メラトニンは、体内時計の調整や入眠のサポートだけでなく、高血圧予防、血中脂質の低下、がんや糖尿病の予防、肥満防止など多くの健康効果が報告されています。台湾の栄養士・張維浚氏によれば、メラトニンの主な役割は睡眠の質向上にあり、良質な睡眠は体の修復、ストレスホルモンの調整、神経系の健康維持、血圧や血糖値の安定、脂肪燃焼促進などにも寄与します。
メラトニンを増やす2つの習慣
1. 朝の日光浴
- 朝8時~10時の間に日光を浴びることで、夜間のメラトニン分泌が正常に促進されます。
- 正午の日光浴はメラトニン分泌への効果が薄いとされています。
2. メラトニンを含む食品の摂取
- ピスタチオ:メラトニンが豊富。就寝2~3時間前に10~20粒食べるのがおすすめ。
- 大きなトマト:就寝2時間前に250gを8週間食べ続けると、睡眠の質改善が確認された臨床研究あり。
- ホワイトマッシュルーム:1回200g程度が目安。ピスタチオほどではないがメラトニンを含む。
- その他、紫米、黒米、チェリー、ふじりんごなどにも少量含まれています。
メラトニン分泌を妨げる要因と対策
- 夜間にブルーライト(スマートフォン、パソコン、照明など)を浴びるとメラトニン分泌が抑制されます。
- 就寝前の電子機器使用を控え、照明を暗くすることで分泌不足の改善が期待できます。
サプリメント利用時の注意点
- 台湾ではメラトニンは処方薬ですが、アメリカでは健康食品として自由に購入可能。
- サプリメントを選ぶ際は「認証マークがあること」「有名メーカー製であること」を重視。
- 初めて使う場合は0.3~0.5mgから始め、効果を見て1mg、2mg、3mgと段階的に増量。最大5mgでも効果がなければ医師に相談を。
メラトニンの使用を避けるべき3つのグループ
- 妊娠中・妊娠希望・授乳中の女性:安全性が確立されていないため使用を避ける。
- 自己免疫疾患の患者:肝臓や腎臓の代謝機能に負担をかける可能性。
- 抗凝血薬を使用している患者:出血リスクが高まるため使用を避ける。
まとめ
朝の日光浴と、ピスタチオやトマトなどメラトニンを含む食品の摂取が、自然なメラトニン増加と睡眠の質向上に有効です。サプリメント利用時は安全性に注意し、特定の健康状態の人は使用を避けましょう。
メラトニンは、脳の松果体で合成・分泌されるホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。主な役割は、睡眠と覚醒のリズム(概日リズム、サーカディアンリズム)を調整することです。
主な作用と分泌リズム
- 分泌のタイミング・・・日中は太陽光などの強い光刺激によって分泌が抑制され、夜間や暗くなると分泌量が増加します。
- 作用・・・メラトニンが分泌されると、体温や血圧が低下し、心身がリラックスモードになり、自然な眠りを促します。
- 体内時計との関係・・・メラトニンの分泌は体内時計(視交叉上核)と密接に連動しており、朝日を浴びることで分泌が止まり、夜になると再び分泌されます。
メラトニンの生理的意義
- 睡眠の質向上・・・メラトニンは眠気を誘い、質の高い睡眠へと導きます。
- 体内リズムの調整・・・季節のリズムやホルモン分泌のリズムも調整しています。
- 加齢との関係・・・幼児期(1~5歳)に最も多く分泌され、加齢とともに分泌量が減少するため、高齢になると睡眠時間が短くなる傾向があります。
メラトニン分泌に影響する要因
- 光刺激・・・夜間でも明るい照明やスマートフォンの光などがあると、メラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下します。豆電球程度の明るさでも影響があるとされており、真っ暗闇で眠ることが理想的です。
- 生活リズム・・・不規則な生活や日中に太陽光を浴びない生活は、メラトニン分泌の乱れや睡眠障害の原因となります。
メラトニンと健康
- 睡眠障害・・・メラトニンの不足や分泌リズムの乱れは、不眠症や睡眠障害の一因となります。
- 疾患との関連・・・メラトニンが不足すると糖尿病の発症率が高くなるという研究も報告されています。
- 抗酸化作用・・・メラトニンには抗酸化作用があり、細胞の新陳代謝を促し、病気の予防や老化防止にも関与していると考えられています。
メラトニンの利用
- サプリメントや薬剤・・・メラトニンはサプリメントや医薬品(メラトニン受容体作動薬)としても利用され、睡眠導入や時差ボケ、概日リズム障害の治療に用いられます。
- 服用タイミング・・・服用するタイミングや量によって、体内時計を前進・後退させる効果があり、適切な使用が重要です。
まとめ
メラトニンは、睡眠と覚醒のリズムを調整する重要なホルモンであり、光と密接に関係しています。質の高い睡眠や健康維持のためには、規則正しい生活と適切な光環境が大切です。