浅い場合や設置面積が大きすぎる場合、光が減ることで水草が減少し、栄養塩が消費されずに植物プランクトン（藻類）が逆に増加して水質が悪化するケースも
丸亀市の水上メガソーラー計画中止
住民1万人超の声が守った歴史と暮らし
- 香川県丸亀市で計画されていた大規模な水上メガソーラー発電事業が、2025年6月1日までに正式に中止されました。 対象となったのは郡家町の宝憧寺池、辻池、仁池の3つの農業用ため池です。この計画は、池の水面に太陽光パネルを設置する再生可能エネルギーの取り組みでしたが、地域住民や環境保護の立場から強い反発が起こり、最終的に1万1,000筆を超える署名が集まりました。
住民運動の経緯と影響
- 2024年4月と8月の2回にわたり、合計3,489名（1,881世帯）分の直筆署名が市長に提出され、さらにインターネット署名も加わり、合計で1万1,000筆超に達しました。
- 住民の請願は当初市議会で否決されましたが、再審議で賛成多数となり、香川県初となる「再生可能エネルギー施設の適正設置に関する条例」が成立しました。
- その後、土地改良区宝憧寺池支部が水利組合員に対し、計画の中止を正式に通達しました。
住民が訴えた主な懸念
- 歴史的価値の保護：宝憧寺池は江戸時代の天明3年（1783年）に築造された歴史ある農業用ため池であり、丸亀平野の中央に位置し、今も稲作や畑の水やりに使われています。
- 生活と安全への影響：池の周囲には315戸以上の住宅や事業所が密集し、太陽光パネル設置による環境・安全面への懸念が強く、特に高圧受電設備と伝統的な野焼き作業の両立による火災リスクが指摘されました。
- 文化財と景観の保全：池の底には丸亀市指定の文化財である宝憧寺塔心礎石があり、景観や文化遺産の保護も強く求められました。
中止の意義と今後
- 事業者から公式な中止理由は示されていませんが、現行の電気事業法のもとでの安全性確保の難しさ、住民の強い反対、条例の成立などが複合的に影響したとみられます。今回の事例は、「再生可能エネルギー推進」と「地域の暮らし・歴史・自然との共生」のあり方を問い直すものとなり、住民自治が制度を動かし、開発計画の見直しを実現させた前例となりました。
「再生可能エネルギーの推進は重要である。しかし、住民の暮らし、歴史、自然を犠牲にした開発が許容される社会であってはならない。」
この出来事は、地域社会の声が行政や事業者の判断を変えうること、そして住民自治の力を全国に示した象徴的なケースといえます。
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池の上でソーラー発電を設置した場合の水質への影響
主な影響とその理由
- 水上太陽光発電（フローティングソーラー）は、池やダムの水面に太陽光パネルを浮かべて発電する方式です。この方式が水質に与える影響は、設置場所や規模、池の深さなどによって異なります。
水質改善の可能性
- 太陽光パネルが水面を覆うことで、日光が池の水中に届く量が減少します。これにより、アオコ（植物性プランクトン）の光合成が抑制され、アオコの異常発生や富栄養化による水質悪化を防ぐ効果が期待できます。
- 実際にダムでの事例では、太陽光パネル設置後に藻類の繁殖が抑えられ、pH値の上昇が小さくなり、薬品投入量が減ったという報告もあります。
水質悪化のリスク
- 一方で、浅い池や湖沼では、水面を覆うことで水草などの水生植物が減少し、栄養塩類が利用されなくなることで、逆に植物プランクトン（アオコなど）が増加し、水質が悪化するケースも指摘されています。
- 特に浅い池では、光が遮られることで生態系のバランスが崩れる可能性があるため、設置規模や覆う面積には注意が必要です。
その他の効果
- 水上太陽光発電は、池の水温上昇や水の蒸発を抑える効果もあり、農業用水の確保や温暖化対策にも寄与します。
- ただし、設置方法や規模によっては水質や生態系、景観への影響も考慮する必要があります。
まとめ
- 水上太陽光発電の設置は、アオコの発生抑制や水質改善などの効果が期待できる一方で、浅い池では逆に水質悪化のリスクもあるため、池の特性に応じた設計や管理が重要です。
ダムの上でソーラー発電をすると水質はどうなるか
主な影響と傾向
- ダムやため池の水面に太陽光パネルを設置すると、水質が改善する可能性があると複数の事例で報告されています。
- これは、パネルが水面を覆うことで日光が直接水中に届く量が減り、藻類の光合成が抑制されるためです。藻類の異常繁殖（アオコなど）は水質悪化の大きな原因の一つですが、パネル設置によってこれが抑えられる効果が期待されています。
具体的な事例：山倉ダムの場合
- 千葉県の山倉ダムでは、水面の約30%に約5万枚の太陽光パネルを設置した結果、藻の影響による水のpH上昇（アルカリ性化）が抑えられ、薬品投入量も減少するなど、水質改善の効果が観察されています。
- このように、ダム湖での水上ソーラー発電は、藻類の繁殖抑制やpHの安定化など、水質の維持・改善に寄与する可能性があります。
注意点・デメリット
- 一方で、湖沼が浅い場合や設置面積が大きすぎる場合、光が減ることで水草が減少し、栄養塩が消費されずに植物プランクトン（藻類）が逆に増加して水質が悪化するケースも理論的には指摘されています。
- また、パネルやフロートの材質については、水質に影響を与えないものが選定されていますが、火災や破損時に添加物が流出した場合のリスクもゼロではありません。
まとめ
- ダムの上でソーラー発電を行うと、一般的には藻類の光合成が抑制されることで水質改善の効果が期待できる一方、設置環境や面積によっては逆効果となる可能性もあるため、事前の環境評価や適切な管理が重要です。