の存在と進化論を折衷するようなアイデアをつくりました。どういうものかというと生き物はさまざまな変種に進化してきたが、そのように進化していく「設計図」を最初に創造したのは神であるというものです。つまり、世界創造のときにあらゆる生き物を神が創ったといっ考えは引っ込めた。その代わりに進化のデザインは神がなしたもうたと考えるわけです。この考えを強く主張しているのはアメリ力のキリスト教原理主義者たちです。彼らの理論は「インテリジェント・デザイン」といいます。人間を含む生き物の進化には、何らかの「インテリジェント(聡明)な存在による「デザイン」が働いているはずだと主張するものです。キリスト教側の反発はあるものの歴史的に見ればダーウィン進化論はそれまで支配的だったキリスト教的な自然観や生命観を根本から覆す衝撃の理論だったことは間違いありません。この進化論の発展によって「私たちがどこから来たのか」という問いに対して、科学的に考える道が開けてきたのです。
はるか昔の年代の調べ方
ではそもそも私たちの祖先は、いつごろどこで生まれたのでしょうか。人類はサルの仲問から進化してきたと言われますがテナガザルやゴリラ、チンパンジーといった他のサルと人類の祖先を分かつものはニ足歩行です。では二足歩行を始めたのはいつごろなのか。確実なところでは360万年前には既に人類の祖先がニ足歩行をしていたことが知られています。アフリカのタンザニアにある360万年前の地層に、ニ足歩行の足跡がしっかり残っていることが発見されたのです。少なくとも360万年前には、私たちの祖先が地球上にいたということになります。でも、まだこの段階のご先祖さまは、直系のご先祖ではありません。猿人〈アウストラロピテクス)と呼ぱれている別の種の人類です。猿人の他にも原人、ネアンデルタール人という人類も生まれましたが、これらの人類はみな滅びてしまいました。そうした中で、約20万年前に、私たち直系の祖先であるホモ・サピエンスが生まれたことがわかっています。
アウストラロピテクス
ネアンデルタール人
ホモ・サピエンス