中国で新エネルギー車が売れなくなっている

中国で新エネルギー車が売れなくなっている

中国の新エネルギー車(NEV)市場で、2025年末から2026年初頭にかけて販売の急減速や「売れなくなっている」という現象が起きている背景には、複数の構造的な要因が重なっています。

専門的な分析に基づき、主な理由を整理して説明します。

1. 政府補助金の縮小と制度の変更

中国政府は長年、新エネルギー車の普及を強力に推進してきましたが、その支援策が大きな転換点を迎えています。

2025年末に車両の買い替え補助金制度が一部終了したことで、駆け込み需要が一段落しました。

また、2026年からは車両購入税の免税措置が段階的に廃止され、5パーセントの課税が再開されました。これにより実質的な購入コストが上昇し、特に価格に敏感な15万元(約300万円)以下の低価格帯モデルの売れ行きに大きな影響を与えています。

2. 市場の飽和と普及率の限界

中国の都市部、特に「一線都市」と呼ばれる主要都市では、新エネルギー車の普及率がすでに極めて高い水準に達しています。

2025年後半には、新車販売に占める新エネルギー車の割合が50パーセントを超える月もあり、キャズム(溝)を超えてアーリーマジョリティ層まで行き渡った状態にあります。

これ以上の劇的な成長を見込める層が少なくなっていることに加え、充電インフラの整備が追いつかない地方都市や農村部への普及には、まだ時間がかかると予測されています。

3. 過酷な価格競争による買い控え

メーカー各社による激しい価格競争(価格戦)が長期化していることも要因の一つです。

「待てばもっと安くなる」「数ヶ月後にはより高性能なモデルが出る」という消費者の期待心理が働き、購入の決断を先延ばしにする買い控え現象が起きています。

この過当競争はメーカーの利益を圧迫しており、一部の振興メーカーでは資金繰りが悪化し、アフターサービスの継続性に不安を感じる消費者が増えていることも販売に影を落としています。

4. 経済全体の減速と消費者心理の冷え込み

不動産市場の低迷や雇用不安など、中国経済全体の先行き不透明感が消費者の財布の紐を固くしています。

自動車のような高額耐久消費財への支出を控える傾向が強まっており、新エネルギー車特有の要因だけでなく、マクロ経済の影響を強く受けている状況です。

5. 中古車市場の未成熟

新エネルギー車、特に電気自動車(EV)は、バッテリーの劣化懸念からガソリン車に比べてリセールバリュー(再販価値)が極端に低いという課題があります。

中古車としての資産価値が安定しないため、合理的な消費者が買い替えを躊躇する要因となっています。

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