北京の判事補・白彬(31) 最大で62億円を横領し東京に入国 行方不明に

60億円超を横領 31歳中国人判事補が家族と東京逃亡

事件の概要

  • 2025年5月、中国・北京第三中級人民法院に勤務していた31歳の判事補・白彬氏が、強制執行で回収した資金を私的に流用し、少なくとも1億3,000万元(約27億円)、最大で3億元(約62億円)を横領したとされる事件が発覚しました。白氏は家族とともにギリシャの「ゴールデンビザ」を取得し、日本航空便で東京に入国した後、行方が分からなくなっています。

事件の波紋と社会的影響

  • この事件は中国の司法制度の根幹を揺るがす前例のないスキャンダルとして大きな注目を集めています。SNS上では「若手の判事補が単独で巨額資金を持ち出せるはずがない」「内部で誰が審査したのか」といった疑問が噴出し、裁判所の資産管理や監査体制の不備、手続きの透明性の欠如が強く批判されています。
  • 中国の裁判所は年間数百万件の執行案件を処理し、取り扱う金額は数兆元規模ですが、独立した監査や情報公開の仕組みが整っておらず、内部処理にとどまるケースが多いと指摘されています。法律学者からは「監査が制度化していないことが最大の問題」との声も上がっています。

日本政府の対応と今後の展開

  • 白氏は日本で政治亡命を申請する可能性が指摘されていますが、日中間には犯罪人引き渡し条約がなく、日本政府は個別案件ごとに対応する必要があります。過去には「日中警察協力協定」に基づく送還例もありますが、白氏が「政治的迫害の被害者」と主張した場合、日本側は難民認定手続きを進めることになり、審査には数か月から数年かかる可能性があります。
  • 日本政府関係者は「法令順守と人権保護の両立が求められ、外交的にも難しい判断になる」としており、今後の対応に国際社会の注目が集まっています。

中国国内の反応と制度的課題

  • 中国国内では「なぜ数億元もの強制執行資金が誰にも気づかれずに流出したのか」という制度上の問題が改めて浮き彫りになり、SNSでは「制度を知り尽くした内部の人間ほど先に逃げるのでは」といった不信感が広がっています。また、「白氏一人で資金を動かすのは不可能で、複数の関係者が関与していたはず」との見方も強く、共犯関係の解明が急務とされています。
  • 最高人民法院は「徹底した調査を行う」とコメントしていますが、現時点で詳細な調査結果や再発防止策は示されていません。

まとめ

  • この事件は単なる個別の汚職事件にとどまらず、中国司法制度の脆弱性、監査・透明性の欠如、そして政治・外交面での課題を象徴しています。今後は日本政府の対応や中国側の制度改革の行方が注目されます。

北京法官捲鉅款逃日 民運團體助申政庇掀羅生門

華助理法官逃日 團體助申庇護

古代中国の裏社会: 伝説の任俠と路地裏の物語
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概要

  • 『古代中国の裏社会: 伝説の任俠と路地裏の物語』(柿沼陽平著、平凡社新書、2025年3月刊)は、古代中国の「任俠」と呼ばれる裏社会の人物たちの実像に迫る歴史ノンフィクションです。

主題・内容

  • 本書は、義理を重んじ、時に命を賭して人助けをする一方、殺人や強盗、贋金づくりといった犯罪にも手を染めた「任俠」たちの実態を描いています。
  • 特に、司馬遷の『史記』「游侠列伝」で高く評価された前漢時代の大任俠・郭解(かくかい)に焦点を当て、その生涯や行動を膨大な史料と比較・検証を重ねて実証的に明らかにしています。
  • 国家の法秩序が及ばない「裏」の世界がどのようなものだったのか、日常の風景も交えながらストーリー仕立てで描かれています。

構成(目次)

プロローグ――古代中国の裏社会へ
第一章 暗殺の顚末
第二章 郭解の家柄
第三章 血塗られた経歴――「少年」から大任俠へ
第四章 ニセガネと組織犯罪
第五章 呉楚七国の乱と任俠
第六章 轟く侠名、武帝に届く
第七章 勅命との対峙
第八章 郭解の最期――そして伝説へ
エピローグ

特徴

  • 司馬遷が国家公認の歴史書『史記』で郭解のような「日陰者」にも光を当てている点に着目し、歴史の裏側に生きた人々の姿を実証的に浮かび上がらせる試みです。
  • 膨大な史料をもとにした徹底的な比較・検証と、読みやすいストーリー展開が特徴です。

著者について

  • 柿沼陽平(かきぬま ようへい)は1980年生まれ。早稲田大学文学学術院教授、長江流域文化研究所所長。中国古代貨幣や経済史、日常生活史に関する著書多数。