アメリカで財政黒字の州はイリノイ 理由は農業。トウモロコシや大豆が主力

アメリカで財政黒字の州はイリノイ

アメリカの州で財政黒字を出している例としては、イリノイ州が今年度16億8,900万ドルの黒字を見込んでいるとの報告があります。これは税収増加に支えられており、準備金の追加積み増しにも充てられています。一方、カリフォルニア州は過去に巨額の黒字を出したこともあるものの、最近は財政赤字に転じている状況です。ニューヨーク市も歳入減少が見込まれ、財政は厳しい状況です。全体としては州ごとにばらつきが大きく、特にイリノイ州のように黒字を達成している州もある一方で、多くの州は赤字のリスクを抱えています。

 

 

イリノイ州の黒字の理由は農業。トウモロコシや大豆が主力

イリノイ州の主要産業は多様で、農業ではトウモロコシや大豆が主力となっています。大豆生産量は全米第1位か第2位で、トウモロコシも国内第2位の生産量を誇ります。製造業では化学、機械、食品、金属製品、輸送機器、電子機器などが盛んで、米国内でも工業の中心地です。また、シカゴに代表される金融、保険、出版、観光、エネルギーなどの非製造業も経済を支えています。さらに、先進製造業や医療機器、自動車産業、物流も発展しており、シカゴ周辺を含む交通インフラの利便性が高いことも強みです。

黒字の理由には、まず農業の安定した生産と高い生産量があります。加えて多様な製造業の活発な活動とこれに支えられた税収増が財政黒字を支えています。シカゴを中心とした金融サービスや先進技術分野の成長も経済基盤を強固にし、州の収入を増加させる要因となっています。これらの産業のバランスと輸送インフラの利便性がイリノイ州の財政黒字を可能にしています。

 

 

先端産業で儲かってそうなカリフォルニアやニューヨークが赤字である理由

カリフォルニア州やニューヨーク州が先端産業で稼いでいるにもかかわらず財政赤字に陥っている主な理由は、収入構造の脆弱性と大規模な支出増にあります。カリフォルニア州は特に所得税やキャピタルゲイン税への依存度が高いため、景気後退や市場の不安定化、関税影響で税収が大幅に減少しやすい構造です。また、温暖化対策、教育、住宅支援など社会福祉関連の積極的な支出拡大が財政を圧迫しています。州内の政治的対立も赤字解消の遅れを招き、共和・民主両党の意思疎通不足が対応の足かせとなっています。

ニューヨーク州もコロナ後の経済回復の遅れや高い生活コスト、税収減少が財政赤字の要因です。両州ともに高所得層への課税に依存しているため景気変動に弱く、また社会福祉や公共投資のための支出が大きいため、先端産業の儲けが直接財政黒字につながりにくい構造になっています。このためカリフォルニアやニューヨークは経済規模が大きくても財政赤字を抱えやすいのです。

 

 

カリフォルニア州とニューヨーク州、高所得者や企業が税負担を避けて他州に移転

カリフォルニア州でもニューヨーク州同様に高所得者や企業が税負担を避けて他州に移転する動きがあることは事実です。カリフォルニア州は所得税率が最大13.3%(高額所得者にはさらに上乗せ税も)と非常に高く、生活コストや法人税も高水準なため、高所得者や企業が税負担軽減を狙って、州税のないフロリダやテキサスなどの低税率州へ移転しています。また、州税務当局は厳しい調査を行いますが、移転は一定数進んでいます。こうした傾向が長期的に税収の減少圧力となっています。企業も従業員確保の困難や賃金の高さ、生活費の高さから訴求力のある低税率・低コストの他州への移転を進めるケースが増えています。このように高い税負担が州の税収減少の一因となり、財政赤字につながっています。​

一方で、州税のない地域への移住が増えても、カリフォルニア州は移住した元居住者にも州内源泉収入に対して課税権を行使するため、完全な税逃れは難しい部分もあります。だが全体的には高税率が移転圧力として機能しているのが現状です。