父親はウズベキスタンの大統領だった。公金横領で娘を自宅軟禁
彼女はウズベキスタンのパリス・ヒルトン的な存在だった。派手なイメージとはあまり縁がないウズベキスタンという国でひときわ目を引く女性セレブで、父親のイスラム・カリモフは当時、この国の大統領だった。父親のカリモフは2016年に亡くなったが、その前の2014年に、カリモワを自宅軟禁にした。これは、彼女の公金横領が目に余り、処罰せざるを得なかったからだ。米移民・関税執行局(ICE)によると、複数の通信会社が絡んだ贈収賄の額は8億6500万ドル(約1160億円)に上ったとされる。
地に落ちた「ウズベクのプリンセス」 汚職資金2千億円の行方は
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贈賄に関わった企業の一つ、ロシアのモバイル・テレシステムズ
この贈賄に関わった企業の一つ、ロシアのモバイル・テレシステムズ(Mobile Telesystems)は、2022年までニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場していた。カリモワは、金融犯罪からの収入により、保有資産額が10億ドル(約1300億円)に迫っていたという。
自宅軟禁措置に違反し刑務所に収監
カリモワは2019年3月、自宅軟禁措置に違反したとして刑務所に収監された。それから現在に至るまでの4年間、彼女はタシケントにある刑務所に収容されている。現時点で、刑期の残りはあと10年ほどだ。
ソ連崩壊後に登場した富豪令嬢の典型
カリモワは、ソ連崩壊後に登場した富豪令嬢の典型と言える。「グリ(Guli)」という名のジュエリーブランドを経営し、自身のテレビチャンネルを持っていた他、グーグーシャという芸名を持つポップスターでもあった。約38ヘクタールの敷地を持つ宮殿のような邸宅に住み、敷地内にはワイナリーやナイトクラブまであった。そんなカリモワの転落劇は、まるで映画のストーリーのようだった。
凍結された資金は約2000億円
カリモワに関連し凍結された資金はルクセンブルク、ベルギー、スイスやオフショアのタックスヘイブン(租税回避地)で合わせて15億ドル(約2000億円)に上る。 カリモワは、たとえスイスとの合意の結果として釈放されたとしても、不正に得たすべての資金を返納しない限り、米国で裁判にかけられる可能性が高い。ウズベキスタン政府は、米国とスイスに対し、残りの資産の凍結解除に向け共同で取り組むよう求めている。